「桜を見る会」の招待状がマルチ商法の被害拡大につながった恐れ
木佐木議員は、しんぶん赤旗の報道をきっかけに列島を揺るがす大問題に浮上した安倍首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑のうち、高齢者への詐欺的な悪徳商法を繰り返した末、経営破綻した「ジャパンライフ」の山口元会長に、2015年3月、安倍首相が「招待状」を送っていた問題をとりあげ、「マルチ商法の被害拡大につながったのではないか。真相解明を求めるべき」と質しました。
山口元会長への「招待状」は安倍首相枠?
招待状の発送を内閣府が外部委託した際の2016年の仕様書には、区分番号が記されており、「総理・長官等の推薦者(60,61,62,63)」との記載があります(資料下)。
資料の下段(上)は、ジャパンライフの山口元会長に安倍首相から送られてきた招待状を利用して作成された宣伝文書です。「受付票」の下段に「60ー2357」と記されており、「安倍首相枠」で招待されたと推察できます。
「招待状」がマルチ商法の被害拡大につながった恐れ
この招待状が送られたタイミングは、ジャパンライフのマルチ商法被害が問題になり、経営悪化していた時期で、安倍首相からの招待状がジャパンライフの“最後の荒稼ぎ”を助けになった可能性があります。この宣伝文書を見て、信用し、大きな被害を受けた深刻な証言は後を絶ちません。
昨年1月13日付の毎日新聞地方版は、「ジャパンライフ被害広島弁護団」の三輪和也弁護士の話として「昨年末に1億4000万円近い被害を訴える山口県の女性から相談を受けた」と報じています。山口県消費生活センターにも2009年以降、ジャパンライフのマルチ商法に関する相談が少なくとも8件寄せられています。
木佐木議員は、「安倍首相が出した『桜を見る会』の招待状がマルチ商法被害の拡大に利用されたとすれば、招待状を出した政府の責任は重大だ。消費者保護の責任を負う村岡知事として、徹底した真相解明を求める必要がある」と見解を質しました。
「すでに営業していないので、対応は考えない」
消費者行政を担当する西田環境生活部長は、「ジャパンライフに対しては、消費者庁が全国的な立場から、特定商取引法に基づく調査を実施して、業務停止命令の処分を行っており、また、法人も処分期間中の昨年3月から破産手続きに入って、既に営業をしている実態がないことから県として対応することは考えていない」と述べるに留まりました。
「招待状」発送時期は、被害拡大の時期と重なっている
木佐木議員は、再質問で「ジャパンライフが1回目の業務停止処分を受けたのは、2016年12月だが、その際の処分の対象となった不正行為は15年1月から3月に集中している。ジャパンライフの山口元会長に安倍首相から招待状が届き、それを利用した宣伝ビデオやチラシが使用された時期と重なっている」と指摘し、「安倍首相名で出された招待状がマルチ商法の被害拡大につながったことは明らかではないか」と認識を質しました。
西田環境生活部長は、「招待状がマルチ商法の被害拡大につながったかどうかは、承知していない」とまともな答弁を避けました。
(2019年12月5日)