安倍元首相の国葬、県民葬について
◎藤本一規議員
質問の第1は、知事の政治姿勢についてです。
岸田内閣の支持率が急落しています。要因は、「国葬」の実施、統一協会との癒着、コロナの感染拡大、の3つの大失政です。この3点は村岡県政にとっても重要な点であると考え、順次、お尋ねします。
第1は、安倍晋三元首相の「国葬」及び「県民葬」についてです。
まず、国葬についてです。
国葬の実施は、憲法14条が規定する「法の下の平等」と、憲法19条が保障する「思想及び良心の自由」に反するものです。
私は、日本共産党会派の議会運営委員として国葬当日の休会に反対を表明しました。
全国の都道府県知事の中で少なくとも4県の知事が欠席する中、村岡知事は、なぜ公費で国葬に出席したのかお尋ねします。
●内海隆明総務部長
まず、知事はなぜ公費で国葬に出席したのかとのお尋ねですが、昨日の国葬は、国において公式に儀式として執り行われたもので、各都道府県知事に案内があり、知事として弔意を示すため、公費で出席したものです。
◎藤本一規議員
次に「半旗掲揚の通知」です。
20日、総務部長名で各部局長に「国葬当日は国旗・県旗を半旗掲揚とする」ことを通知し、その方針を県教育長など知事部局以外の任命権者及び19市町の首長に通知しました。県教育長は、県立学校長と出先機関の長などに半旗掲揚にするよう通知し、その方針を19市町教委に通知しました。
半旗掲揚の通知は、憲法19条違反の疑いがありますが、知事と教育長の見解をそれぞれお尋ねします。朝日新聞は、半旗掲揚の通知をしたのは山口県教委だけと報じました。半旗掲揚の通知は、教育の中立性を謳う教育基本法違反の疑いがあると思いますが、教育長の見解をお尋ねします。
また、「県民葬」に当たっては、このような対応はとるべきでないと考えますが、それぞれの見解をお尋ねします。
●内海隆明総務部長
次に、半旗掲揚の通知についてです。
国葬当日における半旗の掲揚は、故安倍元総理に哀悼の意を表するために行ったもので、各任命権者及び市町への通知も、知事部局の対応を参考にお知らせしたものですが、県民の皆様お一人お-人に弔意を強制するものではなく、憲法第19条に違反するとは考えていません。
次に、県民葬での半旗掲揚の対応についてですが、現在検討中です。
●木村香織副教育長
まずは「国葬」及び「県民葬」についてお答えします。
今回の半旗掲揚の通知は、故安倍元総理に哀悼の意を表するために行ったものであり、児童生徒等に弔意を強制するものではないことから、憲法第19条に違反するとは考えておりませんし、教育基本法で禁止されている「特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動」には当たらないと考えております。
なお、 県民葬での半旗掲揚の対応については、現在検討中です。
◎藤本一規議員《再質問》
文部科学大臣は、8月30日記者会見で、「国民一人一人に弔意を求めるものであると誤解を招くことがないように、地方公共団体や教育委員会等への関係機関に対する弔意表明の協力の要請は行うことはない」と述べた。その、文科大臣の記者会見内容を教育長はどう受け止め、なぜその上で通知をしたのかお尋ねします。
その上で、やっぱり県教委のですね、特異性が全国、県内で明らかになっています。壇上で言いましたけれども、県立学校に半旗掲揚を指示したのは全国で山口県教委だけだった。この事実、改めてどのように認識されているかお尋ねします。
2つ目。教育委員会は、県が、県教委が半旗掲揚にするよということを16市町教委に伝えた。しかし、16市町教委は全て、県のその通知に従わず、半旗掲揚しなかった。小中学校で半旗掲揚はなかった。このことについて、県教育長はどのような認識なのかお尋ねしたいと思います。
さて、県民葬への対応についてですけれども、通知を出すかどうかという点ですが、検討中と言われましたそれぞれ。県民葬が行われるのは10月15日土曜日です。知事部局も県教委もですね、県民葬にあたって半旗等にするよう、もし通知を出せばですね、土曜日に、週休日に職員が出てきて半旗を掲揚する。もう生徒もいないのに、部活で生徒はいるかもしれませんけれども、わざわざ教員が出てきて半旗を掲揚する。それは酷じやないかというもう批判がですね、私の耳まで届いています。土曜日であるにもかかわらず職員に多大な負担をかけることになる通知は、出すことも検討中なのか。土曜日という観点からお尋ねしたいと思います。
●木村香織副教育長
まず、半旗掲揚の通知に関することでありますけれども、教育委員会等への弔意表明の協力要望を行わないとの文部科学大臣の発言をどう受け止め、それにもかかわらず、県立学校に半旗掲揚の通知を出したのはなぜか、とのお尋ねです。
記者会見における文部科学大臣の発言は、文部科学省の考えを示されたものと考えております。
そして、国の対応や県の通知の内容も踏まえて、県立学校の管理機関である県教委として、県有施設である県立学校の施設管理者、これは校長になりますけれども、施設管理者に、県と同様の対応を通知したものであります。
次に、山口県だけが半旗掲揚を求めたが、どのように認識したか、とのお尋ねです。
今回の通知は、地元、山口県教委として安倍元総理への弔意を表するものでありまして、各都道府県教委におかれましては、それぞれが判断されたものと考えております。
次に、県教委の通知を受けた市町教育委員会が半旗掲揚をしなかったことへの認識についてです。
県立学校の対応について、県内の市町教委に対して参考としてお知らせしたものでありまして、各市町教委の対応については、それぞれが主体的に判断されたものと考えておりま
す。
次に、県民葬は週休日に実施されるが、どう対応するか、どう対応する予定であるのか、というお尋ねですが、これにつきましては、県民葬における対応については、答弁でも申し上げましたように、現在検討中であります。
◎藤本一規議員《再質問》
国葬に当たっての半旗掲揚の通知です。国との対比較をさせていただきます。
まず、総務部長にお尋ねします。松野官房長官は6日記者会見で、国民一人一人に弔意を求めるものとの誤解を招くことがないよう、閣議了解は行わず、地方公共団体や教育委員会などの関係機関に弔意表明の請を行う予定はない、とはっきり答えられましたが、この官房長官記者会見の内容を、総務部長はどう受け止めて、その上でなぜ通知を出したのか、お尋ねしたいと思います。
●内海隆明総務部長
官房長官の弔意を強制しないというような発言については、当然承知をしておりますけれども、国葬当日における半旗の掲揚でありますが、知事部局としまして、故安倍元総理に哀悼の意を表するために行ったものであります。
また、各任命権者及び市町への通知もですね、実際にそれぞれから問い合わせもありましたことから、参考としてお知らせをしたというものでございます。
◎藤本一規議員《再質問》
県民葬への対応についてですけれども、通知を出すかどうかという点ですが、検討中と言われました、それぞれ。県民葬が行われるのは、10月15日士曜日です。
知事部局も県教委もですね、県民葬に当たって、半旗等にするようもし通知を出せばですね、土曜日に、週休日に職員が出てきて半旗を掲揚する、生徒もいないのに、部活で生徒がいるかもしれませんけれども、わざわざ教員が出てきて半旗を掲揚する、それは酷じゃないかという批判がですね、私の耳にも届いています。
士曜日であるにも関わらず、職員に多大な負担をかけることになる通知は出すことも検討中なのか、土曜日という観点からお尋ねしたいと思います。
●内海隆明総務部長
県民葬の日は週休日となりますが、どう対応するのか、ということでありますけれども、先ほどご答弁しましたとおり現在検討中ということでございます。
◎藤本一規議員
第2は、「県民葬」についてです。
1つに、県民葬は「県を挙げて哀悼の意を表する」ためと説明されています。
「県を挙げて」とは「県民」も含むこととなり、「県民全体で哀悼の意をあらわす儀式」となります。「哀悼の意」の強制につながる恐れがあり、憲法19条に抵触すると考えますがお尋ねします。
2つは、法的根拠についてです。
知事は、県民葬を行う根拠は、地方自治法2条2項であり、「地域における事務」に県民葬が含まれるとしました。たとえ、県が行う事務に県民葬が含まれたとしても、憲法に違反する疑いのある行事を適法とすることはできないと考えますが、知事の見解をお尋ねします。
●内海隆明総務部長
県民葬は、「県民全体で哀悼の意をあらわす儀式」となる、これは、「哀悼の意」の強制につながり、憲法19条に抵触する、とのお尋ねです。
県としては、故安倍元総理を多くの県民の皆様と共に追悼することが重要と考えていますが、県民の皆様お一人お一人に弔意を強制するものではなく、憲法第19条に抵触するとは考えていません。
次に、県が行う事務に県民葬が含まれたとしても、憲法に違反する疑いのある行事を適法とすることはできない、とのお尋ねですが、県としては、先ほど申し上げたとおり、県民葬が憲法に違反する疑いのある行事とは考えていません。
◎藤本一規議員《再質問》
現在までに、国葬・県民葬に対して、県民からの問い合わせは何件ありますか。
そして、県民葬の法的根拠についてです。
13日の記者会見で知事は、根拠について地方自治法の2条2項にあると言われると同時にですね、判例があるというふうに言われました。この判例はですね、和歌山県のですね、有田市の市民葬に関するものです。この判決のですね、争点は、やっぱり憲法の適合性なんです。公金の支出が、憲法の19条. 21条に違反をしているかどうか、これが大きな争点でありましたが、強制の事実を認めることができないという判決でした。
しかし、私はこの判決は、葬儀を地方自治体が行うことは、出来るかどうかはですね、憲法19条思想信条、良心の自由を侵害をして、弔意を強制するような葬儀であったらだめだということを意味もしているというふうに思います。
繰り返し言いますけれども、13日の記者会見で知事は、文書を示してですね「県を挙げて弔意を表すため」と県民葬の趣旨を明確にされました。国民主権の憲法の下で「県を挙げて」とは「県民を挙げて弔意を示す」ということになります。県民葬は、すべての県民に弔意を強制する趣旨だと、知事自身が13日の記者会見で述べられたと私は受け止めていますが、判例を示された上でも、弔意を強制する県民葬は、憲法19条を侵害し、地方自治法上も認められないものだというふうに思いますけれども、再度お尋ねします。
●内海隆明総務部長
何件問い合わせが県庁に来ているかということであります、安倍元総理がご逝去された7月8日金曜日から9月22日木曜日までですけれども、377件の要望・苦情等を受けているというところでございます。
それから4点目、知事が「県を挙げて」と述べたことは、弔意をですね、県民に強いることに繋がるのではないか、というお尋ねであったかと思います。
これにつきましては、先ほどもご答弁申し上げましたけれども、県としましては、故安倍元総理を多くの県民の皆様と共に追’|卓することが重要と考えておりますけれども、県民葬の開催自体が県民の皆様お一人お一人に弔意を強制するものではありませんので、お示しの判例とも整合が取れているものと考えております。
◎藤本一規議員《再々質問》
県民葬について時間の限り、ちょっと2点質問したいと思います。13日知事はですね、何回も言っていますが「県を挙げて弔意を表す」ということを言われましたけれども20日の議案説明では「私としては謹んで追悼の意を表すにふさわしい県民葬を行う」ということで、「県を挙げて」という言葉を省かれました。なぜかと。これでは誰が弔意を示すのか不明です。「私が」とおっしゃったら知事が、まあ、葬儀で弔意を示したい、なら私的な行事に公金を使っても良いのか、ということになります。20日の議案説明で「県を挙げて」という言葉を使わなかったのはなぜか、お尋ねします。
井上議員の質問に関して、県民葬の基準はないとおっしゃいましたけれども、私は基準を作るのは難しいと思います。条例も規則も基準も困難な県民葬に県民の理解を得ることはできません。と思いますが、県の見解をお尋ねします。
●内海隆明総務部長
知事が最近は「県を挙げて」と言わなくなった理由について、なぜか、というお尋ねでございます。「県を挙げて」とあえて言わなくなったという意図はございません。9月13日に知事が発表した資料におきまして、「県を挙げて」と記載をしておりますけれども、今回の県民葬につきましては、県や市長会、また町村会といった関係団体からなる葬儀委員会を構成して執り行うものでございます。そうした県、また、県内すべての市町が、主体となって県民葬を執り行う、そうした趣旨を「県を挙げて」と表現しているものでございまして、今後も関係者と連携してですね、取り組んでまいりたいというふう
に考えております。
それから、基準につきましてお尋ねがございました。県民葬開催を県民に理解してもらうためには基準が必要ではないか、基準ができないのであれば県民葬はやるべきではないか、といったお尋ねだったかと思います。
県民葬の実施につきましては、これまでの開催例もふまえまして諸般の事情を総合的に勘案してその都度、県におきまして判断して決定する必要があると考えておりまして、その基準をあらかじめ定めておくというのは困難であるというふうに考えております。こうした過去の開催例に照らしましても、今回の安倍総理、安倍元総理につきましては憲政史上最長の長きにわたって内閣総理大臣の重責を務められ、我が国はもとより、県政の推進についても大変なお力添えをいただいたこと、また、多くの県民の皆様から哀悼の意が寄せられていること、こうしたことをふまえ、県民葬を執り行うことが適当であると考えております。
◎藤本一規議員
3つは、開催経費です。過去5回の内、安倍晋太郎氏の経費約3100万円が最高額です。開催経費が過去最高の二倍になった理由と発注はいつ行うのかお尋ねします。今からでも県民葬の経費を減額させるべきですがお尋ねします。
●内海隆明総務部長
開催経費についてです。
まず、今回の県民葬については、主会場の他も県内7箇所にサテライト会場と一般献花会場を設置することや、警備態勢の強化を図ることに加え、消費税率の上昇、当時との社会情勢の変化等による労務単価や物価の上昇等の影響により、開催経費が過去と比べ増加しているものと考えています。
次に、発注の時期については、県と関係団体で構成する葬儀委員会において、県民葬の開催に支障が生じないよう、適宜対応していくこととしています。
次に、開催経費については、葬儀委員会において業務の執行段階で可能な限り節減を図るなど努力していきたいと考えています。
◎藤本一規議員《再質問》
契約等はこれからだとおつしやいましたが、1つ先行的にされていることがあります。私のところにも届きましたけれども、県民葬の招待状です。
補正予算がまだ審議の途上ですが、この発送経費はどの財源で賄われたのか、お尋ねしたいと思います。
●内海隆明総務部長
補正予算成立前に招待状が出されているが、その経費はどこから出ているのかとのお尋ねでございます。
県民葬の準備行為としまして、お示しの案内状の発送など、葬儀委員会におきまして、収支計画を策定した上で業務を発注しているものもございますが、最終的にはこの9月県議会におきまして、補正予算案の御審議をいただき、議決を経た後に支払いを行いたいというふうに考えております。
統一協会との癒着問題について
◎藤本一規議員
第2は、統一協会との癒着に関する問題です。
安倍氏に対する襲撃事件を契機として、統一協会に対して大きな社会的注目と批判が集まっています。統一協会は、霊感商法や集団結婚などで社会的批判をあびてきたカルト集団です。こうしたカルト集団の広告塔になり、被害を拡大してきた政治家の責任はきわめて重大です。
知事にも昨年11月、統一協会系団体である「日韓トンネル推進山口県民会議」から「設立6周年記念講演会」への参加要請があったことが、情報公開で入手した資料で明らかになりました。同団体の役員には複数の県会議員の名前も記されています。
県は、同講演会へは欠席されましたが、過去、統一協会系団体の行事への職員等の参加や後援、寄付の授受はなかったのかお尋ねします。
また、今後、統一協会に関連する団体との関わりは一切、持つべきではないと考えますがお尋ねします。
●内海隆明総務部長
次に、統一教会に関するご質問のうち、過去、統一教会系団体の行事への職員等の参加や後援、寄付の授受はなかったのか、今後、統一教会に関連する団体との関わりは一切持つべきではない、とのお尋ねにお答えします。
過去5年間について確認した結果、旧統一教会及びその関連団体の行事に知事等が来賓として出席した事案や後援、寄付の授受はなかったところであり、今後、これまでと同様、適切に対応してまいります。
◎藤本一規議員《再質問》
統一教会の問題です。日韓トンネル推進に関して県内で様々な行事が開かれていることが、私が調べた中で分かりました。2014年4月20日、海峡メッセ下関でセミナー、2015年2月14日、ニューメディアプラザ山口で県民大会設立大会、2016年4月23日山口県教育会館で県民大会、2017年6月3日パルトピア山口で第2回県民会議の大会、その後ですね、やっぱり、県民会議は設立3周年、4周年、5周年ということが県内で開かれていることが明らかだと思います。
さて、県有施設を統一教会系団体の日韓トンネルを推進する会議等に貸した事実はあるのか、知事部局、県教育委員会それぞれにお尋ねします。
また今後、どのように対応するのかお尋ねしたいと思います。
●内海隆明総務部長
次に、統一教会に関する再質問であります。日韓トンネル推進行事が県有施設において開催されたものがあるか、というお尋ねですけれども、把握しているところでは、海峡メッセ下関に当施設の指定管理者である山口県国際総合センターに確認したところ、平成26年4月にお示しの行事が開催をされております。
そして今後、統一教会の関係団体から県有施設の使用申請があった場合、どう対応するのかとのお尋ねでございます。
地方自治法第244条第2項におきまして、地方公共団体は正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならないと規定されております。また同条第3項では地方公共団体は住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的な取扱いをしてはならないと規定されております。使用申請があった際に不許可とすると、これはまあ憲法に定める集会の自由を制限するというものでもありますことから、本質間にありました行事の参加ですとか講演、あるいは寄付の授受と比べてもですね、慎重な対応が必要であろうと考えております。
今後施設の申請があった場合には団体の活動内容や施設の利用目的などをよく精査の上ですね、関係法令や施設の使用許可基準等に照らして、個々に慎重に対応する必要があると考えております。
●木村香織副教育長
県有施設を日韓トンネル推進行事に貸したことがあるのか、とのお尋ねですが、議員がお示しされた4施設のうち、教育委員会所管の県有施設である山口県教育会館について、お答えします。
当施設を管理運営しているのは、山口県教育会という組織でありますけども、これを山口県教育会に確認したところ、平成28年4月、お示しの行事が開催されております。
旧統一教会及びその関連団体から県有施設の利用の申請があった場合には、利用目的でありますとか、施設の貸出制限事項等を踏まえまして慎重に対応してまいりたいと考えております。
◎藤本一規議員
資料1の通り、毎年のように山口県消費生活センターにおける霊感商法の苦情が寄せられています。霊感商法で苦しむ県民のために、特別の相談体制を取るべきですがお尋ねします。
統一協会関係者が消費生活センターを訪ね「被害相談があれば連絡してほしい」と問い合わせる事案が報じられています。山口県消費生活センターへ統一協会関係者が尋ねた事実はあるのか、その際、どう対処したのかお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
初めに、統一教会に関連した御質問のうち、県消費生活センターの対応についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、特別な相談体制をとるべきとのお尋ねです。
県消費生活センターでは、これまでも、国民生活センターや警察、弁護士などと連携し、霊感商法等に関する相談に的確に対応しており、県として、特別な相談体制をとることは考えていません。
次に、関係者が尋ねてきたのか、また、その際の対処についてのお尋ねです。
県センターに訪問があり、その際、「相談については、個人情報であるためお答えできない」と回答し、対処しました。
新型コロナの感染爆発への対応について
◎藤本一規議員
第3は、新型コロナの感染爆発への対応です。
まず、新型コロナ感染症で亡くなった方は8月だけで137人。今月も43人と過去2番目の死亡者数です。8月は、高齢者施設でのクラスターが95件も発生しています。高齢者施設でのクラスターを減らし、高齢者の死亡を減らす対策が急務です。
7月15日、厚労省は「高齢者施設等の従業者等に対する検査の実施について」とする事務連絡を行い、「集中的実施計画」の見直しを求めました。県は、「集中的実施計画」をどのように見直し、高齢者施設等への頻回検査をどのように実施したのかお尋ねします。
2つは、感染爆発が起き、死亡者が急増しているにも関わらず、「新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議」は7月16日以降、開催されていません。その理由をお尋ねします。
3つは、オミクロン株対応ワクチン接種の促進についてです。60歳以上や基礎疾患のある人の4回目の接種とその他の方の3回目接種を急ぐ必要がありますがその見通しをお示し下さい。
●弘田隆彦健康福祉部長
新型コロナウイルス感染症対策についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、集中的実施計画についてですが、BA. 5系統への置き換わりや、夏休み・お盆休みの人流活発化による感染拡大に備え、7月から8月にかけて、再度検査を行うこととし、重症化リスクの高い方が入所する高齢者施設等の従事者を対象に、453施設で実施したところです。
次に、新型コロナウイルス感染症対策本部本部員会議についてですが、この会議は、部局横断的に情報の共有と庁内組織の連携を図るために設置、開催しているところです。
第7波においては、感染状況が増加傾向に転じたことから、7月15日に本部員会議を開催し、夏休みやお盆期間を見据えた今後の対策について協議を行いました。
その後は、部局間の緊密な連携のもと、感染状況を共有しながら対策を進めており、基本的な感染対策に大きな変更はなかったことから、改めて本部員会議は開催しておりません。
次に、オミクロン株対応ワクチンの接種についてですが、60歳以上等の4回目の接種は、先週の22日から開始したところであり、年末までに希望される全ての対象者への接種完了を目指し、接種の促進を図ることとしています。
◎藤本一規議員
4つは、保健所の体制強化についてです。
資料2の通り、4月~8月までに月80時間以上の時間外勤務をした職員数は、知事部局全体で延べ531人、42所属。同じく、月100時間以上の時間外勤務をした職員は延べ340人、20所属。月最大の時間外勤務をしたのは保健所の職員で240時間でした。時間外勤務が恒常化している保健所の体制強化は急務ですが、県はこれまでにどのような対応を取ったのかお尋ねします。
●弘田隆彦健康福祉部長
保健所の体制強化についてです。
新型コロナ感染症対策が長期化する中、県では、保健所の負担軽減に向けた抜本的な対策を講ずることとし、本年5月から、保健師業務の重点化や応援職員の派遣期間の長期化、保健所業務全体の標準化・システム化等に取り組んでまいりました。
これにより、保健師の負担軽減をはじめとした業務改善が図られ、健康福祉センターの時間外勤務も減少したものの、感染力が非常に強いオミクロン株の流行により感染者数が急増し、業務量が増加したため、7月以降、時間外勤務が再び増加したところです。
8月下旬以降は、新規感染者数が減少し、時間外勤務も減少傾向にありますが、引き続き、感染状況や現場のニーズ、また発生届の重点化による影響等にも留意をしながら、保健所の体制強化に、柔軟かつ機動的に対応してまいります。
カーボンニュートラル宣言について
◎藤本一規議員
質問の第2は、2050年カーボンニュートラルについてです。
山口県コンビナート連携会議が9月2日に開かれ、提案された「やまぐちコンビナート低炭素化構想」(案)の基本目標には、「コンビナートの国際競争力の維持・強化を図りつつ、2050年カーボンニュートラルを実現」と記されました。
現在改定中の県地球温暖化対策実行計画の2050年の目指す将来像は、「やまぐちコンビナート低炭素化構想」(案)に付合し、「2050年カーボンニュートラルを実現」するものだと思いますがお尋ねします。
県が二酸化炭素排出実質ゼロ宣言を行う前提としている「やまぐちコンビナート低炭素化構想」(案)の基本目標が示された今、2050年二酸化炭素排出実質ゼロ宣言を行うべきですがお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
まず、現在改定中の地球温暖化対策実行計画における「2050年の目指す将来像」についてです。
実行計画における将来像は、産業から暮らしまで社会全体のあるべき姿を盛り込む方向で、現在、検討を進めているところであり、その具体的な内容については、お示しできる段階にありません。
次に、県の「2050年二酸化炭素排出実質ゼロ」宣言についてです。
お尋ねの宣言については、脱炭素化に係る企業や県民の理解と積極的な参加を得られるような取組を進めながら、「やまぐちコンビナート低炭素化構想」を核として策定する「やまぐち産業脱炭素化戦略」や実行計画などの検討状況を踏まえ、慎重に判断したいと考えています。
災害に強い山口県づくりについて
◎藤本一規議員
質問の第3は、災害に強い山口県づくりについてです。
1つは、台風14号についてです。
国土交通省は、台風14号の大雨に備え、全国124ダムで「事前放流」をしたと発表しました。県内で事前放流を行ったダムをお示しください。
また、氾濫危険水位に達した河川にあるダムで事前放流しなかったのは、どのダムですか、お尋ねします。合わせて、緊急放流を行った小瀬川ダムと向道ダムの下流で被害はなかったのかお尋ねします。
●和田卓土木建築部長
台風14号に関する数点のお尋ねにお答えします。
まず、県内で事前放流を行ったダムについてです。
県内のダムでは、県管理の小瀬川ダム、菅野ダム、生見川ダム、川上ダム、今冨ダムと、国管理の島地川ダムで、事前放流を行いました。
次に、氾濫危険水位に達した河川にあるダムのうち、事前放流をしなかったのはどのダムか、についてです。
氾濫危険水位に達した河川について、予測降雨量などの状況により事前放流を行うこととしているダムは6ダムあり、このうち今回事前放流を行わなかったダムは、末武川ダム、厚東川ダム、木屋川ダムです。
次に、緊急放流を行った小瀬川ダムと向道ダムの下流の被害状況についてです。
被害状況については、現在調査中ですが、9月26日時点で、小瀬川ダムの下流では被害を確認しておらず、向道ダムの下流では、県管理の公共土木施設の被害を1箇所確認している他、家屋の浸水被害等があったと承知しています。
なお、向道ダムの緊急放流については、直下流にある菅野ダムにおいて洪水調節を行っており、今回の被害は流域全体に想定を超える降雨があったことが主な原因であると考えています。
◎藤本一規議員《再質問》
事前放流についてはですね、私たち求めてまいりました。
いよいよ治水協定が締結されて、県内6水系で事前放流ができる仕組みができて実際ついこの間の14号台風で5つのダムで事前放流がされた。このことは、土木部長是々非々でこの点は評価させていただきたいと思います。事前放流ができた成果をどのように感じていらっしゃいますか、お尋ねしたいと思います。
そのうえで台風14号で氾濫危険水位に達した河川にあるダムで事前放流をしなかったところが3つある。私は厚東川ダムの近くに住んでいます。厚東川からいえば、2km以内にだいたい住んでいますが、厚東川ではですね、持世寺水位局、末信橋水位局、信高橋水位局で氾濫危険水位に達しました。台風は皆さんご承知のとおり19日、雨は午前中で峠をこえましたけれども、もしそのまま降っていればですね、
静岡のような甚大な被害になった可能性もあります。私はですね、氾濫危険水位に3水位局が達した厚東川などはやっぱり事前放流をすべきであったという風に思います。すんだことはもうしょうがありませんけれども、台風14号でなぜ氾濫危険水位に達した河川にあるダムで事前放流ができなかったのか、このことをしっかり関係者と協議すべきだという風に思います。お尋ねしたいと思います。
●和田卓土木建築部長
事前放流に関します2点の再質問についてお答えいたします。
まず、事前放流に関する効果についての認識でございますが、事前放流とは、治水の計画規模や河川・ダムなどの施設能力を上回る洪水が発生したときに、ダム下流の河川沿川での浸水被害の防止軽減を図るため、事前にダムの貯水位置を低下させるものでございます。今回の事前放流については一定の効果があったものと考えております。
それから、事前放流を行わなかった理由、また、関係者と協議すべきではないかというご質問にお答えいたします。
事前放流につきましては、それぞれのダムにおいて実施を判断する基準を定めており、今回、お尋ねのダムにつきましては、気象庁が予測しました降雨量が、その基準に達しなかったため、事前放流を行いませんでした。
ダムの事前放流につきましては、国が定めたガイドラインに沿って設定した基準に基づき実施することとしており、県では、現時点、関係者と協議することは考えておりません。
◎藤本一規議員
県は過去の被害状況等から優先度の高い26水系について、流域治水プロジェクトを策定しました。台風14号で、流域治水プロジェクトの効果をどう評価しますかお尋ねします。
今後、26水系での流域治水プロジェクトにあるそれぞれのロードマップを確実に進捗させる必要がありますが県の見解をお尋ねします。
●和田卓土木建築部長
次に、台風14号で、流域治水プロジェクトの効果をどう評価するのか、についてです。
県では、本年2月、流域治水プロジェクトを策定し、関係機関と連携のもと、ハード・ソフト両面から対策を推進しているところです。
この取組は途に就いたばかりであり、現時点で、ハード面からの効果を評価することは困難ですが、ソフト面からの効果としては、今回の台風では、新たに整備した河川監視カメラによる河川の危険度の見える化などにより、住民の適切な避難行動に繋がったものと考えています。
●村岡嗣政知事
私からは、災害に強い県づくりのうち、流域治水プロジェクトにあるロードマップの進捗についてのお尋ねにお答えします。
近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が、全国で頻発・激甚化しており、私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、治水対策は極めて重要であると考えています。
また、今後の水害リスクの増大に備えるため、県では、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減する「流域治水」の取組として、具体的な対策や役割分担、ロードマップ等を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定し、ハード・ソフト両面から対策を推進しているところです。
具体的には、ハード対策として、河川改修や土砂災害防止施設の整備等を計画的に進めるとともに、ソフト対策として、河川監視カメラなどによる情報提供や水害対応タイムラインの運用など、住民の的確な避難行動に繋げるための取組を、市町と連携して行っているところです。
私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識のもと、引き続き関係機関と緊密に連携し、流域治水プロジェクトに位置付けた対策を着実に推進してまいります。
◎藤本一規議員
2つは、「宅地造成及び特定盛土等規制法」への対応についてです。
今年5月に宅地造成及び特定盛土等規制法が成立しました。来年度に法律が施行され、都道府県知事が法律に基づき、危険な盛土等の規制区域を設定し、規制区域内で行われる盛土等は都道府県知事の許可の対象となります。
9月9日、国の第三回「盛土等防災対策検討会」が開催され、「宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う災害の防止に関する基本的な方針(案)」が示され、今月末までに地方公共団体に基本方針案が示される見通しです。県は、法施行に向けて盛土規制にどのように取り組んでいくのかお尋ねします。
●和田卓土木建築部長
宅地造成及び特定盛土等規制法への対応についてのお尋ねにお答えします。
本年5月、「宅地造成及び特定盛土等規制法」が成立し、現在、国において、来年5月までの法施行に向け、政省令などの具体的な運用について検討されているところであり、県では、国の動向を注視しているところです。
◎藤本一規議員
3つは、土砂災害特別警戒区域が含まれる県立学校への対応についてです。
資料3の通り、敷地の一部が土砂災害特別警戒区域に含まれる県立学校は、31校です。
2015年2月文科省は都道府県教委などに対し「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律の一部を改正する法律の施行について」との事務連絡が行い「土砂災害警戒区域内に所在する学校においては、円滑な避難のための避難体制の充実・強化等に努めていただき、児童生徒等の安全確保に万全を」期すよう求めました。
県教委は、事務連絡を受け、土砂災害特別警戒区域が含まれる県立学校にどのような対応を求めたのかお尋ねします。
私は、敷地の一部が土砂災害特別警戒区域に含まれる宇部商業高校を視察しました。
パネルをご覧ください。登校坂の西側法面は自然崖が残り危険です。登校坂の舗装は東斜面側が下がり、ひび割れが発生しています。宇部商業高校の登校坂は早急に改修する必要がありますが、県教委の見解をお尋ねします。
●木村香織副教育長
次に、災害に強い県づくりについてのお尋ねのうち、土砂災害特別警戒区域が含まれる県立学校への対応についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、文部科学省の事務連絡への対応についてですが、すべての県立学校に対して、士砂災害特別警戒区域の指定状況を把握するとともに、避難経路や安全な避難場所等の確認、災害発生時の対応等について定めた応急対策計画の修正、防災訓練の実施等について通知したところです。
次に、宇部商業高校の登校坂を早急に改修すべきとのお尋ねです。
学校施設の改修につきましては、各学校からの要望を踏まえながら、緊急度や優先度を総合的に勘案し対応しているところであり、宇部商業高校の進入路についても、引き続き、こうした考えに基づき対応してましります。
県民福祉の向上について
◎藤本一規議員
質問の第4は、県民福祉の向上についてです。
第1は、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例についてです。
2014年、日本は、国連の障害者権利条約を批准し、昨年、障害者差別解消法が改正されました。これらを踏まえ県条例が今議会に提出されました。
私は、障害者当事者を中心に構成された団体「ILサポート Merry Merry」が、条例素案に対する要請を県に行った際に同席しました。
素案前文にはなかった、国連障害者権利条約の「趣旨を踏まえ」や「障害のある人が障害の有無にかかわらず分け隔てなく受け入れられるインクルーシブな考え方」などの言葉が盛り込まれたことは、障害者当事者団体の方々も「歓迎」しています。
一方、改善点もあります。7条2項に「県及び事業者は、障害者に対して障害を理由として障害者でない者と異なる不利益な取扱いをすることにつき不当な差別的取扱いに該当しない正当な理由があるときは、当該障害者に対し、その理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない。」とあり、8条2項に「県及び事業者は、前項の意思の表明があった場合において、社会的障壁の除去の実施に伴う負担が過重であるため合理的配慮をすることができないときは、当該障害者に対しその理由を説明し、理解を得るよう努めなければならない」とあります。
これらの条文は、県及び事業者は、「不当な差別的扱い」を行うことや「合理的配慮」を行わなくても良いという解釈を生みます。他の都道府県に同様に記述はあるのかお尋ねします。不当な差別的扱いを禁止し、合理的配慮を行うことを徹底する内容の条例とすべきですがお尋ねします。
●弘田隆彦健康福祉部長
次に、県民福祉の向上についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例についてです。
まず、本県条例案の第7条第2項及び第8条第2項と同様の規定が他県の条例にあるのか、とのお尋ねについてですが、昨年5月の法改正後に制定した長野県の条例においても、同様の規定が見られるところです。
次に、不当な差別的取扱いを禁止し、合理的配慮を行うことを徹底する内容の条例とするべきではないか、とのお尋ねについてです。
これらの条項は、正当な理由のない差別的取扱いや合理的配盧の不提供を容認するものではなく、国のガイドラインに基づき、事業者と障害のある方の対話による相互理解を求めるものです。
◎藤本一規議員
第2は、DV被害者の支援についてです。
1つは、民間シェルターへの支援についてです。
私は、先日、DV被害者を保護する民間シェルターを運営するNPO法人山口女性サポートネットワークの代表理事のお話をお聞きしました。
県は、現在、①DV被害者の一時保護の委託事業②DV被害者等セーフティネット強化支援事業③民間シェルターにおける警備委託費補助を行っています。これらの事業は今後とも継続し、それぞれの予算を拡充すべきですがお尋ねします。
昨年度改訂された「鳥取県配偶者等からの暴力防止及び被害者支援計画」に「民間支援団体への支援」として「委託一時保護施設として利用するために借り上げた住宅の家賃を助成」や「DV被害者の電話相談活動に要する経費の助成」とあります。県は、鳥取県同様、民シェルターを運営している団体へ家賃補助や運営費の補助メニューを拡充すべきですがお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
県民福祉の向上についてのご質問のうち、DV被害者の支援についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、民間シェルターへの支援についてです。民間シェルターは、DV被害者の実情に応じて受け入れに柔軟に対応できるなど、その役割は大きく、支援活動を継続的にできるようにしていくことが重要です。
このため、民間シェルターが円滑に運営できるよう、被害者の一時保護委託をはじめ、SNSを活用した相談や退所者への訪問面接、施設の警備委託などに要する経費への助成、さらには職員の資質向上に向けた研修などの支援を行っているところです。
県としては、こうした支援を今後も行っていきたいと考えるところですが、お尋ねの予算の拡充や補助メニューの拡充までは、現時点、考えていないところです。
◎藤本一規議員《再質問》
烏取県は、一時保護施設退所後に賃貸住宅で自立するDv被害者の住宅借上げ費用を助成する。山口県は一時保護から自立した生活への橋渡しの場としてのステップハウスに家賃補助をされていることは評価するが、広く一時保護施設退所後のDV被害者の住宅借上げ費用を鳥取県のように助成すべきではないか。
●藤田昭弘環境生活部長
DV被害者の支援に関して、鳥取県には、被害者が一時保護施設退所後に入居する、民間賃貸住宅の借上げ費用の助成制度があるが、本県も同様の制度を設けるべきというお尋ねでございました。
本県では、DV被害者の施設退所後の自立に向けた支援として、県営住宅の優先入居などの住宅の確保や、生活保護法などの制度を活用した支援、さらには、民間団体との連携による日用品や衣類等の支給などを行っているところであり、賃貸住宅の借り上げ費用の助成については、現時点、考えていないところです。
◎藤本一規議員
2つは、母子生活支援施設についてです。
私は、先日、山口市内にある母子生活支援施設「沙羅の木」を視察しました。県内で最大5カ所あった母子生活支援施設は現在、沙羅の木のみとなりましたが、県内で複数の母子生活支援施設の必要性を感じました。県は、母子生活支援施設をどう評価していますか、二か所目の母子生活支援施設を県内に設置することをどうお考えかお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
DV被害者の支援についてのお尋ねのうち、母子生活支援施設についてお答えします。
母子生活支援施設はく母子家庭を保護し、自立の促進に向けた支援を行う施設として、重要な役割を果たしていると考えています。
母子生活支援施設の2か所目の設置については、母子生活支援施設への受け入れにおいて、特段の支障は生じていない現状にあることから、新たな施設の設置は考えていません。
◎藤本一規議員
3つは、「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」への対応についてです。
困難な問題を抱える女性への支援に関する法律が今年5月に成立しました。今後、県は法律に基づき、山口県基本計画を策定することになります。法律では、婦人相談所を女性相談支援センターに、婦人相談員を女性相談支援員に、婦人保護施設を女性自立支援施設にそれぞれ名称変更を行う事や「民間団体との協働による支援」についても明記されました。県は、法施行に向けどのような基本計画を策定しようとしているのかお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」への対応についてです。
この法律は、家庭関係破綻や性被害、生活困窮など、困難な問題を抱える女性への支援を強化するため、今年5月に成立し、令和6年4月から施行されることとなりました。
施策の実施にあたっては、国が基本方針を定め、都道府県は、これに即して基本計画を策定することとされています。
県としては、今後示される国の基本方針を踏まえ、計画の具体的な内容を検討することとしています。
◎藤本一規議員
4つは、県営住宅条例の改正についてです。
今議会に、県営住宅条例を改正する条例が上程されました。優先入居の規定に、DV被害者を加える内容です。この部分に関し改正の内容についてお尋ねします。
●和田卓土木建築部長
DV被害者に係る県営住宅条例の改正の内容についてのお尋ねにお答えします。
現在の条例では、DV法による一時保護等を受けた被害者などを優先入居の対象としているところです。
今回の改正では、婦人相談所等による証明や民間支援団体の確認を受けた、DV法によらない被害者についても、条例に準ずる者として規則で定め、優先入居の対象とするよう見直すものです。
戦争犠牲者等に係る問題について
◎藤本一規議員
質問の第5は、戦争犠牲者等に係る問題についてです。
第1は、「黒い雨」被爆者への健康手帳の交付についてです。
広島原爆の「黒い雨」の被害者救済で、国が新たな被爆者認定基準を通知したのは3月18日です。県が初めて健康手帳を交付したのは8月上旬です。その時の申請者が20人ですが、現在の申請者数と交付件数をお示し下さい。
8月30日現在、広島県は約900人、広島市には約2400人の申請が寄せられており、広島県は関連業務に携わる担当職員を9月1日から3名増やし19人体制にしたと報じられています。
私たち県議団は、先月24日、この問題で厚生労働省とのレクチャーを行い、この際、厚生労働省健康局総務課原子爆弾被爆者援護対策室の担当官は、「山口県から審査担当職員の増員をとの要望があれば、国の予算を確保する」と答えました。
県は、黒い雨被爆者の健康手帳の審査担当職員を増やし、必要な方に健康手帳を交付すべきですがお尋ねします。
●三坂啓司観光スポーツ文化部長
次に、戦争犠牲者等に係る諸問題についてのお尋ねにお答えします。
まず、「黒い雨」被爆者への健康手帳の交付についてです。
本県における「黒い雨」に係る被爆者健康手帳の、これまでの申請者数は21名で、そのうち12名の方に手帳を交付しています。
現在、残り9名の方について、国の認定基準に基づき、審査を進めているところであり、担当職員を増やすことは考えておりません。
◎藤本一規議員《再質問》
「黒い雨」について質問します。8月上旬の申請者は20人、そして、この9月下旬現在の申請者が21人。わずか一人しか増えていない。
さっき言ったように、申請者は、広島県は約900人、広島市は2, 400人、申請の状況の桁が違う。
新しい職員体制を増加させることはないとおつしやいましたけれども、さはさりながらですね、やっぱり必要な方に広島原爆の「黒い雨」の被害者救済で、新たな被爆者認定基準が定められたということが伝わっているのか。
関係者へさらなる情報の周知、そして申請を促す、この対応が必要だというふうに思いますが、改めてこのことについて再質問させていただきます。
●三坂啓司観光スポーツ文化部長
それから、「黒い雨」被爆者の健康手帳について、もっと周知をすべきではないかというお尋ねです。
県では、本年3月からリーフレット等を作成いたしまして、県の健康福祉センター等で配布するとともに、県のホームページに掲載するなど、広く周知に努めています。
また、県内の被爆者関係団体、それから高齢者施設等の会議の機会を通じてリーフレットを配布しているところであり、引き続き、その周知に努めてまいります。
◎藤本一規議員
第2は、遺骨の返還について
1つは、「戦没者遺骨収集」についてです。
私は、「『辺野古に土砂を送らせない!』山口のこえ」が県に戦没者ご遺族にご遺骨が返還されるよう求める申し入れに参加しました。
「戦没者の遺骨収集の推進に関する法律」に基づき、国は、2024年度までを遺骨収集の「集中実施期間」に位置付けています。
山口県関係者の内、DNA鑑定が行われた件数と身元が特定された件数をお示し下さい。
集中実施期間の期限が迫る中、県のホームページに、遺骨収集に関する情報を掲示すべきですがお尋ねします。
●弘田隆彦健康福祉部長
次に、遺骨の返還についての二点のお尋ねにお答えします。
まず、DNA鑑定の件数についてです。
厚生労働省では、さきの大戦によって海外等で亡くなられた戦没者の御遺骨の身元を特定して、御遺族の元へお返しするため、DNA鑑定を実施しています。
これまで、山口県関係者と推定される五十九件の御遺骨のDNA鑑定が行われ、そのうち身元が特定された件数は三十二件です。
次に、ホームページへの掲載についてです。
遺骨収集の推進は国の責務として実施されており、遺骨収集に関する広報も国において行われていますが、県としましても、ホームページにDNA鑑定に関する情報を掲載し、御遺族への周知に協力しているところです。
◎藤本一規議員
第3は、長生炭鉱犠牲者の遺骨収集についてです。
私は、長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会の運営委員を務めています。
1942年2月3日、宇部市の海底炭鉱である長生炭鉱で水没事故が発生し、183人が犠牲となり、そのうち136人が朝鮮半島からの労働者でした。
今年2月、「長生炭鉱水没事故80周年犠牲者追悼集会」が行われましたが、海底に眠るご遺骨は一柱もご遺族に返還されていません。現在、日本と韓国との間で、長生炭鉱の遺骨収集が議論されているとの情報が届いていますが、県の認識をお尋ねします。
長生炭鉱水没事故の犠牲者ご遺族にご遺骨が収集、返還されるよう県は、この間、どのような対応を取ってきたのかお尋ねします。
●三坂啓司観光スポーツ文化部長
長生炭鉱犠牲者の遺骨収集についての2点のお尋ねにお答えします。
お示しの長生炭鉱の水没事故において、多くの方々が亡くなられたことは大変痛ましく、改めて犠牲者の方々に哀悼の意を表します。
まず、現在、日本と韓国との間で、長生炭鉱の遺骨収集が議論されているとの情報についてですが、県では、この点について、承知しておりません。
また、遺骨の収集、返還については、国の責任において対応されるべきものであることから、県ではこれまで、日韓親善と人道上の立場から、「刻む会」の皆様などの御要望や御意見を国に伝えるなど、国による長生炭鉱犠牲者の方々の遣骨収集等が進むよう努めてきたところです。
(2022年9月28日)