上関原発予定地でのボーリング調査のための一般海域占用許可は不当
藤本 一規議員
県は6月11日、中国電力が上関原発予定地の海域で海上ボーリング調査を行うため申請した一般海域占用を許可した。
県が定めた「一般海域占用許可基準」にある「占用許可の基本方針」には「一般海域は公共用物として天然の状態にお
いて一般公衆の自由な使用に供されるべきものであるので、原則としてその占用は認めるべきではない」とある。
一般海域占用許可基準
平成10年6月1日
(改正 平成30年12月19日)
( 令和 2年10月 6日)
1 趣旨
この基準は、一般海域の利用に関する条例(平成 10 年山口県条例第3号。以下「条例」という。)第3条第1項第1号の規定により、占用許可申請があった場合の審査基準を定めるものである。
2 占用許可の基本方針
一般海域は公共用物(国有財産法(昭和 23 年法律第 73 号)第 3 条第 2 項第 2 号の公共用財産)として天然の状態において一般公衆の自由な使用に供されるべきものであるので、原則としてその占用は認めるべきではないが、社会経済上必要やむを得ない場合にはこの基準に従って許可するものとする。
①中国電力は、2度、同海域の占用許可を得ながら、期間内に調査を完了させることが出来なかった。中国電力に許可することは、「原則として占用は認めるべきではない」とする県方針の逸脱であると言わざるを得ないが、県の見解を尋ねる。
「社会経済上必要やむを得ない場合」として許可したもの
和田卓土木建築部長
「一般海域占用許可基準」における「占用許可の基本方針」では、「一般海域は公共用物として天然の状態において一般公衆の自由な使用に供されるべきものであるので、原則としてその占用は認めるべきではないが、社会経済上必要やむを得ない場合には、この基準に従って許可するものとする」としています。
「必要やむを得ない」とした理由は何か
藤本 一規議員
②基本方針に「社会経済上必要やむを得ない場合にはこの基準に従って許可するものとする」とある。中国電力は、調査は「原発の安全審査に万全を期すため」と説明している。県の基本方針に照らして、中国電力の調査を「社会経済上必要やむを得ない」とされた理由を尋ねる。
「原発の安全審査のため」という事業者の説明に合理性がある
和田卓土木建築部長
この度の申請では、海上ボーリング調査について、原発の安全審査に万全を期すために実施するとの事業者の説明に合理性があることが認められ、申請内容が条例の許可基準に適合していることから許可したものです。
占用許可期間外に準備作業に着手する理由は何か
《再質問》藤本 一規議員
過去2回は、中国電力は占用許可期間に準備作業に入っています(注)が、今回の占用期間の初日は7月7日です。(にも関わらず中国電力は6月29日から準備作業に着手しようとした)この差が生まれた理由をお尋ねします。
(注:これまで3回の占用期間)
- 1回目=2019年10月31日~20年1月30日まで。準備工事開始11月8日
- 2回目=2020年10月29日~21年1月28日まで。準備工事開始11月4日
- 今 回=2021年7月7日~21年10月6日まで。準備工事開始6月29日
「申請内容が異なっているため」
和田卓土木建築部長
前回の申請と今回の申請の内容が異なっているため、今回、差が生まれたということです。
前回の申請では、占用の期間が、「許可の日から3箇月間」 となっているところ、今回の申請では、同期間が「7月7日から3箇月間」となって申請されているからでございます。
占用許可期間前の準備行為は条例違反ではないのか
《再質問》藤本 一規議員
一般海域の利用に関する条例の施行規則に、許可を要しない行為とは何かと定めています。漁業を営むうえで工作物で簡易なものか、農業を営むうえで工作物で簡易なもので、中電がブイを設置するという準備行為は、まさに一般海域の占用許可が必要な行為であり、占用期間前の行為は明確に条例違反になるのではありませんか。改めて県の見解をお尋ねしたいと思います。
占用行為に該当しないため条例違反ではない
和田卓土木建築部長
お尋ねの条例施行規則第4条は、占用等に該当する行為であるが、占用許可を要しない行為を列挙しているものです。今回の準備作業は、占用行為に該当しないため、条例施行規則の対象にはなりません。
準備作業を占用条例の適用除外とするのは納得できない
《再質問》藤本 一規議員
準備作業が条例事項じやないっていうことは理解できません。今までは、占用期間後の準備作業だったんです。
ブイを投げることが、許可要件ではないっていうならですね、悪い人がいたらブイをどんどんどんどん海に投げてもですね、これは違反ではないということになるわけです。
中電が6月29日からやろうとしたんなら中止を県が求めるか、罰則規定もあるわけですから中電に結果行えなかったんですけれども、罰則を示唆するとかいう、条例上の対応が絶対必要だと思います。準備作業が占用条例の適用除外だとするのは納得できない。再度お尋ねします。
「排他・独占的に使用する占用行為には当たらないから許可は不要」
和田卓土木建築部長
今回の準備作業は、一定の区域を排他・独占的に使用するという占用行為にあたらないことから、占用許可は不要です。
中国電力が海上ボーリング調査を必要としている法的根拠は何か
《再質問》藤本 一規議員
中電が第1回目の占用許可申請で出した事業計画書というのを私、見ました。中電は何でボーリング調査をするのか、読んでみますと、原子力規制委員会における既設原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査の状況を注視し新たな知見を反映するためにボーリング調査をするんだ。じやあ県は、中電が原子力規制委員会による新規制基準適合性に係る審査に万全を期すためとする、この中電の法的根拠は、海上ボーリング調査を行う中電の法的根拠は何法だと、お考えなのかお尋ねしたいと思います。
「原子炉等規制法に基づくものと承知」
和田卓土木建築部長
新規制基準による審査は、何法に基づくものかというご質問にお答えいたします。原子炉等規制法に基づくものと承知しています。
法体系の違う原子炉等規制法を元に審査し「合理性がある」とする説明は納得できない
《再質問》藤本 一規議員
原子炉設置のための安全審査を万全に期すためとする法的根拠は原子炉等規制法だと言われました。
県は、一方では法体系の違うものについては審査せず、一般海域の占用に関する条例だけの審査を行ったと言いながら、法体系の違う原子炉等規制法の新規制基準に基づく安全審査に、万全を期すため中電はボーリング調査をするということを、合理性があると審査していることは、今までの説明で納得することはできない。
法体系を別にするものを県は実質審査しているということについて、県民にどう説明されるかお尋ねをしたいと思います。
「原発の安全審査に万全を期すため」との説明に合理性がある
和田卓土木建築部長
新規制基準に関するお尋ねです。この度の申請では、あくまでも海上ボーリング調査について、原発の安全審査に万全を期すために実施するとの事業者の説明に合理性があることが認められ、申請内容が条例の許可基準に適合していることから許可したものです。
(2021年7月1日)