地域交通政策について
◎木佐木大助議員
質問の第1は、地域交通政策についてです。
山口県は昨年3月、「新たな地域交通モデル形成に関する取組方針」を改訂しました。主要なテーマとして、①交通空白地の移動手段の確保、②地域にとって必要な幹線路線の維持、③市街地における回遊性の向上、などがあげられ、現状と課題、重点施策などが示されています。
人口減少により地域社会の維持が困難になるなか、この取り組みは大いに評価していますが、大事なことは、交通権という新しい人権の概念を基本に置くことです。
交通権は、重度障害者が「外に出たい」という切実な要求から生まれ、憲法22条の「居住・移転及び職業選択の自由」、第25条の「生存権」、第13条の「幸福追求権」など、関連する人権を集合した新しい「人権」です。
地域交通政策の基本に「交通権」イコール「人権」という考えを置くことが重要です。お尋ねします。
●京牟礼英二観光スポーツ文化部長
地域交通政策に関し、政策の基本に「交通権」イコール「人権」という理念を置くことが重要、とのお尋ねにお答えします。
いわゆる「交通権」を「人権」と位置付けるかどうかについては、憲法の解釈に関わるものであることから、国において議論されるべきものと考えています。
そうした中で、交通政策基本法では、交通政策の推進について、「国民等の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識の下に行われなければならない」とされており、県としても、こうした考えに基づき、施策を推進しているところです。
◎木佐木大助議員《再質問》
「交通権」イコール「人権」という考えについて今、公共交通による通院や買い物、通勤や通学など「移動の自由」に支障をきたす地域が県内各地に広がっている。「移動の自由」即ち「交通権」を、「人権」のひとつと位置付けることで、「交通権」を保障するために、県や市町が果たすべき役割が一層明確になる。
少子高齢化による人口減が劇的に進む山口県にとって、地域交通の維持と充実は大きな課題である。「交通権」を保障するために必要な施策を、市町と協力して明確にする。そして市町の取組を全力で支援し、推進すべきと考えるが、伺う。
●京牟礼英二観光スポーツ文化部長
地域交通政策についての再質問にお答えします。
「交通権」を「人権」のひとつに位置付け、必要な施策を市町と協力して明確にし、市町の取組を支援すべきとのお尋ねでした。
ご指摘のいわゆる「交通権」を「人権」と位置付けるかどうかについては、憲法の解釈に関わるものであることから、国において議論されるべきものと考えておりますが、いずれにいたしましても、県としては、引き続き、交通政策基本法に示された基本的認識の下で、市町と連携して、地域公共交通の維持・確保に取り組んでまいります。
◎木佐木大助議員
交通空白地域はバス路線の縮小・廃止によって郊外団地や市街地にもみられるようになり、中山間地域においては幹線路線バスの移動量は減少を続けています。一方、市町による市街地における回遊性の向上をはかる取り組みは広がっています。
県は地方バス路線運行維持対策などに取り組んでいますが、こうした現状を踏まえて、地域交通に係る施策をさらに拡充すべきと考えます。伺います。
●村岡嗣政知事
私からは地域交通に係る施策の拡充についてのお尋ねにお答えします。
地域公共交通は、通勤や通学、通院など県民の日常生活はもとより、地域の経済活動やまちづくりなどを支える重要な基盤ですが、利用者の減少や運転士不足等により、バス路線の廃止や減便が進行するなど、厳しい環境に置かれています。
このため、県では、市町との役割分担の下、複数市町にまたがる幹線バス路線に対し、運行経費の支援を行うとともに、市町や事業者の意見調整を行うなど、広域調整の役割を果たしているところです。
また、地域の公共交通施策の中心的な役割を担う市町に対し、県も参画している地域公共交通会議等の場で、コミュニティバスやデマンド型交通の運行など、地域の実情に即した交通体系への見直しなどについて助言を行うとともに、その導入や運行に対し支援しているところです。
さらに来年度からは、運転士不足に対応するため、官民一体となって取組を推進する連携協議会を設置するとともに、バス運転士に特化した求人サイトでのPRや、事業者の採用力強化を図るセミナーの開催など、県内外から運転士を確保する取組を推進することとしています。
私は、今後とも、国や市町、交通事業者等と緊密に連携し、地域住民の日常生活に不可欠な地域交通の維持・確保に取り組んでまいります。
土地利用規制法について
◎木佐木大助議員
質問の第2は、土地利用規制法についてです。
国は、昨年12月26日に開催した土地等利用状況審議会で「重要土地等調査法」、いわゆる「土地利用規制法」に基づき、住民を監視下に置く「特別注視区域」33カ所、「注視区域」151カ所の計184カ所の候補地を提示し、山口県内では初めて「特別注視区域」4カ所、「注視区域」10カ所の計14カ所が候補地とされました。
資料1のように、候補地とされたのは米軍岩国基地のほか、岩国、下関、山陽小野田、山口、萩、防府、周南、柳井、光の9市と田布施町にある自衛隊関連施設に広がっています。
「注視区域」では、土地・建物の所有者や賃借人などの情報を集めることができ、「特別注視区域」では、一定以上の面積の土地売買は氏名、国籍などの事前届け出を義務付けます。調査は、名前や住所、国籍、利用目的にとどまらず、思想信条や所属団体、家族・交友関係、海外渡航歴などにまでおよぶ恐れがあります。
無届けや虚偽の届け出をした場合には6か月以下の懲役または100万円以下の罰金。「重要施設」などの「機能を阻害する行為」、「機能を阻害する明らかなおそれ」がある場合は、内閣総理大臣が利用中止の勧告・命令を出すことができ、命令に違反した場合は2年以下の懲役または200万円以下の罰金を科す、とされています。
問題の1つは、基地周辺住民の権利と尊厳をふみにじる恐れがあることです。
基地があることに不安を抱いている住民を監視と処罰の対象にするなど許されません。政府は基地被害の根絶にこそ取り組むべきであり、住民を監視の対象にするなどもってのほかです。見解を伺います。
2つは、民間の経済活動に与える影響です。
同法の審議を通じて政府は、区域内の土地・建物が敬遠され、土地取引価格の下落を招く可能性があることを認める一方で、「政府として補償は予定していない」と答弁しています。「機能阻害行為」とは全く無縁の住民が経済的不利益を被ることなど許されません。見解を伺います。
戦前、要塞地帯法や治安維持法、軍機保護法など一連の治安立法を制定し、国民の自由を奪い、戦争へと駆り立てていった歴史の教訓を思い起こされます。県として、区域指定については、毅然と反対の意を示すべきです。見解を伺います。
●松岡正憲総務部長
土地利用規制法についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、区域の指定により、住民を監視の対象とするのではないかとのお尋ねについてです。
重要土地等調査法は、防衛関連施設などの重要施設の周辺区域内にある土地等が、施設の機能阻害行為の用に供されることを防止し、国民生活の基盤の維持と我が国の安全保障に寄与することを目的とするもので、住民の監視を目的としたものではないと承知しています。
土地等利用状況調査においても、思想や信条等に係る情報を含め、土地等の利用に関連しない情報を収集することはないとされています。
次に、区域指定により、住民が経済的不利益を被ることは許されないのではないか、また、県として、区域指定に反対すべきではないかとのお尋ねについてです。
この法律の運用に当たっては、国民の自由と権利を不当に制限することがないよう留意するとされ、区域指定についても、基本方針で、安全保障の確保と経済活動の両立の観点から、合理的かつやむを得ない範囲に限定するとされています。
県としては、重要土地等調査法に基づく区域指定等の措置については、国において、法や基本方針にのっとり適正に運用されるものと考えています。したがいまして、区域指定に反対する考えはありません。
◎木佐木大助議員《再質問》
国は私権の制限につながるにも関わらず、地域住民への説明会を行わないとしており、余りにも不誠実・強権的な対応であります。住民から出た意見に対し、真蟄に対応するよう、国に厳しく求めるべきであります。
また、指定された地域では、財産権やプライバシー権利の侵害や制限など影響が出ると考えますが、県の認識を伺います。
戦前下関は、野戦重砲兵連隊が置かれて、「要塞地帯法・軍機保護法」で縛られたあげく、相次ぐ空雲で焼け野原になった歴史を持っています。
また、あの治安維持法では、小林多喜二や山口県出身の24歳の乙女、田中サガヨさん、河合喜代さんの親戚でありますが、多くの日本共産党員が弾圧・虐殺をされた歴史を持っています。
この点では、工期2686年・万世一系の天皇制などと戦前の絶対主義的天皇制と軍国主義を懐かしむ向きもありますが、そこで行われたのは、野蛮な侵略戦争と植民地支配であったことは歴史的事実であります。
こうした過ちを二度と繰り返さないためにも、憲法で保障された「財産権」や人権侵害に対する、国家からの侵害・制限は、絶対に許さないという姿勢こそが、地方自治体に求められているのではないでしょうか。見解を伺います。
●松岡正憲総務部長
土地利用規制法に係る再質問にお尋ねにお答えをいたします。
まず、私権制限につながるので、住民意見に対応するよう国に求めるべきとのお尋ねですが、先程も御答弁しましたけれども、法律の運用に当たっては、国民の自由と権利を不当に制限することがないよう留意するとされています。県としては、国において、適正に運用されるものと考えており、お尋ねのような対応を国に求める考えはありません。
なお、国においては、法の趣旨などについて、ホームページに掲載するなどして周知されているほか、コールセンターも設置され、住民からの問い合わせにも対応されているものと承知をしております。
次に、指定された区域では財産権の侵害などの影響が出るのではないか、また財産権などの侵害・制限を許さない姿勢が県に求められるとのお尋ねですが、重要土地等調査法に基づく措置については、区域内にある土地等が機能阻害行為の用に供されることを防止するために、必要な最小限度のものとなるように実施するとされており、法や基本方針にのっとり、国において、適正に運用されるものと考えています。
介護保険制度について
介護保険料について
◎木佐木大助議員
質問の第3は、介護保険制度についてです。
介護保険の第9期事業計画が新年度からスタートします。今回の改定に当たり、政府が目指した利用料の2割、3割負担の対象拡大や要介護の生活支援サービス等の総合事業移行などの改悪に対しては反対意見が相次ぎ、見送られましたが問題は山積しています。
1つは、介護保険料です。
介護保険がスタートした2000年の保険料平均基準月額は2911円でしたが、今年度は6014円と2倍にもなっています。一方、年金平均受給月額は同年の17万5865円から19年は14万4268円と3万1597円、18%も減っています。年金に頼る高齢者にとっては大変な負担増ではありませんか。お尋ねします。
第9期の保険料に関し、国は現在、低所得者の保険料軽減に充当されている「公費」約382億円を削減し、その分を高齢者の保険料負担に置き換えました。一方、現行「9段階」の標準段階を「13段階」まで拡大し、上乗せされた「10~13段階」について、乗率を「1.9~2.4倍」に引き上げ、その分を低所得者軽減に充てる、という見直しを行いました。国庫負担を削減するために、国民の負担を増やす改悪そのものではありませんか。見解を伺います。
介護保険会計には介護給付費準備基金が設けられ、市町が各年度の剰余金を積み立てた総額は21年度末時点で122億円にも達していました。同「基金」については、国も最終年度の残額は次期保険料を見込むに当たり取り崩すことを「基本的な考え方」としています。
第9期の保険料算定に当たっては、各市町もこの「基本的な考え方」に沿った対応をして保険料の据え置き、軽減に努力すべきと考えますが、見解を伺います。
●國吉宏和健康福祉部長
介護保険制度についての数点のお尋ねにまとめてお答えします。
介護保険料や介護報酬などの介護保険制度については、その給付と負担の在り方を含め、国の責任において十分な議論の下、制度設計されるべきものと認識しています。
この制度の下、具体的な介護保険料の設定については、次期介護保険事業計画の中で、保険給付に要する費用等を見込んだ上で、保険者である市町において行われるものと考えています。
介護報酬の改定について
◎木佐木大助議員
2つは、介護報酬の改定です。
厚労省は、同省が実施した「2023年度介護事業経営実態調査」で、全介護サービス平均の収支差率(利益率)が2・4%なのに比べ、訪問介護の平均収支差率は7・8%と高いことをあげて、資料2のように訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げることを計画しています。
しかし、しんぶん赤旗編集部が厚労省から入手した同調査結果資料によると、訪問介護事業所のうち収支差率が「0%未満」が36・7%あることがわかりました。この比率からすると、県内でも赤字の訪問介護事業所が3分の1以上ある可能性があります。
訪問介護の基本報酬が引き下げられれば、事業継続が困難になる事業所が生まれるのではありませんか。訪問介護の基本報酬引き下げは撤回を求めるべきです。それぞれお尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
このたびの介護報酬の改定については、国において十分審議・検討した上で示されたものと認識しており、このうち訪問介護については、基本報酬が見直される一方で、処遇改善加算は高い加算率が設定されています。
県としては、管理者向けの研修、専門的な相談員の派遣等を通じて、こうした加算制度の周知や助言を行い、引き続き事業者の支援に努めていくこととしており、個別の介護サービスに係る報酎ト|について国に要望することは考えていません。
◎木佐木大助議員《再質問》
介護報酬の改定について伺います。昨年の訪問介護事業者の倒産は、過去最多を大幅に上回る67件にも及んでいます。このまま訪問介護の報酎ト|引き下げが進めば、特に中山問地の小規模な訪問介護事業者は、倒産・廃業を余儀なくされ、介護難民を生んでいくことになりかねません。訪問介護の報酬引き下げに対し、国に見直し・再検討を求めることは、県の責任と考えますが、答弁を求めます。
●國吉宏和健康福祉部長
先ほども答弁させていただきましたとおり、介護報酬などの介護保険制度については、その給付と負担の在り方を含め国の責任において十分な議論の下、制度設計されるべきものと認識しており、県としては、個別の介護サービスに係る報酬等について国に見直し等を求めることは考えていません。
中国電力の経営方針と株主としての対応について
◎木佐木大助議員
質問の第4は、中国電力の経営方針と株主としての対応についてです。
中国電力は、上関町への使用済み核燃料「中間貯蔵施設」の建設計画を進めているだけでなく、原発新設もあきらめていません。
こうした経営方針をもつ中国電力の大株主である山口県は昨年6月の株主総会においても、議決権行使書を白紙で提出し、事実上、経営方針に賛同の意を示されています。
昨年11月議会の総務企画委員会で、この問題をとりあげ、「せめて棄権すべき」と質問したのに対し、財政課長は「棄権は大株主である県の行動が中国電力の信用ですとか、経営に対して影響を及ぼす恐れがあるから、白紙で出している」旨、答弁されました。
過去の過去の知事答弁を調べたところ、2011年8月、当時の二井知事は「経営への参画とは、株主総会に出席をして個別具体的に発言することと考え」ている、と答えています。県はいつ方針を変えたのですか。お尋ねします。この知事答弁が生きているなら、議決権行使書を「棄権」としても、何ら問題はないと考えます。見解を伺います。
●松岡正憲総務部長
中国電力の経営方針と株主としての対応についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、株主総会への対応方針について、県は、これまでも株主の立場として、一貫して「株式の所有」と「会社の経営」とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢を堅持し対応してきました。
このような基本姿勢の下、県は、株主として中立的な態度を明示するため、株主総会は欠席し、議決権行使書は白紙で提出しているところであり、平成23年8月に当時の二井元知事が答弁した時期から県の方針に変わりはありません。
次に、棄権については、大株主である県の行動が中国電力の信用や経営に影響を及ぼす恐れがあることから、例年、議決権行使書を白紙で提出しているところです。
◎木佐木大助議員《再質問》
中電株主総会は、知事の意向に背いてミスリードをした財政当局の責任は重大であります。とりわけ昨年の株主総会では、中電は昨年4月に2023年アクシヨンプランを発表し、2050年カーボンニュートラルに向けて、島根2号機、3号機の稼働と2050年までに上関を目指すと露骨な原発推進を宣言している中で、白紙で提出。130万県民の共有財産である3400万株の議決権行使を白紙で提出し、中電経営方針に諸手を挙げて賛成した責任は極めて重大です。この点について、改めてその責任を問いたいと思います。
●松岡正憲総務部長
県の株主総会への対応についてですが、県は、これまでも一貫して「株式の所有」と「会社の経営」とを分離して考え、経営に関する提案や総会で発言を行うなど、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢を堅持し対応してきました。
こうした考えの下、株主総会への対応については、株主として中立的な態度を明示するため、総会を欠席し、議決権行使書は白紙で提出しているところであり、これまでの基本姿勢を踏まえた適切な対応であると考えています。
米軍岩国基地問題について
オスプレイの運用について
◎木佐木大助議員
質問の第5は、米軍岩国基地問題についてです。
1つは、オスプレイの運用についてです。
米メディアは3月1日、米国防総省が垂直離着陸機オスプレイの飛行停止を来週にも解除すると報じました。オースティン国防長官が同日、米軍高官との非公式会談で飛行再開を承認したとしています。
米海軍航空システム・コマンドの幹部が来週にも来日し、政府や防衛省などに飛行再開計画を説明するとされています。
昨年11月29日、鹿児島県屋久島沖で横田基地(東京都)所属のCV22オスプレイが墜落し、乗組員8人全員が死亡した事故を受け、米軍は12月6日から海兵隊、空軍、海軍のオスプレイ全機の飛行を停止しています。
報道では、事故原因と再発防止策が特定されたかどうかは明らかになっていません。米NBCテレビは2月19日、プロペラのギアボックスに不具合が生じた可能性が高いと報じましたが翌日、米空軍が機体の故障部位を特定したものの、故障の原因は明らかになっていないと表明したばかりです。
オスプレイの機体構造の核心部分はブラックボックスとなっており、日本側は情報を持ち得ていないとみられます。米側の説明をうのみにして、主体的な検証なしに飛行再開を容認することは許されません。見解を伺います。
●近藤和彦総務部理事
米軍岩国基地問題についての3点のお尋ねのうち、まず、オスプレイの運用についてお答えします。
県では、基地を抱える都道府県で構成する渉外知事会を通じ、既に米軍の全てのオスプレイについて安全が確認されるまで飛行を停止することを国に求めているところです。
また、国において、米側との間で事故の状況、安全対策等について確認作業が行われていることや、防衛大臣が、一昨日、これまでのところ、米側から日本国内のオスプレイの運用に関する事前調整は来ていないと発言されていることを承知しています。
県としては、引き続き、国の確認作業等に関する情報収集に努め、問題があれば、地元市町と連携して、適切に対応してまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
岩国基地問題で、オスプレイの問題では、在日米軍は、普天間基地と横田基地に約30機のオスプレイを配備し、自衛隊も14機、木更津に暫定配備しています。岩国基地はそのオスプレイの「中継拠点」の役割を担わされており、それだけに、昨年11月の屋久島沖での墜落事故は、他人事ではな
いと考えますが、如何でしょうか。
その上で、航空機の機体の安全性について県は、度々「専門的な知見を有する国の責任において判断される」などと操り返されていますが、先にも触れましたが、国産機ならまだしも米軍機の機体構造の核心部分はブラックボックスだらけで、県は何をもって、「国は専門的な知見を有している」と認識されているのか理解に苦しみますが、この点お尋ねします。
オスプレイは、米側も「ギアボックス」に、構造的な欠陥があると公表し、部品交換などで誤魔化し続けた末に11月の墜落であります。「欠陥機」オスプレイは飛行再開を絶対許さず、国内の配備機すべてを撤去するよう求めるべきでありますが、県の見解を伺います。
●近藤和彦総務部理事
まず最初に、昨年11月の屋久島沖での墜落事故は、他人事ではないと考えるが如何かということでございましたが、オスプレイは岩国基地配備機ではありませんけれども、度々飛来してきており、今回の墜落事故は、基地周辺住民に大きな不安を与えたものと考えています。
このため、県では、渉外知事会や山口県基地関係県市町連絡協議会を通じて、国に対し、事故に関する情報提供や、安全対策等を米側に求めることを要請したところです。
次に、オスプレイに関して、県は何をもって「国は専門的な知見を有していると理解しているのか」というお尋ねでした。
国は自衛隊でオスプレイを実際に導入して運用していますことから、機体の安全性について専門的な知見を有しているものと考えています。
次に、オスプレイは飛行再開を許さず国内の配備機すべてを撤去するよう求めるべきだというお尋ねです。
オスプレイは岩国基地配備機ではありませんが、度々飛来してくることから、問題がある都度、これまでも、国に対し、地元市町と連携して、機体の整備や安全運用の徹底など必要な要請をしているところです。
一方、オスプレイを含む航空機の安全性については、専門的な知見を有する国の責任において確保されるべきものであり、国内の配備機すべての撤去を求める考えはありません。
空中給油訓練について
◎木佐木大助議員
2つは、空中給油訓練についてです。
米軍岩国基地の海兵隊所属のKC130空中給油機が昨年12月5日正午頃、浜田市中心部の住宅地上空で同基地所属とみられるFA18ホーネット戦闘攻撃機への空中給油を行った、とみられることが明らかになりました。
同基地所属のKC130の空中給油を巡っては、2018年に高知県沖で訓練中のFA18ホーネット戦闘攻撃機と接触し、墜落する事故が起きています。空中給油訓練については、2017年に稲田朋美防衛大臣が、日米間で、今後とも「空中給油訓練は陸地から離れた海域の上空でしか実施せず、陸地の上空では実施しないこと」を確認したと述べ、2022年5月にも岸信夫防衛大臣が「米軍の空中給油訓練に関しましては、陸地から離れた海域の上空で行うという認識を過去に日米間で確認をしています」と明言しています。
今回の空中給油は、所属する岩国基地からの距離を考慮すれば、訓練の可能性が高く、日米合意に反する行為です。市民・県民に不安を与える行為は、断じて容認することはできません。県の認識とどう対応されたのか、お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
次に、空中給油訓練についてです。
浜田市上空における岩国基地所属機に関する報道を受け、国に照会したところ、「米軍機の個々の運用の内容や飛行ルート等については、米軍の運用に関する事項であるため、防衛省として必ずしも承知していない」との回答を得ているところであり、現時点で、事実関係が確認できていない状況です。
一方、県では、どのような名称や形態の飛行訓練であれ、住民に不安や危険を及ぼすような訓練は行われてはならないと考えており、これまでも、渉外知事会を通じ、重大な事故につながる恐れがある訓練の実態を明らかにし、このような飛行が行われないよう、措置することを要望しているところです。
いずれにしても、県としては、航空機の運用や飛行実態等について、引き続き、地元市町と連携して状況を把握し、問題があれば、国や米側に対し、必要な対応を求めてまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
KC130空中給油機については「訓練か、否か」が一つの問題です。岩国と浜田の直線距離は、わずか82㎞しかありません。岩国基地から飛び立ったのなら、訓練と考えるのは常識ではありませんか、伺います。
KC130は、7,000ガロン、約32,000リットルの航空燃料を搭載できる空飛ぶガソリンスタンドです。訓練か否かを問わず、まかり間違って地上にでも墜落をすれば、大事故・大惨事となります。
岩 国出身の岸防衛大臣が、「陸から離れた海域の上空で行うことを日米間で確認している」と、大見栄を切ったにもかかわらず、これが無惨に裏切られている。訓練だけでなく、実際の給油についても、陸地の上空での実施は、絶対に禁止させるべきですが、伺います。
この点では、岩国日米協議会の開催の問題があります。
1971年2月に発足した岩国日米協議会は、多岐にわたる基地がもたらす諸問題に関して協議が行われ、その都度確認された内容を議事録として残す、このうち航空機の飛行に関する規制等について整理したものを確認事項としています。
最後に開催されたのは、1991年5月、30年以上開かれていません。この間、岩国基地は沖合移設の完了、空母艦載機の移駐、Fー35Bの配備、外来機の一時配備、大型艦船の相次ぐ、寄港、燃料タンクの5倍化、米兵犯罪の急増など大変貌を遂げ、文字通り基地がもたらす諸問題は山積しています。
その都度、協議しているなどと言われますが、協議会で山積する課題を議論して、住民の安全と安心を守るために新たなルールを、確認事項に盛り込むべきであります。直ちに、開催を検討すべきですが、見解を求めます。
●近藤和彦総務部理事
次に、浜田市上空での岩国基地所属機のことについて、空中給油訓練と考えるのが常識ではないかというお尋ねでございました。
繰り返しになりますけれども、国からは、米軍機の個々の運用の内容や飛行ルート等については、米軍の運用に関する事項であるため、防衛省として必ずしも承知していないと聞いておりまして、事実関係が確認できていないことから、訓練かどうかをお答えすることは困難です。
次に、岸防衛大臣の発言を御紹介されて、空中給油の関係が陸地の上空での実施は絶対に禁止させるべきだとのお尋ねです。
繰り返しになりますけれども、国からは、米軍機の個々の運用の内容やルート等については、米軍の運用に関する事項であるため、防衛省として必ずしも承知していないということですので、お答えすることは困難でけれども、その上で、国からは、空中給油訓練は、陸地から離れた海域の上空でしか実施せず、陸地の上空では実施しないことを米側との間で確認している認識に変わりはないとの説明を受けていますので、適切に実施されているものと考えています。
最後に、日米協議会の開催を検討すべきではないかとのお尋ねでございました。
この岩国日米協議会は、平成3年5月以降、開催されていないものの、随時、米軍とも情報交換、意見交換それから運用についての協議などを実施し、現在も、地元岩国市と連携し、様々な機会をとらえ、その時々の重要な課題について、協議や要請を積み重ね適切に対応しているところです。
こうしたことから、協議会の開催や確認事項の見直しがなくても、対応に支障が生じるものではないと考えておりますけれども、今後とも、確認事項のあり方につきましては、地元岩国市の意向を尊重しながら適切に対応してまいります。
米兵・軍属による犯罪・事故について
◎木佐木大助議員
3つは、米兵・軍属による犯罪・事故についてです。
在日米海兵隊基地がある岩国市では昨年、飲酒を伴う米軍人の事件・事故が相次ぎました。在日米海兵隊は昨年12月11日、リバティー制度(外出制限)の変更を公表しました。①伍長以下の者が施設・区域外において飲酒する場合には、同伴者を伴うことを義務化、②すべての軍人は、午前1時から午前5時まで飲酒できる店舗への滞在は禁止、等の内容です。
こうした米軍の対応を県はどう認識されているか、お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
米兵・軍属による犯罪・事故についてです。
県では、これまで、政府要望をはじめ、あらゆる機会を通じて、米軍人等の事件・事故の防止に向けた規律の厳正な保持や教育訓練の徹底などについて、国や米側に対し、要請しているところです。
こうした中、米軍自らが、米軍人等による事件・事故の防止を図るため、昨年12月に「勤務時間外行動の指針」いわゆるリバテイ制度の改定が実施されたものと受け止めています。
朝鮮学校について
◎木佐木大助議員
質問の第6は、朝鮮学校についてです。
2023年4月1日より、こども基本法が施行されました。
同法は、日本も1994年に批准した「子どもの権利条約」の原則、①人種や国籍、性、意見、障害、経済などいかなる理由でも差別されない「差別の禁止」、②命が守られ、能力を十分伸ばして成長できるよう支援する、など「生存権・教育権・発達権」等を基本理念に「子どもが将来にわたって幸福な生活を送ることのできる社会をめざす」ことを目的にしたものです。
しかし、日本とりわけ山口県の朝鮮学校に対する政策は、こども基本法の理念から程遠い状況であります。
この間、山口県は朝鮮学校への補助金を停止する中で、「国連の子どもの権利委員会」などから度々是正勧告が出されてきました。保護者が納税義務を果たしているにもかかわらず、「子どもの学ぶ権利」が保障されないどころか、奪ってきたのが山口県であります。
拉致問題や核・ミサイル開発について、朝鮮学校やその児童には何の責任もありません。理解しない県民がいるなら、その誤解や偏見をなくす努力をするべき責任を負っているのが県ではないですか。
こども基本法の基本理念である子どもの権利条約は、民族的マイノリティの子どもの「自己の文化を享有」する権利を保障し、「子どもに対するあらゆる差別の禁止」を謳っており、民族教育は、正に人権に係わる問題です。この「こども」には、朝鮮学校の児童生徒は含まれていないのか。お尋ねします。
●松岡正憲総務部長
朝鮮学校についてのお尋ねのうち、こども基本法の「こども」には、朝鮮学校の児童生徒は含まれていないのかについてお答えします。
こども基本法の「こども」には、朝鮮学校の児童生徒は含まれるものと解されます。
◎木佐木大助議員
こども基本法が制定された今、「すべての子どもたちの学習を保障する観点」から、朝鮮学校の児童生徒をもつ保護者に対する支援を行う。少なくとも補助金の復活を行うことは、県が取るべき当然の責務ではないでしょうか、伺います。
●松岡正憲総務部長
次に、朝鮮学校に関する御質問のうち、補助金の復活についてのお尋ねにお答えします。
県としては、国際条約やこども基本法が求める子どもの人権や学ぶ権利は尊重すべきものと考えていますが、朝鮮学校への補助金については、朝鮮学校を巡る様々な状況を総合的に勘案し、現時点では、補助金の支給は県民の理解を得られないと判断しており、補助金を予算計上することは考えていません。
◎木佐木大助議員《再質問》
朝鮮学校補助金問題では、山口県に今問われているのは、こども基本法の基本理念である「差別の禁止」に抗って、引き続き「官製へイト」を続けるかということであります。
人間の尊厳を躯った憲法13条や、法の下の平等・憲法14条をも蹂躙をする。さらには地方自治法で明記された「住民の福祉の増進」を、立派な山口県民である在日コリアンを排除するなど、恥ずべき官製へイトは、もうやめるべきはないか。
●松岡正憲総務部長
朝鮮学校補助金については、県民との相互理解の増進を図ることを目的として交付してきたものですが、朝鮮学校を高校授業料無償化の対象外とした国の考え方、補助金支給に対する他県の動向、北朝鮮の様々な行動に対する国内外の受け止め、これらを総合的に勘案し、県として、現時点では、県民の理解が得られないと判断しているものです。
こうしたことから、官製へイト等々、様々なご指摘ありましたけれども、ご指摘はあたらないものと考えています。
◎木佐木大助議員《再々質問》
朝鮮学校問題です。
こども基本法の4原則の要、差別の禁止は、子ども自身だけではなく、「親の人種など、いかなる理由でも差別されない」というものであります。
知事の子育て支援策は、全国トップレベルの不妊治療対策など評価するものですが、何よりも今、在日4世を育てている、在日3世のオモニの皆さんへの子育て支援をしっかりやる。
そして、こども基本法の根本理念に沿って「朝鮮学校への補助金を今こそ復活させる」べきであります。
●松岡正憲総務部長
県としては、こども基本法の理念は尊重すべきものと考えていますが、朝鮮学校への補助金については、朝鮮学校を巡る様々な状況を総合的に勘案し、現時点では、補助金の支給は県民の理解を得られないと判断しており、補助金を予算計上することは考えていません。
(2024年3月8日)