■2020年11月議会・期末手当削減条例への反対討論■木佐木大助議員

 日本共産党県議団を代表して、本会議に提案された議案第8号、9号及び10号について討論を行います。

県職員、学校職員の期末手当引下げは容認できない

 まず、反対する議案第8号、一般職の職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例及び第9号、一般職に属する学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例についてです。

 両条例は、県人事委員会が10月28日、「民間の支給割合との均衡を図る」ことを理由に、一般職に属する職員及び一般職に属する学校職員の期末手当を現行の年2.6月分から2.55月分に引き下げるよう勧告したことに伴うものです。

 月例給について県人事委員会は11月5日、民間より190円(0.05%)低いものの「較差がわずかであることや人事院が月例給の改定を行わない旨を報告したことを踏まえ、月例給の改定を行わないことが適当である」と報告しました。これにより行政職の平均で年1万9千円の「賃下げ」となります。

コロナ禍での「職務の複雑、困難及び責任の度合い」の高まりを考慮せず

 ご承知のように、国・地方の非現業の公務員は、憲法で保障された労働基本権、すなわち団結権、団体交渉権、争議権が大きく制約されています。その「代償措置」として、地方公務員の給与等は、職員の職務の複雑、困難及び責任の度合いに基づいて、人事委員会が勧告する仕組みがとられています。

 今年3月以降、県内でも新型コロナの感染が拡大するなか、県職員、とくに健康福祉部を中心に業務が累増し、3月から10月までの間、時間外勤務が月80時間以上にのぼった職員は延べ317人、100時間以上にのぼった職員は延べ142人に達しています。「職員の職務の複雑、困難及び責任の度合い」は格段に高まっていることは明らかですが、この事実は一顧だにされていません。

県職員、学校職員も「エッセンシャルワーカー」の一員

 コロナ禍、「エッセンシャルワーカー」という言葉がクローズアップされています。人々が日常生活を送るために欠かせない仕事を担っている人のことを指します。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大という緊急事態下においても簡単にストップするわけにはいかない仕事に従事する人々に対し、感謝や尊敬の念を込めた呼称として使われるようになりました。

 その意味で県職員も「エッセンシャルワーカー」の一員と言っても過言ではないと私たちは考えます。今回の期末手当の引下げは、県民のいのちと健康を必死に守っている職員の奮闘に対して「賃下げ」という冷や水を浴びせるものであり、容認できません。

民間労働者の賃下げに波及し、経済回復にも悪影響及ぼす

 さらに問題なのは、県職員の給与改定に準拠する県立総合医療センターやこころの医療センターはもちろん、同様の対応をとる民間の医療・介護労働者への影響も大きく、賃下げの負のスパイラルとつながることも懸念されます。

 コロナ禍から経済を立て直すためには、労働者の賃上げと安定した雇用の拡大こそが必要であり、県職員の期末手当引下げは、今後、民間にも波及し、コロナ禍からの経済回復にとっても強い悪影響を及ぼすことは明らかです。

 よって、議案第8号及び9号に反対します。

 次に、議案第10号、知事等の給与及び旅費に関する条例及び山口県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例についてです。

 県議会議員は、県民の多様な意見をくみ取り、県の行財政運営をチェックする役割を持っており、多様な人材の議会参画を確保するためには、活動を支える一定程度の報酬の保障が必要だと考えますが、新型コロナ感染拡大の影響による県内経済の冷え込みが続いており、知事等や県議会議員の期末手当引下げには賛成します。

 県当局には、今後、エッセンシャルワーカーたる県職員の待遇改善に速やかに取り組まれるよう要望して、討論とします。

(2020年11月30日)

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