安倍政権は、消費税増税で落ち込んだ景気対策として編成した2020年度補正予算に、23年度までに、全国の小中学校を対象に、一人につき1台のパソコン(タブレット等)を配備する施策を盛り込みました(GIGAスクール構想)▼1台当たり4万5千円を国が負担し、学校内の高速ネットワーク環境を整える費用も半額補助する大盤振る舞い。総事業費は4000億円を超え、アップルやグーグル、マイクロソフトなど、通信大手企業に巨額の利益をもたらします▼新年度県予算案(2月補正含む)には、そのための事業費として約35億円が計上されました。県内の小学生は約6万8千人、中学生は約3万4千人、合わせて10・2万台のPCを配備することになり、それだけで46億円もかかります▼その上、PCの性能は日進月歩。数年後に機種更新が必要となった際の財政支援は不透明で、さらなる地方負担につながる恐れもあります▼同事業の効果について文科省は「個別最適化した教育の展開が可能になる」と説明します。言葉を替えれば「一人一人の『身の丈に応じた』教育」につながります▼PCに長けた教員ばかりではありません。使いこなすための研修などが必要となり、多忙化に拍車をかけることは避けられません▼教育現場が切に求めているのは、教員の増員。にも関わらず新年度の教職員定数は全体で179人も減らされます▼PC配備のための35億円あれば、437人の教員採用が可能(一人年800万円)。一人1台のPCより、教員増こそ喫緊の課題です。
(2020年2月26日記)