知事の政治姿勢について
1,地方自治法「改正」問題について
◎木佐木大助議員
質問の第1は,知事の政治姿勢についてです。
1つは、地方自治法「改正」問題についてです。
一番の問題は、政府が「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断すれば国が地方自治体に指示ができる「指示権」を新たに導入し、地方自治体を国に従属させる仕組みがつくられたことです。曲がりなりにも進められてきた地方分権を否定するだけでなく、憲法が保障する地方自治を根本から破壊するものです。
全国知事会会長の村井宮城県知事は、「拡大解釈をすれば、あらゆることを国が指示できるということになりかねない。これは地方自治の本旨に反する真逆の法案ということになる」と、強い警戒感を示し、岩手の達増知事も「過去に経験したことがない事態の場合、国のトップからのリーダーシップより現場の判断や決断がより重要になってくる。今回の改定案ではかえってそういう危機対応に逆効果になる」と強い懸念を表明しています。
知事の見解をお尋ねします。
●佐藤茂宗総務部長
地方自治法「改正」問題に係る御質問のうち、県の見解についてのお尋ねにお答えします。
この度の、地方自治法の改正で盛り込まれた国の補充的な指示については、全国知事会として、地方自治の本旨に影響を及ぼすことのないよう、様々な要請等を行ってきたところです。
それを踏まえ、国会において、この補充的な指示を「目的を達成するために必要最小限のものとすること」や「事前に関係地方公共団体等と十分に必要な調整」を行うことなどの附帯決議も行われたところです。
県としては、国の補充的な指示については、全国知事会の要請や国会での附帯決議を十分に踏まえ、地方公共団体の自主性・自立性に配慮しながら、適切に運用されるものと考えています。
◎木佐木大助議員
政府が存立危機事態を含む「事態対処法」や、安保3文書に基づく「特定利用空港・港湾」への指示権適用について「除外するものではない」としていることも看過できません。米国の戦争に自治体を動員するために使われる危険は、きわめて重大です。安保3文書に基づく「戦争する国づくり」のための立法は断じて許されません。
戦前、「団体自治」「住民自治」がなかったことが、政府が戦争体制を国の隅々にまで貫徹する要因となりました。
政府が行うべきは、地方自治体に権限と財源を十分に保障し、国民の命と暮らしを支える現場の力を強くすることです。
憲法が保障する地方自治を踏みにじることは断じて許されません。知事の見解を伺います。
●村岡嗣政知事
私からは、「事態対処法」や安保3文書に基づく「特定利用空港・港湾」への指示権適用についてのお尋ねにお答えします。
国は、事態対処法に定められた事態への対処については、法律で必要な規定が設けられているため、この度の地方自治法の改正で規定された補充的な指示の行使は想定していないとし、特定利用空港、港湾における円滑な利用に関する枠組みについても、補充的な指示の行使は想定していないとされています。
補充的な指示は、国民の安全に重大な影響を及ぼす事態に対して、個別法の規定で対応できない場合の特例として、必要最小限の範囲で行使するとされており、地方自治の本旨に十分配慮し、運用されるものと考えています。
なお、地方自治体の権限については、地方分権改革が、引き続き進められており、財源については、先週閣議決定された骨太の方針において、一般財源総額の確保等により、地方行財政基盤の持続性を確保・強化するとされたところです。
木佐木大助議員《再質問》
地方自治法の改定について、「国民の安全に重大な事態を及ぼす事態」と判断すれば、自治体を国に従属させるしくみをつくるものであり、その要の一つは「治安立法」であります。
既にこれまで、安倍自公政権のもとで、2013年には特定秘密保護法、15年に安保法制、17年に組織犯罪処罰法改正(共謀罪)、21年に土地利用規制法、22年に経済安保法、24年に経済秘密保護法など、自公政権が着々と進めてきた「戦争する国づくり」とセットで、治安立法が作られてきました。
災害やコロナに乗じて、「地方自治破壊の仕組みを導入する」ことは、断じて許されません。改めて見解を伺います。
●佐藤茂宗総務部長
地方自治法改正についての再質問にお答えします。
今回の改正は、地方自治を破壊するもので見解を伺う、との尋ねですが、この度の地方自治法の改正で規定された、国の補充的な指示については、国において、個別法で指示ができず、国民の生命等の保護のために特に必要な場合に限定的に行われるものであり、地方自治の本旨に背くものではないとされています。
どこまでも補充的に行われる指示であり、地方分権一括法で構築された国と地方の関係の基本原則のもと、適切に運用が行われるものと考えています。
2,統一協会系団体の県施設使用について
◎木佐木大助議員
2つは、統一協会系団体の県施設使用についてです。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)については、昨年10月13日、文科大臣が教団に対する解散命令を東京地方裁判所に請求し、審理が進められています。
同教団や関連団体による公共施設の使用許可について、村岡知事は5月の会見で「現時点で統一教会の関係団体だからということで分けて扱いをしようということは方針として決めているものはない」と述べています。
他方、福岡市は昨年6月、「旧統一教会関連団体は、伝導目的であることを秘匿して活動する特異性があり、市の施設で集会等が行われると、その施設において新たな被害が発生するおそれがある」ことなどを理由に、「市が所有する公の施設において、国の見解が示されるまでの間、旧統一教会関連団体からの利用申請に対する許可を保留する」ことを決めました。
文科省は解散命令を請求した事由に、同教団は「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」や「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為」に該当すると説明しています。
山口県も、福岡市と同等の対応をとるべきです。伺います。
●佐藤茂宗総務部長
統一教会系団体の県施設使用についてのお尋ねにお答えします。
公の施設の使用許可については、地方自治法第244条第2項において、「地方公共団体は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」と規定されています。
また、同条第3項では、「地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない」とされています。
これらを踏まえ、県としては、旧統一教会系団体の施設使用については、施設の利用目的等を精査の上、関係法令や施設の使用許可基準等に照らして、個々に慎重に対応することとしており、福岡市と同等の対応をとることは考えていません。
3,政治資金規正法の改正について
◎木佐木大助議員
3つは、政治資金規正法の改正についてです。
自民党は、「真摯(しんし)に反省」と口にするも、自ら引き起こした違法な裏金づくりの真相解明は最後まで拒み続け、公明党とともに抜け穴だらけの政治資金規正法改悪を「数の力」で押し通しました。民主政治を破壊する許されない暴挙です。
知事は一人の政治家として、今回の「改正」をどう評価されていますか。お尋ねします。
●永富直樹総合企画部長
次に、政治資金規正法の改正に対する評価についてのお尋ねにお答えします。
この度の法改正は、政治団体の収支報告の適正の確保及び透明性の向上により、政治に対する国民の信頼の回復を図ることを目的とされたものであり、国会において、様々な観点から議論が行われ、先般、成立したものと承知しています。
今回の法改正に基づき、詳細な内容については、引き続き検討が行われるとされておりますので、今後も、政治への信頼回復に向けた取組が、国において進められるものと考えています。
◎木佐木大助議員
自公両党が強行した「改正」の最大の問題は、政治改革の核心である企業・団体献金禁止に一切手をつけず、温存していることです。
裏金の原資となった政治資金パーティー券購入は、「抜け道」を使った企業・団体献金に他なりません。自公両党は、購入者の公開基準を現行の「20万円超」から「5万円超」に引き下げたことを「透明性の確保」と言いますが、複数回開催したり、企業幹部が分担購入すればこれまでと変わらず非公開です。
政治資金規正法は、政治資金パーティーを「対価を徴収して行われる催物」と規定しています。県選挙管理委員会にお聞きしたところ、「対価」とは、「催物に参加することの反対給付として支払われる金銭その他の財産上の利益」と説明がありました。
県内の政党支部が開催するパーティーでは、参加することで得られる給付は1000円に満たないのに、反対給付は1万円というケースもあります。これでは「対価を徴収して行われる催物」とは言えないと考えますが、お尋ねします。
また、政党から党幹部に渡されてきた「政策活動費」は、規正法上に規定のない、支出の実態を隠すための脱法的な闇金です。「改正」はこの「政策活動費」を規正法に新たに書き込み、闇金を合法化するものです。「政策活動費」の領収書や明細書などの公開は10年後としています。規正法違反は時効5年のため公開後に不正が発覚しても罪に問うこともできません。
県内でも毎年、1000万円程度を党幹部への「活動費」として支出している政党支部もあります。この「活動費」も「政策活動費」と同様の扱いとなるのか、お尋ねします。
●秋本泰治選挙管理委員会委員長
政治資金規正法についての二点のお尋ねにお答えします。
まず、政治資金パーティーについては、政治資金規正法第8条の2において、「対価を徴収して行われる催物で、対価に係る収入の金額から、経費の金額を差し引いた残額を、当該催物を開催した者の政治活動に関し支出する」ものと規定されているところでございます。
次に、「政策活動費」の具体的な取扱いについては、国において検討されるものと認識をしております。
◎木佐木大助議員《再質問》
政治資金規正法について1点伺います。
これまでは、県報で公開されていた収支報告書の要旨も公開されなくなるのでしょうか。この点を、改めて、選管委員長に伺います。
●秋本泰治選挙管理委員会委員長
今回の政治資金規正法の改正についてですが、国からは、改正後の具体的な取扱いについて示されていないところです。
中国電力の経営姿勢について
1,景品表示法違反など不祥事への対応について
◎木佐木大助議員
質問の第2は,中国電力の経営姿勢についてです。
1つは、景品表示法違反など不祥事への対応についてです。
中国電力は、家庭向けの一部料金メニューに誤解を招く表記があったとして消費者庁から景品表示法違反に当たると認定され、約16億5600万円の課徴金を支払うよう5月28日に命じられました。景品表示法違反の課徴金としては過去最高額だそうです。同社は昨年も関西電力とカルテルを結び、公正な競争を阻害したことにより、公正取引委員会から707億円の課徴金支払いを命ぜられたばかりです。経営体質に問題があると思わざるをえません。県の認識を伺います。
同社によると、今回の景品表示法違反で影響を受けたのは約26万件、返還総額は約10億円にものぼります。少なくない県民が不利益を被ったことは重大です。県民生活を守る立場から不祥事を起こした原因と再発防止の徹底を求めるべきです。お尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
中国電力の経営姿勢についての御質問のうち、景品表示法違反など不祥事への対応に関する2点のお尋ねにまとめてお答えします。
お示しのように、中国電力に対し、昨年3月に独占禁止法に基づく排除措置命令等が行われ、本年5月に景品表示法に基づく課徴金納付命令が行われました。
県は、関係法令上の監督権限を有しないことから、お尋ねのような認識や対応についてお答えする立場にはありませんが、中国電力には、社会を支える電力の供給に携わる企業として、適正な事業運営に努めていただきたいと考えています。
現在、中国電力は、監督権限を有する国の業務改善命令等に従い、法令遵守の徹底などの再発防止策に取り組むとともに、不適切な料金表示に係る契約者に対する返金手続きを行っているところであり、今後の中国電力及び国の取組を注視してまいります。
◎木佐木大助議員
2つは、モノ言わぬ株主からモノ言う株主に、についてです。
県は、中国電力の大株主となった2013年度以来、株主総会は欠席して、議決権行使書は白紙提出する対応を続け、事実上、経営方針に賛同し続けています。これは不祥事を繰り返す同社の経営体質を是認していることに他ならないのではありませんか。また、大株主である県が、モノ言わぬ株主となっていることが、同社の経営体質に悪影響を与えている面はないでしょうか。それぞれ見解をお示し下さい。
関西電力の大株主である大阪市や京都市は、株主総会に「脱原発や経営の透明性向上」などを共同提案したこともあります。「中国電力株は県民の共有財産」という立場に立つなら、電力の安定供給や電気料金の低廉化などを願う県民の声を代弁するため、モノ言う株主となることが必要と考えます。見解を聞きます。
●佐藤茂宗総務部長
次に、中国電力の経営姿勢に関するお尋ねのうち、株主としての対応についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、県の株主総会への対応が同社の経営体質を是認し、悪影響を与えているのではないかとのお尋ねです。
株主総会への対応方針については、県は、株主の立場として、これまで一貫して「株式の所有」と「会社の経営」とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢を堅持し、対応してきました。
このような基本姿勢の下、県は、株主として中立的な態度を明示するため、総会を欠席し、議決権行使書は白紙で提出しているところであり、ご指摘は当たらないと考えています。
次に、モノ言う株主となることが必要ではないか、とのお尋ねです。
県としましては、これまでの基本姿勢を踏まえ、株主として、中国電力の経営方針に関して意見を述べることは考えていません。
◎木佐木大助議員《再質問》
中電の経営姿勢については、鈴森理事からも答弁ありました。昨年度はカルテル犯罪の主犯として、公取から707億円の課徴金。今年度は恥ずべき景品表示法違反で過去最高額の16億5600万円。こんな経営姿勢を果たして放置できるのか。最大株主としての責任が今、問われています。ガバナンスもコンブライアンスも崩壊した中電の経営姿勢の背景には、何をやっても3400万株の大株主・山口県は、中電の経営方針を諸手を挙げて賛成してくれると、高を括らせてきたことではないでしょうか。
山口県は真蟄に反省をし、少なくとも棄権すべきでした改めて見解を求めます。
●佐藤茂宗総務部長
中国電力の株主総会への対応に関する再質問にお答えします。
先ほどご答弁しましたとおり、県は、これまで一貫して「株式の所有」と「会社の経営」とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢を堅持し、対応してきました。
こうした考えの下、株主総会への対応については、株主として中立的な態度を明示するため、総会を欠席し、議決権行使書は白紙で提出しているところであり、棄権については、県民の貴重な財産である株式を保全する観点から、適切ではないと考えています。
◎木佐木大助議員《再々質問》
再々質問を行います。中電の経営姿勢。株主総会は昨日終了しまして、上関への核ゴミ中間貯蔵施設建設について、原発の本体建設に加えて、今回、初めて中電の事業計画に盛り込まれました。これは、知事が3月22日の記者会見で表明をした、原発本体の建設計画と他のエリア、即ち、関西電力の核のゴミが貯蔵されるという2つが1つの自治体にあるというのは、全国にない。非常に大きな負担だ。とした、まさに県民の思いを代弁した知事の立場とも真向から逆らうものではないでしょうか。
それでも議決権行使書を白紙委任して、中電の核ゴミ中間貯蔵所を造りますよと。しかも、上関原発本体もやるということをどういう理屈で諸手を挙げて賛成したのか改めて説明を求めたいと思います。
●佐藤茂宗総務部長
中国電力の株主総会への対応に関する再々質問にお答えします。
先ほどご答弁しておりますとおり、県は、これまで一貫して「株式の所有」と「会社の経営」とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢を堅持し、対応してまいりました。
こうした考えの下、株主総会への対応については、株主として中立的な態度を明示するため、総会を欠席し、議決権行使書は白紙で提出しているところであります。
下関北九州道路について
◎木佐木大助議員
質問の第3は,下関北九州道路についてです。
下関北九州道路の「ルート素案」が5月30日、公表されました。下関市の旧彦島有料道路付近から北九州市小倉北区の北九州都市高速道路・日明出入り口付近まで約8キロを繋ぐルートで橋梁部は約2kmです。下関側に2カ所、北九州側に1ヵ所のインターチェンジを設置する費用を含めた総事業費は2900億円から3500億円と試算されています。
問題の1つは、事業費です。
最大3500億円とされた事業費は4年前の想定であり、昨今の異常円安や国際紛争の影響で資材費は1.4倍以上、労賃は2倍に跳ね上がっています。事業主体も手法も決まっておらず、着工時期も見通せません。事業費は想定の2倍以上になる可能性もあります。天井知らずに膨張しても事業を推し進める考えなのか、お尋ねします。
問題の2つは、県財政への影響です。
「ルート素案」には、南風泊港インターから関彦橋間の県道南風泊港線の4車線化が含まれています。これは県事業となり、費用の約2分の1は県負担だと考えますが、お尋ねします。
加えて下関北九州道路は、中国自動車道と北九州都市高速道路と直結させる計画です。北九州都市高速道路との接続は「ルート素案」に含まれています。一方、下関側は旧彦島有料道路から中国自動車道への接続のため地域高規格道路「下関西道路」の建設が計画されています。
下関西道路の延長は約10kmで、うち3kmは下関北バイパスの一部として供用されていますが、残り7kmは新規事業となります。下関北バイパスの建設費は1km100億円要しており、資材費、労賃等の高騰を考慮すると1000億円を上回ると考えますが、見当違いでしょうか。お尋ねします。
さらに、旧彦島有料道路は49年前の1975年、71億円を投じて建設された4.5km、片側1車線の一般道であり、高速道路網の一部とするには4車線化など大規模な改修が必要なのではありませんか。お尋ねします。
問題の3つは、代替路としての機能です。
下関北九州道路には、「関門橋、関門トンネルの通行止め時の広域的な代替機能の確保」が期待されています。しかし、下関北九州道路の橋梁部は、同じ関門海峡に位置する関門橋とは西約8kmしか離れていません。①風、②降雨、③降雪、④地震、という自然現象に対して、下関北九州道路が常に代替路として機能を果たせる確かな根拠はありますか。それぞれ、お尋ねします。
ちなみに、2020年7月に国交省と関係自治体で作成された「下関北九州道路、第1回説明資料」の28ページに強風のため関門橋が通行止めになった日の時間帯別の風速データが示されていますが、比較対象は彦島大橋で、関門橋と比べて風速が低いデータが掲載されています。海峡部に位置しない彦島大橋と関門橋とは地形学的に大きな違いがあり、比較の対象にはならないと考えますが、お尋ねします。
●大江真弘土木建築部長
下関北九州道路についての数点のお尋ねにお答えいたします。
まず、事業費についてです。
下関北九州道路は、関門橋や関門トンネルと環状道路網を形成することにより、地域間の連携や日常的な交流を促進し、関門地域の自立的な発展を支える重要な基盤です。
また、能登半島地震など、近年頻発する大規模災害時等にも機能する、信頼性の高い道路網を構築する観点からも、県としては、その整備が必要と考えています。
当該道路の事業費は、今後改めて検討されることとなりますが、事業の実施については、必要性や整備効果などを総合的に勘案して判断するものと考えています。
次に、県財政への影響についてです。
まず、県道南風泊港線の4車線化に係る県の負担割合については、事業手法が決まっていない現時点では、お示しすることはできません。
次に、下関西道路については構想段階であり、ルートや構造等が定まっておらず、事業費についてお示しできる状況にはありません。
次に、旧彦島有料道路の、4車線化などの大規模な改修については、今後、必要に応じて、改めて検討していくこととなります。
次に、代替路としての機能についてです。
まず、風、降雨、降雪、地震という自然現象に対して、常に代替路として機能を果たせる確かな根拠はあるのかについてです。
通行止め等の規制は、自然現象のみならず、道路及びその周辺の状況に応じて行われるものです。
このため、それぞれの自然現象に対して、お尋ねの確かな根拠を示すことは困難ですが、下関北九州道路の整備により、代替機能が強化され、道路ネットワークの信頼性の向上が図られるものと考えています。
次に、過去の資料における風速データに関して、彦島大橋と関門橋とは地形学的に大きな違いがあり、比較対象にはならないのではないかについてです。
彦島大橋の風速データについては、下関北九州道路の計画段階評価において、海上部の構造形式を設定する際の基礎資料とするため、想定されるルート帯近傍のデータの一つとして記載したものです。
◎木佐木大助議員《再質問》
下関北九州道路については、事業費が天井知らずに膨張しても推進するという姿勢が改めて示されました。2年前の11月議会で取り上げた際は、県は既存の道路の維持管理や補修について、また、下関北九州道路の整備についても、いずれも必要な事業として考えていると答弁されています。
そこでお尋ねですが、県管理道路には、全県的にも、歩道がない、凸凹だらけだ、白線が消えて判読できない、路肩の草がぼうぼうに生えてる、そして側溝には蓋がないなどの箇所がいくらでもあって、改修を要望しても予算がないと長年放置をされています。
既存の道路の維持管理や補修など、絶対に必要な事業を満足にできない山口県土木建築部に、新規の巨大事業を推し進めていく体力はないと考えますが改めて答弁を求めます。
旧彦島有料道路から中国自動車道を結ぶルートとして「下関西道路」が想定されています。下関市の資料では、その一部として高規格幹線道路「綾羅木・形山道路」が構想されていますが、県作成の文書では確認できませんでした。
実は、この道路計画は、鹿島、大成、大林など大手ゼネコンと日本製鉄、みずほ銀行など財界中枢の巨大企業が作る「日本プロジェクト産業協議会」なるものが2年前に作成した「下関北九州道路の早期事業化を目指して」と題するパンフレットに登場しています。山口県は、この『綾羅木形山道路」をどう位置付けているのか伺います。
●大江真弘土木建築部長
木佐木議員の下関北九州道路についての2点の再質問にお答えいたします。
まず、県に新規巨大事業を推し進める体力はあるのかについてです。
県では、歩道の設置や既存の道路の維持管理については、必要な予算を確保し、緊急性、重要性の高い箇所から、順次、行っています。
一方、下関北九州道路などの事業についても、近年頻発する大規模災害時にも機能する信頼性の高い道路網を構築する観点からも必要と考えています。
下関北九州道路については、現時点、事業主体や整備手法は定まっておりませんが、県としては、いずれも必要な事業と考えております。
次に、「綾羅木・形山道路」の位置付けについてです。お尋ねの「綾羅木・形山道路」については、下関西道路の一部と認識しております。
岩国基地問題について
1,オスプレイの運用問題
◎木佐木大助議員
質問の第4は,岩国基地問題についてです。
1つは、オスプレイの運用問題です。
昨年11月の鹿児島県屋久島沖での墜落事故などを受け、限定的な運用が続けられているオスプレイについて、米海軍航空システム司令官が今月12日の米議会下院の公聴会で「航空機の安全に影響する問題に十分に対処できたと確信するまでは、無制限の運用復帰を認めることはない」と述べ、全面的な運用再開は、来年半ば以降になるとの見通しを示しました。
ところが、この報道を受けた木原防衛大臣は「事故原因は特定されている」とのべ、「オスプレイの安全性に問題はない」と強弁しています。
県は今年3月8日の本会議において「米軍の全てのオスプレイについて安全が確認されるまで飛行を停止することを国に求めている」と明言されました。
設計・開発し、約500機のオスプレイを運用している米軍の司令官が安全だと太鼓判を押せないのに、オスプレイには安全性に問題はないとする政府の対応は許せません。見解を伺います。
●田中康史総務部理事
まず、オスプレイの運用についてです。
日本国内のオスプレイについては、本年3月13日に、国から、その段階的な運用再開について説明を受けており、その際、県として、安全対策に万全を期すなど、地域住民に与える影響を最小限とするよう、国に要請したところです。
お示しの公聴会での発言について、国に照会したところ、「詳細は米側に確認中であるが、墜落事故を受けた日米間の確認作業の中では、特定された事故原因や当該原因に対応した各種の安全対策について共有されており、各種の措置を講じることにより、安全に飛行を行うことが可能」との回答を得ています。
県としては、オスプレイを含む航空機の安全性については、専門的な知見を有する国の責任において確保されるべきものと考えており、引き続き、国からの情報収集に努めるとともに、問題があれば、地元市町と連携し、国や米側に対し、必要な対応を求めてまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
中四国防衛局は21日、米海兵隊のオスプレイが、7月28日~8月7日、米軍岩国基地を拠点に訓練をすると、岩国市に伝えてきました。離島防衛などを想定した日米共同訓練の一環であります。オスプレイは普天間から、岩国基地に飛来をする陸上自衛隊オスプレイやKC130も参加するとのことですが、あらためて詳細を明らかにしてください。
米海軍の司令官が「無制限の運用を認めることはない」と断言している一方で、海兵隊や自衛隊のオスプレイが岩国基地を拠点に激しい訓練をやる。こんなことが放置をされれば、県民の命や安全な暮らしは守られません。直ちに中止を申し入れるべきでありますが、この点も伺います。
日 本政府は、米軍自体が無制限の運用復帰は認めないとしているにも関わらず、陸自オスプレイは岩国に揚陸をされて、暫定配備の木更津に飛んでいく暴挙を行っていますが、事故原因は特定されたとするその根拠は何か、改めて伺います。
●田中康史総務部理事
岩国基地問題についての再質問にお答えします。
まず、日米共同訓練の詳細についてのお尋ねです。
国からの情報提供によりますと、本年7月28日から8月7日までの間、陸上自衛隊と米海兵隊等による共同訓練が、大分県の日出生台演習場等において実施されるとのことです。
岩国基地は、日出生台演習場等で実施される戦闘訓練や兵姑訓練等に参加する米海兵隊航空機の航空基盤としてのみ使用され、航空機の駐機、飛行、整備等が実施される予定であり、参加予定の航空機は、米海兵隊のMV22オスプレイ6機程度、KC130空中給油機2機程度であり、また、陸上自衛隊のV22オスプレイ1機程度が給油等のために一時的に飛来予定と聞いています。
次に、オスプレイの訓練を直ちに中止するよう申し入れるべきだとのお尋ねです。
今回の日米共同訓練は、国の専管事項である外交・防衛政策の一環として行われるものであり、地方自治体として、その是非を論ずる立場になく、県として、中止するよう申し入れる考えはありません。
県としては、住民の安全で平穏な生活を確保する立場から、国から情報提供があった際に、安全対策に十分配慮することなどを要請したところであり、問題があれば、地元市町と連携し、国や米側に対し、必要な対応を求めてまいります。
次に、オスプレイの事故原因は特定されたとする根拠は何かとのお尋ねです。
本年3月のオスプレイの段階的な運用再開に際し、国から、「日米間の確認作業の結果、事故原因は特定されており、特定された原因に対する安全対策により、オスプレイの運用を安全に再開できる」との説明を受けています。
2,KC130の空中給油
◎木佐木大助議員
2つは、KC130の空中給油です。
昨年12月に島根県浜田市上空で米軍岩国基地所属のKC130空中給油機が空中給油したとみられる問題を巡り、同県西部の5市町と丸山達也知事らは先月30日、空中給油訓練の中止を米側に働きかけるよう防衛省に要望しました。
KC130は、島々が点在する瀬戸内海上空でも空中給油訓練を繰り返している疑いがもたれています。渉外知事会任せでなく、知事自らも訓練中止を防衛省に申し入れるべきです。お尋ねします
●田中康史総務部理事
次に、KC130の空中給油についてです。
浜田市上空における岩国基地所属機の空中給油について、国に照会していますが、「米軍機の個々の運用の内容や飛行ルート等については、米軍の運用に関する事項であるため、防衛省として必ずしも承知していない」との回答にとどまっており、事実関係が確認できていない状況です。
一方、県では、どのような名称や形態の飛行訓練であれ、住民に不安や危険を及ぼすような訓練は行われてはならないと考えており、これまでも、渉外知事会のほか、地元2市2町とで構成する山口県基地関係県市町連絡協議会を通じて、そのような訓練が行われないよう、国に要望しているところです。
いずれにしても、県としては、航空機の運用や飛行実態等について、引き続き、地元市町と連携して状況を把握し、問題があれば、国や米側に対し、必要な対応を求めてまいります。
3,大型艦船の寄港
◎木佐木大助議員
3つは、大型艦船の寄港です。
米軍のミゲルキースとみられる大型艦船が5月21日、岩国基地に寄港し、26日昼、出港しました。同艦船は2021年10月から22年5月の間、4回寄港した際は船名や目的が米側から伝えられていましたが、今回は無通告でした。岩国市の福田良彦市長は5月28日の会見で「情報提供がなかったことは腑に落ちない、国に遺憾だという思いもつたえていけたら」と述べました。県としても同様の対応をとるべきです。伺います。
●田中康史総務部理事
次に、大型艦船の寄港についてです。
今回の寄港について、艦船の名称や寄港目的が明らかにされなかったことから、岩国市において、事前に十分な情報提供を行うよう、国に要請したことは承知しています。
県においては、これまでも、国に対し、艦船が寄港する際には、その必要性や目的、基地での運用などについて、事前に情報提供を行うよう要望していますが、先般の政府要望においても、改めて国に強く求めたところであり、国からは、事前の情報提供に努めるとの回答を得ています。
県としては、基地の運用について、今後とも、地元市町と連携して状況把握に努め、住民の生活環境に影響が及ぶなど、問題がある場合は、国や米側に必要な対応を求めてまいります。
朝鮮学校について
◎木佐木大助議員
質問の第5は,朝鮮学校についてです。
昨年4月、「こども基本法」が施行され、改めて日本国憲法や子どもの権利条約の精神に基づいた「子ども政策の推進が社会全体の目的」となりました。
こども基本法の基本理念には、全ての子どもが、①差別されないこと、②生命・生存および発達の権利が保障され平等に教育が受けられること、③意見表明と活動参加の機会が確保されること、④最善の利益が考慮・優先される、の4原則が盛り込まれています。
そして本年2月議会で、県当局も、朝鮮学校に通う児童・生徒も「子ども基本法」の対象に含まれていることを明言されましたが、朝鮮学校補助金の予算化は頑なに拒み続けています。
1つに、高校授業料無償化から朝鮮学校を排除した政府の対応に対して、日本も批准している国際人権条約の理事会は、「是正勧告」が繰り返し出されており、これを無視し続けること自体、憲法違反ではありませんか。
2つに、同じく保守県政である愛知県は、国から朝鮮学校補助金の見直しに関する通知を受けても、教育基本法に定められた教育の機会均等の考え方が何より重要として補助金を継続しています。この姿勢にこそ学ぶべきではありませんか。
3つに、そのつもりがないなら、①差別的とりあつかいでないと考える理由、②教育を受ける機会が害されないと考える理由、③最善の利益を害していないと考える理由、を明らかにすべきです。
4つに、県は、「県民の理解が得られない」と繰り返されますが、県民の理解を得るための努力をするのが県行政の責務ではありませんか。何ら広報や県民意識調査も行わず、朝鮮学校を一度も訪問すらしないこの10年間は、「子ども達の学ぶ権利を侵害し続ける」ものであり、それは職務不履行でありませんか。
5つに、先日「オモニ会との意見交換会」が持たれました。がどのような感想を持たれましたか。
●佐藤茂宗総務部長
次に、朝鮮学校についてのお尋ねにお答えします。
まず、国連の是正勧告を無視し続けることは、憲法違反ではないかとのお尋ねです。
県としては、国際条約などが求める子どもの人権や学ぶ権利については、尊重すべきものと考えていますが、本県の朝鮮学校への補助金は、県民との相互理解の増進を目的として交付してきたものであり、これを予算計上していないことが、憲法違反であるとの御指摘は当たらないと考えています。
次に、愛知県の姿勢に学ぶべきではないかとのお尋ねについてですが、それぞれの自治体の判断によるものと考えています。
次に、朝鮮学校補助金を予算計上しないのであれば、差別的取り扱いでないと考える理由、教育を受ける機会が害されないと考える理由、最善の利益を害していないと考える理由を明らかにすべきとのお尋ねです。
本県の朝鮮学校への補助金は、県民との相互理解の増進を図ることを目的としたものであることから、これらの理由を明らかにすべきとの御指摘は当たらないものと考えています。
次に、県民の理解を得るための努力をするのが県行政の責務であり、広報や県民意識調査、学校の訪問を行わないことが職務不履行ではないかとのお尋ねです。
県としては、朝鮮学校を巡る様々な状況を総合的に勘案し、補助金の支給は県民の理解を得られないと判断しているものであり、御指摘は当たらないと考えています。
次に、「オモニ会との意見交換会」において、どのような感想を持ったかとのお尋ねです。
県としては、学校の実情等について、保護者等から直接、お話をお聞きできる機会であったと考えております。
◎木佐木大助議員《再質問》
朝鮮学校の問題では、この10年間、担当職員すら一度も朝鮮学校を訪れもしない、あまりにも酷い対応ではないか。
今、問われているのは、山口県政が、こども基本法の基本理念である「差別の禁止」に抗って、これからも恥ずべき「官製へイト」を続けていくのかということだ。
山口県の対応は、人間の尊厳を躯った憲法13条や、法の下の平等・憲法14条だけでなく、憲法98条第2項「日本国が締結した条約及び国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする」と明記をされた日本国憲法違反でもある。この点について、答弁を求めます。
●佐藤茂宗総務部長
次に、朝鮮学校に対する県の対応は憲法違反ではないかとの再質問にお答えします。
こちらも先ほども答弁しましたとおり、県としては、国際条約などが求める子どもの人権や学ぶ権利については、尊重すべきものと考えていますが、本県の朝鮮学校への補助金は、県民との相互理解の増進を目的として交付してきたものであり、これを予算計上していないことが、憲法違反であるとの御指摘は当たらないと考えています。
◎木佐木大助議員《再々質問》
朝鮮学校問題。毎月県庁前で、宗教者をはじめとして、思想信条を超えた広範な県民が朝鮮学校関係者と一緒に「補助金再開」を求めて行動している。もう149回。8月の夏休みには、毎月、毎年恒例の朝鮮学校の校長さんと学校関係者の意見交換会が行われる。
これにはぜひ、佐藤総務部長も参加するよう検討していただきたい。この点、前向きな答弁を求めて質問を終わります。
●佐藤茂宗総務部長
次に朝鮮学校に関して、意見交換会に私も参加すべきではないかとお尋ねでございます。
県としてましては、朝鮮学校への補助金に関する申入れに対しまして、組織として真摯に対応しているところでございます。
(2024年6月27日)