中国湖北省武漢市で発生した新型のコロナウイルスによる肺炎が世界的に広がり、深刻な影響を広げています▼中国本土の感染者は4万人を超え、02年から03年に流行したSARSの感染者数(約5300人)の8倍以上に達しています。日本での感染者もクルーズ船を含め200人を超えました(いずれも13日現)▼感染拡大を口実に、憲法に「緊急事態条項」を新設し、緊急の時に国民の権利を制限できる改憲をしようという声が、自民党内から聞こえてきました。「緊急事態条項」の創設は、9条への自衛隊の明記などとともに、自民党改憲案の柱の一つです。新型肺炎への対応は、現行憲法下で十分可能であり、改憲策動と結びつけるのは全くの筋違い。国民の不安心理に付け込む改憲論は、悪質な便乗型の改憲策動です▼今、急がれるのは、重症化が懸念される感染症患者に良質な医療を提供する指定医療機関の拡充です▼現在、県内にはエボラ出血熱などの1類感染症に対応する病床は2床(県立総合医療センター)、新型インフルエンザなどの2類感染症に対応する病床は38床(徳山中央病院12、県立総合医療センター12、下関市立病院6、長門総合病院8)にとどまっています▼安倍政権は医療費削減を目的にした病床減らしに躍起になっています。今、必要なのは改憲などでなく、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」(憲法25条2項)の完全履行です。
(2020年2月12日記)