■2019年6月議会報告:藤本一規議員_その1

むつみ演習場はイージス・アショア配備の「適地」ではない

 藤本議員は、防衛省が5月28日公表した「イージス・アショア配備に係る検討結果」で、萩市の陸上自衛隊むつみ演習場を「適地」としたことをきびしく批判し、地元の理解が得られない中で、来年度予算への計上など、次の段階に進まないよう求めるべきだと迫りました。

 藤本議員は、このなかで、①レーダーのメインビームの仰角は5度以上で、地表に当たることはない、と説明しているが、メインビームは4~6度の広がりを持ち、住民の生活圏に撒き散らされる危険がある、②ミサイルのブースターは演習場内に落下させるための措置を講じるとされているが、これから「検討・分析を引き続き進める」と注釈がついており、詳細な説明を求めるべき、③山口県萩市と秋田市へのイージス・アショア配備は、アメリカのハワイ、グアム両基地を守るためではないか、④防衛省の「検討結果」の検証にあたっては、県と萩市、阿武町はもちろん、外部の有識者の意見も聞くべきだ、⑤防衛省は萩市議会の全員協議会で「適地の概念に地元の意向は入る」と発言しているおり、住民ぐるみで反対している阿武町の意向を踏まえ、予算計上など次の段階に進まないよう政府に求めよ、などと質しました。

国の見解を代弁する一方で、「次の段階には進まないよう求める」と答弁

 平屋総務部長は、国からは、①「レーダについては、仰角5度以上で放射し、メインビームが地表に影響を与えることのないよう運用する」と説明を受けている、②「上空の風向や風速など、現地の実態に即してブースターの落下位置をあらかじめ計算するシステムを開発するため、検討・分析を進めていく」と聞いている、③「イージス・アショアはどこまでもわが国の防衛のために配備するものであり、むつみ、新屋両演習場に配備することによって弾道ミサイルの脅威から24時間365日日本全域を守ることができる」と説明を受けている、④検討結果の内容については、「必要があれば、有識者、知見を持っている方の意見も聞きながら対応していきたい」、⑤国の説明も途上であり、検証作業が終了するまでは次の段階に進まないということで国も対応すべきと思っており、そのように求めていく、などと答弁しました。

上関原発の公有水面埋立免許の延長許可に正当な事由なし

 藤本議員は、中国電力が6月10日、上関原発建設のため、県に公有水面埋立免許の期限を3年6ヶ月延長する申請を行ったことを踏まえ、3年前に延長申請を許可した県の判断には大きな誤りがあり、新たな延長申請はただちに不許可にすべきだと迫りました。

 藤本議員は、2016年8月、村岡知事が、公有水面埋立免許の延長申請を許可した際、①上関原発の原子炉設置許可申請の審査会会合は行われていない、②中国電力の電力需給計画において、着工時期が未定とされている、2つを理由にあげて、中国電力に「発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施工しないこと」を要請し、同社も受けいれた事実を指摘し、「着工時期を見通せない、ということは、中国電力が申請した3年以内に埋立工事を竣功することも見通せなかったはずであり、現にこの3年間、埋立工事はいっさい、行われていない。許可した時点で延長申請に正当な事由がなかったことは明白だ」と見解を質しました。

 藤本議員はさらに、知事が今回の延長申請の許可要件として、①免許の延長期間内に工事が完了しなかった理由にやむを得ない事情があるか、②土地需要があるか、の2点を検証する考えを示したことをとりあげ、「工事が完了しなかったのは、県が条件にした『着工時期の見通し』がつかなかったからに他ならない。土地需要がないことは明らかであり、ただちに不許可とすべきだ」と迫りました。

論点をそらし、質問にまともに答えず

 森若土木建築部長は、「前回の延長申請については、上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効であるとの国の見解が明確に示されたことから、土地需要があると判断し、延長を許可した」と論点をそらし、今回の延長申請についても「現在、申請内容を精査し、審査を行っており、どこまでも法令に従って、適切に対処する」とまともに答弁できませんでした。

(2019年6月19日)

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