「G7首脳広島ビジョン」への認識について
◎木佐木大助議員
日本共産党の木佐木大助です。通告に従い、一般質問を行います。
質問の第1は,知事の政治姿勢についてです。
G7広島サミットで出された「核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン」への認識を伺います。
今回のサミットは、開催地が広島であることから、内外から核兵器廃絶への前向きのメッセージを期待する声が寄せられましたが、「広島ビジョン」はそれを真っ向から裏切るものとなりました。
第1に「広島ビジョン」は、「核兵器のない世界」を、と言葉ではのべていますが、それは「究極の目標」と位置づけられ、永久に先送りされています。
何より重大なことは、核兵器は「侵略を抑止し、戦争と威圧を防止する」と、「核抑止力」論を公然と宣言していることです。
「核抑止力」論は、いざという時は、核兵器を使用し、広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こすことをためらわない議論です。こうした立場を被爆地から発信したことは、被爆者と被爆地を愚弄するものであり、決して許されないものと考えますが、伺います。
第2に「広島ビジョン」は、核兵器そのものが非人道的な兵器であるという批判や告発は一言ものべられていない上、核兵器禁止条約には一言の言及もなく、世界で90を超える諸国が署名しているこの国際条約が、あたかも世界に存在しないかのような態度をとっています。
被爆地から核兵器に固執する宣言を行ったことは、恥ずべきことです。見解を問います。
第3に、こうした恥ずべき宣言を発表した議長国・日本の岸田首相の責任が、厳しく問われています。被爆者をはじめ市民社会、世界の多くの各国政府が求めているのは、核兵器の禁止・廃絶です。
日本政府に、「核抑止力」論ときっぱりと決別し、核兵器禁止条約に参加することを強く求めるべきです。伺います。
●村岡嗣政知事
私からはG7広島ビジョンについての3点のお尋ねにまとめてお答えします。
このたびのG7広島サミットでは、現下の国際情勢の中で、平和の誓いの象徴である広島の地に各国首脳が集い、被爆の実相に触れていただき、「核兵器のない世界」に向けて議論されたところです。
お示しの「広島ビジョン」については、全ての者にとっての安全が損なわれない形での「核兵器のない世界」の実現に向けたコミットメントを再確認され、核軍縮に特に焦点を当てた初のG7首脳文書として発出されたものであり、大きな意義があったものと考えています。
また、核兵器禁止条約については、国は、条約への参加という手段によらず、核兵器廃絶に向けた取組を進めるとしていることから、県としては、国に対して条約への参加を求めることは考えていません。
私は、核兵器の廃絶自体は、これを強く願っているところですが、そのための手法については、国の専管事項である安全保障とも密接に関わることから、国民の命と平和な暮らしを守る観点で、国において、しっかり検討を進めていただきたいと考えています。
◎木佐木大助議員《再質問》
「広島ビジョン」についてです。
この、「広島ビジョン」の最大の問題は、核兵器禁止条約を完全に無視するだけではなくて、G7各国の核兵器は防衛目的のための役割を果たし、侵略を抑止するものだと、核保有と核抑止の正当化までしていることであります。
よくもこんな声明を、あの原爆ドームと記念碑の前で言えたものだと思っています。
何よりこの声明には、ヒバクシャという言葉が一言もありません。
岸田首相は一体、何を学び、何を感じたのでしょうか。
ノーベル平和賞を受賞したICANのサーロー節子さんが、「日本政府に裏切られた。広島サミットは失敗だった」、こういうふうに言われたのは当然であります。
78年前、広島の警察官だった私のおじきは、あの8月6日、原爆が落ちたその直後、ドロドロになりながら罹災証明を発行しなくてはいけない、いうふうに警察署を飛び出して、そのまま行方不明になり、未だに骨すら見つかっていません。
私の母と祖父母は、そのおじきを探しに、呉から広島入りして、入市被爆をいたしました。
私は被爆二世であります。
幼少期は毎年、広島県警主催の慰霊祭に祖父母と一緒に参加をしていました。長じては原水禁世界大会でありましたが、広島県警の、あの慰霊祭、爆心地から2キロ以内であります。
それだけに、ヒバクシャへのリスペクトさえない、「広島ビジョン」は、絶対に許すことはできません。
核抑止力を公然と擁護して、核保有国の代弁者になる、唯一の戦争被爆国の、この日本から、こうした卑屈な立場で、知事が言われる「核廃絶は喫緊の課題」これが実現できるでしょうか、改めて伺います。
●藤田昭弘環境生活部長
G7広島ビジョンに関する再質問にお答えします。
木佐木議員から数点ご指摘がありましたが、核兵器の廃絶についての県の認識を改めて申し上げます。
県としては、核兵器を廃絶し、世界の恒久平和を実現することは、唯一の被爆国である我が国はもとより、人類に共通する課題であると認識しています。
また、核抑止力を正当化するのかとか、擁護するのかと、いうようなご指摘もありましたが、先ほど知事が答弁いたしましたように、核兵器の廃絶自体は、これを強く願っているところですが、「核兵器のない世界」に向かっていくための手法については、国の専管事項である安全保障とも密接に関わることから、国において、しっかり検討を進めていただきたいと考えています。
上関原発問題について
原発推進等5法について
◎木佐木大助議員
質問の第2は、上関原発問題についてです。
1つは、原発推進等5法についてです。
福島第1原発事故から12年余りが経過しましたが、事故も被害も続いています。第1原発の施設そのものも原子炉内の深刻な実態などがあらわとなり、事故収束さえ見通せない中、原発推進等5法(GX脱炭素電源法)が5月31日の参院本会議で自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党などの賛成多数で可決、成立させられました。
同5法は、電力の安定供給と脱炭素を口実に、原発の活用を「国の責務」として原子力基本法に明記しました。既設原発の活用にとどまらず、新たな原発建設を含め将来にわたり日本を原発に縛り付けるもので、福島原発事故以来の「原発依存度の低減」という建前を投げ捨て、原発回帰に舵を切る明らかな変質です。
2月議会の際、政府が閣議決定したGX実現に向けた基本方針への認識を質したのに対し、県は「『第6次エネルギー基本計画の方針の範囲内のものである』と明記されており、県としてもそのように受け止めている」と答弁されましたが、原発の活用を「国の責務」とする原発推進5法は、「可能な限り原発依存度を低減する」とした現エネルギー基本計画すら逸脱するものではありませんか。伺います。断じて容認できませんが、県の見解を問います。
●鈴森和則産業労働部理事
原発推進等5法についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。
お示しのように5月に成立したGⅩ脱炭素電源法は、「GⅩ実現に向けた基本方針」に基づき、地域と共生した再エネの最大限の導入促進、安全確保を大前提とした原子力の活用に向け、5つの関連法を改正するものと認識しています。
国の第6次エネルギー基本計画では、原子力について、「安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく」こと、「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」ことを掲げています。
そして「GⅩ実現に向けた基本方針」では、今回示す方策は全て、第6次エネルギー基本計画の方針の範囲内のものであると明記しており、当該基本方針に基づき制定されたGⅩ脱炭素電源法についても、同じと理解しています。
エネルギー政策は国家運営の基本であることから、GⅩ脱炭素電源法の制定を含め、エネルギーとして原子力をどう利用するかは、安全性・信頼性の確保を大前提に、国の責任で判断すべきものと考えています。
◎木佐木大助議員《再質問》
国のエネルギー政策であります。
予想通り第6次エネルギー基本計画の方針の範囲内という答弁でした。それでは改めてお聞きしますが、県は現在も原発については「可能な限り依存度を軽減すべき」との理解なのでしょうか。お尋ねします。
また、既存原発を事実上70年以上稼働させるなど「原発回帰」については、懐疑的な立場をもたれているのでしょうか、この2点伺います。
●鈴森和則産業労働部理事
上関原発問題に関し、原発推進等5法についての再質問にまとめてお答えします。
先ほど御答弁いたしましたけれども、国の第6次エネルギー基本計画では、原子力について、「安全性の確保を大前提に、必要な規模を持続的に活用していく」こと、「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」としています。
また、原発の運転期間については、GⅩ脱炭素電源法により、最長で60年に制限するという現行の枠組みは維持した上で、事業者が予見し難い事由による停止期間に限り、60年の運転期間のカウントから除外するとされたものと承知しています。
いずれにしましても、エネルギーとして、原子力をどのように利用するかについては、安全性、信頼性の確保を大前提に、エネルギー政策を所管する国の責任において判断されるべきものであり、お尋ねの原発依存度や原発回帰のような事柄について、県として特に何か独自に見解を述べるということは考えていません。
中国電力の経営姿勢について
◎木佐木大助議員
2つは、中国電力の経営姿勢についてです。
中国電力を含む大手電力7社が国に申請していた電気料金の値上げが5月16日、了承され、中国電力によると、使用量が平均的な家庭の「規制料金」は6月から1667円の値上げとなります。
昨年来、指摘してきたように中国電力は、関西電力とカルテルを結び、公正な競争を阻害したことにより、公正取引委員会から707億円の課徴金支払いを命ぜられました。近く経済産業省から業務改善命令も発せられる予定です。
不正続きの中国電力が県民の家計に耐えがたい重荷を負わせることは許されません。中国電力は、巨額の課徴金について「電気料金に反映させることはない」と説明していますが、根拠は説明されていますか。伺います。
料金値上げについては2月議会の答弁で「住民の理解を得られるよう適切に対応してもらいたい」と答弁されましたが、理解は得られたとお考えですか。今からでも料金値上げの再考を求めるべきです。それぞれについて答弁を求めます。
●鈴森和則産業労働部理事
中国電力の経営姿勢についての3点のお尋ねにお答えします。
まず、課徴金を電気料金に反映していないことの根拠についてです。
今回、中国電力の規制料金値上げを認可した国は、課徴金が料金の原価に含まれていないことを確認済みであるとしています。
次に、料金値上げに係る住民の理解についてです。
中国電力は、このたびの料金見直しの内容について、ホームページや検針時に配布するお知らせ、専用フリーダイヤル等により、お客様に丁寧に説明をしていくとしています。
県は、電気事業法上の監督権限を有しないことから、料金値上げに係る住民の理解について判断する立場にありませんが、中国電力には、引き続き適切に対応していただきたいと考えています。
最後に、料金値上げの再考についてです。
今回の料金値上げは、電気事業法に基づき、国において、厳格な審査を経て認可されたものであり、県として、料金値上げの再考を求める考えはありません。
◎木佐木大助議員《再質問》
中国電力そのものについて伺います。
中電株の配当金は、昨年度当初約17億円計上していますが、707億円課徴金の支払いなどで1300億円の損失を出した影響で、5億円に減りました。
今年度当初予算に計上された配当金はゼロであります。中電株は県民の共有財産です。中国電力自らの不祥事により17億円の共有財産が失われていることをどう認識しているのか伺います。
中国電力がカルテルを結び、公正取引委員会から処分された問題で、知事は3月30日、「電気事業に対する県民の信頼を大きく損なうものであり、大変遺憾である」こうコメントをされていました。にもかかわらず、一昨日開かれた中電株主総会では、これまでどおり、所有する3400万株の議決権を中国電力側に白紙委任して、中電の経営方針にもろ手を挙げて賛成するという対応を続けられました。
中国電力の不祥事を免罪するのと同様ではありませんか、お尋ねします。せめて棄権するという選択肢は検討されなかったのか、この点も伺います。
●松岡正憲総務部長
数点の再質問にお答えします。まず中国電力の関係でございます。一昨日の株主総会を棄権するという選択肢は検討しなかったのかとのお尋ねです。
棄権につきましては、大株主である県の行動が中国電力の信用や経営に影響を及ぼす恐れがありますことから、例年、議決権の行使書を白紙で提出しているところでありまして、一昨日の株主総会においても同様に対応したところでございます。
それから17億円の歳入の認識というところでございました。
中国電力株の配当につきましては、令和5年度当初予算編成時には、無配を見込んでおりました。こうした中、5月23日に中国電力が、令和6年の3月期通期の配当予想を未定から年間10円に修正したところでございます。
当該予想に基づけば、今年度は1.7億円の配当収入が見込まれることとなるというふうに考えております。今後とも当年度の利益の範囲内で配当を実施する方針ということでございますので、本県の貴重な財源として期待できますことから、引き続き保有していくことが最も適当というふうに考えております。
米軍岩国基地について
空母艦載機による訓練について
◎木佐木大助議員
質問の第3は、米軍岩国基地についてです。
1つは、空母艦載機による訓練についてです。
米空母ロナルド・レーガンの艦載機によるFCLPやCQという訓練は、今年も5月9日から29日までの間で実施されました。2020年から22年は硫黄島及び付近の洋上で所要の訓練が完了されましたが、今年はCQが九州沖で実施されたため、訓練終了後、深夜に岩国基地に帰還する航空機による騒音が住民生活に少なからず影響を与えました。
この間、CQについては、岩国基地に帰還せず硫黄島付近の洋上で実施するよう求めてきた県や市の要請が無視されたことに抗議すべきですが、今後も含め、どう対処されるのかお尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
空母艦載機による訓練についての4点のお尋ねにお答えします。
まず、県や市の要請が無視されたことに抗議すべきだが、今後も含め、どう対処するのかとのお尋ねについてです。
CQを含めた米軍機による訓練については、国の専管事項である外交・防衛政策の一環として行われるものであり、地方自治体として、その是非を論ずる立場にはなく、今回のCQが九州沖の洋上の空母で実施されたことに対して、抗議することは考えていません。
しかしながら、基地周辺住民の生活への影響の観点から、硫黄島付近の洋上でCQを実施するよう求めていきたいと考えており、今後とも、地元市町と連携して、適切に対応してまいります。
◎木佐木大助議員
今回のFCLPについては、5月19日、「住民投票を力にする会」が岩国市に対し、「16日、E2Ⅾ早期警戒機がFCLPに使う装置を滑走路に置いて離着陸を繰り返し、夜間は3機が約1時間で40回訓練した」と指摘し「夜間離着陸訓練であることは明らかであり、認めることはできない」と抗議しました。
岩国市は「国を通じて『通常の訓練の一環』と米軍から回答があり、そのように受け止めている」と回答しました。県も同様の認識なのか、お尋ねします。
艦載機の全ては空母出港前のFCLPが義務づけられています。岩国基地におけるE2Ⅾの離発着がFCLPでないのなら、同機が硫黄島でFCLPを実施したことは確認されているのでしょうか。お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
次に、E2Dが5月16日に岩国基地で行った訓練に対する県の認識についてです。
国に照会したところ、岩国市と同様の回答を得ており、県においても、通常の訓練の一環であると認識しています。
次に、硫黄島でのFCLPの実施についてです。
国に照会したところ、E2DのFCLPは、硫黄島において実施されたとの回答を得ています。
◎木佐木大助議員
また、「FCLPは、岩国基地を使用することなく」と要請する一方で、低騒音機によるFCLPは容認する、かのような曖昧な対応はやめ、岩国基地では、「あらゆるFCLPは許さない」と毅然と対応すべきですが、お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
次に、岩国基地でのFCLPへの対応についてです。
県では、これまでも、基地問題に対する基本姿勢の1つとして、「NLPなど、激しい騒音被害をもたらす離着陸訓練の実施は認められない」という考えで対応しており、今後とも、この基本姿勢により、適切に対応してまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
米軍岩国基地について伺います。空母艦載機による着艦訓練、夜間に艦載機が1時間で40回訓練しているのに自ら検証もせず、「通常の訓練の一環」という米軍の言い分を鵜吞みにして、「夜間離着陸訓練ではない」と問題視もしない。
県民の命、暮らしよりも米軍、国への忖度を優先する、これこそ屈辱的で、対米従属の極み、こうした対応をいつまで続けられるのかお尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
米軍岩国基地に関する数点の再質問にお答えします。
まず、E2Dの離着陸訓練についてです。離着陸訓練について自ら検証もせず、問題視していないというのが最初にあったかと思います。今回の訓練については、県や岩国市の騒音測定器により分析したところ、当該時間にプロペラ機の騒音は確認しておらず、また、県や市に騒音の苦情電話もないことから、県市間で協議の上、基地周辺住民への影響は少なかったものと考え、問題視しないことにいたしました。
県民の命、暮らしよりも米軍、国への忖度を優先しているのではないかというお尋ねでしたが、県としては、基地周辺住民の安全で平穏な生活を確保する立場から、「激しい騒音被害をもたらす離着陸訓練は認められない」との考えで対応しており、今後とも、基地周辺住民に大きな影響が及ぶなど問題がある場合には、地元市町と連携して、国や米側に必要な対応を求めてまいります。
燃料タンク等の機能強化について
◎木佐木大助議員
2つは、燃料タンク等の機能強化についてです。
昨年12月議会で指摘した米国防総省の「2023年度予算概算」に盛り込まれている岩国基地の「燃料タンク5倍化計画」は、想定事業費119億円という巨大な事業で、昨年8月に設計が完了、今年8月には契約締結し、12月に着工、25年12月の建設完了予定とされています。県は「国に情報提供を求めている」との説明を繰り返しますが、現時点で回答はありましたか、お尋ねします。
同文書では、「不測の事態の要件を満たすため」に燃料貯蔵量を5倍に増強する必要があると説明していますが、米側がいう「不測の事態」とは何か、国や米軍に問いただす必要があると考えますが、伺います。
いずれにしても、岩国基地が現在の3~5倍の航空機の運用が可能な機能をもつ基地になることは明らかな機能強化ではあり、看過できません。お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
国に対し、燃料タンクの整備の有無などの事実関係を照会しておりますが、具体的な内容に関する情報は得られていません。
県としては、引き続き、情報収集に努め、地元市町と連携しながら、適切に対応してまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
米軍の大規模演習「ノーザン・エッジ」が7月2日から21日にかけて実施されるのに伴い、岩国基地には米軍三沢基地、嘉手納基地、両基地の米空軍機24機が展開することが27日に明らかにされました。
「ノーザン・エッジ」は2年に1回、実施されてきましたが、岩国基地が使用されるのは初めてではありませんか。岩国基地が使用される理由について説明があったのでしょうか。併せてお答えください。
●近藤和彦総務部理事
日米共同訓練の「ノーザン・エッジ」についての数点の御質問です。
まず、岩国基地が使用されるのは初めてではないかということですけれども、岩国基地での実施は初めてです。
岩国基地が使われる理由についての説明があったのかということですけれども、国からは、岩国基地を使用する理由として、「岩国基地に所在する部隊と連携しながら、日本の防衛及び東アジアの平和と安定のため、米軍の練度と即応性を向上させるための訓練を行うため、岩国基地を使用する。」との説明があったところです。
◎木佐木大助議員《再質問》
演習期間中、土日及び深夜に離着陸が行われる可能性もあります。県としてどう対応されるのか伺います。
●近藤和彦総務部理事
次に、演習期間中の土日及び深夜の離着陸への懸念のお尋ねです。
国からは「展開する米軍戦闘機について、土日及び深夜の飛行訓練を控えるよう申し入れをしている。」とのことで、「今般の一時展開による地元への影響が最小限となるよう引き続き努めてまいります。」との説明を受けており、今後、地元市町と連携し、航空機の運用状況の把握に努め、問題があれば、国や米側に必要な対応を求めてまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
従来、岩国基地は海兵隊基地であったが、近年、空軍機の一時的な駐留や海軍の大型艦船の入港が相次いでいます。米4軍の拠点基地となりつつあります。国から何等かの説明がされているのか。伺います。
海兵隊の機能に加えて、空軍、海軍の機能が加わることは、だれが考えても、「機能強化」そのものであります。見解を伺います。
●近藤和彦総務部理事
米4軍の拠点基地となりつつあるが、国から何らかの説明をされているのかということですけれども、国からは米4軍の拠点基地となりつつあるという説明はありません。
海兵隊の機能に加えて、空軍、海軍の機能が加って、「機能強化」そのものだとの見解ですが、これまでも答弁しておりますけれども、軍事面での質的な変更など、軍事的な機能に関する問題は、地方自治体として、これを判断することはできないものです。
◎木佐木大助議員《再質問》
こうした岩国基地の「機能強化」こそ、燃料タンク等の5倍化が必要となった要因だと考えます。8月にも入札が行われる大事業であります。地元自治体に何の説明もないまま、事業が進められることは容認できません。見解をお尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
燃料タンクの計画についての2点のお尋ねがあったと思います。
まず、地元自治体に何の説明もないまま、事業が進められることは容認できないが見解を尋ねるというところですけれども、燃料タンクの建設については、国において、引き続き、米側に照会中であります。
米軍工事につきましては、「米軍施設・区域の周辺の公共の安全又は民公有財産の保全に何らかの影響を及ぼすおそれがある場合は、事前に米側から日本側に通報されること」とされており、国からは、米側から新たな情報が得られたら、関係自治体に提供するとの回答を得ていますので、繰り返しになりますけれども、引き続き、情報収集に努め、地元市町と連携しながら、適切に対応してまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
「不測の事態」の中身も分からなくてどうやって県民の安全を守るつもりか。自民党さんがしきりに日米同盟、日米同盟といいますが、その実態がこれであります。かつての満州国のようではないですか。主権国家の自治体として、国や米側に問いただす必要どころか、地方自治体としての責務があると考えますが伺います。
●近藤和彦総務部理事
次に、タンクの関係で、不測の事態の中身も分からなくて、どうやって県民の安全を守るのか、日米同盟との関係で国や米側に問いただす必要というようなお尋ねがあったと思いますけれども、これは国からの一般論としての回答を得たことがありますが、「一般論として、米国が日米安保条約上の義務を果たすため、あらゆる事態に対応するための後方支援基盤をしっかり整えておくことは重要である。」との認識を国から示されております。
米兵犯罪について
◎木佐木大助議員
3つは、米兵犯罪についてです。
近年、岩国基地所属の米兵・軍属による犯罪が続発しています。県は事件が発覚するたびに再発防止を要請されていますが、目に見える効果はないようです。米側はどのような再発防止策を講じているのか、お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
米側の再発防止策についてです。
国を通じて米側に照会したところ、「公務中も、公務外であっても、安全で適切な行動をとるよう、日本で生活するうえで守るべきルールについて、定期的に教育を行っている」、「事件から得られた教訓は基地全体に共有され、次の講習時に反映される」などの回答を得ているところです。
◎木佐木大助議員
高良鉄美参院議員による「在日米軍人・軍属等による事件、事故に関する質問主意書」への答弁書によると、2022年中に警察が検挙した米軍人や軍属等の検挙件数は、資料1の通りです。
まず、この件数に相違ないか、県警本部長にお尋ねします。
この検挙件数が、各都県の米軍関係者の居住者数に占める割合を見ると、山口、広島両県の数字は特異に高い水準です。居住者数は10年前から非公表となっているので、岩国基地をかかえる山口県の居住者数は増えていますから、若干は下がると思いますが、やはり異常です。
この実態をどうお考えですが、お尋ねします。
●中西県警本部長
まず、議員お示しの資料に記載された検挙件数についてのお尋ねですが、その数字に相違はございません。
次に、県内の米軍人等の居住者数については、現在公表されていないものと承知しており、したがいまして、県内における米軍人等の居住者数に占める検挙件数の割合やその評価について、お答えすることは困難であると考えています。
いずれにいたしましても、県警察としては米軍犯罪のみならず、各種犯罪を認知した場合には、法と証拠に基づき、厳正かつ適正に捜査を行ってまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
米兵犯罪について伺います。
山口県警が「法と証拠」に基づいて、身体を張って頑張っていることに心から敬意を表します。
しかし、「その法」の上に「日米地位協定」があり、さらにその上に「日米同盟」、「日米安保条約」が圧し掛かっているのが現状であります。
ドイツやイタリアのように同じ敗戦国であっても「国内法が優先する」、当たり前の主権国家・日本。一刻も早く卑屈な対米従属をやめていく必要があると痛感しています。そのうえでお尋ねします。
米軍関係者居住者に対する検挙件数の割合は、ちょうど、10年前から居住者数が非公表になったため、現状を正確に反映していませんが、艦載機移駐等に伴う米軍関係者居住者、約4130人を加えて計算をしてみると、沖縄県を上回っています。
米軍人等の犯罪防止策の一つにリバティ制度があります。深夜外出や飲酒の禁止であります。内容は、状況によって変更されますが、現在のところ、三等軍曹以下の隊員は、午前1時から午前5時までの外出の規制、午前0時から午前5時までの基地外での飲酒の禁止などが定められているようであります。
しかし、飲酒に伴う不祥事が続いています。規制の強化を求めるべきと考えますが、改めてお尋ねする。
●近藤和彦総務部理事
米兵犯罪に関して、リバティ制度のお尋ねでございます。飲酒に伴う不祥事が続いているが、規制の強化を求めるべきであるということに対する御質問ですけれども、飲酒による不祥事ですけれども、リバティ制度は、昨年末に変更されており、実効性のある事件防止対策になっているかよく分析して、対応を検討していく必要があると考えております。
◎木佐木大助議員
昨年12月、岩国市内の店舗で車を盗み、その車で追突事故を起こしたうえ逃走したとして窃盗などの罪に問われた海兵隊員に対し、山口地裁岩国支部は今月16日、懲役2年6カ月、執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。
しかし、事故で損壊した時価530万円の車の弁償は行われていません。
米兵・軍属等が不法な行為を公務外で行ったことから生じる請求権については、日米地位協定に基づき、被害者から補償金の請求を受けた場合は、被害者に対して速やかな補償がなされるよう努めることが求められています。
県としても、一刻も早い補償を実現するため、最大限の支援が求められますが、今後、県はどう対応されるのか、お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
被害者への補償に対する県の今後の対応についてです。
県では、地元2市2町とで構成する基地関係県市町連絡協議会において、お尋ねのような事件や事故が発生した場合の被害者への損害賠償について、迅速かつ誠意をもって対応するよう、国に要請しており、引き続き、地元市町と連携しながら対応してまいります。
自衛隊基地について
敵基地攻撃能力の保有について
◎木佐木大助議員
質問の第4は、自衛隊基地についてです。
1つは、敵基地攻撃能力の保有についてです。
政府は、敵基地攻撃能力を持つことが、相手国に対する「抑止力」となって、日本が守られる、と説明し、県も同様の認識をお持ちのようですが、「抑止力」とは、相手国に「脅威」を与える、つまり手を出したらひどい目にあわせるぞ、という威嚇・脅威によって、相手の攻撃を思いとどませることに他なりません。先制攻撃の容認が前提とされる危険極まりない戦略です。
先制攻撃を行なえば、相手国から反撃を受けることは必至であり、どのような攻撃を受けても継戦能力を維持するための方策こそ「自衛隊施設の強靭化」ではありませんか。伺います。
●松岡正憲総務部長
敵基地攻撃能力の保有についてのお尋ねですが、国家安全保障戦略では、反撃能力については、「武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する先制攻撃は許されない」とされていると承知しています。
お尋ねの防衛体制の内容や考え方は、国の専管事項である防衛政策に関する事柄であることから、県として、見解を申し述べる立場にはありません。
◎木佐木大助議員《再々質問》
自衛隊基地問題については、敵基地攻撃能力の保有、そもそもこれは先制攻撃の容認が前提とされる危険極まりない戦略、その点では、国連憲章にも、日本国憲法にも違反しているものだと考えますが、この点を伺います。
●松岡正憲総務部長
敵基地攻撃能力に関する再々質問にお答えをいたします。敵基地攻撃能力の保有に関する認識というお尋ねでございましたけども、先ほどもご答弁いたしましたけども、防衛体制の内容や考え方につきましては、国の専管事項である防衛政策に関する事柄でありますので、県として、見解を申し述べる立場にはありません。
県内7施設の強靭化について
◎木佐木大助議員
2つは、その具現化としての県内7施設の強靭化についてです。
自衛隊施設の強靭化については、2月議会で藤本議員が、その目的などを取り上げた際、県は、「国の資料によると、既存施設の更新や自然災害対策、新規装備品の導入など」と答弁されました。
しかし、さきの通常国会において浜田防衛相は、「自衛隊が保有する施設について、施設の機能や重要度に応じ、化学、生物、放射性物質、核など、いわゆるCBRNEを含む各種脅威に対する防護性能を付与することとしている」と明確に答弁しています。
また、資料2_1と2_2の通り、防衛省整備計画局作成の資料にも「CBRNeに対する防護性能の付与」と明記されており、「自衛隊施設の強靭化」を、単なる「既存施設の更新や自然災害対策、新規装備品の導入」と矮小化することは明らかな誤りです。
今年度防衛省予算には、自衛隊施設の強靭化のため総額5049億円計上され、資料3の通り、県内の7施設では計約34億円が投じられます。
どの施設に「CBRNEを含む各種脅威に対する防護性能を付与する」のか、は定かにされていませんが、どの施設も可能性はゼロではない、ということです。
先般、中国四国防衛局を訪ね、レクチャーを受けたところ、各施設での事業内容については、「防衛省本省で検討されており、詳細は本省に問い合わせしてほしい」との説明で、地元自治体が説明を求めた場合の対応については、「大規模なものなど事業の内容によっては必要かも知れない」と話されました。
身近にある自衛隊施設が、化学、生物、放射性物質、核など、いわゆるCBRNEを含む各種脅威に対する防護性能を付与される対象になれば、周辺の住民のみなさんは不安にかられます。
今後、県内7施設での強靭化の事業内容を把握し、国に説明会などの開催など、住民不安の解消に取り組む必要があると考えますが、お尋ねします。
●松岡正憲総務部長
県としては、自衛隊施設の強靭化については、国の防衛政策に関する事柄であり、あくまでも国の責任において、適切に対応していただきたいと考えていますが、地元自治体から具体的な事業内容について説明の要請があれば、国に対し連携して対応してまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
自衛隊基地についてですが、防衛省が自衛隊の各種施設を生物、化学、核兵器等の脅威に対する防護性能を付与するための強靭化を進めていることは紛れもない事実であります。
例えば、海上自衛隊小月航空基地がCBRNE攻撃にも耐えうる防護性を持たされ、相手国からの攻撃から被害を免れたとしても、周辺住民は一体どうなるのでしょうか。焦土化を前提とした計画ではないか。このことをあらためて伺います。
●松岡正憲総務部長
自衛隊基地、周辺住民等への影響等も含めてというご質問でございました。
繰り返しになりますけども、県としては自衛隊施設の強靭化につきましては、国の防衛政策に関する事柄でありますことから、あくまでも国の責任において適切に対応していただきたいと考えております。
◎木佐木大助議員《再々質問》
私は、自衛隊施設の強靭化など相手国から攻められることを想定した構えではなく、相手国から攻められないための外交にこそ力を注ぐべきだと思います。この点、国に要請すべきだと考えますが、この点も伺います。
●松岡正憲総務部長
自衛隊基地に関する再々質問にお答えします。
自衛隊施設の強靭化などではなく、外交に力を注ぐよう国に要請すべきとのお尋ねであったかと思います。自衛隊施設の強靭化につきましては、国の防衛政策に関する事柄でございまして、本県県民を含め、国民全体の生命、財産を守る立場から国が責任を持って判断されるものであると考えております。このため、県としては国に対しお尋ねのような要請をする考えはありません。
教育条件の改善について
◎木佐木大助議員
質問の第5は、教育条件の改善についてです。
県が全国に先駆けて導入した小中学校の35人学級化のうち、中学2、3年生について見送られました。今年度は、39の中学校の2,3年生の47学級が38人学級化となっています。必要な教員数が200人程度、確保できなかったためです。
教員は本来やりがいがあり、身分も安定した職業です。また、教員確保は教育行政の基本中の基本です。それなのになぜ、教員不足が止まらないのか。最大の要因は、学校での異常な働き方が改善されず放置されていることです。
昨年度の調査でも、県内中学校の教員の時間外在校等時間は、平均で月47時間に達し、月80時間を超えている教員も12.2%を占めています。
こうした働き方のため、「もう続けられない」と現職教員の早期離職が後を絶たないのです。教員免許保有者は声をかけられても二の足を踏みます。教育系の学生たちも教職以外の道を選ぶようになっています。
教員不足の解決は、教員の働き方の改善以外にありません。とりわけ、授業数にも見合っていない教員定数を増やすことが不可欠です。
ところが、文部科学省が打ち出している対策は、「教員採用試験の早期化」などその場しのぎの対応に終始し、肝心の教員の働き方の改善は一言もありません。
いまの事態は小手先で解決できるものではありません。
国に教職員定数の大幅増などの抜本的な対策を求めると同時に、①不要不急の業務を中止すること、②産休や育休、育児短時間勤務のための代替教員を先行配置すること、③非正規教員を正規化すること、④「学力向上」、「体力向上」など県教委主導の施策、学校訪問、研修・出張などは見直し・中止すること、⑤教員の奨学金返還免除制度の復活を求めること、など直ちに実行できる緊急の対策に取り組むことが求められています。それぞれ答弁を求めます。
●木村香織副教育長
教育条件の改善についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、国に教職員定数の大幅増などの対策を求めるべきとのお尋ねについてですが、全国都道府県教育長協議会等を通じて、国に定数の改善・充実を要望しているところです。
次に、「不要不急の業務を中止すること」についてですが、県教委では関係課・室で構成する業務精選検討部会を設け、毎年度、学校を対象とする各種会議や調査の精選などに取り組んでいます。
次に、「産休や育休、育児短時間勤務のための代替教員を先行配置すること」については、今年度から実施されている国の産休・育休代替教師の安定確保のための加配定数による支援により、適正に配置を行っています。
次に、「非正規教員を正規化すること」については、今後児童・生徒数の減少が見込まれる中で、定数のすべてを正規教員とすることは困難です。
次に、「『学力向上』、『体力向上』など県教委主導の施策、学校訪問、研修・出張などは見直し・中止すること」については、これまでも、市町教委と連携を図りながら子どもたちに求められる資質・能力を育むために必要な取組を実施しているところであり、見直し・中止することは考えていません。
次に、「教員の奨学金返還免除制度の復活を求めること」については、先日閣議決定されました骨太の方針において、「奨学金の返還支援に係る速やかな検討」を進めると示されたところであり、引き続き、国の動向を注視してまいります。
(2023年6月30日)