2024年12月議会・一般質問

知事の政治姿勢について

◎木佐木大助議員

1つは、核兵器禁止条約の批准についてです。

今年10月12日、日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞のニュースは世界を駆けめぐり、「核兵器のない世界」を願うすべての人々に限りない励ましと勇気を与えています。まず、日本被団協にノーベル平和賞が授与されたことについて、知事の見解を伺います。

日本政府が「核兵器禁止条約を批准」することは、山口県被団協のみなさんにとっても悲願です。わが党は9月議会で、知事が率先して国に「核兵器禁止条約の批准」を求めるよう質しましたが、知事は「国の取組を尊重する立場に立って、国に対して核兵器禁止条約への批准を求めることは考えていない」と答弁されました。

しかしながら、国の姿勢に変化が見られます。日本被団協へのノーベル平和賞授与が決まった翌日の13日、石破首相は出演したNHK日曜討論の場で、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加について「これからよく議論する」と述べました。さらに11月27日には、日本と同じくアメリカの「核の傘」の下にありながらオブザーバー参加したドイツの事例を参考に検討をすすめる考えを示した、と報じられました。

来年は被爆80年の節目の年です。人口比で長崎、広島に次いでヒバクシャが多い山口県の知事である政府に対し、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加の早期実現を要望するとともに、条約批准に進むよう求めるべきです。知事の答弁を求めます。

●村岡嗣政知事

私からは、核兵器禁止条約についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、日本原水爆被害者団体協議会のノーベル平和賞受賞については、核兵器のない世界の実現に向けた長年の御努力が評価されたもので、これまでの取組に敬意を表しますとともに、この賞によって、世界の核兵器廃絶に向けた機運が、改めて高まることを期待しています。

また、私は、核兵器の廃絶自体は、これを強く願っているところですが、そのための手法については、国の専管事項である安全保障と密接に関わっていることから、国民の命と平和な暮らしを守る観点で、国において、しっかり検討を進めていただきたいと考えています。

こうしたことから、私としては、国の取組を尊重する立場に立って、国に対し、核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加や同条約の批准を求めることは考えていません。

◎木佐木大助議員【再質問】

9月議会においても、知事は、核兵器禁止条約について、核兵器廃絶を求める多くの国、地域の人々の思いや行動等により発効に至ったものであり、核兵器を世界全体で無くしていこうという機運の醸成に繋がるものと評価、認識されておられます。今回もその通りです。

同時に、今、ロシアが核威嚇を繰り返し、核兵器の使用の危険性が極めて高まっている今、核兵器の廃絶自体を強く願っておられるのならば、もう国の顔色など見ず、核兵器廃絶の機運の醸成に繋がる、一番の問題である核兵器禁止条約の批准を求めるのが、県民の代表でもある知事として、当然の対応ではないかという風に思います。改めて見解を求めます。

●近藤和彦環境生活部長

核兵器禁止条約についての再質問にお答えいたします。

先ほど知事から、核廃絶のための手法については、国の専管事項である安全保障とも密接に関わっていることから、国民の命と平和な暮らしを守る観点で、国において、しっかり検討を進めていただきたい、また、国の顔色ではなく、国の取組を尊重する立場に立って、国に対し条約の批准等を求めることは考えていませんということも答弁をさせていただいております。

◎木佐木大助議員

2つは、税制改正のあり方についてです。

河合議員も触れましたが、来年度の税制改正に向けて、「103万円の壁」が注目されています。課税最低限を103万円から引き上げることは当然ですが、これは歴代・自民党政治の経済政策のゆがみの一部分の問題であり、いま求められているのは、経済政策そのものの根本的な転換です。

いま必要なのは、第1に、税制のゆがみを正すことです。まず生計費非課税の原則に立って、最悪の生計費課税である消費税を緊急に減税し、廃止へと向かわせること。また、応能負担原則を徹底し、史上空前の利益をあげる大企業、超富裕層への税優遇をあらためることです。

法人税は、消費税増税とセットで税率が引き下げられ、研究開発減税など大企業向けの減税も繰り返されてきました。所得税・住民税の最高税率も引き下げられたままです。庶民には重い税負担、大企業・富裕層には税優遇というゆがみをただす議論こそ求められています。課税最低限を物価高騰や賃上げの水準を超えて引き上げることは、こうした税制の根本的改革のなかに位置づけて進めるべきと考えます。

第2に、「手取りを増やす」ためには、大幅賃上げが不可欠です。人件費コストカットで労働者全体の賃金を抑えこみ、一部の大企業に巨額の内部留保がため込まれている、このゆがみに切り込み、内部留保を賃金に回す仕組みを真剣に検討すべきです。

第3に、社会保障・教育の予算拡充が必要です。学生にとって何よりも緊急優先課題は、高すぎる学費の値上げを止め、無償化を目指して値下げに踏み込むことで、「103万円」を超えるような長時間のアルバイトから解放し、安心して学べる学生生活を保障することにあります。最低保障年金の創設や、国民健康保険料の引き下げなどを行わなければ、「106万円の壁」「130万円の壁」の解決にはなりません。

以上3点についての見解を伺います。

●佐藤茂宗総務部長

税制改正のあり方についての3点のお尋ねにまとめてお答えします。

お尋ねの税制のあり方等につきましては、いずれも国民生活や国民経済等の根本に関わるものであることから、国において十分に議論されるべきものであると考えています。

◎木佐木大助議員【再質問】

税制改正のあり方に関しては、憲法の生存権に基づく「生計費非課税」の原則は貫かれるのが必要ではないでしょうか。この点について伺います。

そして、物価や賃金が上がるなかで課税最低限は29年間も103万円に据え置かれてきました。物価は10%以上、上がっています。少なくとも物価上昇分は引き上げることを国に要望すべきと考えますが、お答えください。

●佐藤茂宗総務部長

一点目の「生計費非課税」の原則についての答弁でございます。税制のあり方については、様々な意見がありますが、国民生活に関わるものであり、国においてしっかりと検討されるべきものと考えています。

次の103万円の壁につきましてお答えします。「103万円の壁」の引上げについては、令和7年度税制改正の中で議論することとされており、現在、国において検討されていることから、国に要望することは考えていません。

米軍岩国基地の拡大強化について

◎木佐木大助議員

質問の第2は、米軍岩国基地の拡大強化についてです。

一昨年11月議会で指摘したように、米国防総省の「2023年度予算概算」に盛り込まれていた米軍岩国基地の「燃料貯蔵タンク5倍化計画」は一昨年8月に設計が完了、昨年8月に契約締結し、12月に着工、25年12月に建設完了予定、とされていました。

同計画については、県を通じて防衛省に計画の詳細を明らかにするよう求めていましたが、防衛省は「整備の有無を含め、米側からの情報がないため、引き続き米側に確認を進め、情報が得られ次第、関係自治体に情報提供してまいる」と繰り返すだけでした。

そこで共産党県議団として独自に情報収集していたところ、新たな事実がわかりました。

資料1は、米国防次官補(調達・維持担当)が今年9月、米議会に提出した「2024年度第3四半期の未契約軍事建設プロジェクト(2024年6月30日現在)」の一部です。

「燃料貯蔵タンク5倍化計画」は、「国境障壁の軍事建設に資金を提供するために延期」され、落札は「2024年度末」すなわち、今年9月末に変更されていました。ちなみに総事業費は約137億円と当初より28億円増えています。

同時に新たな疑念も浮かんでいます。

この文書には、「プロジェクトでは、貯蔵タンクのサイズを縮小するために2回目の再設計が必要です。敷地内の限られたスペースでは、流出防止策を十分に大きく構築できませんでした。海軍当局は、当初の構想では統合施設基準の免除を支持すると表明していましたが、最近の流出事故を受けて、そのような免除の要望はもはや現実的ではなくなりました」と記されています。

「最近の流出事故」とはどこで発生し、どのような事故だったのか、国を通じて米軍に明らかにするよう要望すべきではないですか。お尋ねします。

●田中康史総務部理事

米軍岩国基地の拡大強化についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、岩国基地における燃料タンクの整備に関し、米議会に提出された文書に記述のある「最近の流出事故」について、その発生場所や事故の概要を明らかにするよう要望すべきとのお尋ねです。

岩国基地における燃料タンクの整備について、国からは、「実施内容の詳細について検討中であり、共有できる情報はないが、新たな情報が得られれば、可能な範囲で関係自治体に情報提供する」との説明を受けています。

その上で、お示しの文書において、「最近の流出事故」との記述があるとのことですが、県としては、岩国基地において、公共の安全又は環境に影響を及ぼす可能性がある事故等が発生した場合は、日米合同委員会合意に基づき、 国から適切に情報提供があるものと考えています。

◎木佐木大助議員

また、米軍岩国基地の港湾施設に計画されていた「燃料桟橋」建設も「国境障壁の軍事建設に資金を提供するために延期」され、その上、「当初の入札は、米国陸軍工兵隊の契約担当官の判断により、入札が不公平かつ不合理であったため失敗しました。プロジェクトは追加の市場調査と再設計を受けました。2024年度第4四半期に授与される予定」と記されています。この「燃料桟橋」も総事業費が約86億5千万円と巨額です。

米国が自国の予算で進めている施設改修について県は、一昨年11月議会において「基地周辺住民への影響などが懸念される施設改修については、国の責任において、地元自治体に対し事前の情報提供がなされるべきと考えている」と答弁されました。

防衛省は、米軍が計画する施設改修に関する山口県からの問い合わせに「米側からの情報がない」と説明しているようですが、米側は関連文書を世界中に公開しています。「米側からの情報」を待つだけでなく、防衛省自らが米側の公式文書を分析して、関係する自治体に情報提供するよう改めて要請すべきです。見解を伺います。

●田中康史総務部理事

国自らが米側の公式文書を分析して、関係自治体に情報提供するよう要請すべきとのお尋ねです。

県では、基地周辺住民への影響が懸念される施設改修については、国の責任において、地元自治体に対し事前の情報提供がなされるべきと考えています。

このため、米軍基地を抱える都道府県で構成する渉外知事会を通じ、基地内への新たな施設整備について、施設整備計画が策定された段階など迅速に情報提供するよう要望しているところです。

県としては、引き続き、課題をともにする関係都道府県と連携し、 国に働きかけてまいります。

◎木佐木大助議員【再質問】

岩国基地問題についてご答弁ありました。これまで指摘してきたように、米軍は燃料貯蔵タンクの5倍化の必要性について、「現在の貯蔵能力は「必要量の34%」程度しかない」、このことをあげています。これは、おかしなことだと思われませんか。

現在の燃料貯蔵タンクは、艦載機部隊の移転に伴い、岩国基地所属の航空機が120機を超える規模に、増えることを前提に建設されたものであります。

国は新たに艦載機部隊が配備される一方で、海兵隊の航空機は10機程度減るだろうと説明しています。にも関わらず、米側は燃料貯蔵タンクの能力は34%しかないから、5倍に増強しようとしている。なぜ、5倍化なのか。県は、その理由を防衛省にお聞きになったことがあるのでしょうか。

ないのなら問いただすべきであります。伺います。

そして、米軍関係の情報収集についてですが、アメリカのトランプさんが登場しています。国に求めると同時に、県自らも取り組むことも必要ではないでしょうか。そのためにも、基地対策室の体制を更に拡充す?ることも、検討課題であると考えますが、伺います。

●田中康史総務部理事

まず、燃料タンクの整備につきまして、なぜ5倍化なのか問いただすべきとのお尋ねだったと思います。

先ほどご答弁しましたとおり、燃料タンクの整備につきまして、国からは実施内容の詳細について検討中であり、共有できる情報はないが、新たな情報が得られれば、可能な範囲で関係自治体に情報提供するとの説明を受けているところです。

燃料タンクの増強についていろいろおっしゃいましたけれども、基地の軍事的な機能の強化ということであれば、県は地方自治体として権限や知見を有しておらず、判断することができません。

県としては引き続き情報収集に努め、騒音や安全性等の面で基地周辺住民の生活環境に影響があるなど問題があれば、地元市町と連携し、適切に対応してまいります。

次に、米軍関係の情報収集について、県の体制を拡充して自ら取り組むべきではないかとのお尋ねだったと思います。

米軍の運用等に関する情報につきましては、国の責任において、地元自治体に対し、適切に情報提供されるべきものと考えています。

県としては、引き続き、国に適切な情報提供を求めるとともに、地元市町と連携し、岩国基地の運用等に関する情報収集に努めてまいります。

エネルギー政策について

◎木佐木大助議員

質問の第3は、エネルギー政策についてです。

1つは、原発と核のゴミ「中間貯蔵施設」についてです。

知事は11月13日の定例会見で、中国電力が上関町に計画している使用済み核燃料「中間貯蔵施設」と原発新設に関連して、「原発稼働で発生する使用済み核燃料は、原発敷地外で貯蔵するのが基本的な考え。原発の建設を計画しながら、他の地域から使用済み核燃料を受け入れることは『負担として大きい』」という主旨の発言をされました。

使用済み核燃料「中間貯蔵施設」については、毎議会、市民団体から建設中止を求める請願が出されています。加えて、先般、建設予定地に近い柳井市平郡島の連合自治会は、今年5月から11月にかけて、市内300余の自治会のうち、協力を得られた161の自治会の住民に、「中間貯蔵施設」の建設に関するアンケートを実施。3991件の回答が得られ、このうち「計画に反対」が2882件で全体の72%に達しました。理由としては、安全性や貯蔵が長期化することへの懸念があげられています。

中国電力は、立地可能性調査の結果がまとまれば、上関町に建設の是非を打診することになり、早晩、県も何らかの判断を迫られることになります。

その際は、市民団体の反対意見や住民世論と合わせて、「近接する地域への使用済み核燃料『中間貯蔵施設』と原発建設は『負担が大きい』」という認識をもって、判断されると考えて間違いありませんか。お尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

エネルギー政策についての御質問のうち、まず、原発と中間貯蔵施設についてのお尋ねにお答えします。

現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、県としての対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

◎木佐木大助議員【再質問】

県として対応を申し上げる状況にはない、そういう答弁でしたが、昨年の9月議会で我が党は、2001年4月の上関原発建設計画に係る知事意見の中で、「使用済核燃料の貯蔵・管理について、発電所内での新たな貯蔵施設にたよらないで済むよう、また、発電所内での貯蔵管理が長期にわたらないよう、適切な対策を講じること」これを求めていることを指摘しました。

これに対して、知事は昨年12月26日の会見で、この知事意見の立場を踏雲する考えを示した上で、上関原発がありながら、別に中間貯蔵施設のように他のところの使用済み核燃料を受け入れる施設は全国どこにもにない。これは大きな負担だ、と発言されています。また、先ほど述べたように、先月、11月13日の会見でも、この立場に変わりがない考えを述べられています。

大事なことですので再確認します。2001年の知事意見、また、村岡知事の会見での見解、この立場に変わりはないか、改めて答弁を求めます。

●鈴森和則産業労働部理事

エネルギー政策に関する再質問にお答えします。

まず、200 1年の知事意見、昨年来の知事の会見での発言に関するお尋ねについてです。

平成13年4月の上関原発に係る知事意見の内容について、変更はありません。

また、お示しの知事の会見での発言に関しては、一つの市町村に原発と中間貯蔵施設が立地する事例は全国になく、そうした形で新たな施設が加わることで、一般的に様々な不安感や負担感が生まれるのではないかといった認識に変更はありません。

なお、この発言については、施設の建設に関し、何らかの判断をしているものでもありません。

◎木佐木大助議員

2つは、中国電力の経営姿勢についてです。

この間、太陽光、風力など再生可能エネルギーの普及が進む中で、電力の供給量が需要を上回る場合に、再生可能エネルギーの事業者に発電停止を求める出力制御が増加しています。

資源エネルギー庁が9月18日に公表した「再生可能エネルギーの出力制御の抑制に向けた取組等について」によると、太陽光と風力発電能力に対する出力制御の割合は2023年度は3.6%と九州に次いで2番目です。その上、中国電力は今月7日にも出力82万kwをもつ島根原発2号機の再稼働を予定していることもあり、24年度の出力制御は3.8%と0.2ポイント増える見通しです。

このままでは、太陽光発電の出力制御がさらに増え、再生可能エネルギーの普及に水を差すことになります。再エネのさらなる普及を手助けする立場から、県として中国電力に対し、出力制御については、石炭火力発電を優先し、太陽光など再生可能エネルギーへの出力制御は出来る限り避けるよう求めるべきと考えます。見解を伺います。

●鈴森和則産業労働部理事

次に、中国電力の経営姿勢についてです。

電力系統においては、電気を使う量と発電する量のバランスをとることが重要であり、この需給バランスが崩れると周波数に乱れが生じ、大規模停電が発生するおそれがあります。

このため、一般送配電事業者は法令等であらかじめ決められた「優先給電ルール」に基づいて、需給バランスの維持を行うこととされています。

具体的には、電気の発電量がエリアの需要量を上回る場合には、まず、石炭などの火力発電の出力制御、揚水発電のくみ上げ運転、他のエリアへの送電等を行います。

それでもなお発電量が需要量を上回る場合には、バイオマス発電の出力制御を行い、太陽光、風力の出力制御は、その後に行うこととされています。

このようなルールが法令等により既に定められており、また、県は当該ルールに関し何ら権限も有しないことから、中国電力に対し、お示しのような求めをすることは考えていません。

◎木佐木大助議員【再質問】

中電の経営姿勢の問題ですが、出力制御を余儀なくされて損失を被っている事業者が現にいるわけであります。しかも、中国電力は、島根原発2号機を再稼働するだけではなく、近い将来には島根原発3号機の稼働も目論んでいます。3号機は137万kWの大型であります。出力制限が拡大することが懸念されると考えますが、見解を求めます。

●鈴森和則産業労働部理事

次に、島根原発の稼働による出力制御拡大の懸念に係るお尋ねについてです。

エネルギー政策は国家運営の基本であることから、原発や再エネなどのエネルギーをどう利用するかについては、国の責任において判断されるべきものであり、出力制御についても国が権限を有していることから、県として、お示しのような事柄について、独自の見解を述べることは考えていません。

JRローカル線の存続について

◎木佐木大助議員

質問の第4は、JRローカル線の存続についてです。

JR西日本は10月29日、2023年度までの3年間の平均で、乗降客が少ない17路線30区間の収支は233億円余りの赤字だったと公表しました。資料2のように、県内では、山陰線、山口線、小野田線、そして美祢線があげられ、「大量輸送という観点で鉄道の特性が十分に発揮できていない」とダイヤの縮小や廃線をにおわせています。

忘れてはならないのは、1987年4月の国鉄分割民営化を前にした86年の衆参同時選挙の際、自民党が新聞各紙に掲載した資料3の「広告」です。そこには「全国画一からローカル優先のサービスに徹します」、「不便になりません。運賃も高くなりません」、「ローカル線もなくなりません」と「公約」が記されています、現状を見れば明白な「公約違反」だと考えますが、見解を伺います。

JR西日本は、ローカル線の赤字をことさらに強調しますが、2024年3月期の連結決算を見ると当期純利益は987億円、純資産も前年度から806億円も増えています。会社としては儲かっているのです。一部路線の赤字を理由に、ダイヤの縮小や廃線を迫る対応は理不尽だとはお考えになりませんか。お尋ねします。

特に今、豪雨災害で運行されていない美祢線について、JR西日本が「単独での鉄道としての復旧と、その後の運営を継続することは難しい」と鉄道以外での交通手段を提案していますが、県はどう対応されていますか。お尋ねします。

●道免観光スポーツ文化部長

JRローカル線の存続についての数点のお尋ねにお答えします。

まず、お示しの「新聞広告」については、県として見解を述べる立場にありません。

次に、一部路線の赤字を理由に、ダイヤの縮小や廃線を迫るJRの対応をどう思うかとのお尋ねですが、県としては、ローカル線は地域住民の生活を支える重要なインフラであるとの認識の下、赤字路線を含めた鉄道ネットワーク全体のあり方を議論する必要があると考えています。

次に、美祢線に関する御質問にお答えします。

お尋ねのJRの提案への対応を含め、鉄道での復旧と鉄道以外のモードでの復旧について、現在、JR美祢線利用促進協議会の復旧検討部会において、整理、検討を行っているところです。

◎木佐木大助議員【再質問】

JRローカル線の問題で、一番大切なことは、JRは単なる民間会社ではない。こういうことであります。JRには公共交通を守る使命があるということは、県も同様の認識をお持ちですか、伺います。

しかも、経営全体では儲かっている。内部留保はJR全体で7,000億円以上持っています。もちろん、沿線の自治体や住民と利用者を増やしていく努力は極めて必要ですが、現在の路線は断固として守る、存続を求めて行く立場を堅持すべきと考えますが、見解を伺います。

●道免憲司観光スポーツ文化部長

JRローカル線に関する2点の再質問にお答えします。

まず、JRには公共交通を守る使命があるということについて、県の認識はどうか、とのお尋ねです。

県としては、ローカル線は、沿線住民の生活を支える重要なインフラであり、赤字路線を含めた鉄道ネットワーク全体のあり方を議論する必要があると認識しています。

次に、現在の路線を守り、存続を求めていく立場を堅持すべき、とのお尋ねです。

県としては、これまでも、JRに対して、暮らしや経済を支える大切な基盤として、ローカル線を今後も維持・存続するよう、強く要望してきたところであり、引き続き、要請してまいります。

◎木佐木大助議員

いずれにしても美祢線の復旧には2010年から取り組まれている厚狭川の広域河川改修事業の加速化が急務です。今年度の再評価では、総事業費約156億円に対し、既投資額は97億6千万円、63%でしたが、現在の進ちょくと今後の見通しを伺います。

●大江土木建築部長

厚狭川の河川改修事業の進ちょくと今後の見通しについてお答えします。

県では、厚狭川について、平成22年7月豪雨災害を踏まえ、河川整備計画に基づき、下流の山陽小野田市側から河川改修を実施しているところです。

こうした中、令和5年梅雨前線豪雨により、上流の美祢市側では、住宅や農地への大規模な浸水や鉄道橋梁の流失など甚大な被害が発生しました。

このため、再度災害を防止する観点から、美祢市区間においても、川幅の拡幅や堤防の整備などの抜本的な河川改修に着手することとしたところです。

現在、詳細な設計などを進めており、引き続き、概ね10年での完了に向け、取り組んでいくこととしています。

朝鮮学校補助金について

◎木佐木大助議員

質問の第5は、朝鮮学校補助金についてです。

村岡知事は議案説明の中で、新年度に向けて「若い世代や女性の声に的確に応え、人口減少対策の一層の充実、強化を図っていく」などと宣言しましたが、その一方で、朝鮮学校補助金の予算化は頑なに拒み続け、若い世代の在日4世、とりわけ一生懸命頑張っている在日3世のオモニの方々に、耐え難い過酷な差別と厳しい子育て環境を押しつけ続けています。

この間、県当局は、「在日コリアンは立派な山口県民」、「こども基本法も当然その対象」との見解を示しながら、「国際人権規約」や「子どもの権利条約」、「人種差別撤廃条約」の精神に反する「朝鮮学校への補助金停止」という恥ずべき対応を合理化しています。

この姿勢は憲法98条2項にある「国際法規への誠実遵守義務」に抵触するのではありませんか。

さらに、朝鮮学校に通う子供達が、合理的な理由無く他の学校に通う子ども達と異なる不利益な取り扱いを受けることは、憲法14条などが禁止する不合理・差別的取り扱いになり、教育基本法4条1項の教育上の「差別禁止」規定にも反しているのではありませんか。

これらの点について答弁を求めます。

村岡知事の「若い世代や女性の声に的確に応え、一層の充実、強化を図っていく」という姿勢は大いに評価しますが、「朝鮮学校への差別」を放置したままでは、まさに画竜点睛を欠くものです。一刻も早く「朝鮮学校への補助金を復活」すべきです。知事に見解を伺います。

●佐藤茂宗総務部長

次に、朝鮮学校補助金についてのお尋ねにお答えします。

まず、朝鮮学校への補助金停止は、憲法に定める国際法規への誠実遵守義務に抵触するのではないか、また、憲法や教育基本法の差別禁止規定にも反しているのではないかとのお尋ねです。

朝鮮学校への補助金は、県民との相互理解の増進を目的としたものであることから、これを予算計上しないことは差別的取扱いではなく、憲法や教育基本法に抵触するとの御指摘は当たらないと考えています。

次に、朝鮮学校補助金を一刻も早く復活すべきとのお尋ねです。

県としては、朝鮮学校を高校授業料無償化の対象外としている国の考え方、補助金支給に対する他県の動向、北朝鮮の様々な行動に対する国内外の受け止め、これらを総合的に勘案し、現時点では補助金の支給は県民の理解を得られないとの判断に変わりがないことから、補助金を予算計上することは考えていません。

◎木佐木大助議員【再質問】

朝鮮学校の補助金の問題ですが、これは9月議会で河合議員・中嶋議員も質しましたが、かつて県当局による「日本の学校に行けるので、教育権への侵害には当たらない」との発言は、断じて容認できません。

まるで、過酷な植民地支配の司令塔であったあの朝鮮総督府の役人の言い草ではありませんか。、

この暴言は、本当に村岡知事の思いを代弁をしているのか、改めて伺いたいと思います。

また「総合的に勘案した朝鮮学校を巡る様々な状況」とは、一体具体的には何か。丁寧な説明を求めます。

また、「現時点では、県民の理解を得られない」などといいますが、県自ら県民の理解を広げる努力をしたことが果たしてあるのかどうか。

●佐藤茂宗総務部長

次に、朝鮮学校補助金に関する3点の再質問にお答えします。

1点目は、日本の学校に行けるので、教育権への侵害には当たらないとの考えについてのお尋ねでございます。

朝鮮学校への補助金は、県民との相互理解の増進を目的としたものであることから、これを予算計上しないことが教育を受ける権利の侵害に当たるものとは考えていません。

なお、外国人の子どもについては、国籍を問わず、公立の小中学校への入学が可能であるなど、教育を受ける権利について一定の保障がなされていると考えています。

次に、総合的に勘案した朝鮮学校を巡る様々な状況については何かとのお尋ねでございます。

先ほども答弁しましたとおり、朝鮮学校を高校授業料無償化の対象外とした国の考え方、補助金支給に対する他県の動向、北朝鮮の様々な行動に対する国内外の受け止めでございます。

次に、県自らが県民の理解を広げる努力をしたことがあるのかとのお尋ねでございます。

朝鮮学校を巡る様々な状況を総合的に勘案し、現時点では補助金の支給は県民の理解が得られないと判断しているものございます。

◎木佐木大助議員【再々質問】

「県民との相互理解の増進を目的としたものである」などと言いますが、その「県民との相互理解を分断している」のが、山口県の対応ではありませんか。

朝鮮学校補助金を復活させることで、朝鮮学校に通う子どもたち、その保護者、関係者との相互理解の増進を図ることができるとお考えにならないのでしょうか。

●佐藤茂宗総務部長

朝鮮学校補助金についての再々質問にお答えします。

県の対応は県民との相互理解を分断しており、朝鮮学校補助金を復活させることで、相互理解の増進を図ることができるのではないかとのお尋ねでございます。

県としましては、朝鮮学校を巡る様々な状況を総合的に勘案し、現時点では補助金の支給は県民の理解が得られないとの判断に変わりがないことから、補助金を予算計上することは考えていません。

(2024年12月5日)

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