日本共産党山口県委員会と県議団は7月26日、中国電力が申請していた上関原発建設予定地の公有水面埋め立て免許の延長を許可した村岡嗣政知事に対し、許可を撤回し、不許可とするよう要請しました(要請書全文は別項)。
木佐木大助、藤本一規の両県議と河合喜代副委員長、吉田達彦県議団事務局長が参加しました。
安倍首相への“忖度”許せない
要請書では「原発ゼロを願う圧倒的多数の世論を無視し、県民の命と暮らしを危険にさらす行為」と糾弾した上で、「現時点でも原発本体の着工時期を見通すことはできず、(延長した)2023年1月までに竣工(しゅんこう)できる保障もない」と強調。「許可したいがために『(法律上の)正当な事由』を無理やりつくりあげたと言わざるを得ない。原発回帰を強める財界・大企業と安倍自公政権の意を忖度(そんたく)した政治判断であることは明らかで、行政の公平性、中立性を著しく欠いている」ときびしく指摘しています。
木佐木県議は国のエネルギー基本計画に原発の新増設は触れられていないと指摘し、「中電に出直せと言うのが県の本来あるべき姿だ」と強調。河合氏は「県民は『着工時期の見通しが立たないのに延長され続けるのでは』と不安を感じるし、納得できない」と訴えました。
応対した県の担当者は「「(申請者が)中電か否かにかかわらず、審査基準に達していれば、許可せざるをえない」などと弁明に終始しました。
(別項)上関原発建設のための「公有水面埋立免許延長申請」許可の撤回をもとめる要請書
中国電力が上関原発建設のため、山口県に申請していた公有水面埋立免許の延長申請について、7月26日、村岡嗣政知事が「期間延長に正当な事由が認められる」として許可したことは、原発ゼロを願う圧倒的多数の世論を無視し、近い将来、県民の命と暮らしを危険にさらす許されざる行為です。
山口県は、許可要件として、①指定期間内に工事を竣功できなかったことに「合理的な理由」があること、②埋立を続行するのに十分な理由があること(土地需要があること)、の2つの要件をいずれも満たす場合、としていました。
中国電力が指定期間内に工事を竣功できなかった理由について山口県は、「埋立工事に先立って海上ボーリング調査をしなければならないことが主張されており、合理的な理由がある」と判断されました。
しかし、許可期限内に工事を竣功できなかったのは、山口県自らが「発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋立工事を施行しないこと」と要請し、中国電力がこれを受け入れたからにほかなりません。現時点においても「発電所本体の着工時期」を見通すことはできず、当然、今回、中国電力が変更した2023年1月までに竣功できる保障もありません。そもそも中国電力には竣功期間の変更申請をする資格はありません。
「埋立を続行するのに十分な理由があること」について山口県は、中国電力が国から「上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない」との見解を得たことが示されたことをあげ、「当初免許時と変わらず土地需要があり、期間延長に正当な事由がある」としています。
しかし、重要電源開発地点指定に関する規程には、①申請する地点の電源について供給計画に記載がされていること、②電源開発計画の具体化が確実な電源であること、が定められています。中国電力の「2019年度供給計画」によると、上関原発の着工年月等は「未定」であり、実質的な「記載」とはいえません。
電源開発計画の具体化についても、上関原発の原子炉設置許可申請に係る国の審査会合は福島第一原子力発電所の事故以来、開催されておらず、上関原発は、具体化が限りなく不確実な電源です。
山口県は、「正当な事由があると認められるときは、許可しなければならないとされていることから、許可することとした」と自己弁護されますが、「許可したいがために、『正当な事由』を無理やりつくりあげた」と言わざるを得ません。
今回の公有水面埋立免許の延長申請の許可は、「原発回帰」を強める財界・大企業と安倍自公政権の意を忖度した政治判断であることは明らかであり、行政の公平性・中立性を著しく欠いています。直ちに撤回し、変更申請を不許可処分にするよう強く申し入れます。