いのち削る「病床削減」、医師の長時間労働容認を許すな!

消費税を財源に、病床削減を奨励

 自民、公明など与党は5月21日、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」、いわゆる「病床削減推進法」の採択を強行しました。

 「病床削減推進法」は、新型コロナ感染症の拡大で医療の逼迫(ひっぱく)が広がるなか、消費税を財源とした補助金で病床削減を支援することを法定化するものです。今年度は195億円が計上され、削減される病床は単純計算で1万床規模にのぼり、医師や看護師の体制後退を招きます。

ターゲットは新型コロナの救命・治療を担う「急性期」病床

 病床削減のターゲットとされているのは、新型コロナの重症者や中等症者の救命・治療を担っている「高度急性期」、「急性期」病床です。

 下表のように、2017年と19年の「機能別病床数」を比較すると、県全体で「高度急性期」は2576床から1960床と616床、「急性期」は7063床から7007床と56床、合わせて672床も削減されています。

 国は、2014年、病床削減を進めるため、消費税増税( 5→8 %)の一部を財源とした「地域医療介護総合確保基金」を各都道府県に創設させました。この基金を元に、病床削減を行った医療機関に対し、病棟・病室の改修費用や、不要となる建物・医療機器等の処分費用を補助する事業を進めてきました。

 県は、2020年度に同事業を活用して削減された病床は185床と説明しています。

1床削減に最大228万円の「給付金」

 加えて今年度からは、病床削減を加速させるため、病床削減等を行う医療機関に「給付金」を支給(1床当たり最大228万円)する取り組みまで始めました。今年度当初予算には「医療機能分化連携推進事業」として6億7000万円計上されています。

 「病床削減推進法」には、この仕組みを法律に位置付けて恒久化し、その原資として「地域医療介護総合確保基金」を使えるようにすることが盛り込まれています。

勤務医の年1860時間の時間外労働も容認

 また同法は、医師の長時間過密労働を容認し、過労死を生み出す危険もはらんでいます。

 同法では、すべての勤務医に年960時間の時間外労働上限を設ける一方、年1860時間を上限とする特例を認めています。960時間は過労死ライン、1860時間はその2倍にあたります。異常な働き方を合法化し、医師の過労死の増加につながる恐れがあります。

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