説明会資料でも「ブースターはコントロールできる」と明記し、防衛副大臣も確約
防衛省が、「ブースターはコントロールできる」ことを記した説明資料(下図)を明らかにしたのは、翌年5月28日でした。
原田防衛副大臣ら防衛省、自衛隊幹部は、同日、山口県庁を来訪し、県、萩市、阿武町の首長、議長らに対し、イージス・アショアの配備に係る各種調査の結果と防衛省の検討結果について説明。この際、配布されました。
この席上、原田副大臣は、「迎撃ミサイルSM-3のブースターにつきましては、迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールすることによりまして、演習場内に落下させるための措置をしっかりと講じます。こうした対策や措置を講じることにより、防衛省としては、むつみ演習場に、イージス・アショアを安全に配備・運用できるものと考えている」と言明しました。
河野防衛大臣も半年前、「正確に制御することは可能」と説明
2019年12月17日、防衛省は河野太郎防衛大臣名で、知事と萩市長、阿武町長が同年6月14日に提出していた「照会」への「回答」を送付しました。
《照会》迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールし、ブースターを演習場内に落下させるための措置を識じるとされているが、突発的な弾道ミサイルの飛来に対応し、瞬時に当該ミサイルの速度・飛翔方向、上空の風向・風速、落下時のブースターの姿勢等の諸条件を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎盤ミサイルの発射を正確に制御することは可能なのか。
《回答》①迎撃ミサイルの飛翔経路をコントロールする具体的な方法については、米国との関係もあり、お答えは差し控えさせて頂きますが、迎撃ミサイル発射直前の風向・風速を把握し、ブースターの落下位置を計算の上、迎撃ミサイルの発射を正確に制御することは可能です。
②ブースターに関しては、分離後、上空の風の影響を受けながら、地上に落下してくることから、現状、想定されるあらゆる風向・風速条件でも、設定した落下区域内にブースターを落下させることが可能となる条件をあらかじめ計算・把握し、システム化します。
③実際に迎撃ミサイルを発射する場合には、風向・風速計でむつみ演習場に配備されたイージス・アショア上空の風向・風速を計測し、上記の計算結果を基に組み入れられたシステムによって、ブースターを演習場内に落下させることが可能となる条件を速やかに導出し、迎撃ミサイルを発射するといった措置をしっかりと講じます。
「ブースターをコントロールすることはできない」ことを理由に、2019年6月1日、「配備プロセスの停止」を発表した河野大臣は昨年12月の時点では、こう説明していたのです。
もともと、「ブースターはコントロールできる」という防衛省の説明は「フェイク」(うそ)でした。
(続)