県主催の「総理大臣展」は「地方行政事務の範囲」を逸脱し違憲の疑い
藤本議員は、安倍晋三前首相の退任を記念して、県が県庁ロビーで開催した「総理大臣展」について質しました。
安倍前首相の退任を記念して、9月23日から1か月間、県庁ロビーで開催された県主催の「山口の総理大臣展」は、県出身の8人の首相を紹介するものですが、宇部市出身で民主党政権の首相をつとめた菅直人氏に関する展示はありません。一方で、現職の国会議員でもある安倍氏をたたえる写真やパネルは多数展示されており、こうした企画に約200万円もの公費をかける県の姿勢には批判的な意見も寄せられました。
藤本議員は、①民主党政権で総理大臣をつとめた菅直人氏は、山口県宇部市で生まれ、宇部市内の小中学校・高校で学んだ。なぜ、菅直人氏は、山口県ゆかりの総理大臣ではないのか。
②地方自治体が、現職国会議員の「首相退任を機に」こうした企画を行う行為は、憲法94条が規定した「地方行政事務の範囲」を逸脱するものではないか、と質しました。
「地方行政事務の具体的範囲は定められていない」から逸脱はない
内海総務部長は、①「『山口県の総理大臣展』は、本県出身の歴代総理の功績を広く紹介するため開催したものだが、歴代総理の出身地については、首相官邸における整理に準拠しており、菅直人元総理は、 出身地が東京都とされていることから、展示の対象としなかった。
②憲法第94条は、地方行政事務の具体的な範囲については何ら定めておらず、総理大臣展の開催がこの条文を逸脱しているとは認められないことから、指摘は当たらない。いずれしても、このたびの総理大臣展は、安倍前総理だけではなく、歴代総理の歴史や業績、ゆかりの地などの御紹介を通じて、県民の皆様の郷土への誇りや愛着を一層高める機会とすることを目的とするものであり、このことが、地方行政事務の範囲を逸脱するとは考えていない、と強弁しました。
(2020年12月2日)