2023年3月10日 木佐木大助議員 討論

日本共産党県議団を代表して、討論を行います。

本定例会議に提案された58議案のうち、議案1号、15号、17号、27号、35号、36号、44号及び61号の8議案に反対し、残る50議案には賛成します。

反対する主な議案について反対理由を述べます。

2023年度一般会計当初予算について

議案第1号、2023年度一般会計当初予算についてです。

反対する理由の第1は、コロナ禍と物価高騰で苦しめられている県民の暮らしと生業への支援策が不十分なことです。

本会議でも指摘しましたが、昨年12月の物価指数は前年比5.1%増、とくに光熱費は16%も上昇しています。生活保護世帯を含む低所得者世帯にとっては死活問題です。新年度予算には物価高騰対策事業として約69億円計上されていますが、家計を直接支援する施策は全くなく、医療、介護、福祉、教育施設向けの施策の財源は国庫であり、県費が充てられるのは中小事業者向けの施策に限られています。

いまこそ、家計を直接支援する施策に取り組むべきです。

少子化・人口流出問題の防止策について

第2は、山口県の未来を見据えた時、喫緊の課題である少子化や人口流出をくい止めるための施策が乏しいことです。

若者が結婚して家庭を持ち、子どもを望む家庭では産み、育てていく。以前は当たり前だったことが、儲け最優先で働くものを犠牲にする新自由主義経済によって、困難になっています。

こんな時にこそ、住民福祉の増進をいの一番の仕事とする地方自治体の出番です。県内19市町は、住民のニーズに応えて、子ども医療費助成制度の拡充に取り組み、新年度予算では、下関市が10月から対象年齢を通院は中学校卒業まで、入院は高校卒業まで広げました。上関、田布施、平生3町も対象年齢を高校卒業まで拡充します。

ところが県は、新年度も対象年齢は小学校未就学児、所得制限、一部負担金あり、という水準に固執されました。対象年齢は18年間据え置き、一部負担金導入という改悪まで行っています。

本会議での質疑で、県が制度の拡充を拒むのは「お金がない訳ではない」旨の答弁もありました。市町が拡充しているのは「住民のニーズ等を踏まえたもの」とも言われました。お金はあり、住民ニーズもあることを知りながら、やらない理由ばかり繰り返す県の対応には怒りさえ覚えます。

こんな理不尽な県の姿勢を変えるため、県政与党のみなさんも、ぜひ声を上げて頂くよう要望します。

小中学校の給食費無償化も、県内では岩国市、萩市、和木町に続き、阿武町が新年度からの無償化を発表しました。下関市も半額助成に踏み切ります。給食費無償化について県教委は「現時点、考えていない」と答弁されました。将来には含みを持たせたものとして理解するものです。

不要不急の大型公共事業、大企業への過度の支援について

第3は、一方で、不要不急の大型公共事業、大企業への過度の支援が目立つことです。

新年度予算には、往時より減少したとはいえ、886億円の投資的経費が計上されています。大半は道路や橋梁、港湾、河川の維持管理、防災対策など必要な事業ですが、橋梁部だけで3500億円を要し、アクセス道路などを含めれば5000億円超の事業費が見込まれる下関北九州道路や、400億円以上の木屋川ダム嵩上げ事業など、不要不急の事業も含まれています。

こうした理由をもって、新年度一般会計当初予算に反対します。

議案第44号、2022年度一般会計補正予算についてです。

歳出では、民生費が約33億円、衛生費が約69億円と健康福祉部所管だけで103億円の減額です。教育費も25億円の減額です。金額だけに目を向ければ、子ども医療費助成制度や少人数学級の拡充、教職員の多忙化改善などの施策に使えていたものであり、容認できません。

また、本補正では、県税収入の上振れ分、127億円などを活用して、後に触れる4つの基金に計200億円が積立てられました。基金に積立てるのではなく、新年度の一般行政経費として使われるべきものであり、容認できません。

議案第27号は、資金積立基金条例の一部を改正する条例です。

2022年度決算資料によると、県は財政調整基金など24の基金を持ち、合わせて約517億円の積立金等を保有しています。

本条例は、新たに「安心・安全基盤強化」、「デジタル実装推進」、「脱炭素社会実現」、「活性化・県民活力創出」、「退職手当」の5つの基金を設けるものです。

このうち定年延長などで、将来に渡り必要不可欠の退職手当の支給に必要な財源を確保するための「退職手当基金」を設けることには賛成しますが、残り4つの基金を設けることには反対します。

地方自治法第241条第3項は、「基金のうち、特定目的のために財産を取得し、又は基金を積み立てるための基金は、当該目的のためでなければ処分できない」としています。

提案された新たな基金のうち、「退職手当基金」を除く4基金の設置目的は、どれも曖昧です。一例をあげると、「安心・安全基盤強化基金」の目的は「県民生活における安心及び安全を確保するための基盤の強化を図ること」とありますが、解釈によっては、何にでも使え、わざわざ「特定目的」の基金をつくる必要性はありません。

貴重な財源を目的が曖昧な基金に積立てられることで、一般行政経費が圧迫されることも考えられます。よって、本条例には反対します。

議案第35号、工業用水道条例の一部を改正する条例は、各工業用水道の基本料金は原価償却が進むため値下げする一方、使用料金は電気料金の値上げなどに対応して値上げするものです。

工業用水道事業会計は、大量の未稼働水、未事業水などを抱え、これまでも一般会計から多額の財政支援を受けてきました。過去には経営立て直しのため、ユーザー企業から「協力金」を徴収した時期もあります。いまでも県の工業用水の単価は全国で●番目に安価です。大企業に限って「協力金」を徴収することなども検討すべきことを求め、反対します。

議案第36号は、学校職員定数条例の一部を改正する条例です。新年度から小中高校、中等学校、特別支援学校の教職員を119人減らすものです。

教育委員会の当初予算案に計上された給与関係費は、新年度は1003億円、2019年度と比較すると155億円も減額されています。教職員定数はこの5年間で、小学校173人、中学校118人、高等学校178人、中等学校2人、特別支援学校22人、計493人も減らされることになります。

今、教育現場では、いじめや不登校、暴力などの「問題行動」が増加し、教職員の多忙化も深刻化するばかりです。

こうした影響もあり、新年度は、臨時的任用教員の確保が困難を極め、県民要望に応え、全国に先駆けて実現した小中学校の35人以下学級の一角が崩れる危機的状況に直面しています。

こうした元での、さらなる教職員定数の削減は許されません。県費での採用なども含め、教職員の増員に取り組まれることを強く要望します。

議案第61号 2022年度の建設事業に要する市町負担金について

最後に、議案第61号、2022年度の建設事業に要する市町負担金についてです。

今年度も38事業について、19市町から計34億円の負担金を徴収します。

県内の全19市町が、子育て世帯の強い要望に応えて、子どもの医療費助成制度を大幅に拡充しています。本来、県が責任を負うべき財政負担を肩がわりしているのです。せめて、建設事業に要する経費の一部を市町に負担させる制度は廃止して、市町の財政を側面支援すべきであり、本議案には反対します。

次に、請願第1号を不採択とする総務委員会の委員長報告についてです。

同請願は、霊感商法や高額献金によって、信者やその家族への深刻な人権侵害を引き起こしてきた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)が、国政でも、地方政治でも、政治家と癒着を強めてきたことを告発し、全ての議員が旧統一教会との関係を断絶するため、①県議会議員一人ひとりが、自らの責任において、説明責任を果たすなど、関係を精査し、対応すること、②県議会として、各議員に対応を促すこと、の決議の採択を求めるものです。

旧統一教会によって、人生を滅茶苦茶にされた元信者や、その2世の方々の心情を思えば、至極当然な内容であり、不採択とすることは、山口県議会の良識が疑われることになります。どうか、同請願が採択されるよう協力を呼びかけるものです。

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