「感染抑止と経済・社会活動の再開を一体にすすめるための要望書」への 文書回答

 日本共産党県委員会と同県議団が2020年6月16日、村岡嗣政知事に行った新型コロナウイルス感染症に係る要望に対する文書回答が6月24日までに届きました。主なものを紹介します。

●感染流行の「第2波」に備え、医療と検査体制を抜本的に強化する

▼感染を早期に発見し、適切な治療・隔離を行えるようにするためPCR検査の対象を大規模に広げる

➡文書回答 必要な患者が迅速かつスムーズに検査を受けられるよう、「地域外来・検査センター」の設置を促進するとともに、PCR検査を希望する妊婦に対して支援。

▼県郡市医師会と協議して、2次医療圏ごとに地域外来・検査センターを設置する。そのため、必要な経費に対する助成制度を創設する

➡文書回答 「地域外来・検査センター」の設置を促進するため、設備整備や運営委託に必要な予算を措置

▼医療、介護・福祉従事者と入院患者・入所者への検査を積極的に行う

➡文書回答 PCR検査機器を県下4地区の感染症医療の中核を担う感染症指定病院等へ整備拡充し、医師が必要と判断した者に対して、適切に検査を実施。

●医療崩壊を起こさない…医療、介護・福祉施設への財政支援を抜本的に強化する

▼感染症患者への入院治療を行う医療機関に対し、一般患者受け入れ制限や一般病棟を感染症患者用に転用したことによる減収・負担増を補てんする

➡文書回答 感染症患者に転用したことによる減収・負担増を補てんする。感染患者の受け入れに係る病床確保や感染拡大を防ぐ取組を行う医療機関等に対する支援を実施。

▼まん延期に備えた病床確保のため、空床補償については、国の単価と実勢単価の差額を支援する

➡文書回答 感染患者を受け入れるための病床の確保に対する経費補助を実施するとともに、専用の病棟を確保し、特段の措置を講じている重点医療機関に対し、必要な経費を支援。

▼地域の通常の医療を担う診療所・病院への減収を補償するための県独自の制度をつくる

➡文書回答 医療機関の経営に要する費用は、公定価格である診療報酬によって賄われるのが基本であるところ、新型コロナウイルスの感染拡大等を踏まえ、診療報酬上の臨時的な取扱いなどが行われており、個別の診療所等の減収部分に対し、県独自に補助等を行うことは考えていない。

▼医療従事者に対する危険手当や協力金、ホテル等に滞在せざるを得ない場合の宿泊費助成など医療従事者への応援給付金制度をつくる

➡文書回答 感染患者の対応のため業務が深夜に及んだ場合、若しくは基礎疾患を有する家族への感染の懸念から帰宅が困難な医療従事者に対し、医療機関が行う宿泊施設確保の取組を支援。

▼第2波以降の感染拡大に備え、消毒液・マスク・防護服等の医療防護資材の備蓄や備蓄倉庫の確保を支援する

➡文書回答 第2波以降の感染拡大に備え、消毒液・マスク・防護服等の医療防護資材の備蓄や備蓄倉庫の確保を支援する国の基本的対処方針において、医療物資は国が責任をもって確保するとされているところであり、国が購入したマスクや個人防護具については、国の保有状況調査等により、病院の在庫状況を把握し、適切に配布するとともに、県としても、感染拡大時に医療機関等へ速やかに配布できるよう、医療物資の備蓄を実施。

▼介護事業所・障害者福祉事業所などの減収を補償する県独自の支援制度を創設する

➡文書回答 感染拡大防止への対応を評価する観点から設けられた介護報酬に係る特例措置等の国通知の周知を図るとともに、感染症対策を徹底しながらサービスを継続するために必要となる経費を助成。また、障害者福祉サービスについても、サービス事業所での支援が行えずに利用者の居宅等で支援を実施する場合や人員配置加算について一時的に要件を満たさなくなった場合等にも従前通りの報酬の算定を可能とする国通知の周知を図るとともに、生産活動収入が相当程度減少した就労継続支援事業所に対し、生産活動の再起に必要な費用等を補助することとしており、県独自の支援制度を創設することは考えていない。

▼介護福祉従業者等の安全・安心確保のため、感染防止対策の協力金や危険手当相当額の支給を行うとともに、給与等の処遇改善措置に対する財政支援を行う

➡文書回答 介護サービス継続に必要な人員を確保するための賃金や手当等の費用について、助成を行うとともに、利用者と接する介護職員に対して慰労金を支給。

▼施設内での感染発生時における介護福祉従事者などの宿泊施設の確保等、人員確保のための措置を支援する

➡文書回答 緊急時の介護施設等への応援職員の派遣に係る調整等を行い、施設内での感染発生時における人員確保に努める。

▼希望する全ての妊婦が自己負担なくPCR検査を受検できるよう、検査費用の助成制度を創設する

➡文書回答 不安を抱える妊婦がかかりつけ産婦人科医と相談し、本人が希望する場合に、分娩前にPCR等のウイルス検査を受けるための費用を補助。

●保健所、県環境保健センターの体制強化に踏み出す

▼保健所の予算を増やし、専門性をもった人員・体制を緊急に補強するとともに、この間、統廃合した7支所(玖珂、大島、阿東、厚狭、美祢、豊田、豊浦)の復活、定員増をすすめる(豊田、豊浦は下関市と共同で)

➡文書回答 時々の行政課題や県民ニーズに的確に対応するため、今後とも保健所の組織体制については、不断の検証・見直しを行っていく。なお、統廃合した支所の復活は考えていない。

▼県環境保健センターの予算・体制を抜本的に拡充する

➡文書回答 環境保健センターにPCR検査機器を増設済み。また、組織体制については、時々の行政課題や県民ニーズに的確に対応するため、後とも不断の検証・見直しを行っていく。

●地方創生臨時交付金などを財源にした県独自の“自粛と一体の補償を”

▼現在、実施中の「新型コロナウイルス対策営業持続化等支援金」については、食事提供施設だけでなく、小売業、生活関連サービス業、学習塾、バス・タクシー業、水産加工業、漁業組合員、農業者なども対象にした新たな制度として発展させ、県内住所要件は取り払う

➡文書回答 新型コロナウイルス対策営業持続化等支援金については、特に影響が大きい食事提供施設を支援するものであり、対象を拡大した支援金制度の創設は考えていません。

▼中小事業者・個人事業主が営む事務所・店舗に係る家賃や事業継続に不可欠なリース物件に係るリース料など固定費に対する支援金制度を創設する

➡文書回答 中小企業の事業継続に向けては、県制度融資や営業持続化等支援事業などにより支援しているところであり、固定費に特化した支援金制度の創設は考えていません。

▼持続化給付金や雇用調整助成金等、国支援制度の対象とならない創業間もない事業者や創業準備段階にある事業者等への支援制度を創設する

➡文書回答 国支援制度の在り方に関することであり、国において検討すべきものと考えます。

▼外食等の需要減退による影響を受けている農林漁業、畜産業の持続化を支援するための制度を創設する

➡文書回答 6月補正予算案において、「花き・野菜等経営持続支援事業」(約2.4億円)、「野菜価格安定対策事業」((約1700万円)、「林業雇用維持緊急対策事業」(約2000万円、国事業)、「漁業収入安定緊急対策事業」(約1.3億円)などの予算措置を行い、農林漁業者への支援を進めていきます。

▼休業要請や自粛によって大幅な減収を強いられたライブハウスやライブバー、劇場、イベントの企画運営、機材のレンタル、舞台、照明、音響などの関連事業者を対象とした支援金給付制度を創設する

➡文書回答 ライブハウスやイベントの企画運営などの関連事業者を含め、売上が減少した事業者に対しては、国の持続化給付金等による支援が行われており、県として、さらなる支援金の創設は考えていませんが、新たなウェブ配信による活動の場の創出や、情報誌による積極的な広報等により、文化芸術活動の継続を支援していきます。

▼障がい者への就労支援の福祉サービスを維持するため、就労継続支援B型事業所における工賃の減少分に対する助成や「新しい生活様式」に対応した新たな就労支援の取り組みに対する支援制度を創設する

➡文書回答 生産活動収入が相当程度減少した就労継続支援事業所に対し、生産活動の再起に必要な費用等を補助。

▼学校休業による学習の遅れと格差の拡大のゆるやかな解消と、“3密”対策をすすめるため、小中高校における1クラス30人以下の少人数学級化を加速する。そのため県費による教職員の加配、教室の確保などソフト、ハードの対策を講じる

➡文書回答 ①小中学校=このたびの、国における加配教員については、感染防止のための分散登校等を実施する場合において、感染状況を踏まえて配置されるものであることから、本県は該当しないものと考える。県独自のさらなる加配については、厳しい財政状況のもと困難。国に対しては、引き続き、まずは35人学級化の早期実現を求めていく、②高等学校=30人以下学級の実現について、公立学校における30人以下学級は、都道府県の判断により弾力的に取り扱うことは認められているものの、国の財源措置が図られていないことなどから、県単独での対応は困難である。

▼スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、学習や清掃・消毒・オンライン整備などのための支援員の大幅な増員をはかる

➡文書回答 ①県内全公立学校(分校含む、497校)にSC等を派遣する、②学習支援員=学習のための支援員については、臨時休業中の未指導分の補修授業や少人数指導等に対応するため、全ての公立小中学校(小278校、中140校)に、支援員を追加配置することとしている、③学校業務支援員=公立小・中学校における学校の再開に伴い増加する学級担任等の業務を支援する学校業務支援員を追加配置することとしている。

▼夏休みが短縮されることもふまえ、空調設備が未整備の小中学校の普通教室、特別教室、体育館等をなくすための財政支援策を講じる。県立学校の普通教室、特別教室、体育館等については、県の責任で直ちに対応する

➡文書回答 ①小中学校の空調整備は、設置者である各市町の判断により、国の交付金を活用するなどして進められるものであり、県として支援制度を創設することは考えていない。(高等学校につき、交付金は非該当)、②県立学校については、空調の整備は、設計・工事など時間を要することから、今夏への対応としての整備は考えていない、③なお、溶接実習室など、熱を発する機器等を設置する実習室については、夏季休業中の臨時授業実施に対応するため、6月補正によりスポットクーラーを設置することとしている。

▼教職員の多忙化解消のためにも県独自の「学力定着状況確認問題」は廃止する

➡文書回答 今年度は、臨時休業による学習の状況を考慮し、県独自の調査である「学力定着状況確認問題」の実施は見合わせることとしている。

▼国の特別定額給付金の対象外となる今年4月27日以降に生まれた新生児に対し、県独自の「定額給付金」を支給する(当面9月末までに生まれた新生児)

➡文書回答 特別定額給付金は、国において制度設計され、全国一律の制度として実施されているものであり、県独自の定額給付金を支給することは考えていない。

▼経済状況の悪化に伴い、内定取り消しや求人減が予測される来春卒業予定の高校生、大学生の就職活動を支援するため、「就職活動支援センター」(仮称)を設置する

➡文書回答 高校生や大学生の就職活動については、既に「山口しごとセンター」において、きめ細かな支援を行っています。また、「山口しごとセンター」に併設し、「新卒者内定取消等特別相談窓口」を設置した山口新卒応援ハローワークとも連携した取組を行っており、「就職活動支援センター」(仮称)の設置は考えていません。

▼保育・学童保育、放課後デイ、幼稚園、児童養護施設、乳児院など、子どもに関わる施設において“3密”対策を進めるため、職員の加配や施設整備に必要な経費を支援する制度を創設する

➡文書回答 児童福祉施設等における感染症対応力を底上げするため、衛生用品や感染防止のための備品の購入経費を支援。なお、施設整備については、要望のある施設について、既存の補助制度を活用しながら支援。

▼緊急事態宣言中も、政府の要請で、開所を続け、社会生活基盤を支える役割を果たしてきた保育・学童保育の職員の処遇を改善するための支援制度を創設する

➡文書回答 感染リスクがある中、国・県の要請に基づき、開所を継続した保育所や放課後児童クラブ等の従事者に対して、県独自の給付金を支給。

▼児童手当、児童扶養手当受給世帯に対し、対象児童一人当たり5万円の給付金を支給する

➡文書回答 国による「子育て世帯への臨時特別給付金」、「低所得のひとり瀞世帯への臨時特別給付金」の給付が行われることなどから、県独自の給付金を支給することは考えていない。

▼総合支援資金、緊急小口融資については、窓口である市町社協に対し、特例措置を最大限に生かし、柔軟で迅速な対応をするよう徹底する

➡文書回答 生活福祉資金貸付制度の特例措置の貸付けについては、個々の状況を踏まえて、拡充された上限額での貸し付けや一部書類提出の省略、送金事務の前倒しなど、柔軟かつ迅速に行うよう、実施主体である県社会福祉協議会を通じ、相談窓口である市町社会福祉協議会に周知している。

(2020年6月26日記)

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