県民の基本的人権、財産権を侵害する土地利用規制法の施行許すな
木佐木大助議員
菅政権は、先の通常国会で、政府が安全保障上重要とする全国の米軍・自衛隊基地などの周辺等に暮らす全住民を監視対象にし、土地・建物の利用を中止させることを可能にする「土地利用規制法」を押し通した。
政府は、法案提出の口実として、自衛隊基地周辺の土地を外国資本が購入したことなどを挙げたが、国会審議の中で、防衛省は、「自衛隊や米軍の運用等に具体的に支障が生じるような事態は確認されていない」と答弁しており、この法律には立法事案がない。
さらに重大なのは、「どこで誰をどのように調査・規制するのか」という核心部分が全て政府に白紙委任されている。
調査の範囲が住民の職歴や思想信条、家族・交友関係にまで広がるおそれや、岩国基地の爆音被害や拡大強化に抗議する活動も規制の対象になる危険がある。
県内に30か所以上も「注視区域」に該当する施設を抱える県は、こうした懸念をどう考えるか。また、県民の基本的人権や財産権などが侵害される行為等が起こらないよう政府に要請すべきと考えるが、見解を問う。
付帯決議に沿って、適切な運用が行われると考える
平屋隆之総合政策部長
いわゆる重要土地等調査法は、我が国を取り巻く安全保障環境の変化を踏まえ、重要施設の周辺等の区域内にある土地等が重要施設等の機能を阻害する行為の用に供されることを防止し、国民生活の基盤の維持と我が国の安全保障に寄与することを目的にしたものと承知しています。
また、この法律については国会の附帯決議が行われており、本法の規定による措置の実施に当たっては、憲法の保障する国民の自由と権利を不当に制限することのないよう留意することや、規制の対象となる行為は、今後策定される基本方針において、明確かつ具体的に定めることなどが掲げられています。
県としては、国の専管事項である安全保障政策について、見解を申し述べる立場にはありませんが、こうした附帯決議があることや、国会審議においても、思想信条等に係る情報収集は想定していないとの説明がなされていることなどから、これらに沿った適切な運用が行われるものと考えています。
このようなことから、県民の基本的人権や財産権が侵害される行為等が起こらないよう政府に要請すべきとのお尋ねについては、県としてそうした要請を行う考えはありません。
(2021年6月29日)