2024年2月議会・一般質問

県政の重要課題について

1,政治資金パーティーについて

◎藤本一規議員

 質問の第一は、県政の重要課題についてです。
 第1に、政治資金パーティーについてです。
 自民党県連は、年1回政治資金パーティーを行っています。22年の政治収支報告書によると政治資金パーティーが山口市内のホテルで行われました。収入は、4434万円、支出は、279万1758円で利益率93.7%。定員702人に対して対価の支払い者数は定員の4.6倍の3204人でした。
 政治資金規正法では、パーティーについて「対価を徴収して行われる催事」と規定しています。神戸学院大学の上脇教授は、このようなパーティーについて「収容人数を超えた分は政治資金収支報告書に寄附として記載すべきで、政治資金規正法違反の虚偽記載の疑いがある」と指摘しています。
 私の照会に、村岡つぐまさ後援会は、22年の自民党県連主催の政治資金パーティーに「パーティー券を私費で購入し、本人が出席した」と答えました。
 私費であっても、法の概念から逸脱しているとの指摘のある政治資金パーティーに知事が出席したことを県民にどう説明するのかお尋ねします。
 今後、同様の政治資金パーティーが開催された際に、知事は、パーティー券を購入し出席するのかお尋ねします。

●村岡嗣政知事

 私からは、政治資金パーティーについての2点のお尋ねにお答えします。
 まず、私が自民党山口県連主催の政治資金パーティーに出席したことを県民にどう説明するのか、とのお尋ねですが、当該パーティーには、私個人が、私費により対価を支払って出席したところであり、そのことに問題はないものと考えています。
 また、今後、同様の政治資金パーティーが開催された際の出席につきましては、現在、国において、政治資金のあり方をめぐり、様々な議論が行われておりますので、そうした状況も踏まえながら対応してまいります。

2,LGBT対策について

◎藤本一規議員

 第2に、LGBT対策についてです。
 県は、2月26日、山口県パートナーシップ宣誓制度(仮称)に関する調整会議を開き、9月に制度の施行を目指すことを表明しました。過去の議会で、制度実施を求めてきた者として、県の判断を評価します。
 1つは、サービスの提供についてです。
 県は、9月制度施行までに①県営住宅への入居、②申請・届出等の行政手続の際に委任状不要となる家族にパートナーを追加、③県職員の福利厚生制度の改正、④県立病院でパートナーを家族として対応-を行うのか、お尋ねします。
 次に、不動産・住宅についてです。先進自治体では、①家主を対象とした説明会・セミナー等の開催による啓発、②不動産事業者(宅建業者)を対象とした説明会・セミナー等の開催による啓発、③LGBTフレンドリーを謳う不動産事業者の登録・あっせん等、④居住支援協議会等におけるLGBT支援団体や専門家(司法書士等)との連携などを行っています。9月制度施行までに、どのような制度を構築しようとしているのかお尋ねします。

●藤田昭弘環境生活部長

 LGBT対策についてパートナーシップ宣誓制度に関する数点のお尋ねにお答えします。
 まず、サービスの提供についてです。
 県では、LGBT等の性的マイノリティの方々の生きづらさを軽減し、誰もが安心して暮らせる環境づくりを進めるため、9月を目途に「パートナーシップ宣誓制度」を施行したいと考えています。
 サービスの提供に当たっては、事実婚のカップルと同等のものとなるよう、今後、お示しの県営住宅の入居資格や県職員の福利厚生などについて、実施が可能かどうか検討するとともに、居住支援などの民間サービスについては、協力事業者の募集を行ってまいります。

◎藤本一規議員《再質問》

 LGBT問題です。今開かれている宇部市議会に、宇部市が宇部市のパートナーシップ宣誓の取扱いに関する要綱の改正案を出しています。1つは、今まで宇部市は要件を、双方が市内に住所を持っていた、で同居というような要件を課してましたけれども、いずれか一方がというふうに改正をするという提案を行っています。調整会議で県が示した案も、双方、またはいずれか一方がとなっていますから安心していますが、県の今後制定されるパートナーシップの制度は、同居を要件としないものになると思いますが、お尋ねをしたいと思います。
 それから、宇部市の修正案の第2は、自治体間の相互利用です。1つは、宇部市のパートナーシップ宣誓受領証を持っている人が市外に出た場合、宣誓書受領証継続使用申請書を提出して、市長が、それにオーケーを出すと、市外に出た時に同じ受領証として継続して使用できるという内容。そして、逆に宇部市に転入があった場合、継続して使用できるようにするというようなものです。それで、調整会議で、制度導入済みの他都道府県、県内市との連携によりサービスの相互乗り入れ等を実施するとありますけれども、この具体的な中身についてお尋ねしたいと思います。

●藤田昭弘環境生活部長

 まず、県のパートナーシップ宣誓制度には同居要件はないということで良いかということでございました。
 同居を要件とすることは考えていません。双方又はいずれか一方が県内に居住、又は、期限は設けますが、転入予定とすることで今考えております。
 それから、他の自治体との連携についてでございますが、連携協定を締結することとしておりまして、連携協定を締結する自治体の間で相互にサービスが使えるよう、また、転入、転出に伴う受領証の継続利用について、今後、パートナーシップ宣誓制度導入済みの自治体と調整していく予定です。
 例えば、制度導入済みの宇部市と県の連携協定が締結されれば、県の受領証を持つ宇部市民は宇部市の受領証がなくても宇部市の行政サービスの対象となるいうことが考えられますし、また、病院での面会や民間サービスについては、連携の相手方の自治体に居住していなくても相互にサービスが利用できるようにするということで今後調整したいと考えております。

◎藤本一規議員

 2つは、犯罪被害者支援についてです。
 同性パートナーを殺害された方が、犯罪被害者遺族への給付金を不支給とした愛知県公安委員会の処分は違法だとして県に取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷は、原告側と被告側の意見を聞く弁論を3月5日に開きました。不支給を適法とした1、2審判決が見直される可能性があります。
 本県では同性パートナーにも犯罪被害者遺族への給付金を支給すべきですが県警本部長にお尋ねします。

●阿久津正好県警本部長

 同性パートナーにも犯罪被害者遺族への給付金を支給すべきというお尋ねについて、お答えいたします。
 議員のお示しのとおり、同性パートナーは事実上の婚姻関係と同様の事情にあった者に含まれないとして、遺族給付金を不支給とした愛知県公安委員会の裁定に関する取消訴訟について、最高裁において、弁論が行われたことは報道等で承知しております。
 今後、県警察といたしましては、裁判の行方も見守りつつ、法律を所管する警察庁の対応等を踏まえ、法令にのっとり適切に対応してまいります。

◎藤本一規議員《再質問》

 3月5日に最高裁で弁論が行われ、3月26日に判決が出るが、名古屋高裁の判決が覆った場合に遺族への給付金を支給すべきと考えるが伺う。

●阿久津正好県警本部長

 最高裁において、裁判結果が覆ったならば給付金を支給すべではないかとの再質問にお答えいたします。
 仮定の質問についてのお答えには、大変恐縮ですが控えさせていただきたいと思いますが、いずれにいたしましても県警察といたしましては、裁判の行方を見守りつつ、法律を所管する警察庁の対応を踏まえ、法令にのっとり適切に対応してまいります。

◎藤本一規議員

 昨年4月1日現在、20都県で、今年1月末現在、県内7市で、犯罪被害者遺族に対して見舞金制度が創設されています。パートナーシップ制度がある宇部市では、パートナーシップ宣誓受領書を持っている者に見舞金を支給することを要綱で定めています。
 県は、山口県犯罪被害者等支援条例を改正し、見舞金制度を加え、同性パートナーに支給できるようにすべきですがお尋ねします。
 犯罪被害者遺族へ転居費用助成する交付要綱は「婚姻の届出はないが、事実上婚姻関係と同等の事情にあった者」も遺族と定義しています。この定義に同性パートナーは含まれると考えますが、見解をお尋ねします。

●藤田昭弘環境生活部長

 次に、犯罪被害者支援に関する2点のお尋ねです。
 まず、犯罪被害者等支援条例を改正し、見舞金制度を加え、同性パートナーに支給できるようにすべきとのお尋ねです。
 県としては、見舞金制度は住民に最も身近な市町において導入されるべきものと考え、市町における条例制定や見舞金制度の創設を働きかけているところです。このため、制度創設は検討しておらず、同性パートナーへの支給についても考えていません。
 次に、転居費用助成の対象となる遺族の定義に同性パートナーが含まれるのかについてです。
 この助成事業の対象となる遺族の定義としては、犯罪被害者と同居していたことを前提とした上で、事実上婚姻関係と同等の事情にあった者を含むこととしており、同性パートナーもこれに含まれるものと考えています。
 なお、本事業は、更なる犯罪被害や二次的被害の防止を目的としており、実際に申請があった時点で、従前の住居に居住することが困難と認められるかを個別に判断することとしているため、同性パートナーであれば、必ず対象となるものではありません。

3,行政のデジタル化について

◎藤本一規議員

 第3は、行政のデジタル化についてです。
 政府は、25年度末までに自治体の業務システムを、国が新たに定めた「標準準拠システム」へ移行することを義務付けています。
 全国知事会は、昨年10月5日、総務大臣に「地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化の着実な推進に向けた緊急提言」を行いました。緊急提言は「システム移行作業が本格化する中で、既存システムの契約解除に伴う違約金等も含め、多額の経費負担への懸念が未だに解消されていない」と指摘しています。
 緊急要望の提出者は、会長の村井宮城県知事とデジタル社会推進本部長の村岡知事です。知事は、今も「多額の経済負担への懸念が解消」されていないとの認識ですか、国に移行経費の全額負担と25年度末までのシステムの移行期間の延長を求めるべきですがお尋ねします。

●永富直樹総合企画部長

 県政の重要課題に関する御質問のうち、行政のデジタル化についてのお尋ねにお答えします。
まず、標準準拠システムの移行に係る経費負担への認識についてのお尋ねですが、国においては、全国知事会の要望を踏まえ、令和5年度補正予算で、移行経費の支援財源を追加され、今般、それを踏まえた支援内容等が示されました。
 既存システムの契約解除に伴う違約金も対象とするなど、支援の充実が図られており、地方の懸念解消に向けて、国において適切に対応されていると認識しています。
 次に、移行経費の全額負担や期間延長を国に求めるべきとのお尋ねですが、移行経費については、国から示された支援内容等の確認などが必要であることから、それを踏まえ、今後、対応について判断していきます。
 移行期間については、期間内の移行の難易度が極めて高いシステムについて、所要の移行完了期間を設定するとされたことから、こうしたシステムについては、適切な移行期限を設定するよう既に求めているところです。

4,長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨返還について

◎藤本一規議員

 第4は、長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨返還についてです。
 昨年12月8日、長生炭鉱犠牲者大韓民国遺族会が発足して初めて、日本政府へ直接想いを伝える機会が設けられました。楊玄(ヤン・ヒョン)遺族会会長は「良心と人権と人道主義という言葉が通じない政府でしょうか」と遺骨の返還を政府に求めました。中村厚生労働省人道調査室長は「制限は設けず、話し合いは続ける」と答えました。
韓国政府は、長生炭鉱犠牲者遺族のDNA取得と日本政府への遺骨の返還に動きだしています。
 2月3日、長生炭鉱水没事故82周年犠牲者追悼集会が開かれ、長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会の井上洋子共同代表は、「今年中に坑口を開ける決意」と述べました。
 私は、22年9月議会で、長生炭鉱犠牲者の遺骨が遺族に返還されるよう、県の対応を尋ねましたが、県は、その後、国にどのように働きかけを行ったのか、遺骨収集のため、今年中に坑口が開かれるよう、今後、県は国にどのような働きかけをしようとしているのかお尋ねします。

●京牟礼英二観光スポーツ文化部長

 長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨返還についてのお尋ねにお答えします。
お示しの長生炭鉱の水没事故において、多くの方々が亡くなられたことは大変痛ましく、改めて犠牲者の方々に哀悼の意を表します。
 遺骨の収集、返還については、国の責任において対応されるべきものであることから、県では、これまで、日韓親善と人道上の立場から、国による遺骨収集等が進むよう、「刻む会」の皆様などの御要望や御意見を国に伝えてきたところです。
 県としては、引き続き、「刻む会」の皆様などからの御要望等を国に伝え、国による遺骨収集等が進むよう努めてまいります。

◎藤本一規議員《再質問》

 この度、久しぶりに遺族の方が来られて、もう80代を超えて、人生最後の追悼式という思いで来られた1人が85歳のシン・ジェボンさんです。
 KRYが報道していましたけれども、「寒い海の中から父を早く出してあげたい。故郷に帰ってゆっくり休めるようにしてあげたい。最初は日本を恨んでいたが、全く関係のない日本人が遺骨返還を手伝ってくれている。日本人に抱いていた悪い考えは全て消えた。ありがたい気持ちでいっぱいだ。
いつか恩返しを日本にしたい。」と言っていただいております。「刻む会」の役員の1人として感慨無量です。
 ここ数年は、国への要望は電話であったと推察しますが、新年度、県は、厚生労働省人道調査室に直接出向いて、この待ったなしの遺族の思いを直接伝えていただきたい。早く冷たい海から遺族の方に遣骨が返還されるように、県として最大限の御努力をお願いするものですが、お尋ねします。

●京牟礼英二観光スポーツ文化部長

 コロナ禍などもあって、電話で対応されてきたものと推察するが、今後は国に直接出向いて、遺族の声を届けていくべきではないかとのお尋ねでした。
 現時点で国への訪問予定はないところですが、刻む会の皆様などからの御要望や御意見については、引き続き、適切な形で伝えていきたいと考えています。

能登半島地震を受けた対応について

1,地震・津波の被害想定の見直しについて

◎藤本一規議員

 質問の第2は、能登半島地震を受けた対応についてです。
 1つは、地震・津波の被害想定の見直しについてです。
政府の地震調査委員会は、1月2日、臨時会を開き、平田委員長は能登半島地震で評価していない断層で大きな地震が起きたことについて「非常に残念だ。もっと早く評価しておくべきだった」と語ったと報じられています。県内で、全ての断層について、被害想定を行う時です。
 新年度予算案に、「防災・減災対策の基礎資料となる県内の地震・津波被害想定の見直しを実施」とありますが、日本海、内陸、瀬戸内の各断層を対象とするものだと考えますが、どのような見直しを行うのかお尋ねします。

●松岡正憲総務部長

 能登半島地震を受けた対応に関する御質問のうち、地震・津波の被害想定の見直しについてのお尋ねにお答えします。
 県では、南海トラフ巨大地震をはじめ、日本海や内陸の活断層による地震・津波について、想定される人的被害や建物被害等を推計の上、公表しています。
 こうした中、国においては、現在、平成25年に公表した南海トラフ巨大地震の被害想定について、その後の社会情勢の変化や防災対策の進捗状況等を踏まえた見直しを行っているところです。
 県としては、国の見直しの手法や新たな被害想定を参考にしながら、来月設置する「地震・津波防災対策検討委員会」において、本県の被害想定を見直すこととしています。
 なお、被害想定の対象となる断層については、見込まれる地震や津波の規模等を踏まえながら、検討委員会において決定されることとなります。

2,被災者生活再建支援制度等の拡充について

◎藤本一規議員

 2つは、被災者生活再建支援制度等の拡充についてです。
能登半島地震での住宅被害は7万7千棟余。全壊が7737棟、半壊が12681棟、一部損壊は57260棟です。国による被災者生活再建支援制度を抜本的に改善することが急がれます。同時、県が制度の拡充を行い、災害に備える時です。
 17都府県が、半壊にも支給している被災者生活再建支援制度を、拡充するとともに、現在10万円の災害見舞金についても引き上げるべきですがお尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

 能登半島地震を受けた対応についてのお尋ねのうち、被災者生活再建支援制度等の拡充についてお答えします。
国の被災者生活再建支援制度は、被害世帯数等が一定の基準に達した市町において、全壊、大規模半壊、中規模半壊及び住宅を解体した世帯等に適用することとされています。
 県制度では、同一の災害にもかかわらず、居住する市町によって被災者間に不均衡が生じないよう、単独事業として、国制度が適用にならない市町まで範囲を拡大し、国と同様の基準で支援金を支給しているところであり、制度を拡充することは考えていません。
 また、本県の災害見舞金は、特に甚大な被害を受けられた方に、お見舞いの気持ちを込めてお渡しするものであり、見直すことは考えていません。

3,体育館の空調について

◎藤本一規議員

 3つは、体育館の空調についてです。
 22年9月1日現在の体育館の空調(冷房)の県内での設置率は、小中学校が1.1%、高等学校が3.0%、特別支援学校が13.3%です。
 学校施設環境改善交付金は、学校体育館の空調設置経費の3分の1を補助する国庫補助事業ですが、体育館の空調は25年度まで2分の1に引き上がっています。この制度を活用して特に避難所となっている体育館は、空調設置を進めるべきですがお尋ねします。

●木村香織副教育長

 最初に、能登半島地震を受けた対応についてのお尋ねのうち、体育館の空調についてです。
 市町立学校については、その多くが避難所に指定されていることから、各市町での体育館の空調設置を支援するため、「学校施設環境改善交付金」の活用に関する助言や情報提供などを、引き続き、実施していくこととしています。
 なお、県立高校については、体育館の空調設置が交付金の対象とはなっていませんが、避難所としての指定状況や各学校のニーズなどを踏まえながら、スポットクーラー等、持ち運びが可能な空調機器を整備するなど、体育館の空調設置を進めているところです。

原発関連施設について

1,地震への対応について

◎藤本一規議員

 質問の第3は、原発関連施設についてです。
 1つは、地震への対応です。
 能登半島地震について、政府の地震調査委員会は、動いた活断層の長さを約150キロとしています。北陸電力が志賀原発で想定していたのは、96キロです。
 上関原発予定地には、40.1キロのF―4断層群、33.4キロのF―3断層群、14.6キロのFH-5断層群があります。地質研究者の越智秀二さんは、「これら3つの活断層が連動して動く可能性がある。延長は90キロを超え、震度6強を記録した阪神淡路大震災より長い断層と言える」と指摘しています。
 私は、能登半島地震の教訓から上関周辺の原発も中間貯蔵施設も作るべきではないと考えますが、県の見解をお尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

 地震への対応についてです。
 上関原発建設計画は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものです。
 こうした中、原子力規制委員会は、同委員会に設置している技術情報検討会の枠組のなかで、能登半島地震に関する知見を収集していくとともに、志賀原発の新規制基準適合性審査において、当該地震の知見の反映内容について確認していくこととしています。
 県としては、原発については、安全性の確保が大前提であることから、国及び事業者の責任において安全性を不断に追求することが重要であると考えています。
 また、上関町における中間貯蔵施設については、現在はあくまでも、施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、現時点、当該調査の結果や施設に関する具体的な計画もなく、県としての見解を申し上げる状況にはないものと考えています。

2,国の上関原発の位置づけについて

◎藤本一規議員

 2つは、国の上関原発の位置づけについてです。
 日本共産党県議団は、1月31日、参院議員会館で資源エネルギー庁戦略企画室の担当者からレクチャーを受けました。「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」における上関原発計画の位置付けについて尋ねたところ、「廃炉を決定した原発の敷地内での次世代炉への建て替え。上関原発は、この概念に含まれていない」と話しました。この見解をどう受け止めるのかお尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

 上関原発の位置づけに関するお尋ねのうち、国の見解についてです。
お示しの国の戦略においては、次世代革新炉の開発・建設に取り組み、地域の理解確保を大前提に、廃炉を決定した原発の敷地内での次世代革新炉への建て替えを対象として、具体化を進めていくとされています。
 また、その他の開発・建設は、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していくとされているところです。
 一方、上関原発の重要電源開発地点指定という個別具体的な事柄に関しては、国から、地点指定は引き続き有効であり、事情の変化がない限り解除する考えはないとの見解が示されており、県としてはそのように受け止めています。

◎藤本一規議員

 村岡知事は、昨年12月26日の記者会見で、上関原発がありながら、別に中間貯蔵施設のように他の使用済核燃料を受け入れる施設は全国にない。負担としては非常に過大との認識を示しました。
 福島原発事故後、当時の二井知事は埋立免許の延長を現状では認めないことを表明しました。村岡知事は、国の概念にもない上関原発について、二井知事同様、公有水面埋立免許の延長は認めないことを表明すべきですがお尋ねします。

片山克浩土木建築部長

 原発関連施設についてのお尋ねのうち、上関原発に係る公有水面埋立免許の延長についてお答えします。
 お示しの三井元知事の発言は、中国電力からの延長申請がなされる前の時点で、原発を取り巻く情勢及び国のエネルギー政策の見直しといった当時の状況を踏まえ示されたものです。
 その後なされた、これまでの延長申請については、上関原発の重要電源開発地点の指定は引き続き有効であるとの国の見解が明確に示され、これは、実際に土地需要があることを示す具体的な根拠となるものであることなどから、期間延長に正当な事由があると認められ、延長を許可したものです。
 免許の期間延長については、申請がなされれば、その時点において、法に従って正当な事由の有無を厳正に審査し、適正に対処します。

3,関西電力による乾式貯蔵施設設置計画について

◎藤本一規議員

 3つは、関西電力による乾式貯蔵施設設置計画についてです。
 関西電力は、2030年頃を目途に、美浜、高浜、大飯の3つの原発に計700トンの使用済燃料乾式貯蔵施設を設置する計画について、2月8日、福井県に事前了解願を提出されました。同計画は、上関町への中間貯蔵施設の必要性に疑問符を生じさせるものですが、県の認識をお尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

 関西電力の乾式貯蔵施設設置計画は、上関町への中間貯蔵施設の必要性に疑問符を生じさせるものである、との指摘に対する県の認識についてです。
 上関町における中間貯蔵施設については、現在はあくまでも、施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、現時点、当該調査の結果や施設に関する具体的な計画もなく、お示しのような指摘に対する県の認識について申し上げるものはないものと考えています。

◎藤本一規議員《再質問》

 原発についてです。知事会見について、昨日も議論になりました。上関原発と中間貯蔵施設は負担が非常に過大だ、という見解を示された問題で、昨日答弁がされました。理事の答弁は、県として対応を申し上げる状況にないというものでしたけれども、中国電力は立地可能性ではあるけれども具体的にもう調査に入っているわけです。で、原発の計画はまだ依然ある。この意向を中国電力にどうなのか、問いただすことはできるというふうに思いますが、再度お尋ねしたいと思います。
 六ケ所村の問題も昨日も議論になりました。再処理工場は1993年に着工し、97年にも完成予定でしたけれども、延期延期延期。今度の延期が決まれば27回目の完工目標の延期、この問題について核燃料サイクルシステムは国の責任と言われました。しかし、この間何があったか。原発に反対する上関町民の会など4団体が中国電力に出した中間貯蔵施設建設反対の署名の数、実に27万5, OOO筆です。県は、イージス・アショアの問題について、丁寧に国に、許認可権はないにも関わらずですね、詳細な照会を行っていただきました。このようなことは今回の問題でもできるわけです。核燃料サイクルシステムが本当に稼働するのか、中間が最終になるんじやないかという県民の不安払しょくのために、是非ですね、県は国に意見を照会することはできると思いますが、お尋ねをしたいと思います。
 そして、対馬市長選挙のことについてはまだ触れられていません。これは、最終処分場の立地が想定されていた対馬市での市長選挙、立地反対、最終処分場にしないという現職市長が圧倒的に勝利をいたしました。核燃料サイクルは国の責任という無責任な答弁ではなくてですね、この対馬市長選挙の結果について、県はどうお考えか、お尋ねをしたいと思います。

●鈴森和則産業労働部理事

 まず、中電の考えの確認についてです。上関町における中間貯蔵施設に係る調査については、上関町の新たな地域振興策の検討要請に対し、中国電力から回答が行われ、町において、施設設置の是非を判断するため等として、立地可能性調査の実施を了承されました。このようにして、現在は、あくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査が行われているところでありまして、当該調査の結果や、施設に関する具体的な計画もなく、県として、お示しのような確認など、当該施設に関し、対応について申し上げる状況にはないものと考えています。
 次に、核燃料サイクルについて、国に確認とのお尋ねについてです。エネルギー政策は国家運営の基本であることから、核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものと考えており、国は、エネルギー基本計画において核燃料サイクルの推進を基本的方針とし、再処理やプルサーマルを推進することとしているものと承知しています。
 いずれにしましても、1点目の再質問の関係で答弁しましたように、現在は、県としての対応について申し上げる状況になく、国に対して確認することは考えていません。
 次に、対馬市長選に対する県の受け止めについてでございます。他県における市長選挙について、県として見解を述べる立場にはないものと考えています。

県政の負の遺産に係る諸課題について

1,弥栄ダムの未事業化分について

◎藤本一規議員

 質問の第4は、県政の負の遺産に係る諸課題についてです。
 1つは弥栄ダムの未事業化分についてです。
 弥栄ダムに、企業局が保有していた水量は、37600トンでした。現在の契約水量は3600トンです。県全体で保有する水量の10分の1以下しか契約できていません。
 資料①の通り、12年度2月補正予算で、一般会計から企業局に、155億4300万の補助金を交付して、未事業化分32000トンは、一般会計に移管されました。
 県は、この未事業化分を「県民共有の貴重な財産」としています。一般会計から、毎年約4000万円のダム分担金を払い続け、昨年度末までの、一般会計での負担合計は163億9400万円となっています。「県民共有の貴重な財産」どころか、県民共有の「負の社会資本」と言えます。
 一般会計に移管して10年が経過した今、過大な需要見込みの末、保有量の10分の1以下しか需要のない弥栄ダムの未事業化分をどう総括しているのかお尋ねします。水資源対策推進協議会において、①弥栄ダムで発電を行っている中国電力への水利権の譲渡や、②企業局での電気事業の事業化③治水への振り替え―の検討状況をお尋ねします。
 ダム分担金は継続します。短期集中的に未事業化分を解消する手立てを取るべきですがお尋ねします。

永富直樹総合企画部長

 弥栄ダムの未事業化分についての数点のお尋ねにお答えします。
 最初に、未事業化分の総括についてですが、まず、弥栄ダムについては、その完成が、県東部地域の上水道の安定水源の確保や、台風等の災害被害の軽減につながるなど、県民生活の安心・安全に大きく寄与しているところです。
 ダム建設後の社会経済情勢の変化等から、事業化に至らなかった先行水源については、一般会計移管後、様々な観点からの検討を進めましたが、新たな利活用には至っていない状況であり、県民共有の貴重な財産として、その有効活用が図られるよう、今後も取り組む必要があると考えています。
 次に、水資源対策推進協議会における検討状況についてです。お尋ねの3点については、協議会において、中国電力への水力発電による活用検討の依頼、企業局による小水力発電の事業化の検討、治水容量への振替に係る国との協議を行ってきましたが、現時点、いずれも難しい状況です。
 次に、短期集中的に未事業化分を解消する手立てを取るべきとのお尋ねについてですが、これまでも、関係部局で連携を図りながら、出来るだけ速やかに有効な活用策を見出していけるよう、取り組んできたところであり、今後も引き続き、そうした考えの下、検討を進めてまいります。

◎藤本一規議員《再質問》

 久しぶりの弥栄ダムの未事業化問題の質問です。いろいろ聞いてみたいと思います。
 2012年度決算特別委員会での星出議員の質問に対して、当時の大谷企業局総務課長が丁寧に答えられています。一つは一般最初の質問でも取り上げた中国電力への問題ですね。2004年に中電に間いたけれども困難だという答弁だったということですが、その後、県は事実関係として中電にどう働きかけたのか。
 二つ目お尋ねします。二つ目は治水への振替です。これもですね同じ決算委員会で企業局総務課長がですね、治水への振替は2007年に国に確認をしたけれども、制定された小瀬川河川整備基本方針には追加の治水振替は必要ないという結論だったということですけれども、その後、県は具体的にいつ国に治水振替を働きかけたのか、ということについてです。お尋ねします。
 それからあのこういう問題提起もあります。2013年当時2012年決算ですから2013年に開かれたその当時、先行水源つまり工業用水道事業として活動の目途のない未事業化分を抱えた県がなんと13県あると言っておられます。この13県とはどこなのか。お尋ねします。それからそこが今どうなっているのか。あれから十何年たっていますから、ひょっとしたら治水への振替えとかいろいろ新しいドラマがあるかもしれない。ちやんと調査すべきだと思いますけれどもお尋ねしたいと思います。
 それから、私、昨日晩ですね2010年8月に中国知事会が2011年度の国の施策に関する要望書を出しています。その中に、先行水源等の当面の間十分な用水需要の見込めない工業用水道事業に対し国において経営基盤強化のために必要な財政措置をとってくださいという要望しています。今もその要望は続けているのか、お尋ねしたいと思います。

永富直樹総合企画部長

 弥栄ダムに係る再質問にお答えをいたします。
 まずは中国電力に対する働きかけについてですけれども、平成29年に中国電力に検討をお願いしておりますけども、採算性が合わないということで困難との回答を受けております。
 それから、国に対する治水への振替についての働きかけというか要望についてでございますけれども、平成28年に国と協議を行っておりますけども、治水容量の増大の必要はないという検討結果となっております。
 それから、平成24年時に先行水源を抱える13県はどこかというお尋ねですけれども、当時の13県は、福島、茨城、新潟、石川、岐阜、愛知、三重、島根、岡山、徳島、高知、大分、本県の13県であります。そして、いま現在この都道府県についての調査をしているかということですけれども、現在、他県の先行水源の状況についての調査は行っておりません。
 それから、中国地方知事会の要望を現在も続けているかというお尋ねですけども、中国地方知事会については、今年度も先行水源について財政負担の軽減の措置を求めているところであります。

◎藤本一規議員《再々質問》

 弥栄ダムの未事業化分についてです。
 13県の未事業化を抱えた工業用水道事業について、調査していないということですが調査すべきと思いますが、お尋ねをしたいと思います。
 治水への振替の問題について、あれから8年たっています。もう一度、まあ豪雨の災害も起きていますので、治水への振替が可能かどうか問いただしていただきたいと思いますが、お尋ねします。

●永富直樹総合企画部長

 他県の調査を改めて行うべきというお尋ねですけれども、現時点、他県の調査を改めて行うということは考えておりませんけども、他県の状況等にはアンテナを張って、必要に応じて情報収集を行ってまいりたいと考えております。
 それから治水の振替について国と協議すべきではないかとのことでありますが、国においては近年気候変動の影響で、激甚な水害が頻発する状況を踏まえて治水計画の見直しが始まっております。現時点、弥栄ダムは対象となっておりませんけれども、国の動向については、今後も情報収集を行ってまいります。

2,きらら浜について

◎藤本一規議員

 2つは、きらら浜についてです。
 資料②のように、「きらら浜」には、国から公共事業用地として取得した1988年以降、県は土地の嵩上げや土地買入などで約450億円を投じてきました。
さらに、資料③のように県は同地を会場に開催した「山口きらら博」のため651億円を投じています。県は、きらら浜に1000億円を超える経費を投入したことをどう総括しているのかお尋ねします。
 次に、拠点化事業の総事業費についてです。
 新年度予算に、山口きらら博記念公園交流拠点化事業として約12億4千万円が計上されています。まず、拠点化事業として「中国地方最大級のフラワーガーデンの整備」「多様な人々が一緒に遊ぶことができる大型複合遊具等の整備」を選択した理由についてお尋ねします。
 次に、サウンディングについてです。
 公園の交流拠点化に関するサウンディング調査実施要領は事業手法について「可能な限り、民間活力導入の最大化に取り組む」とし、PFIなどの事業手法を示しています。1月に実施されたサウンディング調査で示された事業手法はどのようなものだったのかお尋ねします。
 尾林芳匡弁護士はPFIの問題点として「民間事業者が参入しても見込み通りの収益があげられず、民間事業者が撤退したり、PFIのために設立された特定目的会社が経営破たんする事例」が全国にあると指摘しています。県は、PFI手法のリスクをどう評価し、今後、事業者の選定をいつまでに進めようとしているのかお尋ねします。

●片山克浩土木建築部長

 まず、きらら浜に投入した経費の総括についてです。
 きらら浜の整備については、その時々の状況における判断のもとに対応してきたものと考えています。
 次に、拠点化事業についてです。
フラワーガーデンや大型複合遊具は、公園の基盤となる施設であり、また、県民へのアンケートやワークショップにおいてもニーズが高く、早期の完成により、魅力が増した公園の姿を県民の皆様に実感していただけることから、来年度、県が設計や整備を行うこととしたものです。
 次に、サウンデイング調査で示された事業手法についてです。
 調査結果については、サウンデイングに参加した企業の意向を踏まえ公表することとしており、また、取りまとめ段階でもあることから、現時点ではお示しできません。
 次に、PFIの評価と事業者の選定についてです。
PFIは、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用した整備手法であり、効率的で効果的な整備を図ることができる有用なものであると評価しています。
 また、公園に新たに導入する機能や施設等の設置・管理・運営を担う民間事業者については、事業手法も含め、来年度以降、適切な時期に選定することとしています。

◎藤本一規議員《再質問》

 サウンディングについてですけれども、八千代エンジニヤリングがですね、5000万円で落札しています。で、これから事業化ということですが、例えば今年ですね、新年度予算に公共で11億7600万円のきらら博記念公園の公共工事が行われるわけですね。その入札作業とサウンデイングの業者の選定作業との関係についてお尋ねをしたい、というふうに思います。

●片山克浩土木建築部長

 サウンデイング調査後に行われる民間事業者選定と、公共事業予算12億円の入札手続きで行われる事業者選定との関連についての再質問にお答えします。
 公園の整備に当たっては、公園の基盤となる施設については県、収益施設については民間事業者を基本的な役割分担として、進めていくこととしていることから、民間が導入する収益施設の事業者選定と県が整備する基盤施設の受注者の選定に関連はありません。

教育問題について

1,教員による働き方について

◎藤本一規議員

 質問の第5は、教育問題についてです。
 1つは、教員による働き方についてです。
21年7月策定した「学校における働き方改革加速化プラン・改訂版」の目標は「時間外在校等時間の上限方針の遵守(月45時間、年360時間を超える教員の割合を0%に近づける)」です。プランの期間は、今年3月までですが、資料④の通り、昨年4月から8月、月45時間を超えた教員の割合は、小学校35.3%、中学校45.7%、県立学校27.4%。2022年度、年360時間を超えた教員の割合は、小学校64.5%、中学校75.7%、県立学校45.3%で、全て目標未達成でした。県教委は、この結果をどう受け止め、来年度以降、どのような目標を設定しようとしているのかお尋ねします。

●木村香織副教育長

 教員による働き方についてです。
 これまで、県教委では、「働き方改革加速化プラン」に沿った取組を進めてきたところであり、時間外在校等時間の縮減など一定の成果があったものの、教員の勤務の実態は依然として厳しい状況にあると考えています。
 このため、来年度以降も引き続き、時間外在校等時間の上限方針の遵守をめざし、取組の更なる推進を図ることとしています。

2,中学校の学級規模について

◎藤本一規議員

 2つに、中学校の学級規模についてです。
 新年度、中学校2・3年生の35人学級化は復活できるのかお尋ねします。新年度必要な基礎定数、加配定数は確保できる見通しなのかお尋ねします。

●木村香織副教育長

 中学校の学級規模についての2点のお尋ねですが、35人学級化については、来年度は元に戻すこととし、教員定数については、基礎定数の確保はもとより、加配定数についても、教員の必要数を精査し、 今年度並みに確保することとしています。

◎藤本一規議員《再質問》

 新年度の職員の確保について、22年度と23年度を比較して、① 加配教員の減少数は何人だったのか、② 中学38人学級にしたことで担任の減少数は何人だったのか、尋ねる。

●木村香織副教育長

 2022年度と2023年度を比べてみて、加配教員の減少数は何人かというご質問でありましたけれども、こちらは252名となっております。
 それから、2点目は、38人学級化に伴って担任の減少数は何人かというお尋ねでありましたけれども、こちらは47名となっております。

◎藤本一規議員《再々質問》

 加配教員は、252人減ということだが、それがしっかり新年度回復できるのか、尋ねる。

●木村香織副教育長

 県教委といたしましては、加配教員についての減少等も踏まえつつ、必要な教員数を精査してまりたい、こう考えております。

いじめ問題について

1,いじめ重大事案報告書について

◎藤本一規議員

 3つは、いじめ問題についてです。
 第一は、昨年末公表されたいじめ重大事案報告書についてです。
県教委は、昨年12月22日、県立学校での事案に対する「いじめ重大事態に関する調査報告書」を公表しました。報告書では8件を「いじめ」に該当する行為と認め、4人の生徒が関わったとしました。学校の対応の問題点も詳細に指摘されています。
 県教委の懲戒処分の指針に「暴言等の不適切な言動」があります。当該生徒の保護者は、今年に入り、教員の処分を要望する文書を県教委に提出しています。教員への処分を今後どのように行うのか、当該生徒への謝罪をどのように行うのかお尋ねします。
 更に、報告書を受けて、学校は関係生徒の保護者への説明と関係生徒への指導をどのように行ったのかお尋ねします。
 鹿児島県は、調査報告書を受けた再発防止対策等を検討するための有識者等からなる検討会を設置しています。県教委は、本報告書をどのように各学校に徹底しますか、有識者を加えた再発防止等を検討する会議を創設する考えはないのかお尋ねします。

●木村香織副教育長

いじめ問題についての数点のお尋ねにお答えします。
 最初に、教員への処分や当該生徒への謝罪についてですが、事実関係を確認した上で、総合的に判断することとしています。
 次に、報告書を受けて、学校は関係生徒の保護者への説明と関係生徒への指導をどのように行ったのかについてです。
 関係生徒の保護者に対しては、認定された事実を丁寧に伝えるとともに、関係生徒に対しては、謝罪の気持ちが醸成されるよう個別に指導を行ってきたところです。
 次に、県教委は本報告書をどのように各学校に徹底するのかについてです。
 県教委では、全ての県立学校に対して、報告書の提言を踏まえ、教職員に対する初期対応等の研修会や、生徒に対する予防教室などのいじめ根絶に向けた取組を推進するよう徹底を図っているところです。
 次に、有識者を加えた再発防止策等を検討する会議を創設する考えはないのかについてです。
 県教委では、いじめの防止等の対策に関係する機関及び団体をもって構成する「山口県いじめ問題対策協議会」を設置し、再発防止策等を検討しており、新たな会議の創設は考えていません。
 次に、いじめ防止総合条例の制定についてです。
本県では、「いじめ防止対策推進法」に基づき、いじめ防止等の対策を総合的かつ効果的に推進するための「山口県いじめ防止基本方針」を策定していることから、お尋ねの条例の制定は考えていません。

◎藤本一規議員

 全国8都道県で、いじめ防止に関する総合条例を制定しています。福岡県は、昨年11月、知事部局に「福岡県いじめレスキューセンター」を配置しました。県は、いじめ防止総合条例と専門部署を制定・配置すべきですがお尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

 教育問題についてのお尋ねのうち、まず、いじめ防止に関する専門部署の設置についてお答えします。
 現在、国において、自治体の首長部局が学校外からのアプローチによりいじめ防止対策に取り組む手法の開発・実証に向け、モデル事業が実施されているところです。
県としては、こうした国の取組状況について、引き続き情報収集に努めてまいります。

◎藤本一規議員

 「成育過程にある者及びその保護者並びに妊産婦に対し必要な成育医療等を切れ目なく提供するための施策の総合的な推進に関する法律」に「国及び地方公共団体は、成育過程にある者が死亡した場合におけるその死亡の原因に関する情報に関し、その収集、管理、活用等に関する体制の整備、データベースの整備その他の必要な施策を講ずるものとする」とあります。令和4年度は8道府県で、予防のための子どもの死亡検証(CDR)体制整備モデル事業が実施されています。県は、CDR体制を構築すべきですがお尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

 予防のための子どもの死亡検証(CD R)体制の構築についてお答えします。
 国においては、成育基本法及び死因究明等推進基本法の成立を踏まえ、お示しのモデル事業が実施されているところであり、モデル事業を通じて把握された課題などを検証し、CDRの体制整備に向けた検討を進めることとされています。
 県としては、こうした国の検討状況について、引き続き情報収集に努めてまいります。

2,私立学校部活動でのいじめ重大事案について

◎藤本一規議員

 第2は、私立学校部活動でのいじめ重大事案についてです。
昨年12月25日、県内の私立高校から県知事に「いじめ重大事態調査結果報告書」が提出されました。
 この事案は、「性的暴行」があったと報じられています。報告書を受け取った知事は、いじめ防止対策推進法31条2項に基づく調査結果について調査を行うのかお尋ねします。

●松岡正憲総務部長

 教育問題に関する御質問のうち、私立学校部活動でのいじめ重大事案についてのお尋ねにお答えします。
 私立高校から県に提出された調査結果報告書については、その内容を慎重に確認しているところであり、現時点では再調査の実施についてお答えできる状況にありません。

◎藤本一規議員《再質問》

 福岡県は私立のいじめ問題で、重大事態再調査委員会に答申を諮問していますが、山口県も同様な対応をすべきだと思いますが、お尋ねします。

●松岡正憲総務部長

 いじめ問題についての再質問にお答えします。福岡県では、いじめ重大事態再調査委員会に対して、再調査の実施だけでなくて、その要否についても求めている。山口県もそうすべきではないかとの趣旨のお尋ねだったと思います。
 山口県いじめ調査検証委員会は、県立または私立学校で発生したいじめの重大事態に係る調査結果についての調査を担うものでございまして、再調査を実施するか否かについては審議事項でないため、委員会に意見を求めることは考えていません。

(2024年3月7日)

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