先月は、原発を巡って、対象的な司法判断が示された月になりました▼画期的だったのは、広島高裁が17日、四国電力伊方原発(愛媛県)に下した「運転してはならない」とする仮処分決定です▼四国電力による原発近くの活断層調査は不十分であり、火山噴火の影響も過小に見積もっていると認定し、安全性に問題がないとした原子力規制委員会の判断は「過誤」「不合理」だと断じました▼安倍政権と電力業界が推進する原発再稼働に対する司法からの厳しい警告です▼残念だったのは、同じ広島高裁が22日、山口県知事による上関原発の公有水面埋立免許の延長判断先送りを違法とした1審判決を取り消した判決▼違法性を否定した理由は「免許延長を申請した中国電力が県の判断留保に異議を唱えたことはなく、県の対応に同意していたと認められる」という“屁理屈”です▼行政機関は各種申請を処分する「標準処理期間」を定めています。中国電力が申請した埋立免許延長は「32日間」です。ところが山口県は約4年間も判断を先送りしました▼端的に言えば、県は「許可要件が整うまで先送りした」のです。原発推進に固執する政府・財界への“そんたく”そのものです▼この県の行為を同じ穴のムジナである中国電力が「同意していたから違法性がない」とは、開いた口が塞がりません▼が、司法に良識が残っていることも事実。勝利の秘訣は、あきらめないことです。
(2020年1月30日記)