若者が希望を持って暮せる県政の実現について
◎河合喜代議員
日本共産党の河合喜代です。4年ぶりにカムバックしました。通告に従い、一般質問を行います。どうぞよろしくお願いいたします。
コロナ禍と異常な円安による物価高、それなのに実質賃金と年金は下がり続け、一方で、税と社会保障の負担は上がるばかり。なんとかしてほしいとの思いがひしひしと伝わる選挙でした。
私を県議会に送り返してくださった一人ひとりのみなさんの願いの多くは、私と共産党が選挙で掲げた具体的な公約の実現です。
本議会では、この公約を実現する一歩となるよう質問に臨む決意です。知事はじめ参与のみなさんの誠実な答弁を期待いたします。
若者世代が結婚し、希望すれば子どもを産み育てようと思える賃金の保障を
◎河合喜代議員
質問の第1は、若者が希望を持って暮せる県政の実現についてです。
1つは、若者世代が結婚し、希望すれば子どもを産み育てようと思える賃金を保障することです。
派遣労働も野放しにする新自由主義的な経済政策により、1980年代は2割程度だった非正規労働者は4割近くにまで拡大し、15歳から34歳までの若年労働者でも約3割を占めています。
正規雇用と非正規雇用の賃金格差は歴然です。2021年度の山口県「毎月勤労統計調査結果年報」から製造業の時給を比較すると、正規労働者は2475円に対し、非正規労働者は1074円と2.3倍の差が生じています。非正規では月150時間働いても16万円にしかなりません。
これでどうして結婚や出産という人生設計が立てられるでしょうか。若者から希望を奪う政策はただちに是正すべきです。派遣は特殊な業種に限定し、希望すれば正規採用に移行することを制度化するよう国に求めるともに、県としても中小企業に対し、正規採用を支援する施策を拡充することが必要と考えます。伺います。
●小関浩幸産業労働部長
若者が希望を持って暮らせる県政の実現についてのお尋ねのうち、若者世代の賃金についてお答えします。
労働者派遣制度については、専門的な知識、技術、経験を活かして就業することを希望する労働者層の増加を受けて制定されたものであり、労働者の多様な働き方にも資するものとされています。
しかしながら、正規雇用を希望しているにもかかわらず、不本意ながら非正規で働いておられる方も一定数いることから、そうした方への支援が必要と考えています。
このため、山口しごとセンターにおいて非正規労働者の正規雇用化に向けたスキルアップ研修を実施するとともに、雇用転換支援員の配置による相談対応やマッチング等を行っています。
また、非正規雇用労働者を正規雇用した企業に対しては、国のキヤリアアップ助成金が支給されることから、県としてはその活用の促進を図ることとしており、さらに国に対して制度の拡充を求めています。
また、県では、非正規雇用労働者の希望や意欲・能力に応じた正規雇用労働者への転換や、待遇改善施策の充実について、全国知事会を通じて国に要望しているところです。
介護や福祉施設などケア労働の低賃金の改善を
◎河合喜代議員
介護や福祉施設などケア労働の低賃金も看過できません。
厚生労働省の「令和3年度介護従事者処遇状況等調査結果」によると、介護職員の平均給与は約31万円でした。同年6月の「定期賃金調査結果の概要」によると全産業の平均給与額は約39万円ですから、月8万円少ないのです。
介護職場は多くの若者で支えられています。この賃金を引き上げることが若者に希望となるし、地域経済にも必ずプラスになります。
公定価格の引き上げは、これまでも県も知事会を通じて国に要望されていますが、若者の県外流出を防ぐ点でも県としてケア労働者の賃上げに特別な政策的支援にとりくむべきではないでしょうか。お尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
若者世代が結婚し希望すれば子どもを産み育てようと思える賃金を保障することについてのお尋ねのうち、介護や福祉施設などケア労働の低賃金についてのお尋ねにお答えします。
介護職員等の処遇改善については、国の福・介護職員処遇改善加算制度等の活用により、賃金の改善が図られるよう、施設の管理者や事務担当者向けの研修、社会保険労務士などの専門的な相談員の派遣、運営指導等を通じて、事業者に対する制度の周知や助言に努めているところです。
大学生などの奨学金の返還への支援拡充を
◎河合喜代議員
2つは、大学生などの奨学金の返還への支援拡充です。
「やまぐち若者育成・県内定着促進事業奨学金返還補助制度」が今年度からスタートしたことは本当に嬉しいことです。
文科省によれば、2021年度の大学の入学金・授業料を合わせた初年度の学費負担は、平均約80万~120万円、4年制の大学であれば平均500万円近くの学費が必要です。
独立行政法人日本学生支援機構の2020年「学生生活調査結果」によると、奨学金を受給している大学生の割合は約5割で、年々増加傾向にあるとのことです。
奨学金の借入額は、労働者福祉中央協議会が昨年9月に実施したアンケートによると、大学生で平均310万円にのぼり、返済の負担感について「苦しい」と回答したのは44.5%と半数近くに上っています。選挙中もこの借金があるために結婚をあきらめた、延期したという悲しい話を聞きました。
それだけに県が奨学金返済への補助制度に踏み切られたことは高く評価しますが、残念なのは、奨学金を利用している学生は県内に1万5千人程度いると思われるのに、対象を150人程度に限定していることです。その理由は何ですか、今後、拡充も検討すべきと考えますが、伺います。
●永富直樹総合企画部長
大学生などの奨学金の返還への支援に関する御質問のうち、やまく、ち若者育成・県内定着促進事業についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、対象者数についてのお尋ねです。
この制度は、大学等での学びに意欲を持つ生徒が、経済的な理由で進学を断念することのないよう、支援することなどを目的としています。
その対象者数は、生活保護世帯の生徒の大学等進学率を一般世帯の生徒と同等まで引き上げるため、新たに支援が必要となる人数を算定し、これを、山口県ひとづくり財団が、経済的困難を抱える学生支援のために設けている奨学金制度の貸与者数に上乗せする形で設定をしたものです。
次に、今後、制度の拡充も検討すべきとのお尋ねですが、対象者数は、施策目的を踏まえて適切に設定したものでありますことから、現時点では考えておりません。
◎河合喜代議員《再質問》
奨学金制度の拡充についてです。奨学金制度については、6月18日付け朝日新聞の一面に奨学金返済を苦にして自殺した人が、昨年1年間で10人いたと報じられました。本当に衝撃でした。識者や支援者は10人という人数は遺書などで明らかになった人だけで、氷山の一角と指摘していると伝えています。
自分の夢を掴みたいと進んだ学問の道のために借りた奨学金の返済ができず、自ら命を絶つ、こんな社会にしておいてよいのかということが、政策を決定できる場にいる私たちに問われているのではないでしょうか。県の奨学金返還補助制度、この対象に奨学金を利用して卒業にこぎつけたものの、正規雇用に就けず、低賃金のため奨学金返済に困っている若者も加えるなど、この制度を小さく生んで大きく育てていただきたいのです。
再度質問をいたします。
●永富直樹総合企画部長
やまぐち若者育成・県内定着促進事業に関する再質問にお答えをいたします。
大学卒業後に、県内で就職しているが、返済に困っている人もいるので、そうした方も対象にすべきでないかとのお尋ねですが、本県の制度は、県の将来を担う意欲ある若者が、経済的な理由によって修学を諦めることのないように支援を行うこと、これを主な目的として制度設計したものでありますから、その趣旨に照らしまして、支援対象についても適正に設定していますので、その拡充については、現時点、考えておりません。
◎河合喜代議員
私たち日本共産党は、大学等の学費を直ちに半額にし、無償化をめざし、給付型奨学金を拡充することを目指しています。国民総生産に占める日本の教育予算はOECD諸国の比較可能な国37カ国と比べて36位という少なさです。ここを抜本的に改めることが必要です。学費・奨学金に関して、国にどのようなことを要望していますか。伺います。
●永富直樹総合企画部長
若者が希望をもって暮らせる県政の実現に関する御質問のうち、大学等の学費・奨学金に係る国への要望についてのお尋ねにお答えします。
県では、全国知事会等を通じ、大学等の高等教育に係る教育費の負担軽減のため、国が実施する授業料等の減免や給付型奨学金事業等について、支援対象の拡大、給付額の引上げ、運用方法の弾力化などの制度の拡充や、入学前の貸付制度の創設について要望しています。
学生を対象にした「ワンコイン・バス」の実現
◎河合喜代議員
3つは、学生を対象にした「ワンコイン・バス」の実現です。
私は山口大学のある平川地区に住んでいますが、民主青年同盟のみなさんと山大生に山口市に求めるものは何かシールアンケートを実施したところ、アミューズメント施設を、の希望も多かったのですが、「バスをワンコイン百円で乗れると嬉しい」という声が意外と多くあったのです。
山口の名所や商店街、市外の名所に行きたくてもお金がかかります。学生時代の2年間ないし4年間に県内の名所を訪れることがふえれば、山口県を好きになってもらえるチャンスはふえるのではないでしょうか。見解をお聞きします。
「ワンコイン・バス」に取り組む事業者があれば、必要な経費の一部を助成する制度を検討できないか、お尋ねします。
●京牟礼英二観光スポーツ文化部長
若者が希望を持って暮らせる県政の実現についての御質問のうち、「ワンコイン・バス」についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。
学生時代に県内の魅力的な場所を訪れる機会が増えれば、本県への愛着が深まるとは思いますが、お尋ねの「ワンコイン・バス」については、取り組む事業者があれば必要な経費の一部を助成できる制度が既にあることから、新たな助成制度を検討することは考えていません。
安心して子育てできる県政の実現について
小中学校の給食費の無償化
◎河合喜代議員
質問の第2は、安心して子育てできる県政の実現についてです。
1つは、小中学校の給食費の無償化です。
小中学校の給食費は1ヵ月約5千円余り、年間5万5千円~6万5千円です。2人いれば月1万円、年間11万円~13万円で、子育て世帯には大きな負担となっています。
岩国市、和木町は従前から実施し、萩市、阿武町は今年度から無償化に踏み切りました。下関市では物価高騰に伴う給食費の値上がりを機に、その半額以上を市が支援することを決め、保護者や市民から大変喜ばれています。市町と折半すれば約25億円の県費で実現できます。県予算のわずか0.3%です。検討頂きたいのですが、伺います。
●木村香織副教育長
教育に関するお尋ねにお答えします。
まず、安心して子育てできる県政の実現のうち、小中学校の給食費の無償化についてです。
小中学校の給食費の無償化につきましては、設置者が、実情に応じて判断するのが基本であると考えており、お示しの市町との折半も含め、現時点で、検討することは考えておりません。
◎河合喜代議員《再質問》
給食費の無償化ですけれども設置者が考えることだということでしたけれども、そんなことでいいのかっていうことですよね。
給食費を払えず肩身の狭い思いをしている保護者・子どももいるという話も聞きます。こども食堂も減るどころか増えていくばっかりです。
こうした現実をみると、小中学校の給食費を無料にすることは、政治が果たすべき責任ではないでしょうか。千葉県では第3子以降の無償化に踏み切っています。山口県でもぜひ検討されるよう重ねてお尋ねをいたします。
●木村香織副教育長
再質問にお答えします。
まず、小中学校の給食費の無償化について、県として検討すべきではないかということについてです。
先ほどお答えしましたとおり、小中学校の給食費の無償化については、設置者が実情に応じて判断するのが基本であると考えていまして、現時点、検討することは考えておりません。
医療費助成制度の18歳までの拡充を
◎河合喜代議員
2つは、医療費助成制度の18歳までの拡充です。
全国でも県内でも、子ども医療費無料化制度はどんどん拡充され、対象が高校卒業までの自治体は2市5町、中学校卒業までは8市1町、県内最低水準の小学校卒業までは下松市と防府市だけでしたが、防府市も一気に高校卒業までの対象拡大を打ち出しました。県は、県内市町が子ども医療費無料制度の拡充に取り組む理由をどのように受け止めておられますか。伺います。
県の助成制度が小学校入学前までにとどまって20年経ちます。県制度を高校卒業まで拡大すれば市町の負担は軽くなり、県内で子どもたちの医療負担に格差がなくなります。県予算の0.2%、約16億円を投じれば、県制度を18歳まで拡充できると試算していますが、間違いありませんか。子どもたちと子育て世代のために決断しませんか。見解を問います。
●國吉宏和健康福祉部長
次に、安心して子育てできる県政の実現についてのお尋ねのうち、乳幼児医療費助成制度の拡充についてお答えします。
まず、各市町による独自の取組については、それぞれの自治体が、住民ニーズなどを勘案して判断されているものと受け止めています。
次に、本県の制度については、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて助成しているものであり、将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本であると考えています。
なお、対象年齢を18歳まで拡大した場合に必要となる予算については、制度の見直しは考えていないことから、お示しの16億円で対応可能かどうかはお答えいたしかねます。
◎河合喜代議員《再質問》
医療費ですけれども、年数回、毎年山口県市長=から、県議会議長宛てに、山口県市長会議における要望決議が届けられます。
その中に、これは、この趣旨は、年数回行われる県市長会議において決議し、県知事に要望した内容の実現について、議会に対して格段な配盧を賜りたい、実現するように何とか後押ししてほしいというものです。この市長会からの要望決議の中には、毎年のようにこの医療費助成制度の県による拡充が入っておりますよね。そして、この間は強く求める、強く求めるだったものが、今年度は、令和5年度5月に出されたものは、早急に行うよう要望する。こういう緊迫感をもって市長会から要望書が出されているんです。
これは国制度が実現するまでの間でも、県制度でやってほしいということですよ。国も今少子化対策を取り組んでいるると言っているじやありませんか。遅れをとってはいけません。県が今決断すべき時ではないでしょうか。もう一度お聞きします。
●國吉宏和健康福祉部長
河合議員の再質問にお答えをさせていただきます。
まず、医療費の助成の関係でございます。国の制度でできるまで県がやるべきではないかというようなこと、拡充に向けて決断すべきではないかというようなことでございました。
繰り返しになりますけれども、本県の制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて市町に助成しているものであり、将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本であると考えております。
少子化対策につきましては、医療費の助成だけではなく、身近な場所での相談支援体制の充実、保育所の受入れ拡充などの子育て環境の整備を進めるなど、様々な支援を総合的に実施していく必要があると考えておりますので、今後ともこうした考え方のもと、国の動きを的確に把握しつつ、本県の実情に合わせた施策を組み合わせて、少子化対策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
◎河合喜代議員《再々質問》
子ども医療費無料化の問題です。持続可能な制度にすると、そのためにやらないと。制度が残っても子どもが減り続けるんじやないですか、これじや。いいんですか。本当にこの医療費の負担って大変なんですよ。子どもの。だから、国も地方も少子化対策を本気でやるのか、このことが問われているんです。もう一度聞きます。子どもの医療費の無料化の拡充18歳まで県制度でやることを、決断をするべきですが、いかがお考えですか質問いたします。
●國吉宏和健康福祉部長
河合議員の再々質問にお答えいたします。
繰り返しの答弁になりますけども、本県の制度は、国の医療保険制度を補完する、福祉医療の水準を確保することを目的として助成しているものでございまして、将来にわたって持続可能な制度とするために、現行水準を維持することが基本と考えておりますことから、制度の見直しを行うことは考えておりません。
高齢者が安心して暮せる県政の実現について
加齢性難聴者への補聴器購入助成制度
◎河合喜代議員
質問の第3は、高齢者が安心して暮せる県政の実現についてです。
1つは、加齢性難聴者への補聴器購入助成制度です。
加齢性難聴は、コミュニケーションを困難にするなど日常生活を不便にし、生活の質を落とす大きな原因となるばかりか、最近ではうつ病や認知症の危険因子になることも指摘されています。この聞こえの悪さを克服し、音や言葉を聞き取れるようにし、日常生活を快適に過ごすことができるよう補完するのが補聴器です。
しかし、補聴器は高額なため、購入をためらう方が少なくありません。補聴器が普及すれば、高齢になっても生活の質を落とさず、心身ともに健やかに過ごすことができ、認知症の予防、ひいては健康寿命の延伸、医療費の抑制にもつながると考えられています。
このため、加齢性難聴者の補聴器購入に対する補助を行う自治体も増加しており、昨年末時点で123の市区町村が助成制度をもっています。東京都は都内の自治体が助成制度をもてば、費用の半分を負担する取り組みに踏み出しました。
山口県は高齢化率の高い県です。東京都と同様の制度を実施しませんか。お尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
次に、高齢者が安心して暮らせる県政の実現についてのお尋ねのうち、まず、加齢性難聴者への補聴器購入助成制度についてお答えします。
補聴器購入に対する助成については、身体障害者手帳が交付される高度難聴者を対象に、障害者総合支援法の補装具費支給制度がありますが、一律に加齢性難聴者を対象とする同様の制度はありません。
県としては、加齢性難聴者の補聴器箏壱購入に対する公費による補助は、認知症等との因果関係に関する国の研究を踏まえ、他県の動向も参考にしながら、慎重に検討する必要があることから、現時点で新たな制度を創設することは考えていません。
医療保険料・介護保険料の引き下げを
◎河合喜代議員
2つは、医療保険料・介護保険料の引き下げです。
選挙中も、年金が削減され続け、「年金だけでは食べていかれない」との声が多く聞かれました。老後を安心して暮す土台となる年金がこれ以上減らないよう、国に対し増額を求めるべきですが、見解をお聞きします。
また、年金受給額を増やすために自治体でできることは、医療保険料や介護保険料を引き下げることです。後期高齢者医療保険料への支援、国保料の基準額の引き下げ、介護保険料への支援が政策的に求められていると考えますが、見解を問います。
さらに政府は後期高齢者医療、介護保険の自己負担のさらなる引き上げを計画しています。決して許してはならない暴挙です。認識を伺います。
また、「年金だけでは食べていかれない」との声は、国民年金の平均年金額6万から7万円で一ヵ月生活する高齢者の切実な声です。この声をどう受け止められますか。伺います。
●國吉宏和健康福祉部長
次に、医療保険料・介護保険料の引き下げについての数点のお尋ねにまとめてお答えします。
年金、後期高齢者医療、国民健康保険、介護保険など、社会保険制度については、その給付と負担のあり方を含め、国の責任において十分な議論のもと制度設計されるべきものであり、年金増額に係る国への要望や、保険料引下げへの県独自の支援は考えておりません。
新型コロナ対策について
◎河合喜代議員
質問の第4は、新型コロナ対策について伺います。
新型コロナは、5月8日を機に、5類に移行し、感染状況の把握も定点観測に代わりましたが、現状の状況をどう見ておられますか。
これから9波が来るとも言われていますが、そうした傾向が山口県でも予測されますか。その場合の規模は8波と比べてどの程度と見込まれますか。
●村岡嗣政知事
河合議員の御質問のうち、私からは、新型コロナ対策に関して、現在の感染状況及び今後の傾向と規模についてのお尋ねにお答えします。
まず、現在の感染状況についてですが、直近の6月12日から18日までの1週間の定点医療機関からの報告数は、前週をやや下回ったものの、5月8日以降、緩やかな増加傾向にあるものと認識しています。
次に、今後の傾向とその規模についてですが、国の専門家は、過去の状況等を踏まえると、この夏には、一定の感染拡大が生じる可能性があるが、その規模については、予測は難しいとの見解を示しており、本県も同様と考えています。
県民の皆様には、県がホームページ等で提供する発生報告数や、感染対策の考え方に関する情報も参考に、こまめな手洗いや十分な換気など、日常における基本的な感染対策に気を付けていただきたいと考えています。
◎河合喜代議員
医療は8波のときと同程度の体制を取るとされていますが、保健所体制はどうですか。
医療機関を受診した人は相当しんどい状況があったか、家族への感染を危惧して受診されたと思われます。その患者の追跡調査はされていますか。受診者のうち入院は何人ですか。死亡者はありましたか。
この「定点把握」の数から全体の状況が推計できますか。できるとすればどういった状況と分析されていますか。
学校や高齢者・障害者施設で拡大しています。重症化と拡大を防ぐためにも定期的なPCR検査が必要ではありませんか。
以上、それぞれについて答弁お願いします。
●國吉宏和健康福祉部長
次に、新型コロナ対策についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、保健所体制についてです。
5類変更に伴い、コロナ対応における保健所の業務にも変更があったところですが、保健所に求められる役割をしっかり果たすことができるよう、引き続き、感染状況に応じた、適正な業務執行体制を確保してまいります。
次に、医療機関への受診者の状況についてですが、5類変更に伴い、感染者の状況に関する疫学調査や健康観察は行わないこととされました。
また、県内の入院者数についてですが、医療機関からの報告数は、6月21日時点で、59人となっています。
なお、死亡者数については、これまで医療機関から県への報告により把握していましたが、今後は国において集計の上、公表されることとなっており、県として把握していません。
次に、定点把握による全体状況の推計についてです。
県が指定する67の医療機関からの報告数により、受診した新規患者数の増減傾向は把握できますが、全感染者数を推計することは困難です。
次に、高齢者。障害者施設における定期的な検査についてですが、重症化リスクが高い入所者を守るための、施設内感染症対策は重要であることから、5類変更後も従事者に対する検査を継続しています。
●木村香織副教育長
次に、新型コロナ対策についてのお尋ねのうち、学校での定期的な検査についてお答えします。
感染症法上の位置付けが変更になったことから、季節性インフルエンザなど他の疾病との公平性を踏まえ、現時点では、学校での定期的な検査は必要とは考えておりません。
◎河合喜代議員《再質問》
新型コロナ対策ですけれども、沖縄県では、もうご存知のとおり、第8波に匹敵する状況が生まれています。
沖縄県の状況を他山の石にして、学校や介護、福祉施設などの従事者にはしているということですけれども、やっぱり、持病のある方などが多いわけです。
そういう、集団生活を送る場所での大規模なPCR検査、これに踏み切ることが、感染爆発を防止するために懸命な対策ではないでしょうか。
もう一度お聞きします。やって欲しいんです。
●國吉宏和健康福祉部長
コロナの関係で、集団生活を送るような場で、大規模PCR検査を実施すべきではないかというような、お尋ねでございました。
本県では、これまでも、感染状況等に応じて、高齢者施設等への定期的な検査を実施してきたところでございまして、今後も、感染状況等を踏まえまして、必要があれば実施してまいりたいと考えております。
●木村香織副教育長
次に、学校などで、新型コロナウイルス感染症の大規模なPCR検査を実施すべきではないかというお尋ねがあったと思いますが、こちらも繰り返しとなりますけども、感染症法上の位置付けが変更になったことから、季節性インフルエンザなど他の疾病との公平性を踏まえ、現時点では、学校での検査は必要とは考えておりません。
マイナンバーカードに関わる諸問題について
マイナンバーカードへの「紐づけ」を中止すること
◎河合喜代議員
質問の第5は、マイナンバーカードに関わる諸問題についてです。
1つは、マイナンバーカードへの「紐づけ」を中止することです。
全国ではマイナンバーへの紐付けによるトラブルが毎日のように続出しています。山口県では「誤登録」や「誤交付」は今日まで確認されていませんか。
マイナンバーカードと、他の情報との紐づけ作業は、人力で行われるため、絶対に起こらないという保証はありません。いったん誤登録や誤交付があれば取り返しがつかないことになります。
いったん立ち止まり、制度の再構築、セキュリティー管理の徹底が求められていると思います。住民の情報を保護する立場にある県としても、マイナンバーカードへの「紐づけ」はいったん中止するよう国に求めるべきではありませんか。
●永富直樹総合企画部長
次に、マイナンバーカードに関する御質問のうち、マイナンバーヘの「紐付け」に関する2点のお尋ねにお答えをいたします。
まず、本県で「誤登録」や「誤交付」が確認されていないか、とのお尋ねですが、県の業務や、市町等の業務で県に報告が上がるものについては、これまでのところ、そうした事案は確認をされておりません。
次に、マイナンバーヘの「紐付け」はいったん中止するよう国に求めるべきではないか、とのお尋ねについてです。
マイナンバー制度は、デジタル社会の基盤となるものであり、国においては、マイナンバー情報総点検本部を設置し、マイナポータルで閲覧可能な全てのデータの総点検に着手され、今後、新たな誤り事案が生じないようにするための仕組みも作っていくとされておりますので、国に対し、中止を求めることは考えておりません。
健康保険証の廃止を撤回させること
◎河合喜代議員
2つは、マイナンバーカードへの「紐づけ」による健康保険証の廃止を撤回させることです。
マイナンバーカードへの保険証のひもづけに関して、県内の開業医でつくる県保険医協会のアンケートでは、「有効な資格情報が存在しない」「負担割合がわからない」などのデータ上のトラブルをはじめ、様々なトラブルが発生しています。
全国保険団体連合会の特養・老健施設等1029施設へのアンケートでは、マイナンバーカードの「申請代理には対応できない」「管理できない」が9割以上に上っています。
管理できない理由は、「責任が重い」「暗証番号の管理が困難」等として「保険証が廃止されると利用者・入所者の医療へのアクセスが困難を抱える」「施設の負担が多大となる」「トラブル・混乱を招きかねない」等の懸念を表明しています。
今国会では、マイナンバーカードで本人確認できない場合、患者の医療費窓口負担が10割になってしまう問題で、「医療機関と調整中」と答弁する場当たり的な国の対応に医療機関から「医療崩壊に繋がりかねない」との批判が上がっています。
5年ごとの更新手続きは高齢者や障害者、その家族や施設の職員にとっても大きな負担であり、これまでの保険証の「発行・交付義務」から「申請主義」への転換は「無保険者」を生み出しかねない状況を政策的につくりだし、国民皆保険制度の根幹が大きく揺らぐことになります。
従来の保険証を廃止せず、使えるようにすればトラブルもなく、何より国民の命を守ることにつながります。健康保険証の存続を国に求めるべきです。見解を問います。
●國吉宏和健康福祉部長
次に、マイナンバーカードに関わる諸問題についてのお尋ねのうち、健康保険証廃止の撤回についてです。
県では、マイナ保険証に別人の情報が紐づけられた事案の発生等を受けて、先月、国民の広い理解・信頼を得た上で、マイナンバーカードの安全・安定的な運用が図られるよう、全国知事会を通じて国に要請したところです。
こうした中、国は、健康保険証の廃止については、国民の不安払拭を前提に、丁寧に取り組むこととされており、今後、制度を所管する国において適切に対応されるものと認識しています。
◎河合喜代議員《再質問》
保険証廃止の問題です。
この問題で世論調査は共同通信社の調査でも保険証の廃止を延期・撤回を求めた人が72.1%、朝日は賛成38%、反対56%、毎日は賛成31%、反対57%と国民が保険証廃止の強行に明確なノーを示しているのではないでしょうか。読売も7日付けで保険証の廃止方針は一旦凍結し、国民の不安を払拭するのが筋だと指摘しました。
そもそも医療現場と患者には何ら責任がないのに、トラブルと負担はこの両者にかかってきているのです。県民と医療関係者を守るという観点からも、保険証は今のまま続ければ何ら問題はないわけですから、そもそもマイナンバーカードも任意の申請だと言っていたのを、これでは強制になってしまうではありませんか。この点でも保険証は存続させる。このことをぜひ国に求めていただきたい。
●國吉宏和健康福祉部長
マイナンバーカードについてでございます。健康保険証の存続を国に求めるべきではないかということでございます。
マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、国において、本人の受診履歴等に基づく質の高い医療の提供を実現するために進めることとされています。
この一体化に伴う健康保険証の廃止に当たり、国は、国民の不安払拭を前提に、丁寧に取り組むこととされていることから、国に対し、現行の健康保険証の存続を求めることは考えておりません。
センチュリー問題について
◎河合喜代議員
質問の第6は、センチュリー問題についてです。
県が2021年4月、高級車センチュリーを2090万円で購入したことの是非を問う住民訴訟で、「知事の裁量権の逸脱・濫用」と断罪した山口地裁の判決には、県民の生活実感にそった明快な判断で、行政の行き過ぎをチェックする司法の役割を果たしたものとして共感の声が寄せられました。訴訟の行方とは別に、私たち政治家はこの機会に襟をただすことが求められていると思います。
そこで提案します。①2090万円で購入したセンチュリーは直ちに処分し、売却代金は県民福祉に充てる、②県が集中管理し、副議長が使用しているセンチュリーは貴賓車として残す、③県議会が所有するクラウンも県の集中管理に移行させ、議長、副議長の送迎は、県が集中管理しているティアナとアテンザの2台とクラウンの計3台で対応する。
この提案を真摯に検討いただきたいのですが、伺います。
●道免憲司会計管理局長
センチュリー問題についてのお尋ねにお答えします。
県が保有しているセンチュリーについては、貴賓車としてだけでなく、議会での利用も前提に、知事部局において管理し、効率的に運用しているところです。
こうした運用については、先日の控訴審判決においても、その合理性が認められたところであり、県として、御提案の内容を検討する考えはありません。
◎河合喜代議員《再質問》
センチュリーですけれども、裁判は裁判。これは2090万円が適切だったかどうかということが争われています。
今、私たちに求められているのは、県民から、議長車・副議長車をセンチュリーにする必要があるのかいうことがずいぶん私は言われたわけです。県民のみなさんがそう思っているわけです。だから、こういう提案をいたしました。
テイアナとアテンザの2台で、昨年はのべ56日しか使われておりません。コロナ禍の前は2台で年間のべ100日あまり運行したとのことです。議長車、副議長車として十分活用できるのではありませんか。
できないと言われるのなら、その根拠をもう少し詳しく説明してください。
●道免憲司会計管理局長
センチュリー問題についての再質問にお答えします。
ティアナとアテンザの2台でですね、利用日数が少ないのに、十分にこれをもっと活用すべきではないか、詳しく説明をしてほしいとの御質問です。
センチュリー以外の集中管理自動車につきましては、それぞれの使用目的や運用実態を踏まえて配備をしているものでありまして、議会との共同利用は想定をしておりません。
なお、利用日数につきましては、令和4年度は、コロナ禍の影響により少なかったものの、今後、増加を見込んでいるところでございます。
県道の維持管理に関わる問題について
除草作業について
◎河合喜代議員
質問の第7は、県道の維持管理に関わる問題についてです。
1つは、除草作業についてです。
県道に草が生い茂って汚い状況が長く続いているために県民の苦情もよく耳にしますし、現実に要望をいただくこともあります。
先日は農家の方から、「田んぼに隣接する県道の法面の除草に困っている」との相談がありました。数キロにわたって除草作業が必要な農家もあります。「これまで何十年も自分たちで除草してきたが、傾斜がきつく、高齢者には危険でもうできない。しかしやらないとコメに虫がつく。自助共助にも限界がある」というものでした。
県の土地は県で必要な時期に草刈をしてほしいとの悲痛な声です。除草作業は、道路舗装と違い、すぐに伸びるため年2回は刈らなければ効果がありません。今の年間予算でその目的が達しているのでしょうか。お尋ねします。
県の「草刈、伐採、パトロール等にかかる決算額推移」を見ますと、過去5年間は全県で14億円~16億円で推移しています。国土交通省の公共工事の予定価格産出基準賃金推移は、全国・全職種平均で今年5.2%、昨年2.5%など11年連続引き上げられています。
物価高騰と人件費の高騰もあるのに、予算が同水準で推移するのでは道の景観の美化は改善されないままどころか悪化するのは当然ではないでしょうか。大幅な増額が必要です。お尋ねします。
◎片山克浩土木建築部長
県道の維持管理についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、除草作業についてです。
県では、道路の建設時から、草刈り等の維持管理も考盧した整備を行うとともに、供用開始後は、交通安全上、支障が生じるおそれのある箇所等の草刈りを重点的に実施しており、地域の団体に委託するボランティア制度も活用しながら、除草作業の効率的な実施に努めています。
◎河合喜代議員《再質問》
横断歩道と草刈りですけれども、これね私、やっぱり草刈りとか白線とかは地元の業者に仕事が落ちるんですよ。そして、県民も気持ちが良い。観光客にも喜ばれるわけですから、一挙両得、一挙三得ですよ。
これ、やっぱりね、草刈りなどの予算、ちゃんと引き上げていくということをしてほしいんです。
じやなければ、今まで通りですよ。年に1回やるのがいいところ。
●片山克浩土木建築部長
県道の草刈りに関する再質問にお答えします。
県では、道路の建設時から、将来の草刈りも考盧した整備を行うとともに、供用開始後は、交通安全上、支障が生じるおそれのある箇所等の重点実施や、ボランティア制度の活用など、工夫をしながら除草作業の効率的な実施に努めています。
県としては、引き続き、草刈りや白線の更新に必要な予算を確保した上で、地域の実情や道路状況等を踏まえながら、適切な道路の維持管理に努めてまいります。
県道の安全管理に係る予算の増額
◎河合喜代議員
2つは、県道の安全管理に係る予算の増額です。
停止線や横断歩道の線、中央線や歩道との境界線も消えているところが多く、大変危険です。慣れない道路を走るドライバーは特に不安です。
土木事務所管轄の交通安全施設整備費は過去5年間は、4億1千万円から3億6700万円に減っています。消えた白線の補修要望は多いと思いますが、対応は後手に回っています。交通量によって消えるのが早いところもあり、最近の車は白線に反応して危険を知らせるセンサーが設置されていますが、白線が消えているために役に立たないとの声も聞きます。前例にとらわれない予算の増額が必要です。お尋ねします。
●片山克浩土木建築部長
次に、停止線や横断歩道の線などについてです。
中央線や路肩の白線については、日々のパトロール等により、摩耗や剥離等の状況を把握した上で、緊急性や重要性の高い箇所から順次更新しているところです。
県としては、引き続き、草刈りや白線の更新などに必要な予算を確保した上で、地域の実情や道路状況等を踏まえながら、適切な道路の維持管理に努めてまいります。
◎河合喜代議員
県警所管の横断歩道が消えている状況も時々目にします。この補修・改修の実績は、2018年度から22年度まで毎年523ヶ所から827ヶ所、決算額は6200万円から1億200万円で前後しています。毎年150ヶ所から350ヶ所の要望が上がっています。横断歩道の白線が消えたら、用をなさず危険が増します。一刻を争う対応が必要ではありませんか。お尋ねします。
●中西章県警本部長
県道の維持管理に係るお尋ねのうち、横断歩道の補修等についてお答えいたします。
横断歩道の補修につきましては、摩耗の程度、地域住民の方からの要望、交通事故の発生状況、交通量等を総合的に勘案し、通学路など優先度の高いものから補修を行っておりますが、日々の摩耗により補修を要するものが生じるところであり、優先度はもとより、摩耗状況によって部分的に補修するなど、予算の効率的な執行によって、より多くの箇所の補修を進めているところです。
県警察としては、横断歩道をはじめとした交通安全施設の計画的な整備及び不断の見直しを行うとともに、必要な予算の確保に努めてまいります。
◎河合喜代議員《再質問》
横断歩道は市長会からも出されています。これは、やっぱり予算の抜本的な拡充が求められています。
横断歩道は大事です。ぜひ、予算を増やしていただきたい。横断歩道の白線については、補修費の増額を図るべきではないですか。
●中西章県警本部長
横断歩道の補修に関する再質問にお答えします。
県警察としては、横断歩道をはじめとした交通安全施設の計画的な整備及び不断の見直しを行うとともに、必要な予算の確保に努めてまいります。
県管理の自転車道と県道の照明設置
◎河合喜代議員
3つは、県管理の自転車道と県道の照明設置です。
自転車道と県道の照明設置について、県の方針は、「防犯灯は地元市町や自治会で設置をしてください」というものです。全ての自転車道や県道に防犯灯を設置することは困難と思いますが、交通安全と犯罪の未然防止を目的に、大学周辺や中学生や高校生の通学路となっている自転車道に限って、県が設置することは検討できないでしょうか。
●片山克浩土木建築部長
次に、県管理の自転車道と県道の照明設置についてです。
県では、道路照明施設設置基準に基づき、交通事故防止を主な目的として、信号交差点や横断歩道等に限って、照明を設置してきたところであり、道路管理者としては防犯を目的として自転車道等に照明を設置することは考えていません。
(2023年6月27日)