人口1万人のコミュニティで174人もの感染者ー人口10万人当たり1740人
米軍岩国基地で確認された新型コロナ感染者数は174人(下グラフ、1月27日現)にのぼっています。同基地の軍人・軍属とその家族の総数は約1万人と推計されます(2016年当時、6500人と公表されて以降、情報提供なし。その後、空母艦載機部隊の移駐に伴う人員増は3500人と説明されているため、6,500+3,500=10,000人)。
米軍岩国基地を人口1万人のコミュニティとすると、10万人当たりの感染者数は1740人となります。同基地を除く、県内の感染者数は1,153人(1月27日現)で、10万人当たりの感染者数は約84人です。同基地での感染率は、県内の20倍と異常な高さです。ちなみに、山口県で、同基地と同じ割合で感染者が発生すれば、感染者数は23,000人と推計されます。
感染者の多くは、米軍がチャーターした民間機(エクスプレス便)で岩国基地に入国する軍人・軍属とその家族とみられます。米軍も海外から入国する者には、2週間の外出制限を義務付けており、その期間の終了時に実施されるPCR検査で感染が確認された者は98人と公表されています。これ以外に、外出制限下になかった者、32人の感染も確認されています。
基地関係市町連絡協議会も感染防止対策の徹底を要請
岩国基地での感染拡大を受け、山口県基地関係県市町連絡協議会(構成自治体:県、岩国市、柳井市、周防大島町及び和木町)は1月12日、同基地及び防衛省岩国防衛事務所に対し、①感染者に対する隔離措置などの感染拡大防止対策に万全を期すこと、②岩国基地関係者は、基地内及び基地外での感染拡大防止対策を徹底すること、③日本人従業員等への感染拡大防止対策に万全を期すこと、④感染経路・行動歴等、感染者に関する情報提供を適切に行うこと―の4項目を電話で要請しました。
岩国基地ー「感染対策に自信がある」、「リスクは最小レベルまで軽減」
これに対し、岩国基地は「日本全国で感染者が急増する中、積極的に対応にあたってきており、今日まで継続して行ってきた感染対策には自信があります。基地関係者に対し、基地内外で課される厳しい感染対策は、岩国基地のためにも、「我が家」である地元コミュニティーのためにも、リスクを可能な限り最小のレベルまで軽減しています」と回答しました。
「感染対策には自信」があり、「リスクを可能な限り最小のレベルまで軽減して」いるにも関わらず、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いていることは、事態の深刻さを示しています。
(2021年1月28日記)