コロナ対策の「応援給付金」に分断もちこむな!

医療、障害者施設等の職員への慰労金支給事業の受付開始

 新型コロナ対策のための国の第2次補正予算に盛り込まれた医療、介護、障害者、救護施設等の職員を対象にした「慰労金支給事業」の申請受付が7月21日から始まりました。

 慰労金は、

 ▼医療従事者=感染症指定医療機関等で、新型コロナ患者を受け入れた医療機関等は20万円、 左記以外の医療機関等は10万円、その他の医療機関等は5万円

 ▼介護、障害者、救護施設等=利用者に新型コロナが発生又は濃厚接触者である利用者に対応した施設等は20万円、それ以外の施設等は5万円(いずれも1人当たり)

 を支給するもの。

 対象は今年3月3日から6月30日の間に、医療機関、社会福祉施設等で、通算10日以上勤務し、利用者に接する業務に従事した職員で、資格や職種、雇用形態による限定はありません。

 申請方法は、各施設が対象者を特定して、各対象者から委任状の提出を受け、申請書類を作成し、取扱い機関(国保連合会)にオンライン申請します。

 県によると対象者と支給総額は、医療従事者は約5万人、約48億円、介護施設職員は約6万人、約30億円、障害者施設職員は2万人、約10億円、救護施設職員は約200人、約0.3億円、と見込んでおり、経費はすべて国費でまかなわれます。

幼児教育・保育、児童養護施設の職員には県が独自制度を創設

 山口県は、国制度から除外された幼児教育・保育、児童養護施設等の職員を対象にした「職員応援給付金事業」を創設しました。これは大いに評価できるものです。

 幼児教育・保育施設の対象は、私立保育所、私立幼保連携型認定こども園、放課後児童クラブ。児童養護施設の対象は、乳児院や母子生活支援施設、児童養護施設等で、対象者は幼児教育・保育施設は3月2日から5月24日の間、児童養護施設は3月3日から6月30日の間、通算10日以上勤務し、利用者に接する業務に従事した職員で、資格や職種、雇用形態による限定はありません。

 申請方法は「慰労金」と同様で、申請は県が直接受け付けます。

 対象者と支給総額は、幼児教育・保育施設は約1.6万人、約5.9億円、児童養護施設は約600人、0.3億円と見込んでいます。

地域型保育事業、認可外保育園は対象外

 問題は、同じ幼児教育・保育施設なのに、小規模保育等を行っている地域型保育事業所や認可外保育所の職員は対象外とされていることです。

 担当部局は、「国及び県の要請に基づき、運営を継続した施設を対象にしたもの」と説明しますが、新型コロナウイルス感染拡大という困難な中、子どもたちへの感染や自らの感染の不安を抱きながらも、保育事業を継続し、社会生活基盤を支える役割を果たしてきた事実は、対象となっている保育所や幼稚園、放課後児童クラブと何ら変わることはありません。

 コロナ禍を乗り越えるために力を合わせるべき時、県自らが、県民の中に分断を持ち込むべきではありません。

国には保育士等への慰労金給付を要請

 ちなみに、村岡知事も名を連ねる「日本創生のための将来世代応援知事同盟」(17県知事が加盟)は、7月17日、政府に対し、「保育士等への慰労金の給付」を要請しています。

 要請文では、「保育士や放課後児童支援員、社会的養護を担う児童養護施設職員については、国の二次補正による新型コロナウイルス感染症対策における医療・福祉従事者への慰労金給付の対象外となっています。子どもと直接的な接触を避けられない職場において、感染リスクを抱えながら、社会機能を維持するため働き続けてきた保育士等も、介護や障がい分野の職員と同様に慰労金給付の対象とする」よう求めています。

 政府に要請するのは良いことですが、県自らも「子どもと直接的な接触を避けられない職場において、感染リスクを抱えながら、社会機能を維持するため働き続けてきた保育士」を等しく応援する姿勢に転じるべきです。

(2020年7月23日)

タイトルとURLをコピーしました