使用済み核燃料「中間貯蔵施設」について
「中間貯蔵施設」建設の目的について
◎藤本一規議員
質問の第一は、県政の重要課題についてです。
第1は、使用済み核燃料の中間貯蔵施設についてです。
上関町の西哲夫町長は8月18日、中国電力が回答した「中間貯蔵施設」の立地可能性調査の受け入れを表明しました。
1つは、同施設建設の目的です。
3つの原発をかかえる福井県は、原発敷地内に貯蔵されている使用済み核燃料が増え続けていることを懸念し、関西電力に県外への搬出をくり返し要請してきました。これに対し、関西電力は2021年2月、「2023年12月末までに、中間貯蔵施設の候補地を確定できない場合は、美浜、高浜両原発の運転を停止する」と約束しました。
中国電力が関西電力との共同事業として、上関町への中間貯蔵施設の建設のための調査を上関町に回答したのは、こうした事情をもつ関西電力を救済するためものと言わざるを得ません。知事の認識をお尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
まず、中国電力が中間貯蔵施設の設置に係る調査・検討を回答した目的についてです。
中国電力は、上関町の地域振興や島根原発の安定稼働に資すること、国のエネルギー政策にも合致すること等から回答をしたものと承知しています。
◎藤本一規議員
福井県が県外搬出を求めている使用済み核燃料を貯蔵する施設など山口県にも不要です。知事は福井県同様、きっぱり拒否すべきですがお尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
次に、福井県と同様に拒否すべきとのことについてです。
現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が開始された段階であり、当該施設に関し、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。
再処理施設について
◎藤本一規議員
2つは、再処理施設についてです。
中国電力は、「青森県六ケ所村にある再処理施設は、24年度上期に竣工する見通し」と記したチラシを住民にバラまいています。
六ケ所村再処理施設について原子力規制委員会は、基本設計が新規制基準に適合していることは認めましたが、詳細設計と工事計画については、昨年度末に出された申請書類に多数の不備があることを指摘しています。
県は、再処理施設が24年度上期に竣工できるという確かな情報をお持ちですか。お尋ねします。
また、「中間貯蔵施設」は、再処理施設の稼働を前提としたものだと考えますが、県の認識をお尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
次に、再処理工場の竣工の見通し、また、中間貯蔵施設と再処理施設の関係について、まとめてお答えします。
エネルギー政策は国家運営の基本であることから、使用済燃料を再処理することで有効活用する核燃料サイクルをどう
するかについては、国の責任において判断されるべきものと考えています。
このため、お尋ねのような再処理工場の竣工の見通しや、中間貯蔵施設と再処理施設の関係について、県として独自に見解を述べることは考えていません。
電源立地初期対策交付金について
◎藤本一規議員
3つは、知事の記者会見での発言についてです。
知事は9月13日の記者会見で、中間貯蔵施設に対する電源立地初期対策交付金(期間Ⅰ)は受け取らない、と表明しました。受け取らない理由をご説明ください。
知事同意が条件とされる電源立地初期対策交付金(期間Ⅱ)について、知事は「その際の態度表明は、当然、私として責任をもってやらなければいけないと思っている」との認識を示し、その際は「周辺自治体の理解というものが大変、重要な要素だというふうに思っています」と述べました。
福井県や島根県に立地する原発から使用済み核燃料を専用の輸送船で上関町へ運ぶとすると、関門海峡を経由することが想定されます。その場合、県内はもとより、福岡、大分、愛媛3県にまたがる多くの自治体が関係します。
知事が「中間貯蔵施設」建設の是非を判断される場合、関係するすべての自治体の意向を確認する必要があると考えますが、お尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
次に、電源立地地域対策交付金についてです。
電源立地地域対策交付金のうち初期対策交付金相当部分は、初期段階における発電用施設等に関する理解促進を図るためのものであり、制度上の交付対象は対象電源が設置される地点をその区域に含む県又は市町村とされています。
現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が開始された段階であり、現時点、県として交付金を活用して事業を行うことは考えていないことから、今年度の国への申請は行わないこととしたところです。
最後に、施設建設の是非を判断する場合の関係するすべての自治体の意向の確認についてです。
現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が開始された段階であり、当該施設に関し、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。
◎藤本一規議員《再質問》
まず中間貯蔵施設の問題です。これはですね、知事が交付金(期間Ⅱ)9.6億円を受けるかどうかに関わる判断の時には、同意を知事するわけです。だから周辺の状況について、国の責任じゃない、中電の責任でなくて県の判断で今の情勢を判断しなくちやいけないわけですね。で、再処理施設の問題についてです。これが動かなければ中間ではなくなるという県民の懸念が払しょくできないわけですから、再処理施設の動向については、県として、つまびらかに判断しなくちやいけないと思います。その点で、ちょっと情報提供しますけれども、日本原燃の六ヶ所再処理施設に関した、原子力規制委員会が直近に行った、9月4日に行った第494回核燃料施設等の新規制基準適合性に係る審査会合の議事録、これです。原子力規制委員会原子力規制部新基準適合性調査チームの長谷川清光チーム長補佐も、大変な厳しい批判を日本原燃に行っています。「これ以上で、意見とかをきちっと尊重していかないといけない」と。
「これを怠った瞬間にたぶん崩壊する。もう誰も日本原燃を手伝ってくれないということになるので、これはしっかり肝に銘じてやっていただきたい。年明けくらいというのがある種、これから技術的に始まると思っています。絶対に守らなければいけないものは何なのか。日本原燃をどう変えていかないといけないのかというところをしっかり考えていただきたい」と。本当にもう、これ以上厳しい言葉があるかというくらいにですね、規制委員会の専門家がですね、日本原燃、六ヶ所村再処理施設の書類が不備だというのを指摘しています。24年のようやく年明けからですね、審査がこれからようやく始まるよというような事なんですが、中国電力が、私も見ましたけれども再処理施設について、24年度上期に竣工するという見通しは私はまったくないというふうに思いますが、これから交付金を同意、受け取るために同意するかどうか判断する県として、この再処理施設の見通しについてどうお考えなのか、やっぱりはっきり言っていただかなければいけないと思います。お尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
まず、再処理施設の見通しについてでございます。
繰り返しになりますけれども、エネルギー政策は国家運営の基本であることから、使用済燃料を再処理することで有効活用する核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものと考えております。このため、お尋ねのような再処理工場の見通しについて、県として独自に見解を述べることは考えていません。
◎藤本一規議員《再質問》
今も、第1期のですね、調査開始年度からの交付金の問題ですが、今も鈴森産業労働部理事がおっしゃいました。
その交付金については今年度受け取らないということを言ってるんですということですが、じゃあこの1.4億円の交付金は、来年度、新年度新たに受けるかどうか検討するということなんでしょうか、お尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
次に、電源立地地域対策交付金、県は来年度申請するのかとのお尋ねについてです。現時点において、申し上げられるものはございません。
◎藤本一規議員《再質問》
それからですね、先ほど言った知事同意から2年間の交付金についてですけれども、周辺自治体の意向を尊重する点についてです。やっぱり8月2日の中電の記者会見の新聞報道を見ると、使用済核燃料の輸送は船かと問われて、基本的には船を使うことになると、これ中電自身がもう認めています。何らかやっぱり港を造る、関門海峡を通ってですね、使用済核燃料が来るということは明らかだというふうに思います。具体的にこれから同意をするかどうかは今後の協議ですけれども、やっぱりその同意をする前にですね、市町の意見を県としてどういうふうに集約するかっていう仕組みを作らなければならないというふうに思っています。この点についてお尋ねします。
それから、知事が記者会見、13日の記者会見で、安全性についてもやっぱり中電からきちんと説明してもらわなければいけないとおつしやってます。中国電力が調査を行った後、安全性について説明するでしょう。その中電の説明が正しいかどうか、県として県の目で判断をしていかなければいけない。一定の技術者はいるけども放射能に関する技術者は県内にはいません、県職員としていません。県は、上関原発発電所に関わる安全確保等に関する連絡調整会議を持っていて、その調整会議に専門的・技術的な助言をするための、今日的にもですね、原子力安全顧問が5人いらっしやいます。この原子力安全顧問にですね、期間Ⅱの9.8億円の交付金を受ける前に専門的な所見をですね、中電の説明を受けた後ですね、原子力安全顧問から専門的な助言を受けるべきですが、お尋ねしたいと思います。
●鈴森和則産業労働部理事
それから、電源立地地域対策交付金、知事同意前の市町との仕組みづくり、また、安全性の判断について、この2点のお尋ねにまとめてお答えいたします。
繰り返しになりますが、現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が開始された段階であり、当該施設に関し、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。
◎藤本一規議員《再々質問》
知事同意の交付金を受け取るかどうかですが、再処理施設の見通しがたつまでは中間貯蔵施設の設置に同意すべきではないと考えますけれども、お尋ねしたいと思います。
●鈴森和則産業労働部理事
使用済み核燃料「中間貯蔵施設」についての再々質問にお答えいたします。
先程来からご答弁いたしておりますけれども、現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に対し了承し、調査が開始された段階であり、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。
生物多様性やまぐち戦略について
改定の見通しについて
◎藤本一規議員
第2は、生物多様性やまぐち戦略についてです。
1つは、改定の見通しについてです。
9月12日、山口県自然環境保全審議会に、生物多様性やまぐち戦略(骨子案)が示されました。今後の改定スケジュールと骨子案の概要及び30by30目標の設定についての県の認識をお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
まず、生物多様性やまく叡ち戦略についての数点のお尋ねにお答えします。
はじめに、改定のスケジュールと骨子案の概要及び30by30目標の設定についてです。
改定のスケジュールについては、来年2月に素案を作成し、パブリックコメントなどを経て、6月に最終案を取りまとめる予定です。
骨子案については、本年3月に改定された生物多様性国家戦略に掲げる5つの基本戦略を踏まえ、「多様な生態系の保全と健全性の回復」など3つの目標を設定するとともに、民間等の取組により保全する「自然共生サイト」の推進など、新たな施策の方向性を示した内容となっています。
また、2030年までに陸と海の30パーセント以上を保全する3 0by30目標については、具体的な数値を設定することは考えていません。
県内17海域の保全について
◎藤本一規議員
2つは、環境省が「生物多様性の観点から重要度の高い海域」として選定した県内17海域の保全についてです。
これら海域こそ、生物多様性やまぐち戦略の30by30目標に含めるべきですがお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
次に、環境省が「生物多様性の観点から重要度の高い海域」として選定した県内17海域について、やまぐち戦略の30by30目標に含めるべきとのお尋ねです。
当該海域については、環境省は「生態学的・生物学的な観点からの基礎資料であって、保全施策の対象とすべき場所を直接示すためのものではない」としており、国家戦略において30by30目標の対象地域としていないことから、やまぐち戦略においても、対象地域とすることは考えていません。
長島・祝島周辺の海域について
◎藤本一規議員
3つは、選定された17海域の1つである長島・祝島周辺の海域についてです。
環境省は「長島、祝島、宇和島周辺の海岸は、護岸のない自然海岸が多く、瀬戸内海のかつての生物多様性を色濃く残す場所である」と選定理由を述べています。
環瀬戸内海会議の湯浅一郎共同代表は「このような海は、生物多様性基本法に基づいて作成された生物多様性国家戦略に照らして、そのまま保護するのが妥当な選択であろう。従って『田の浦海岸に関する山口県知事の埋立承認には、生物多様性基本法に照らして法的に瑕疵がある』と言わざるを得ない」と指摘していますが、県の見解をお尋ねします。
中間貯蔵施設が長島に建設された場合、使用済み核燃料を入れたキャスクを運搬する専用船が接岸できる専用ふ頭の建設が想定されます。
「長島・祝島周辺」の海岸は、生物多様性やまぐち戦略で保全すべき海域であり、埋め立てなどの改変は拒否すべきですが、お尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
次に、「長島・祝島周辺」の海域について、生物多様性基本法に基づいて作成された国家戦略に照らして保護するのが妥当な選択であり、「田の浦海岸に関する知事の埋立承認には、基本法に照らして法的な暇疵がある」との指摘についてです。
生物多様性基本法は、規制等を定めたものではなく、法的な暇疵があるとは考えていません。
次に、「長島・祝島周辺」の海岸は、やまく、ち戦略で保全すべき海域であり、埋め立てなどの改変は拒否すべきとのお尋ねです。
やまぐち戦略において、お示しの海域を30by30目標の対象地域とすることは考えておらず、埋め立て等の個別行為が行われる場合は、個別の関係法令に基づき判断されるものと考えています。
山口県人権推進指針について
◎藤本一規議員
第3は、山口県人権推進指針についてです。
前回の改定後10年以上が経過した本指針は、社会情勢に対応していない点が散見されます。特に、LGBT問題を「性同一性障害の問題」と表記し、その解説として「生物学的な性(からだの性)と性の自己認識(こころの性)が一致しない疾患」としている点については、今年1月の第16回山口県人権施策推進審議会で、事務局から「『性同一性障害の問題』は、LGBT全体の対象とした記述に改めたい」と提案がされました。
県は、山口県人権推進指針をどのような点について、いつまでに改定しようとしているのかお尋ねします。
●藤田昭弘環境生活部長
次に、山口県人権推進指針についてのお尋ねにお答えします。
本県の人権に関する総合的な取組を推進するための基本指針である「山口県人権推進指針」については、前回の改定から10年以上が経過し、その間、社会情勢の変化等が生じていることから、改定に向けて検討を行っているところです。
改定に当たっては、人権に関連する新たな法令の制定や県計画の改定等に対応するとともに、お示しの「性同一性障害の問題」をいわゆるLGB T全体を対象とした記述に見直すこととしています。
また、改定案は、今後、山口県人権施策推進審議会に諮ることとしていますが、改定の時期については、現時点でその見通しをお示しできる状況にありません。
◎藤本一規議員《再質問》
人権推進指針についてはですね、WHOがですね、国際疾病分類というのを改定しました。その中で、性同一性障害が、精神疾患ではないと、精神疾患から外すと発表しました。
私、このことを以前の学習会で承知をしていましたから、改めて、人権指針を見て、これは看過できないと思って、今回の質問をしたわけです。
今回、山口県が人権推進指針、性同一性障害の表記を変えるという背景にはですね、私は言ったようなWHOの国際疾病分類の改定ということがあるのでしょうか。まず、お尋ねします。
やっぱりこの指針はですね、本当に市町の人権の指針であり、県民が拠って立つ人権の指針なんです。それが、やっぱり性同一性障害が疾患であるというような指針が放置されているのは、やっぱり短期間にしなくてはいけないと思います。
やっぱり改めて今言った、人権推進指針の全面的な見直しが急がれると思いますけれども、やっぱり、いつまでに、この作業を終えるのかお尋ねをしておきたいというふうに思います。
●藤田昭弘県境生活部長
山口県人権推進指針について、性同一性障害の動きを踏まえた改定についてのお尋ねでございました。
先ほども答弁いたしましたけれども、前回の指針改定以降、様々な分野で人権に関連する新たな法令等が行われており、これに対応するために、現在、改定の検討を行っております。
性同一性障害については、精神疾患、それから精神障害から除外されておりますし、このことや、今年、LGB T理解増進法が施行されるなど、社会的な動きもございます。そういったことが、改定の理由の一つでございます。
改定の時期については、今後、人権施策推進審議会に諮ることとしておりますので、現時点、お示しできません。
マイナンバーカードについて
現行の保険証をなくす方針について
◎藤本一規議員
質問の第二は、マイナンバーカードについてです。
1つは、現行の保険証をなくす方針についてです。
9月13日、全国保険医団体連合会(以下、保団連)は、マイナ保険証・オンライン資格確認トラブルに関し、39都道府県、7070医療機関からの調査結果を発表しました。その内、70歳以上の高齢者でオンライン資格確認の画面の「負担割合」と健康保険証の券面の「負担割合」に相違があったと回答した医療機関は39都道府県978機関、県内では19医療機関ありました。
県は、マイナ保険証に係る、このトラブルをどのように認識していますか。トラブル解消のために、国に働きかけを行うべきですがお尋ねします。
保団連は、マイナ保険証の総点検に係る被保険者情報は1億6000万件になり、期限までに終えることは不可能だと述べています。
マイナ保険証の運用をいったん停止し、完全・確実な総点検が行うべきです。来年の現行の保険証廃止は中止すべきと考えますが、県の認識をお尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
マイナンバーカードに関する御質問のうち、現行の保険証をなくす方針についての数点のお尋ねにお答えします。
医療機関での、マイナ保険証によるオンライン資格確認と健康保険証の券面の負担割合の相違については、関連するシステムの仕様の問題や、保険者においてマニュアルに沿った事務処理が行われていなかったことが原因とされています。
県では、これまでも全国知事会等を通じて、国にマイナンバー制度の信頼性確保に向けた取組を要請しており、この問題については、制度を所管する国において、関係システム事業者との調整など、対策が講じられているところです。
また、マイナンバーカードと健康保険証との一体化に当たり、国は、国民の不安払拭を前提に、きめ細やかな対応に努めることとしており、健康保険証廃止の中止を求めることは考えておりません。
◎藤本一規議員《再質問》
マイナンバーカードの問題ですが、トラブルが止まりません。新しい報道がありました。22日、厚生労働省はマイナ保険証について、本人の同意がないままに利用登録がされた事案が全国で合計これまでに38件あったと、直近で27件あったと報告した中に山口市がありました。この事案に対する県の認識を問います。
そして、やっぱりトラブル続きです。紙の保険証をせめて残す。このことが当然だと思いますけれども、改めて県の認
識をお尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
再質問にお答えいたします。
マイナ保険証に係るトラブルに対して、県内でも利用登録を解除した例があるというふうに国が報告しているが、県としてどのように認識しているかという点と、こういったトラブルがあったことを踏まえ、紙の保険証を残すべきと考えるがいかがか、という2点の御質問でございました。
マイナンバーカードの健康保険証利用登録の解除については、本人の意に反してマイナ保険証の利用が登録された場合に、本人の希望を確認した上で例外的に行なわれるものであり、当該市町において、適切に対応されたものというふうに認識しております。
マイナ保険証への移行に際しましては、国は、登録データの全件チェックを行うなど、国民の不安払拭に向けて丁寧に取り組まれているところであり、紙の保険証を残すこと、これについて求めることは考えていません。
やまぐちデジタル改革基本方針について
◎藤本一規議員
2つは、やまぐちデジタル改革基本方針についてです。
同方針では、「マイナンバーカードは『デジタル社会のパスポート』となるもの」との認識に立ち、「市町と連携して、カードの本人確認・認証機能を活用したオンライン行政サービスの充実や、マイナンバーカードをかざすだけで、各種証明書交付や図書館での本の貸し出しなど、様々な行政サービスの提供を受けることができる『市民カード化』等に取り組む」とされています。
「市民カード化」について、龍谷大学の本多滝夫教授は「住民は、住民たるに当該自治体の区域に住所をもっているだけで足りる(自治法10条1項)にもかかわらず、自治体のサービスを受ける際の住民であることを『証明』するためマイナンバーカードの所持が事実上義務付けられることになる」と指摘しています。
マイナカードをめぐるトラブルが相次ぎ、県民の不信が高まっているなか、マイナカードの取得を事実上、義務化する「市民カード」を促進する方針は見直すべきです。県の認識と、県内での市民カード化の実施状況をお尋ねします。
●永富直樹総合企画部長
マイナンバーカードについての御質問のうち、市民カード化についてのお尋ねにお答えします。
まず、マイナンバーカードの「市民カード化」を促進する方針を見直すべきとのお尋ねですが、マイナンバーカードに
より様々な行政サービスが受けられる「市民カード化」の推進は、国の「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において、重点的な取組として位置づけられているものであり、本県としても、引き続き、その推進に取り組んでまいります。
次に、県内の状況についてですが、マイナンバーカードをかざすだけであらゆる行政サービスを市民が受けられる多機能な市民カード化に至っている事例まではありませんが、各市町において、マイナンバーカードを活用した住民票の写し等のコンビニ交付が受けられる取組などは進んできているところです。
災害に強い県づくりについて
JR美祢線・山陰線の早期復旧について
◎藤本一規議員
質問の第三は、災害に強い県づくりについてです。
1つは、JR美祢線・山陰線の早期復旧についてです。
9月19日、JR西日本は、6月30日からの大雨で、美祢線で80か所、山陰線で69か所の被災があったと発表しました。
JRは、今後の見通しについて、美祢線は、「今後の進め方について関係自治体の皆様に相談させていただきたい」とし、山陰線は、「粟野川橋りょうの被災メカニズムの調査や構造物の詳細調査を引き続き進めて」いくと述べました。
美祢市は、JR美祢線災害復旧対策室を設置しました。対策室は美祢市、県、山陽小野田市、長門市の職員で構成されています。
私は、対策室に情報と対策案を集中させ、美祢線・山陰線の早期復旧を実現すべきだと考えます。県は、JRとどのような協議をしているのか、復旧に対する現状認識をお尋ねします。
●京牟礼英二観光スポーツ文化部長
災害に強い県づくりについてのお尋ねのうち、JR美祢線・山陰線の早期復旧に関し、JRとの協議及び復旧に対する現状認識についてお答えします。
JRとの協議については、被災直後から、先日のJRによる被害状況等の公表までの間、重ねて、JRから調査の進捗状況の報告を受けており、その度に、県からは、沿線自治体と連携して、早期復旧を要請し続けてきたところです。
また、現状認識としては、こうした復旧の要請と併せ、県や沿線自治体等においては、両路線の利用促進協議会の中で、鉄道復旧後を見据えた路線の活性化の議論を深めていく必要があるど考えています。
とりわけ、美祢線においては、美祢市に設置した、「JR美祢線災害復旧対策室」を核として、協議会の中に新たな検討チームを設けることを、沿線自治体やJRに働きかけてまいります。
県としては、鉄道が被災した場合には、事業者の責任において、速やかに復旧させる必要があると考えており、引き続きJRに対し、両路線の早期復旧を要請してまいります。
厚狭川について
◎藤本一規議員
次に、厚狭川についてです。JRは「河川管理者において、厚狭川全体の河川計画を検討される必要がある」と指摘しています。厚狭川水系の河川整備計画に対する現在までの進捗率をお示しください。
今後の厚狭川の改修計画について、JRとどのような協議をしているのか、今後の見通しについてもお尋ねします。
●片山克浩土木建築部長
災害に強い県づくりについての御質問のうち、厚狭川についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、厚狭川水系の河川整備計画に対する進捗率についてです。
厚狭川では、平成22年7月豪雨災害を踏まえ、下流側から、抜本的な河川改修を実施してきており、厚狭川水系の河川整備計画に対する進捗率は、約6割となっています。
次に、今後の厚狭川の改修計画について、JRとの協議状況と今後の見通しについてです。
河川の改修計画の策定については、JR等、河川を占用している者との協議を要するものではありませんが、厚狭川においては、再度災害を防止するための抜本的な河川改修を実施することとしており、今後、改修計画がまとまった時点で、JRに提示することとしています。
◎藤本一規議員《再質問》
災害に強い県づくりの厚狭川の問題です。
私は厚狭高出身なので土地勘があるんですが、昨日の代表者会議でも、厚狭川の抜本的な改修を実施すると知事が答弁して、新聞にも大きく報道されました。
しかし、何で厚狭川の改修が、この提出された9月の補正予算に1円もないんでしょうか。この理由についてお尋ねします。
それから、厚狭川水系河川整備計画について、6割の進捗率と言われました。私は各区間の進捗率を調べてみました。
山陽小野田市の寝太郎堰から南はほぼ1 oO%、しかし、寝太郎堰から祖父ヶ瀬橋までの17. 8kmはわずか進捗率3%、その中で、鉄橋の崩落などがあったんです。
やっぱり不退転の決意で、この寝太郎堰から祖父ヶ瀬橋までの区間、まさに知事が言うように、厚狭川の抜本的な改修を実施すべきだと思いますが、再度この問題についてお尋ねしておきたいと思います。
●片山克浩土木建築部長
厚狭川についての2点の再質問にお答えします。
まず、今回の補正予算に厚狭川の改修予算を計上していない理由についてです。
厚狭川については、現在、この度の豪雨や平成22年7月の豪雨等を踏まえ、具体的な改修計画を検討中であることから、今回の補正予算では改修予算を計上していません。
次に、厚狭川について今後どのように整備していくのかとのお尋ねです。
厚狭川については、下流側から河川改修を実施してきており、改修が進んでいない上流側については、今後、再度災害を防止するため、抜本的な河川改修を実施することとしています。
被災者生活再建支援制度について
◎藤本一規議員
2つは、被災者生活再建支援制度についてです。
まず、各種支援制度の対応についてです。
補正予算に計上された、災害見舞金支給の世帯数と金額、県対応の被災者生活再建支援制度支給の世帯数と金額をお尋ねします。
次に、同制度の拡充についてです。
内閣府が公表した「都道府県独自の被災者生活再建支援制度」によると、17都府県は半壊に、10府県は床上浸水に、それぞれに支援金等を支給しています。山口県も拡充すべきですがお尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
次に、災害に強い県づくりについてのお尋ねのうち、被災者生活再建支援制度についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、このたびの補正予算については、災害見舞金として500世帯、5, 020万円、被災者生活再建支援金として52世帯、3,525万円を計上しています。
次に、被災者生活再建支援制度の拡充についてですが、国の被災者生活再建支援制度は、被害世帯数等が一定の基準に達した市町において、全壊、大規模半壊、中規模半壊及び住宅を解体した世帯等に適用することとされています。
県制度では、同一の災害にもかかわらず、居住する市町によって被災者間に不均衡が生じないよう、単独事業として、国制度が適用にならない市町まで範囲を拡大し、国と同様の基準で支援金を支給しているところであり、半壊や床上浸水世帯を対象とすることは考えていません。
教育問題について
柳井地域・周南地域の高校再編整備計画について
◎藤本一規議員
質問の第四は、教育問題についてです。
1つは、柳井地域・周南地域の高校再編整備計画についてです。
県教委が、柳井地域・周南地域の再編整備を検討していることに対し、田布施、平生、上関の3町長は、熊毛南高と田布施農工高の存続を求める要望書を繁吉教育長に提出しました。
8月31日、中教審初等中等教育分科会の「高等学校教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ」は、「高等学校は地方創生の核となる存在であり、少子化が加速する地域においては、学校の存続は地域の存続にも関わる重要な課題ともなり得るものである」、「一定の小規模校について地域に残す必要がある場合に、小規模校のメリットを最大化する」と述べています。
資料1は、中国・四国各県の高校再編の基準を抜粋したものです。
鳥取県は、当面、再編は行わないことを明らかにしています。その他の各県も小規模校に対する独自の基準を設けています。
県教委の「1学年4~8学級を望ましい学校規模」とする基準は、「小規模校のメリット」を生かしたものに見直し、柳井・周南の5校を2校にする計画は撤回すべきですがお尋ねします。
●木村香織副教育長
教育に関する数点のお尋ねにお答えします。
最初に、教育問題についてのお尋ねのうち、高校再編計画についてです。
望ましい学校規模については、外部の有識者等で構成された県立高校将来構想検討協議会での議論を踏まえ設定したものであり、見直すことは考えていません。
なお、柳井地域・周南地域の再編整備については、現在も検討を進めているところです。
◎藤本一規議員《再質問》
高校再編計画についてです。
ずばり、柳井と周南の高校再編は、報道はあったが、検討中だとおつしやいました。この9月の県議会、私も委員ですが、文教警察委員会、この9月の文教警察委員会に素案を示す見通しか、お尋ねをしたいと思います。
それからですね、基準の点についてはね、長野県、鹿児島県を見てください。「○○地域の将来構想を考える協議会」というのを設けて、長野県ではですね、首長、産業界、大学、小中高の先生方、PTAなどで構成した協議会を設けて9回も会議を開いて、意見を県教委に挙げて、県教委がその意見を聞いて再編計画を立てているわけです。
先ほど、「数だけで決めている、中山問地域の学校を配盧する基準がない」ということを言いましたけれども、やっぱりボトムアップ、トップダウンではなくてボトムアップ、地域でよく意見を出してくださいという仕組みが山口県にはない。ここは重大な点だと思います。この点について、やっぱり基準を見直すべきだということもお尋ねしておきたいというふうに思います。お尋ねします。
●木村香織副教育長
まず、柳井地域、それから周南地域の再編について、文教警察委員会に出すのか、説明をするのかという御質問が最初にあったかと思いますが、先ほど答弁いたしましたように、柳井地域・周南地域の再編整備については現在も検討を進めているところでありまして、文教警察委員会で御説明をするかどうかも含めて検討を続けていきたいと思っています。
それから2点目です。長野県などの例を引き合いに出されまして、地域で協議会を設置して意見を聴くなどの仕組みを作ってはどうかという御提案でありましたけども、これも先ほど御説明しましたように、県教委では、第3期県立高校将来構想の方向性に沿って、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を進めているところでありまして、新たな制度、あるいは某準を設けることは考えておりません。
◎藤本一規議員《再々質問》
高校再編についてはですね、9月県議会で文教警察委員会で素案を示すべきではないというふうに思います。
やっぱり基準そのものを見直すべきだという考えと、素案を示してわずか数ヶ月後の次の議会で成案にして、短期間で(宇部)西高やみどり中学校は募集停止となりました。
このような性急なやり方も見直すべきであり、もう一度地元の意見を聞いて、今回の9月文教警察委員会で、高校再編案を示すべきではないと考えますけれども、お尋ねをします。
●木村香織副教育長
素案をこの度の委員会で示すべきではない、改めて地域の意見を聞いて行うべきである、性急に行うべきではないというお尋ねでありましたけれども、柳井地域・周南地域については、引き続き再編整備の検討を進めておりまして、その内容が計画に掲げられるようになった時点で、内容をお示ししたいと考えております。
また、地域の御意見をというお話もありましたけれども、これまでも計画の策定にあたりましては、素案をお示しした後に、地域説明会であったり、あるいは、パブリック・コメント等を通して、県民の皆様方からも広く御意見を頂戴しておりますので、御指摘はあたらないと考えております。
県立大学附属高校について
◎藤本一規議員
2つは、県立大学附属高校についてです。
9月21日、山口県立大学の理事長は、繁吉教育長に、2026年4月の開校を目指し、県立周防大島高校を附属高校にするよう設置者変更を求めました。
私が、公文書開示請求で入手した県立大学附属高校に係る資料を通じて、今年度行われてきた「山口県立大学高大連携の推進強化に関する検討協議会」の前に、昨年秋から「山口県立大学高大連携の推進に関する検討会議」を開いた資料が開示されました。
それによると、昨年12月27日に行われた第2回検討会議で、兵庫県立大学附属高校について、「附属中学校は人気があるが、附属高校は近隣の子どもが少なく定員割れの状態。公立大学法人化のメリットは、小回りが利くこと、決定が速いこと。デメリットは、県教委の施策に入らないこと、国・県からの教育関係の情報が入らないこと、臨時教員等の人集めが大変なこと、へき地の学校であり寮を有するため、宿直ができる先生を募る必要がある」との視察報告が示されました。
私は、周防大島高校を県立大学附属高校にした場合、兵庫県立大学附属高校で生じている課題がそのまま表れることを危惧します。
兵庫県立大学附属高校が抱えている課題を、検討協議会でどのように克服できると議論したのか県の認識をお尋ねします。
●松岡正憲総務部長
教育問題に関する御質問のうち、県立大学附属高校についてのお尋ねにお答えします。
6月16日に開催された第2回「山口県立大学高大連携の推進強化に関する検討協議会」において、附属高校の検討に当たっての参考として、兵庫県及び奈良県に設置されている県立大学附属高校の現状等について、事務局から説明があったところです。
これに対し、お示しの課題に関する委員からの質疑等はありませんでしたが、今後、県立大学において、県教委と十分に議論されるものと考えています。
◎藤本一規議員《再質問》
周防大島高校と兵庫県立大学附属高校の令和5年の定員、志願者、倍率を調べた。
周防大島高校の普通科は定員60人、志願者54人、倍率0.9.地域創生科は定員30人、志願者13人、倍率0.4.入寮者は合計82人。
兵庫県立大学附属高校は定員90人、志願者82人、倍率0. 91.入寮者は104人。
寮があるという点、これを今度は県立大学の学校で面倒をみないといけないという点、そして今、定員割れの状況で、本当に安定的な経営を維持できるのか。県立大学の所管は県であるので、県立大学がこの高校の財政を負担するということは県の財政支出が増えるということにもなる。
県立大学は県に対し、周防大島高校を附属高校化することで、定員割れの状況を回避できる、安定的な経営が維持できると説明しているのか。
また、公立高校は教員給特法を適用しており、時間外労働に対する支払いがないが、県立大学附属高校になれば教員の時間外手当が必要になる。
その他、今後様々な財政的な対応が必要になってくると考えられるが、県立大学は県に対して、附属高校を安定的に経営できると説明しているのか。
●松岡正憲総務部長
まず、県立大学が県に対して、附属高校化により志願者が増えるような説明をしているのかとのお尋ねです。
県立大学からは、定員確保に向けまして、今後、附属高校の教育理念、あるいは高大連携の手法、入学者選抜の方法等について具体的に検討していく中で、魅力のある選ばれる学校となるよう努めていくと聞いています。
次に、県立大学附属高校の学校運営の見通しについて、県立大学は県にどのように説明しているかとのお尋ねです。
具体的な、教職員の給与の取扱い等でございますが、学校運営の見通しについては、今後、県立大学において、県教委と十分に議論等を行いながら検討していくと聞いています。
◎藤本一規議員
資料1の愛媛県教委の県立高校再編整備基準は、1市町1校に限り、特別の統廃合基準を適用する「魅力化推進校」に認定できるとし、島しょ部にある県立高校等をその対象にしています。
私は、県の高校再編基準に島しょ部や中山間地域にある学校を「魅力化推進校」にする制度を創設し、周防大島高校は存続させるべきと考えますが、お尋ねします。
そのため、県教委は設置者変更の要望には応じるべきではないと考えますがお尋ねします。
●木村香織副教育長
次に、県立大学附属高校についてのお尋ねのうち、周防大島高校を県立高校として存続させることについての2点の御質問にお答えします。
まず、「魅力化推進校」に関する制度を倉I設し、周防大島高校は県立高校として存続させるべき、とのお尋ねですが、県教委では、「第3期県立高校将来構想」の方向性に沿って、県立高校の再編整備を進めているところであり、これに係る新たな制度を設けることは考えていません。
次に、先日、県立大学から要望のあった周防大島高校の設置者変更については、これから、検討を進めることとしています。
こども基本法と県政の課題について
山口県こども計画の策定について
◎藤本一規議員
質問の第五は、こども基本法と県政の課題についてです。
こども基本法にある、「子どもの養育は家庭が基本」は「社会の責任」に変更すべきなどの意見はありますが、子どもの権利条約の4原則、①子どもの生命・発達に関する権利、②最善の利益、③意見の表明・尊重、④差別禁止が盛り込まれた点は、県政に生かすべきです。
1つは、山口県こども計画の策定についてです。
本議会に、こども基本法に定められている都道府県こども計画を策定するために必要な改正を実施する条例改正案が提出されています。
こども基本法にある子どもの権利条約の4原則を山口県こども計画にどのように反映しようとしているのかお尋ねします。
●村岡嗣政知事
藤本議員の御質問のうち、私からは、こども基本法に関し、県こども計画の策定についてのお尋ねにお答えします。
次代を担う全ての子どもたちが、健やかに成長していく社会を実現していくためには、児童の権利に関する条約の4原則の下、子どもの権利が尊重され、子どもの利益が考盧されることが必要です。
このため、県では、こうした考えを基本理念とした「子育て文化創造条例」を制定し、この条例に基づき、子育て支援・少子化対策を推進するための計画を策定しています。
こうした中、本年4月に施行されたこども基本法は、日本国憲法及び児童の権禾llに関する条約の精神にのっとり、こども施策を総合的に推進することを目的として制定されたものです。
このようなことから、県条例に基づいて策定する次期計画については、こども基本法に基づいて策定する計画としても位置づけていくこととし、具体的には、山口県子育て文化審議会において検討してまいります。
県立高校の校則の見直しについて
◎藤本一規議員
2つは、県立高校の校則の見直しについてです。
こども基本法第3条は、「全てのこどもについて、年齢及び発達の程度において、自己に直接関係する全ての事項に関して意見を表明する機会」が確保されると定めています。
私は、21年6月県議会で、県内全ての県立高校の校則を調査し質問し、昨年11月県議会で、木村副教育長は「半数以上の高校で見直しが完了している」と答えました。
資料2は、県立高校の現在の校則を調査した結果です。
旅行などについて、学校の許可・承認を必要とする校則が6校。集会・行事への参加や団体加入等に学校の許可・承認などを必要とする校則が11校。下着の色を指定している校則が9校。頭髪の色の届け出を必要としている校則が3校あります。
宇部市教委は、①児童生徒が、自ら考え、自ら決めていくような仕組みの構築②必要かつ合理的な範囲内で制定すること③校則の公表という「校則見直しの観点」を示しました。
県教委も、宇部市同様の校則見直しの観点を示し、県立高校の校則の更なる見直しを行うべきですがお尋ねします。
●木村香織副教育長
次に、こども基本法に関するお尋ねのうち、県立高校の校則見直しについてお答えします。
県教委では、国が生徒指導の基本的な考え方などを定めた「生徒指導提要」の改訂の趣旨を踏まえ、本年3月、各県立学校に対して、校則の見直しや運用についての考え方を示した上で、絶えず見直しを行うよう通知をしているところです。
◎藤本一規議員《再質問》
校則の問題についてお尋ねしますが、先ほど出たですね、生徒指導提要、これ改定されましたけれども、やはり性同一性障害に係る児童生徒に対する学校における支援の事例というのがあります。服装は自認する性別の制服や衣服、体操着の着用を認めるというふうにあります。この点で校則を見ると、女子の制服にスラックスを認めている学校が14校しかないんですね。35校は明記されていません。性的マイノリテイに配盧した男女の区別のない制服が選択できる校則への見直しが急務だと思いますが、お尋ねしたいと思います。
●木村香織副教育長
校則については、県立高校の実情に応じて絶えず見直しを行うよう通知しているところでありまして、お尋ねにありました「男女の区別のない制服」の導入についても、各学校の実情に応じて、適切に判断するものと考えています。
なお、各県立学校では、性的マイノリティの生徒について、それぞれの個別の事案に応じ、生徒の心情等に配慮しながら対応を行っております。
朝鮮学校の補助金復活について
◎藤本一規議員
3つは、朝鮮学校の補助金復活についてです。
こども基本法第3条は「全てのこどもについて、個人として尊重され、その基本的人権が保障されるとともに、差別的取扱いを受けることがないようにすること」と定めています。
山口朝鮮学園に私立外国人学校特別補助金を支給しないことは、こども基本法に反するものだと考えますが県の見解をお尋ねします。
●松岡正憲総務部長
次に、朝鮮学校補助金についてのお尋ねにお答えします。
本県の朝鮮学校への補助金は、県民との相互理解の増進を図ることを目的としたものであり、これを予算計上しないことが、こども基本法に反するとは考えていません。
◎藤本一規議員《再質問》
朝鮮学校の問題です。先ほど言った差別の禁止は、こども基本法の3条、基本理念、5条には地方公共団体は基本理念に則って、施策を行う責務があると書いてあります。
朝鮮学校に補助金を交付しないことは、こども基本法の基本理念に則った施策を実施する県の責任、責務を放棄したものと言わざるを得ないと思いますが、この点をお尋ねします。
●松岡正憲総務部長
次に、朝鮮学校の補助金についてでございます。
県が朝鮮学校補助金を停止していることは、こども基本法第5条の地方公共団体の責務を放棄しているのではないかとのお尋ねであったかと思います。
朝鮮学校への補助金は、県民との相互理解の増進を図ることを目的としたものでありまして、こども基本法第5条に規定されております地方公共団体の責務を放棄しているとのご指摘は当たらないと考えております。
(2023年9月26日)