飲食店応援制度は要件を緩和し、迅速な支給を
◎木佐木大助議員
(6月補正予算に盛り込まれた)「飲食店応援制度」は)県民が安心して飲食できる対策を講じている飲食店等に20万円を支給する事業だが、県が新たに導入する「第三者認証制度」の認証を受けることが要件とされている。
この認証制度は国が導入を推奨しているものであるが、チェック項目は49にも及び、しかも1軒1軒個別訪問し遵守状況を厳しく確認・指導することが求められている。認証基準の決定、現地調査する委託業者の選定、現地調査、支給決定というプロセスを踏めば、支給まで数ヶ月かかるのは必至である。これでは一刻も早い支給を必要とする事業者の期待を裏切ることになる。
県は昨年7月から「新型コロナ対策取組宣言飲食店応援制度」をスタートさせ、現在、 3711店が登録されている。同制度は、消毒設備の設置や密接を避けた配席、換気の徹底など11項目のうち、 3項目以上に取り組めば、登録が可能だが、全項目をクリアしたと宣言している飲食店も1563店ある。
今回の「応援事業」の対象要件は、 この「応援制度」の全項目を達成している飲食店等とするなど、迅速な支給を最優先させるべきと考えるが、尋ねる。
迅速な給付に努めるが、要件緩和は考えない
◎神杉さとみ環境生活部長
迅速な支給を最優先すべきとのお尋ねについてです。今回の事業で創設する第三者認証制度は、県民がさらに安心して飲食店を利用できる環境づくりの推進を目的として、感染防止対策の充実を図るものです。
このため、応援金の給付は、認証取得を要件とし、新たに作成する認証基準への適合を第三者が確認した上で給付することとしています。
したがって、県としては、応援金の迅速な給付には努めてまいりますが、給付要件を見直すことは考えていません。
予算案議決前での公募開始は議会軽視も甚だしい行為
◎木佐木大助議員
飲食店応援事業について、第三者認証制度の活用は、見直すお考えはないという答弁だった。
この事業には13億円が計上されている。今月16日、担当課から聞き取りした際に、給付先は5,000店舗を想定していて、給付総額は10億円であり、残りの3億円は現地調査に当たる業者への委託と説明を受けた。
私どもは、 3億円を給付に充てれば、対象店舗を1,500店増やすことができると考え、この議場で提案するつもりだった。
ところが、本日昼、県のホームページを見ると、既に、同事業の公募型プロポーザル実施が始まっている。
委託上限額は12億9千万円。うち、応援金10億円だから、委託費は2億9千万円と言う想定。公募開始は6月25日。確かに公募開始を知らせるホームページの最後尾に予算措置が否決された場合は、委託契約を行わないと書かれている。
しかし、一般質問でこの問題を取り上げることを伝えていた共産党県議団に、一言の説明もなく、また、予算案は審議の真っ最中で、議決もされていないのに、公募を始めるとは、議会軽視も甚だしいのではないか。あるいは、公募を始めることを一部の会派には説明したのか。
公募開始は準備行為であり、議会軽視にあたらない
◎神杉さとみ環境生活部長
第三者認証制度についての再質問にお答えします。
まず1つ目、委託事業者の募集手続きに関しましては、会計規則において配当予算額又は令達予算額の範囲内でなければこれをすることができないと規定されています。
現在行っているプロポーザルによる募集手続きは、業務を委託する業者を選定するために、提案書の提出を求めているものですが、これは契約を行うための準備行為であり、契約手続きにはあたらないことから、会計規則にも適合しております。
なお、予算が成立しない場合、委託契約をしない旨を明記した上で業者を募集しております。
そして、予算が成立して委託契約を行う場合であっても、議会の意向につきましては、反映すべきものは仕様に反映していきたいと考えております。そのため、御指摘の議会軽視には当たらないと思っております。
また、今回の募集開始については、他の会派にも報告はしておりません。
業務委託の金額は破格、公募撤回し再検討を
◎木佐木大助議員
もう一つの問題は、業務委託に係る金額が高すぎる事である。例えば、同様の事業で栃木県は対象3, 600件で7, 000万円。福井県は4, 000件で6, 000万円である。山口県の5, 000件で2億9千万円は異常に高すぎる。なぜ、こんなに高い委託費を想定したのか納得いく説明を求める。
財源は税金だから、給付に一定の要件を設ける必要性は理解するが、感染防止対策をさぼって、自分の店から感染者が出ることを望む事業者などいないと思わないか。
現行の応援制度を活用すれば、迅速な支給が可能となり、しかも、給付対象を1, 500店舗も増やすことが可能となり、一石二鳥ではないか。公募は撤回し、再検討する考えはないか。
業務委託費3億円は妥当であり、要件変更は考えていない
◎神杉さとみ環境生活部長
認証に3億円かかるがそれは高すぎるのではないかとのご質問ですが、県内には10,000店の飲食店があり、その中で取組宣言店は4,000店です。
感染防止対策をより徹底し、県民の皆様に安心して飲食店を利用できる環境づくりを進めていくため、県内10,000店をしっかりと周り、認証の勧奨、状況の確認を行っていきたいと考えています。
その中でアドバイスなどもしっかりと行っていきたいと考えており、こうした経費を考えると3億円は妥当であるものと考えております。
最後に、一定の要件を設けることの必要性は理解するが、 自分の店から感染者が出ることを望む事業者はそもそもいない。現行の制度を活用すれば迅速に支給でき、かつ、支給の対象を大幅に増やすことが可能ではないかとの御質問ですが、この事業は県民に安心して飲食店を利用できる環境づくりを行うものであり、感染防止対策の充実を図るものであることから、新しい認証基準でしっかりと確認した上で、支給する形にしております。
このため、対象要件の変更は考えておりません。
(2021年6月29日)