2023年2月山口県議会一般質問(2023年3月2日)木佐木大助議員

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新年度当初予算案について

◎木佐木大助議員

質問の第1は、新年度当初予算案についてです。

1つは、物価高騰から住民と中小事業者を守る課題についてです。

物価高騰に歯止めがかかりません。昨年12月の山口市の消費者物価指数は前年比105.1と全国より1ポイント上回っています。とくに光熱費は電気代が24.2%も上がったことも影響し16.8%増です。

実質賃金が低下し続けている中での負担増で多くの県民が苦しんでいます。家庭向けの光熱水費の高騰対策の検討も必要と考えますが、伺います。

●総務部長

物価高騰への対応に関しては、昨年、国において、エネルギー価格対策に重点を置いた総合経済対策が策定され、電気及び都市ガスについては、今年1月使用分から、料金の引下げが行われているところです。

県としては、生活に不可欠な電気等の価格高騰は全国共通の課題であり、国において一律に対応されることが適当と考えていることから、今後も、全国知事会等を通じて、国に働きかけを行ってまいります。

◎木佐木大助議員

燃油や肥料などの高騰も続き、中小事業者、農林漁業者の経営を圧迫しています。政府も対策を打ち出していますが、不十分です。

県が新年度予算案に物価高騰緊急対策関連事業として約69億円を計上されたことは評価しますが、物価高騰の影響すべてをカバーできるものではありません。とくに中小事業者、農林漁業者が生業を継続するための支援が求められていますが、どう対応されるのか、伺います。

●商工労働部長

中小事業者が生業を継続するための支援についてお答えします。

県では、原油高騰等により、厳しい経営環境にある中小事業者が事業を継続していくため、関係機関と連携を強化し、事業者のニーズや経営状況等を適切に踏まえ、生産性の向上や経営安定等に資する支援策を講じていくこととしています。

まず、生産性の向上に向けては、経営革新計画の策定支援を通じた新商品開発等の付加価値向上の取組や専門家の派遣による経営課題診断等を通じたデジタル技術の活用等を支援していきます。

また、今年度、事業者からニーズの高かった省エネ等に資する設備導入補助を引き続き実施します。

次に、経営安定に向けては、「原油価格・物価高騰対応資金」等により、事業収益を圧迫されている事業者の資金繰りを支援します。

さらに、収益改善に向けて、クラウドファンデイングを活用した頑張るお店応援プロジェクトや運送料の値上げに対応したEC送料支援等により、消費需要の喚起も行います。

加えて、適正な価格転嫁が行えるよう、価格交渉促進月間に合わせて、大企業等に対して取引適正化に係る文書要請を行うこととしています。

こうした取組等により、中小事業者の事業継続を支援してまいります。

●農林水産部長

農林漁業者が生業を継続するための支援についてのお尋ねにお答えします。

県では、燃油や肥料などの高騰による農林漁業者への影響を緩和するため、今年度補正予算において、省エネ対策に必要な経費や肥料代等の生産経費への支援などの緊急対策を実施してきました。

また、現下の物価高騰等による消費への影響を踏まえ、来年度は、10万人を対象に日本酒・花き。高級魚の割引販売を行うキャンペーンの実施や、電子クーポンの配信等を行うぶちうま!アプリの活用により、県産農林水産物の幅広い需要を喚起し、農林漁業者の経営継続につなげてまいります。

◎木佐木大助議員

2つは、子育て、若者支援の拡充についてです。

県内の年間の出生数は2005年の1万1514から21年は7978人と3割も減少しています。県が2019年3月、発表した「子育て支援・少子化対策に関する県民意識調査」によると、少子化対策で行政に充実して欲しい施策では、43%が「乳幼児医療費や保育料の負担軽減など経済的支援を充実する」ことをあげました。

新年度予算案では、「出産・子育て応援事業」に3億7千5百万円計上し、第3子以降の出生世帯に県産米60㎏に加え、5万円分の家事代行サービスクーポンを贈呈するとされていますが、第3子がいる世帯は21%程度にすぎません

乳幼児医療費助成制度は新年度も据え置かれました。18年連続です。計上された予算は、対象年齢を未就学児まで引き上げ、全国トップクラスになった2004年度の14億円の42%にすぎない6億円です。

全国に目を向けると、東京都が新年度から助成対象を中学生から高校生まで広げ、群馬県も高校卒業まで拡充する方針を表明しました。県内では下関市が今年10月から中学校卒業まで対象を拡大し、入院については高校卒業まで無料化すると発表しました。

県は、対象年齢の拡大を拒み続ける理由として、「全国にそん色ない水準」と言われてきましたが、これはもう破綻しました。最近は「持続可能な制度として継続するため」と言われますが、このまま少子化を放置すれば、「社会そのものの持続」が危ぶまれます。

わが党の試算では、04年度当時の14億円に戻せば、少なくとも中学卒業までの対象拡大が可能と考えますが、いかがですか。

●健康福祉部長

子育て、若者支援の拡充のうち、乳幼児医療費助成制度についてです。~

本県の制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて助成しているものであり、将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本であると考えています。

なお、中学卒業まで対象を拡大した場合の試算についてですけれども、制度設計等により異なることからお示しの14億円で対応可能かどうか判断することは困難です。

◎木佐木大助議員《再質問》

子ども医療費助成制度について、やはり部長答弁は拡充しない理由として、「持続可能な制度として継続するため」と言い張り続けて、今後もそのおつもりのようであります。年6億円の予算をこれ以上増やすと制度が持続できないその根拠は一体何か、改めてお尋ねします。

御承知のとおり、県内の全市町が県制度が対象としていない年齢まで引き上げています。こうした住民の要望に応えてのことだと思いますが、山口県としてどう理解されているのか伺います。

●健康福祉部長

「拡充すると制度が持続できない」根拠についての質問ですけれども、県としては「拡充すると維持できない」との理由から、現行水準維持を基本としているのではなくて、本県の制度は、国の医療保険制度を補完して一定の福祉医療の水準を確保するために基準を定めて市町に助成を行っているところであります。

それから、県内の市町が住民の要望に応じて拡充を行っていることに対する県の見解についてですけども、各市町による独自の取組につきましては、それぞれの自治体が、住民のニーズ等を踏まえられて判断されているものと理解をしております。

◎木佐木大助議員《再質問》

また、22年度2月補正予算の健康福祉部関係の補正額をみると、民生費は約33億円、衛生費は約69億円、合計1O2億円もの減額補正であります。自治体の予算は原則単年度主義でありますから、次年度のために残しておくためでは~ないはずであります。

さらに、2月補正予算では法人税の上振れがあったとして約200億円もの基金を倉I設しました。そのうち60億円は安心安全という名目であります。毎年計上される不用額、また、新たな基金、このような状況をみれば、年8億円程度を少子化対策の一環として増額することは十分に可能と考えますが、見解を伺います。

●健康福祉部長

それから、2月補正後の102億の減額、それから法人税の上振れについて、制度の拡充の財源があるのではないかとのお尋ねですけども、これらは、恒常的に生ずるものではなくて、制度拡充の財源として捉えることは適当ではないと考えております。

◎木佐木大助議員

小中学校の給食費の無償化に踏み切る自治体も広がっています。東京都では23区中8区が無償化に踏み切り、千葉県は第3子以降を無償化する市町に対して2分の1を助成する予算14億円を新年度予算に計上しました。県内でも岩国市、和木町、萩市が無償化し、下関市は半額補助を打ち出しました。

わが党の試算では、県内すべての学校給食を無償化するのに必要な予算は約50億円です。県として、給食費を無償化する市町に対して半額を助成する制度創設を検討すべきです。

●副教育長

給食費の無償化についてお答えします。

小・中学校の給食費の無償化については、設置者が、実情に応じて判断するのが基本であると考えておりまして、お示しの無償化する市町に対する助成制度の創設については、現時点、考えておりません。

◎木佐木大助議員

先に紹介した「県民意識調査」で、27%が「充実させて欲しい」施策に「奨学金制度の充実など教育費に対する支援を充実する」をあげています。

この点では、新年度予算案に「若者育成・県内定着促進事業」233万円計上されました。今年の大学等進学者から、卒業後、一定期間、県内に居住・就業した場合、奨学金返還額の一部を補助するもので、年20万円、 最長5年間で100万円が補助されます。わが党も要望してきた施策でもあり、高く評価します。

大学卒業時に数百万円もの借金を負って、社会に出ていく若者に希望を与えるものです。本格的な運用時の必要額は、どう見積もっておられますか。事業効果によってはさらなる拡充も必要と考えますが、それぞれお尋ねします。

●総合企画部長

若者育成・県内定着促進事業についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、本格的な運用時の必要額については、対象者を年150人、補助を行う5年分で750人程度と想定しており、全員が4年制大学に進学した場合に必要となる予算額は、年1億5千万円を見込んでいます。

次に、事業効果によってはさらなる拡充も必要ではないかとのお尋ねですが、この制度は高校生の大学等への進学状況や大学生の平均的な生活実態等を踏まえて設計しており、対象人数や補助額等の内容は妥当なものであることから、拡充することは考えていません。

◎木佐木大助議員

3つは、新型コロナ感染防止対策についてです。

新型コロナ感染拡大の第8波では、高齢者施設でのクラスターの多発、医療のひっ迫、救急搬送の困難など、第7波で大問題になったことが、より深刻な形で繰り返され、全国では2万人超、県内でも約300人もの死亡者がでました。「コロナ後遺症」で苦しんでいる県民も少なくありません。住民のいのちと健康を守る施策の強化・拡充こそが必要です。

ところが政府は、この反省もなく、新型コロナを5類に変更することと合わせて、感染対策や検査・治療への公的支援を後退させようとしています。こうした政府の対応について県はどう受け止めておられるのか、まずお尋ねします。

●健康福祉部長

5類変更にかかる国の対応についてです。5類変更は、国において、専門家の意見を踏まえ、重症度が低下したオミクロン株の特性や、医療・社会への影響等を総合的に判断した上で決定されたところです。

また、感染対策や医療費等の公的支援については、国民の安心を確保するため、一定期間継続するなど、段階的に見直しされることとなっており、今回の国の対応は適切な判断と考えています。

◎木佐木大助議員

新年度予算案には、新型コロナ対策関連事業として、感染拡大防止対策の強化に460億円計上されています。

第1に、新型コロナの検査・治療・予防接種の公費負担を継続し、発熱患者を検査・診察する外来体制の拡充、入院医療・救急搬送の体制強化、高齢者施設の入所者を感染・重症化から守る対策の抜本的強化をはかることが必要です。

第2に、保健所の新増設、正規・常勤職員の抜本増など体制強化です。今年度は防府支所の保健所への格上げ、保健師7人の増員がはかられましたが、いまだに8保健所のうち、4箇所で所長兼務という状況が続いています。体制強化と職員の増員が求められています。

第3に、「コロナ後遺症」の治療・研究、患者への生活支援が必要です。

第4に、希望する人への安全なワクチン接種をすすめるとともに、接種後に起こっている有害事象について、原因の徹底究明と幅広い補償・救済が必要です。

以上、4点について、どう対応されるのか、伺います。

●健康福祉部長

まず、新型コロナ対策関連事業についてですが、県では、来年度当初予算案において、新たな変異株による感染拡大にも十分対応できるよう、医療提供体制や検査体制等、必要な経費を計上しているところです。

次に、保健所の体制についてですが、県では、新型コロナウイルス感染症の発生以降、これまで保健所全体で、15名の職員を増員するとともに、今年度、防府支所を改組し、防府保健所を設置したところです。

また、保健所長についても、一人の所長が複数の保健所長を兼務する状況が生じていますが、負担軽減を図るため、薬剤師や保健師等の専門職を保健所次長として配置しているところであり、引き続き、保健所の体制強化に努め、適切な業務執行体制を確保してまいります。

次に、コロナ後遺症の治療・研究、患者への生活支援についてですが、国が責任をもって対応すべきものであることから、県としては、全国知事会を通じて、治療法の研究開発や、生活に支障が生じている方への経済的な支援等が行われるよう、国に要望しているところです。

次に、ワクチン接種と接種後の有害事象の原因究明・救済等についてですが、ワクチン接種については、引き続き、実施主体である市町において、安心・安全な接種が進められるよう、関係機関等と連携し、接種の促進に努めてまいります。

なお、接種後の有害事象については、全国知事会を通じて国において、原因究明・救済等が行われるよう要望しているところです。

◎木佐木大助議員《再質問》

再質問を行います。

コロナ後遺症対策について、一つは、実態はつかまれているのか。

また、治療機関は十分なのか。具体的な支援はどの様に考えているのか伺いたいと思います。

●健康福祉部長

新型コロナについてですけれども、まず、コロナの後遺症の実態について県はつかんでいるのかとのお尋ねです。

コロナ後遺症については、本県では、保健所が相談窓口となっていますから、保健所への相談内容については把握をしております。

それから、治療機関は十分にあるのかとのお尋ねですけれども、コロナ後遺症に係る本県の診療体制は、医師会等と協議しまして、まずは、かかりつけ医で受診できる体制を確保しております。

そのかかりつけ医が症状等に応じてですね、専門的な対応が必要と判断した場合には、より高次の専門機関へ紹介する、こういった体制をとっておりまして、治療機関は十分にあると考えております。

それから、後遺症への具体的な支援についてのお伺いですけれども、患者への生活支援につきましては、先ほど答弁申し上げましたけれども、国が責任をもって対応すべきものであることから、県としては、全国知事会を通じて、生活に支障が生じている方への経済的な支援等が行われるよう、国に要望しているところです。

◎木佐木大助議員

4つは、公共交通の利便性向上についてです。

新年度予算案には、地方ローカル線の維持・確保を図るため、路線の活性化に向けた取組を推進することを目的にした「地方ローカル線活性化事業」に2680万円計上されました。

県内のローカル線については、昨年4月、JR西日本が1キロ当たりの1日平均利用者数が2千人未満の区間の収支を公表し、同社が「単独での維持は困難」とする路線は岩徳線、山口線など5路線6区間あります。

鉄道網の維持は、地方再生に不可欠の基盤であり、脱炭素社会をめざすために失ってはならない共有の財産だと考えますが、見解を伺います。

●知事

私からは、公共交通の利便性向上に関し、鉄道網の維持についてのお尋ねにお答えします。

地方ローカル線は、沿線住民の日常生活はもとより、地域の経済活動やまちづくりなどを支える重要な基盤であり、環境への負荷も少ない交通機関ですが、近年、沿線人口の減少や長引くコロナ禍の影響等により利用者が大幅に減少し、極めて厳しい状況に置かれています。

私は、こうした厳しい状況にある地方ローカル線を維持・確保していくことが、脱炭素社会を目指す観点からも大変重要であり、沿線市町や住民等と一体となって、更なる利用促進等による路線の活性化を図っていく必要があると考えています。

このため、各路線の実情や課題を踏まえた効果的な利用促進策の検討や、広域での観光利用の促進等に向けた様々な取組を支援するとともに、鉄道利用に向けた全県的な機運醸成を図るための積極的な情報発信等の取組を進め、更なる利用促進を図ることとしています。

私は、今後とも、沿線市町等と連携し、住民生活を支える地方ローカル線の維持・活性化に向けて取り組んでまいります。

◎木佐木大助議員

地方ローカル線活性化事業では、鉄道利用の促進、利用低迷の要因の調査などが進められるようですが、利用低迷の要因の1つにはJR西日本が、減便や運行区間の短縮など利便性を損なうダイヤ改正を繰り返してきたことがあります。

JR西日本に対し、増便やダイヤの改善を求める住民・利用者の要望には真摯に応えるよう求めるべきと考えますが、伺います。

また、JR西日本の経営は、コロナ禍の行動制限などを強いられた期間は、大きな赤字だったことは事実ですが、行動制限がない2022年度には黒字回復することが見込まれ、7400億円の内部留保もあります。「不採算路線を含めて維持する」とした民営化時のルール=約束を果たせなくなったという状況ではありません。当面、すべての路線を維持するのは当然だと考えますが、お尋ねします。

鉄道事業法の改悪で、鉄道廃止の手続きは認可制から事前届け出制に規制緩和されました。国は何の責任もとらず、住民や自治体関係者の声も無視した鉄道路線の廃止を可能にしてしまいました。

村岡知事を含む28道府県知事は昨年5月11日、連名で「未来につながる鉄道ネットワークを創造する緊急提言」を国交大臣に提出し、この中で「鉄道事業法における鉄道廃止手続きの見直し」などを要望されました。この提言実現へ、今後、山口県としてどう取り組まれるのか、伺います。

◎観光スポーツ文化部長

増便やダイヤの改善を求める住民・利用者の要望への真蟄な対応をJR西日本に求めるべきとのお尋ねについてです。

県では、これまでも、地域の実情や沿線市町等からの要望をしっかりと受け止め、JRに対し、運行本数の維持・確保やダイヤ改善などの要望を行ってきたところであり、引き続き、地方ローカル線の一層の利便性向上に向け、必要な働きかけを行ってまいります。

次に、不採算路線を含めて維持するとした民営化時のルールを踏まえれば、JR西日本は当面、すべての路線を維持することは当然ではないかとのお尋ねについてです。

県としては、国鉄改革時の経緯も踏まえ、地方ローカル線が鉄道ネットワークとして維持されることが必要と考えており、JRに対し、路線の維持に向けた要望を行うとともに、国に対しても、JRへの適切な指導を行うよう、全国知事会等を通じて要望しているところです。

次に、「未来につながる鉄道ネットワークを創造する緊急提言」の実現に向けた今後の取組についてです。

県では、鉄道が廃止された場合の地域住民の生活等へ及ぼす影響の大きさを踏まえ、国に対し、緊急提言等を通じて、地域の実情を反映できる鉄道事業法における廃止手続きの見直し等を求めてきたところであり、引き続き、必要に応じて働きかけを行うなど、適切に対応してまいります。

◎木佐木大助議員

5つは、朝鮮学校補助金についてです。

県が、朝鮮学校を今年度実施した私立学校給食費等に係る物価高騰差額補助事業の対象としたことは評価しています。昨年6月議会での同補助事業についての議論の中で、県は「朝鮮学校補助金は、県民との相互理解の増進を目的として交付してきたもので、学校給食費等に係る補助とは趣旨を異にするもの」と答弁されました。

コロナ禍と物価高騰により、子育て世帯の多くが経済的な苦境に直面しています。高校授業料無償化の対象から除外されている朝鮮学校の生徒の保護者はなおさらです。すべての子どもたちの学習権を保障する観点から、朝鮮学校の児童生徒をもつ保護者に対する支援を行うことはできないのか、お尋ねします。

●総務部長

朝鮮学校は、朝鮮総連と密接な関係にあり、教育内容、人事、財政にその影響が及んでいることなどから、国において高校授業料無償化の対象外とするとの決定がなされているものであり、こうした趣旨を踏まえると、同校の児童生徒をもつ保護者に対して、県独自で支援する考えはありません。

◎木佐木大助議員《再質問》

朝鮮学校の問題。数々の国連勧告を無視するだけではなく、人間の尊厳、これを躯った憲法13条や、法の下の平等、憲法14条を躁踊する。さらには地方自治法で明記された「住民の福祉の増進」を、立派な山口県民である在日コリアンを排除するなど、恥ずべき官製へイトは、もうやめるべきではないですか。

県がとっている姿勢は、最悪のレイシストである在特会の桜井誠などのヘイトクライムの主張に根拠を与えかねない危険を持っています。現に在特会は、山口県で朝鮮学校補助金を欠くとしたことを全国で宣伝材料にしています。

この点について、どう考えているのかお尋ねします。

県は、北朝鮮の動向などを理由に「県民の理解が得られない」などと、県民にその責任を転嫁していますが、とんでもない話であります。

北朝鮮や朝鮮総連、これは朝鮮学校とは全く関係ありません。「理解が得られないのは、自民党県議団」ではないですか。決して県民ではありません。

県庁ぐるみの公選法違反事件で、厳しく指摘された「自民党への悪しき配慮」は、もうやめるべきではないですか。

●総務部長

朝鮮学校補助金につきましては、県民との相互理解の増進を図ることを目的として交付してきたものでありますが、朝鮮学校を高校授業料無償化の対象外としている国の考え方、補助金支給に対する他県の動向、北朝鮮の様々な行動に対する国内外の受け止め、これらを総合的に勘案し、県として、これを予算計上することは、県民の理解を得られないと判断しているものでございます。こうしたことから、官製へイト等々、様々ご指摘いただきましたけれども、 ご指摘はあたらないものと考えております。

◎木佐木大助議員《再々質問》

10年前に電話一本で補助金廃止を通告する、こんな無礼なことをやって、あれから10年であります。この間、山口県当局は一度でも朝鮮学校に行ったことがあるのかどうか伺いたいと思います。

●総務部長

朝鮮学校に行ったことがあるかというご質問でございましたけれども、学校における様々な状況につきましては、関係の方々から要望を伺う際に、お話をお聞きをしているところでございます。

中国電力の経営姿勢について

◎木佐木大助議員

質問の第2は、中国電力の経営姿勢についてです。

1つは、不祥事と電力料金値上げについてです。

昨11月議会でも指摘しましたが、中国電力は、昨年12月1日、法人向け電力販売を巡って、関西電力、中部電力などとカルテルを結んでいた問題で公正取引委員会から700億円超の課徴金の納付命令案の通知を受けました。

さらに今年1月には、競合関係にある新電力の顧客情報を閲覧していたことが発覚しました。同社が委託先を含む営業部門の社員を対象に実施したアンケート調査で社員38人は電気事業法で禁じられていた行動になりうると認識していた、と報じられています。

このように不祥事を繰り返す同社が昨年11月、経産省に今年4月から家庭向け規制料金を平均31%値上げする申請を行っていることに批判が高まっています。

電気料金値上げについて県は、昨年11月議会で同社の株主だが、「経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢で対応」している、と説明されましたが、電気料金の高騰に苦しんでいる県民の立場に立てば、「値上げは再考をせよ」と要請するのが筋ではありませんか。お尋ねします。

●商工労働部理事

不祥事と電力料金値上げについてです。

お示しのように、中国電力は昨年11月25日に、本年4月からの規制部門の電気料金の引上げなどを内容とした特定小売供給約款の変更認可を国に申請し、現在、その審査が行われているところです。

国は、この申請について、法令の規定に基づき、本年2月9日に公聴会を開催しており、出席した意見陳述人からは、お示しのカルテルの問題などに対する意見が述べられたと聞いています。

また、国は、申請内容の審査に当たり、電気料金の適正性について国民の理解を得るため、徹底した情報公開と透明性の高いプロセスが重要だとして、昨年12月5日から本年2月9日までの間、国民からの意見を募集したところです。

今後、国において、それらの意見も踏まえ厳正に判断されることから、県としては、お尋ねのような要請をすることは考えていませんが、電気料金の引上げについては、小売電気事業者において、需要家である県内の住民の理解を得られるよう適切に対応していただきたいと考えています。

◎木佐木大助議員

2つは、上関原発建設計画についてです。

世界有数の地震国・津波国での原発依存の危険性や、処分方法がない使用済み核燃料を増やし続けるなど、原発は、「クリーンエネルギー」どころか、地球環境と人間社会に重大な被害とリスクをもたらすことは明らかではありませんか。お尋ねします。

●商工労働部理事

まず、原発の被害とリスクについてです。

エネルギーは、国民生活の安定向上並びに国民経済の維持・発展に欠くことができないものであり、エネルギー政策は国家運営の基本です。

したがって、県としては、地震や津波、使用済核燃料への対応を含めて、原子力発電を活用するかどうかについては、安全性、信頼性の確保を大前提に、国において判断されるべきものと考えています。

◎木佐木大助議員

加えて、中国電力は先に指摘したように、順法精神が欠如した会社です。このような会社に危険極まりない原発を建設する資格などありません。直ちに建設計画の撤回を求めるべきです。お尋ねします。

●商工労働部理事

次に、建設計画の撤回についてです。

事業者に原発を建設する資格があるかどうかについては、原子炉設置許可申請の審査において、原子力規制委員会により厳正に判断されるものです。

また、上関原発建設計画は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。

したがって、県としては、中国電力に対し、お示しのような建設計画の撤回を求めることは考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

山口県は、昨年10月、 公有水面埋立免許の延長を認めたばかりでありますが、10年20年先にしか着工できないとすると、今後、免許の延長は全く不可能になると考えますが、答弁をお願いします。

●商工労働部理事

上関原発建設計画についての再質問にお答えします。

10年20年先にしか工事着工できないとすると、今後、免許延長は不可能ではないか、についてです。

公有水面埋立法において、許認可を行う場合、提出された申請書に基づき判断することとされており、延長許可の可否について、現時点では判断できる状況にありません。

県としては、今後、免許延長の申請がなされた場合には、その時点において、公有水面埋立法に従って厳正に審査し、適正に対処します。

◎木佐木大助議員《再質問》

政府は2月10日、脱炭素社会への移行を進めるグリーントランスフォーメーション(GX)に向けた基本方針を閣議決定しました。脱炭素化とエネルギーの安定供給を名目に、次世代原発へのリプレース(建替え)への推進や、既存原発の60年超の運転を認める方針を明確に記載しています。福島原発事故を教訓に、これまで曲がりなりにも「原発の新増設は想定していない」、また「原発依存度を低減する」としてきた方針を真っ向から否定する暴挙であります。この方針

転換を山口県はどう受け止めているのか、伺います。

●商工労働部理事

まず、国の方針転換についてです。

エネルギー政策は国家運営の基本であり、原子力をどう利用するかは、安全性・信頼性の確保を大前提に、国の責任で判断すべきと考えています。

国の第6次エネルギー基本計画では、原子力について、「可能な限り原発依存度を低減する」とされており、また、「安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく」とされています。

このたび閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」では、「第6次エネルギー基本計画などを踏まえ、取組等を取りまとめるものである」、また、「今回示す方策は全て、第6次エネルギー基本計画の方針の範囲内のものである」と明記されており、県してもそのように受け止めています。

◎木佐木大助議員《再質問》

政府は、新増設の原発は「次世代炉」を前提としています。経産省自身が、次世代炉の開発には20年程度を要すると説明しています。

これは当たり前に考えれば、これまで中国電力が進めてきた既存型の原発建設は不可能になるということを意味しているわけではないでしょうか。お尋ねします。

●商工労働部理事

次に、既存型の原発建設についてです。

一般的に、既存型の原発建設が不可能になるかどうかについては、国が所管するエネルギー政策に関することであり、県として独自に見解を述べることはできません。

一方、上関原子力発電所については、中国電力から国に対し、国における次世代革新炉の開発.建設の検討結果や政策の方向性等に適切に対応し今後とも建設計画を推進していくことを示しつつ、「国の検討にかかわらず、上関原発に係る重要電源開発地点指定は引き続き有効かどうか」について照会がなされています。

これに対し、国からは「貴見のとおり、重要電源開発地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り、解除することは考えていない」との見解が得られていることを確認しています。

したがいまして、県としては、上関原発の国のエネルギー政策上の位置付けが引き続き存続し、今後も存続する見通しであると認識しています。

米軍岩国基地の機能強化について

◎木佐木大助議員

質問の第3は、米軍岩国基地の機能強化についてです。

米軍岩国基地の機能強化は、岸田政権が打ち出した敵基地攻撃能力の保有と大軍拡という憲法違反の暴挙と一体に進められています。

岸田政権は、この暴挙を「2つの大うそ」で強行しようとしています。

 第1は、「専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国にならない」と言い張っていることです。

岸田政権がかかげる「GDP(国内総生産)比2%以上」の大軍拡で日本の軍事費は米国、中国に次ぐ世界第3位になります。相手国の領土深くまで攻撃できる長射程のミサイルを大量に配備します。文字通り「他国に脅威を与える軍事大国」そのものです。

「専守防衛」を完全に投げ捨てながら、「専守防衛に徹する」などと言うのは国民をだます「大うそ」ではありませんか。お尋ねします。

 第2は、「自分の国は自分で守る」ためと言っていることです。

大軍拡で戦争の心配はなくなるでしょうか。周辺国も対抗して軍拡を加速させる、軍事対軍事の悪循環に陥り、軍事的緊張を激化させ、戦争へのリスクを拡大させます。

 敵基地攻撃能力保有の最大の目的は、米国が世界的規模で構築している「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)に「シームレス(切れ目なく)に融合」する形で参加することにあります。米軍は、IAMDのドクトリンとして「先制攻撃」を公然と明らかにしており、米軍と自衛隊が「融合」して無法な戦争を行う重大な危険があります。

 政府は「日本を守るため」と繰り返しますが、「安保3文書」では、集団的自衛権の行使として敵基地攻撃を行うこともできると明記しています。日本が武力攻撃を受けていないのに、米軍が戦争を始めれば、それが先制攻撃の戦争であっても、相手国に日本が攻め込むことになります。そうなれば相手国から大規模な報復攻撃を受け、日本は焦土と化します。「日本を守る」のではなく、「アメリカの戦争に日本を巻き込む」ことが正体です。見解を伺います。

●総務部長

専守防衛についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。

国による新たな国家安全保障戦略等の策定や防衛力の抜本強化に向けた対応は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対時していく中で、いざという時に、国民の命を守り抜くため、十分な守りを再構築していくことを目的に行われたものと承知しており、御指摘は当たらないと考えています。

◎木佐木大助議員

こうした事態が生じたとき、真っ先に狙われるのは、岩国市をはじめ、県内各地に点在する軍事基地であることは明らかです。県民の生命、財産を守るべき自治体として、看過できないものですが、伺います。

●総務部長

次に、米軍岩国基地の機能強化についての御質問のうち、

敵基地攻鑿能力に関する県民の生命、財産を守るべき県の見解についてのお尋ねにお答えします。

防衛力の抜本強化については、国の防衛政策に関する事柄であり、本県県民を含め、国民全体の生命・財産を守る立場から、国が責任をもって判断されるものと考えています。

◎木佐木大助議員

 米軍と自衛隊の「融合」に向けた動きはすでに激しくなっています。

米海兵隊と陸上自衛隊は、2月16日から九州・沖縄で離島の防衛を想定した共同訓練を行っており、米軍岩国基地は米海兵隊のMV22オスプレイの整備拠点として使用されているだけでなく、2月15日には、同訓練に参加している米海軍のドック型輸送揚陸艦「グリーン・ベイ」が初めて寄港しました。

 さらに2月27日から3月12日の間、米海軍と海上自衛隊の共同訓練が、広島湾及び九州西方から沖縄周辺で行われています。目的は「海上自衛隊の戦術技量及び米海軍との相互運用性の向上」とあからさまです。この訓練には、米海軍からはグリーン・ベイに加え、強襲揚陸艦「アメリカ」、ドッグ型揚陸艦「アシュランド」が、海上自衛隊からは輸送艦「おおすみ」、掃海艇「ひらしま」、「やくしま」が参加しています。

 県は、この日米共同訓練について、国からどのような説明を受け、どう対応されたのか、お尋ねします。

 たとえ、訓練の一環としても米軍岩国基地が補給・整備の拠点基地として使われることは、仮想敵国の攻撃対象になる恐れが生じ、住民の安全を脅かすことになりかねません。国及び米軍に対し、岩国基地を日米共同訓練に使用しないよう申し入れるべきと考えますが、伺います。

●総務部理事

日米共同訓練についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、国の説明と県の対応についてです。

国からは、陸上自衛隊と米海兵隊との共同訓練において、九州での訓練に参加するMV-22オスプレイの機体整備等のために岩国基地を使用すること、また、海上自衛隊と米海軍との共同訓練については、日米の艦船が広島湾等で訓練を実施することなどの説明がありました。

県では、国の説明を受け、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、地元岩国市と連携し、安全対策に十分配盧することなどを国に要請したところです。

次に、国及び米軍に対し、岩国基地を日米共同訓練に使用しないよう申し入れるべきとのお尋ねです。

今回の日米共同訓練は、国の専管事項である外交・防衛政策の一環として行われるものであり、訓練に伴う岩国基地の使用も含め、地方自治体として、その是非を論ずる立場にはなく、県として、岩国基地を日米共同司||練に使用しないよう申し入れる考えはありません。

◎木佐木大助議員《再質問》

岩国基地問題、大型艦船の入港について、輸送揚陸艦「グリーン.ベイ」は無通告で入港しました。まさに、横暴勝手のルール違反ですが、県の見解を伺います。

オスプレイの整備基地の問題では、今回、岩国基地がMV-22の整備拠点として使用されます。恒常的な整備拠点となるのか、説明があったのか、伺います。

整備拠点となれば、オスプレイが日常的に飛び回ることになりますが、県・岩国市は、それを了解したのでしょうか、伺います。

インド太平洋地域の米軍の機能強化と一体の今回の日本の大軍拡の問題であります。この間、問題提起をしてきた燃料貯蔵タンクの増設も、こうした流れと一体のもので、まさに、岩国基地の兵姑基地化であります。その後、情報提供はどうあったのか、その内容について伺います。

します。

●総務部理事

まず、米艦船「グリーン・ベイ」が無通告で入港した、これはルール違反ではないかというご質問だったと思いますが、まず、在日米軍基地に関する日米間の一般的なルールとしては、日米地位協定があります。

国からの説明によりますと、米軍艦船が、在日米軍施設・区域を使用するにあたり、常に日本政府に事前に通知することを定める取決めはないと聞いておりまして、ルール違反とのご指摘

次に、オスプレイの整備基地についてです。

国の説明によりますと、今回の共同訓練、いわゆる「アイアンフイスト23」の、九州での訓練期間中において、機体整備等のために岩国基地を使用するとのことであり、恒常的な整備拠点になるとの説明は受けておりません。

3点目、インド太平洋地域の米軍機能強化に関して、燃料タンクのご質問だったと思います。

県では、国に対し、事実関係を照会しておりますけれども、国からは、燃料タンクについては、引き続き米側に確認中との回答にとどまっております。

いずれにしても、県としては、引き続き、情報収集に努め、地元市町と連携しながら、適切に対応してまいります。

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