
地元経済の振興策について
1、賃金引き上げについて
◎河合喜代議員
質問の第1は、地元経済の振興策についてです。
物価高騰が続く中、県内産業が大きな痛手を負っていますが、国の対策で少し息がつける状況もあるかと思います。物価高対策の一番の特効薬は、消費税の廃止と考えますが、そこに国は手をつけようとはしていません。
東京商工リサーチは今年1月、昨年中、「休廃業・解散」した企業は、前年比26%増の6万2695件に達し、2000年の調査開始以降、過去最多を更新したとことを明らかにしました。同下関支店は、県内の「休廃業・解散」企業も26%増の570件と過去最多と明らかにしています。
知事は、新年度予算案の骨格に人口減少対策と人手不足対策を挙げられていますが、同時に、異常な円安・物価高が経済を冷え込ませ、地元経済のさまざまな分野でほころびを生んでいます。地元企業を守り安定成長させることが不可欠です。
1つは、賃金引上げです。
県が今年度から始めた中小企業等への「初任給等引上げ応援奨励金」は、大変重要なとりくみですが、県が賃上げを支援しても社会保険料が上がると効果が半減します。
中小企業家同友会全国協議会が昨年末、実施した「経営実態アンケート」によると、「賃金引上げに必要な国の支援策」で最も多かったのは、「社会保険料事業主負担の軽減」でした。県の支援を受け、賃上げを行った中小企業に対し、社会保険料の支援を行うよう国に求めるべきではないでしょうか。お尋ねします。
徳島県の後藤田知事は昨年、県の最賃審議会に乗り込んで、最低賃金の引上げを強く要望し、全国トップの84円の引上げが実現しました。村岡知事は福岡県への人口流出が多いことを懸念されていますが、同県の最賃は、山口県より13円高い992円です。中小企業への賃上げ支援と合わせて、最賃の抜本的引上げのため、県も積極的に取り組まれるべきです。見解を問います。
●高林謙行産業労働部長
賃金引上げについてのお尋ねにお答えします。
まず、社会保険料については、全国で統一した制度設計がされていることや、労働者を新たに社会保険に加入させるとともに収入増加の取組を行った事業主を対象とした国の助成制度があることから、賃上げを行った中小企業に対する社会保険料の支援について、国に求めることは考えておりません。
次に、最低賃金については、法律に基づき、各地域の労働者の生計費や賃金、通常の事業の賃金支払能力を総合的に勘案して、国が設置する最低賃金審議会での慎重な審議を経て地域の労働局長が決定するものです。
また、その額については、公益・労働者・使用者の代表によりしっかり議論されており、地域の実態経済を反映した適切な水準に設定されているものと考えています。
したがって、県としては、最低賃金審議会に対して働きかけを行うことは考えておりません。
2、介護や医療、福祉などケア労働分野の賃上げについて
◎河合喜代議員
2つは、介護や医療、福祉などケア労働分野の賃上げは、本県にとってチャンスになるということです。
2020年国勢調査をもとに、「医療・福祉」分野で働く女性の割合を比較すると、15歳から29歳で全国は20%に対し、山口県は26%。30歳から39歳でも全国24%に対し、山口県は31%と高い比率です。この分野の賃金引き上げによって、人手不足に歯止めをかけ、女性の県外流出を減らすことができると考えます。中小企業の中でも、とりわけ「医療・福祉」分野の事業所を対象とした県独自の賃上げ支援を検討して頂くことができないか、お尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
地元経済の振興策についてのお尋ねのうち、介護や医療、福祉などケア労働分野の賃上げについてお答えします。
ケア労働者の処遇改善を含めた報酬や公定価格の制度については、国の責任において十分な議論のもと制度設計されるべきものであり、県独自の支援は考えていません。
県としては、ケア労働者の賃金の改善が図られるよう、国の処遇改善加算制度等の活用について、事業者に対する制度の周知や助言に努めてまいります。
◎河合喜代議員《再質問》
地元経済の振興策についてです。女性のケア労働者の賃金の底上げを求めましたが、公的価格でそれはできませんと。
私はね、非常にチャンスだと思うんですよこれ。女性の比率がここのところが高いということは、ここで安定して仕事ができれば、県外に出ることがなくなります。
また、やっぱり安定した収入が結婚への道を拓きます。賃金そのものを上げられなければ、住宅手当などで底上げをすることはできませんでしょうか。
ぜひ若者に希望を与えてほしいと思います。
●國吉宏和健康福祉部長
ケア労働分野の賃上げについて、住宅手当や家賃手当など、本給を支援することが難しければ、そういったところについて県が支援することができないかというようなお尋ねであったと思います。
先ほども答弁させていただきましたが、ケア労働者の処遇改善を含めた報酬や公定価格の制度については、国の責任において十分な議論のもと制度設計されるべきものであり、県独自の支援は考えておりません。
3、医療機関への支援について
◎河合喜代議員
3つは、医療機関への支援です。
県が昨年の「重点支援地方交付金」の対象としていない歯科技工所への支援は待ったなしとなっています。新年度も国は同様の交付金を設け、歯科技工所を支援可能としているのに、なぜ山口県は対象としないのですか、お尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
次に、医療機関への支援についてのお尋ねにお答えします。医療機関・社会福祉施設等においては、国が決定する診療報酬等の公定価格により経営され、事業者の判断で物価高騰分をサービス利用者に転嫁できないことに鑑み、交付金を活用し、事業継続に向けた支援を実施することとしています。
そのため、この支援金は、診療報酬等を直接請求する事業者を対象としており、歯科技工所は、こうした事業者に該当しないことから、本事業の対象としておりません。
◎河合喜代議員《再質問》
医療機関への支援ですけれども、先ほどの技工所への支援ですね。これは、支援金は診療報酬等を直接請求する事業者を対象としている。
これはね、県の判断なんですよ。国はですね、直接診療報酬を請求しているところっていうふうには限っていないんです。だから、その後に出てきた支援金についても、わざわざ歯科技工所を優良事例として挙げているんですよ。
なぜそこのところに蓋をするのか。国がやってもいいですよと優良事例として紹介しているのですから、対象にしてはいけない理由などはないではありませんか。
もう一度お聞きいたします。
●國吉宏和健康福祉部長
歯科技工所について、国も支援できる対象としている物価高騰対策について、県では対象としてもいいのではないかということであったと思います。
本県においては、サービス利用者に物価高騰分を転嫁できない、診療報酬等により経営されている事業者を対象に支援することとしておりまして、歯科技工所はこうした事業者に該当しないため、本事業の対象とはしておりません。
4、電気料金への支援について
◎河合喜代議員
4つは、県内の中小企業の製造業を対象にした電気料金への支援です。
中国電力と九州の業者が使用する九州電力との電気料金の格差の問題は解消しないままです。この状況が続けば県内の製造業者は本気で県外移転を検討すると私は思います。本県の産業別従業者のうち、製造業は約18%、約10万人が従事し、売上高でも約5兆7300億円と最も多いのです。今、ここを支えることは県政の重要課題ではないかと思いますが、県の見解をお尋ねします。
●高林謙行産業労働部長
県内中小企業の製造業を対象にした電気料金への支援についてのお尋ねにお答えします。
物価高騰により厳しい状況にある中小企業の負担軽減を図るため、電気料金については、現在、国が引き下げを支援しています。
また、県においては、国の支援の対象とならない特別高圧電力を利用する製造業をはじめとした県内中小企業に対し、国と同水準の料金引下げの支援を行っているところです。
◎河合喜代議員《再質問》
製造業への支援は、これは私は、これも待ったなしだと思いますよ。まあちょこっとやっているという話もありましたけれども、根本的に私が去年紹介したのも年間で3600万円程度の差がつくということでしたから、これはやっぱりね、大きなハンディになります。
県外の誘致企業には地元の若者の雇用を増やすためとして補助金を出したり税金を割り引いたりしているのに、地元企業が守っている産業と雇用が外に出ていかざるを得ない、こういう可能性もある時に、本当に役に立つ手立てをなぜ取らないのか。
中国電力も地元の企業が衰退や撤退をすることは望んでいないはずです。県経済の振興のためにも、公的役割の大きな電力会社に知事が進言することは必要な施策の一つではないでしょうか、お尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
地元経済の振興策に関し、県内中小企業の製造業を対象にした電気料金への支援に係る再質問にお答えします。
電気料金については、小売電気事業が平成28年4月から全面自由化されたことに伴い、料金は小売電気事業者自身が設定し、全ての需要家が、電力会社や料金メニューを自由に選択できることとされています。
また、県は、電気事業法上の監督権限を有しないことから、中国電力に対し、お示しのような進言を行うことは考えていませんが、いずれにいたしましても、電気料金の設定については、様々な状況を踏まえ、電気事業者である中国電力において、適切に対応されるべきものと考えています。
コメ政策について
1、コメ不足に対する県の認識について
◎河合喜代議員
質問の第2は、コメ政策についてです。
昨年8月の「令和の米騒動」は、需要に対して供給が不足したことが原因です。2023年7月から24年6月末までの米の需要量は705万トン、23年秋の米の生産量は661万トンと、44万トン不足していました。24年産米の生産量は679万トンですが、仮に需要量が昨年と同様とした場合、26万トン不足です。米価高騰により需要量が低下する可能性もありますが、インバウンドは引き続き増加しており、円安により他の食料も米以上に値上がりする中、そう都合よくいくのか見通せません。当時の坂本哲史農水相は「(24年産米の)新米が出てくれば落ち着く」と述べましたが、実際は年明けになっても高騰が続き、県内でも5キロ3829円という異常な水準が続いています。
すでに年明けの時点で、国は、米の流通・販売業者や外食・仕出しなどの事業者から、「米が仕入れにくくなっている」との陳情を受けており、学校給食用の米が調達できない自治体も発生しています。このままでは夏を待たずに昨年と同様の事態が発生する可能性すらあるといわれていますが、県はどのような認識を持っておられますか。お尋ねします。
●大田淳夫農林水産部長
コメ政策についての御質問のうち、米不足に対する県の認識と所得保障や流通管理について、まとめてお答えします。
米の需給調整については、国において対応されるべきものと認識しています。
現在、国は流通の円滑化を促すため、政府備蓄米21万卜ンの放出を決定する等の取組を進めていることから、県としては、その動向を注視してまいります。
◎河合喜代議員
コメ農家に米価高騰の恩恵は及んではいません。20年産米の大暴落以降、借金を重ねることで経営を維持してきた経営体も多く、多少の米価の上昇分は支払いで消えていきます。多くの農家が「今までが安すぎた」、「上がってもどうせまた下がる」と、将来にわたって安定的に利益を得られるという展望を失っており、急激に離農が進んでいます。
昨年のような混乱を再び起こさないためには、農家には安心して十分に生産してもらい、価格が低下した場合には欧米のように農家所得を保障すること、政府の責任で流通をしっかり管理することが求められると思います。県の見解を尋ねます。
県民が主食を適正な価格で安定して購入でき、生産者が生業として持続できる農業にしていくことが求められています。そのために県はどのような責任と役割を持っているのか、また、これまでどのような取り組みをしてこられたのか、お尋ねします。
●大田淳夫農林水産部長
価格が低下した場合の農家所得の保障は、国において検討されるものと考えていますが、既に収入保険制度があることから、県としては、その加入を促進しているところです。
3、県の責任と役割について
●村岡嗣政知事
私からは、コメ政策に関する県の責任と役割、これまでの取組についてのお尋ねにお答えします。
まず、県の責任と役割についてです。
食料安全保障の確保や生産性向上等に向け、国との適切な役割分担を踏まえ、地域の諸条件に応じた施策を策定し、実施する責任を有していると認識しています。
次に、これまでの取組については、「やまぐち農林水産業振興計画」に基づき、多収品種や高温耐性品種の導入をはじめ、省力化、低コスト化に向けた技術指導や支援などを行ってきたところです。
また、今年度からは、新たに、集落営農法人等による水稲の作付拡大を支援しています。
私は、県産米の安定供給と水稲生産者の収益向上に向け、引き続き、JA等の関係機関と連携しながら、持続可能な農業の実現に取り組んでまいります。
◎河合喜代議員《再質問》
コメの問題ですけれども、自営と持続可能な農業に取り組むと言われましたが、持続可能ですか。今、農業が。店頭から主食のコメが消えて行ってるんですよ。今でもまだ店頭少ないです。県民の不安を県知事はどのように考えておられますか。
また、食料自給率はカロリーベースで32%、これも去年の答弁で、これは自給率の目標はあくまで国の責任で示されるべきと言われました。自由競争に任せてきたことが、今回のような事態を招いたと思います。その点について、県としてどのようにお考えかお聞きします。
そして、何より農家所得を安定させるということが大事ではないでしょうか。そのための集約化と言うことを言われています。中嶋議員の先日のあの所得補償制度が必要だということに対しても、この所得補償は農地の流動化を遅らせると言われましたけども、では、大規模化できるところは全部が出来るのでしょうか。4割以上が中山間地になっていて、大規模化できない。これが日本の農業の現実なんです。であれば、どこでも作れる、やっぱりたくさん生産して行く、このことが、今、本当に農業にとってはもう待ったなしの状況になっているという事を、いろんな人が言っているではありませんか。この点で本当に根本的に農家の生活を支える。そして、消費者には手に取りやすい、得られやすい、価格に補償して行く。この需給調整を国がちゃんと責任を持つことが必要です。
この点についても、もう一度お聞きいたします。
もう本当に待ったなしですよ。今やらないと。国の政策そのままついて行っていいのかということを私は問いたいと思います。
●大田淳夫農林水産部長
コメ政策についての数点のお尋ねでお答えします。
まず、県民の不安についてどう考えているかという点についてです。
国との適切な役割のもと、県としては米の安定供給に向けて基盤となる農地の整備を始め、生産を支える中核経営体育成や効率的な生産体制の構築などに、引き続き取り組んでまいります。
また、米の取引価格につきましては、需給バランスなど民間の取引環境の中で決まっているものでありまして、今後、国において政府備蓄米の売渡が実施されることから、今後の動向を注視してまいりたいと考えております。
次に、これまで自由競争に任せてきたのか、また、国の政策にそのままでいってよいのかという点について、まとめてお答えいたします。
国との適切な役割のもと、これにつきましても、本県では、米の安定供給に向け、基盤となる農地の整備を始め、生産を支える中核経営体育成や効率的な生産基盤体制の構築に、引き続いて取り組んでまいりたいと考えております。
国民健康保険制度について
◎河合喜代議員
質問の第3は、国民健康保険制度についてです。
高額療養費の引き上げで200億円の福祉の削減を狙う政府の予算案に対し、がん患者会のみなさんが「命の砦を奪うな」と懸命に訴えておられるのを見るたびに、自民党政治はどれだけ国民に対し冷たいのかと思わずにはおれません。
お聞きします。新年度の山口県国民健康保険において、今回の高額療養費制度の改悪はどれほどの医療費支出抑制==逆に言うと、被保険者の負担増になりますか。
また、山口県が各市町に示した国保の新年度標準保険料率は、前年度と比べると、所得割、均等割、平等割のすべてで一定の引き下げとなりました。その主な理由を説明してください。
それにしても、給与収入400万円、給与所得266万円の夫40歳、妻38歳、未就学児2人の4人世帯で収入は世帯主のみのモデルでは、山口県の標準保険料率による年間国保料は、2023年度で約49万円、月約4万円です。県内各市町の保険料の平均は年間44万9770円で月3万7480円にもなります。
市町は少しでも負担を軽くするために基金などをやりくりして保険料の引き下げに努力し、結果として県が示す保険料より低額となっています。しかし、ここにきて、基金が底をついてきたところでは、じわじわと保険料の引き上げが検討されています。
国民健康保険も税と同じ考え方で、「能力に応じて負担する」を原則とすべきと考えます。その点では所得が増えないのに一定の所得減免がありつつも世帯ごとに機械的に賦課される平等割と、家族が増えれば増えるほど保険料が高くなる均等割、所得が増えれば高くなる所得割とありますが、本来、均等割と平等割は最小にして、収入にかかる所得割の割合を増やしていくべきではありませんか。県の考え方を示してください。
県は、資料1の通り、協会けんぽの保険料と比べて負担率が格段に高い国民健康保険料の原因と対策についてどのように考えていますか。
国保会計総額に占める国庫負担率は2000年の33.7%から06年には25%に低下し、22年にはわずか20.6%しかありません。この間、国保加入者は減少しており、財政規模も当時より小さくなっています。雇用者負担がない国保だからこそ、国が国庫負担率を2000年当時の33.7%に戻して、保険料を協会けんぽ並みに引き下げ、給付内容も他の保険に合わせて拡充すべきです。そして、それまでの間は、県が保有する約40億円の基金を活用して、国保加入者の負担を軽減する努力をするべきです。県の見解をお聞きします。
●國吉宏和健康福祉部長
国民健康保険制度に関する数点のお尋ねにお答えします。
まず、高額療養費制度の見直しによる被保険者への影響についてです。
高額療養費については、現在、国において制度の見直しが検討されているところであり、現時点でお示しすることはできません。
次に、標準保険料率の引き下げについてです。
新年度は、前期高齢者の占める割合に応じ、各医療保険者間で配分される交付金が増額の見込みとなったこと等から、引き下げとなったものです。
次に、保険料の算定方法についてです。
各市町の実際の保険料率は、国民健康保険法の規定に基づき、県が算定した標準保険料率を参考にしながら、市町が、それぞれの世帯の所得状況、被保険者数等に応じ決定するものです。
次に、国保料の負担率が高い原因と対策についてです。
国民健康保険は、被用者保険と比べ、高齢者が多く医療費水準が高い一方で、所得水準が低いという構造的な問題を抱えており、県としては、国の定率負担の引き上げ等、財政基盤強化のための新たな財政支援を行うよう、これまでも、全国知事会等を通じて、国に要望しているところです。
最後に、国庫負担や保険給付等についてです。
国庫負担や保険給付の在り方については、制度設計の責任を有する国において、適切に対応されるべきものと考えています。
また、県基金については、市町と協議の上、これまでもー定以上負担が増加する市町に対して活用し、事業費納付金に係る負担の軽減を図っているところです。
◎河合喜代議員《再質問》
それから国民健康保険です。
応益割と応能割とありますが、応益割を小さくするということについて、もう一度ちょっと答弁をお願いします。どのように考えておられるか。
そして、国庫負担率を国に増やすように要望されているということでした。そして、これは、本当、私たちも国会でも頑張っていきたいと思いますが、県は全国知事会を通じて、国保についても、要望されていて、国庫負担率を上げてくれよということなのですが、子どもに係る均等割保険料軽減措置について、対象が未就学児に限定され、その軽減額も5割と十分と言えない。子育て世帯の負担軽減という制度の趣旨に則り、子どもの範囲を限定せず、均等割保険料を免除すること、これを求めておられます。全国知事会がね。
これ今、先ほども紹介しましたけれども、国保はこれだと、今のままだと、月々で5万以上いるんです。年間の所得の2割以上国保で持っていかれちゃうんです。子どもが増えれば増えるほど、この均等割部分が大きくなっていくわけです。これって理不尽じゃないですか。他の保険ではないんですよ。こんな人頭割みたいなものは。これはね。直ちに止めるべきですし、それを知事会を通して要望されているんですから、ここの均等割の子どもの分だけは、県が市と協力して減免・免除をしていく。このことが、いま本当に必要ではないでしょうか。
現在、県内の18歳以下の人口は、約1万8千人程度と推計できます。19市町の平均均等割保険料、いわゆる、この人頭割ですね。この保険料は一人当たり5万8千円です。1万8千人分なら、約10億4400万円です。これを県と市町で折半すれば、県は、5億2220万円の繰入れで実現できます。
今、国保基金が40億円あります。これで、子どもがいる家庭でも、国保料が軽減される実効ある対策をとるべきではないでしょうか。県単位化になったんですから、それぐらいの努力をすべきだと思います。見解をお尋ねいたします。
●國吉宏和健康福祉部長
それから国民健康保険制度についてのお尋ねでございます。
1点目、応能割等についてですが、各市町の実際の保険料率は国民健康保険法の規定に基づき、県が算定した標準保険料率を参考にしながら、市町がそれぞれの世帯の所得状況、被保険者数等に応じ、決定するものであります。
それから、均等割につきましては、子どもに係る均等割など国民健康保険のあり方については、制度設計の責任を有する国において、適切に対応されるべきものであり、県が独自に均等割部分を負担することは考えていません。
県有施設のトイレ改修について
◎河合喜代議員
質問の第4は、県有施設のトイレ改修についてです。
新年度から5か年に36億円を投じて、県庁舎や県民利用施設、県立学校の和式トイレを温水洗浄暖房機能の付いた様式トイレに改修する計画が発表されました。大変、うれしいことです。
私が9月議会で取り上げた県立高校のトイレについて声を寄せてくれた当時3年の女子高校生が「私たちには間に合わなかったけど、後輩たちには間に合う。うれしい。私たちの声を受け止めてくれてありがとうございました」と返ってきました。本当にうれしいことです。後輩のことを思う優しい子たちばかりなのです。
県教委には、こうしたわが県の優しい高校生の思いに応えるよう、今回の事業を最大限有効に使い、かつ県教委の営繕費を抜本的に増額して、トイレ環境の抜本的な改善に取り組んでいただき、山口県の高校生が自慢したくなる施設にしていこうではありませんか。
県庁舎のトイレですが、2階以上の職員が中心に利用する女子トイレは、ワンフロア2ヵ所中、和式が3器、洋式が1器でした。その洋式も6階から14階は冷たい便座で洗浄機は付いていません。今回の改修事業は、基本、和式便器の洋式化であり、既設の洋式便座の一部は改善されないことになります。
また、「和式でないといけないという人がいるから和式を一つ残す」と県はかたくなに言われますが、これからの時代、和式便器利用者は圧倒的に減ります。衛生上気になる人は消毒用ペーパーを携行するのが当たり前になっています。この機に洋式化をしておかないと先々また遅れた県に名を連ねることになります。5ヵ年の事業ですが、時代を見据えて柔軟に検討するよう求めます。県の見解をお示しください。
●佐藤茂宗総務部長
県有施設のトイレ改修についてのお尋ねにお答えします。
新年度予算案に計上したトイレの洋式化に係る予算は、県民の利便性向上と職員の執務環境改善に向けて、トイレの洋式化を加速させるため、和式便器を温水洗浄暖房機能の付いた洋式便器に改修することを目的として予算措置したものです。
既設の温水洗浄暖房機能の付いていない洋式便器については、必要に応じて、毎年計上している営繕予算により対応することとしています。
また、和式便器を一定数残すことについては、職員アンケートを踏まえた結果であり、直ちに、この方針を見直す考えはありません。
農業試験場跡地利用策について
1、新年度予算の使途について
◎河合喜代議員
質問の第5は、農業試験場跡地利用策についてです。
1つは、新年度予算に計上されている3844万円の使途をお尋ねします。
●永富直樹総合企画部長
まず、新年度予算の使途についてのお尋ねですが、今後、跡地の利活用を進めるに当たり、対象地全体の基盤整備基準を検討•整理する必要があることから、来年度、造成地盤高や、用排水施設の位置・規格等を検討することとしています。
2、検討協議会のあり方について
◎河合喜代議員
2つは、検討協議会のありかたについてです。
私が昨年11月議会で、検討協議会の公開を求めたところ、「公開」していると答弁されました。今年2月13日、約1年ぶりに開催された検討協議会では、10人分の傍聴席が用意され、私を含む9人の市民が傍聴され、マスコミも多数おられました。最初に基本計画素案について説明がされた後、意見交換に移る時点で、私たち傍聴者とマスコミは会議室から退室させられました。これで「公開」といえるのですか。認識をおたずねします。
検討協議会の開催が約1年ぶりになった理由は、山口市の中心商店街などから影響を危惧する意見が出されたほか、農業公園を求める市民団体からの署名をそえた要望が出され、県が山口市に、市民意見をまとめるように指示したからと聞いています。だとすれば、先月の検討協議会の最初の議題は、市民の要望や意見を市がどうまとめ、市民に理解してもらったかの報告があるべきですが、そのことはどこでどのように報告されたのですか。経過と内容を明らかにして下さい。
この市民の意見や要望の中身とその検討内容について、市民が山口市に情報公開したところ、「非公開」とされました。また、県にサウンディング調査の委託事業の成果品、いわゆる基本計画素案の公開も求めましたが、これも「不開示」とされました。県の「不開示」の意味と「不開示」とした理由を説明してください。
●永富直樹総合企画部長
検討協議会についてのお尋ねですが、意見交換では、検討段階にある内容などについても率直な議論を行う必要もあることから、非公開としていますが、この部分以外は公開しており、適切な対応であると考えています。
次に、市民の要望や意見について、市からどこでどのように報告されたのかとのお尋ねについてです。
市民の要望や意見等については、地元山口市において、市のまちづくりの方向性との整合なども踏まえ、総合的に検討を行い、市としての考え方を整理された上で、県との協議に臨んでいただく形としています。
こうしたことから、県と市の実務的な協議や検討協議会の場で、個々の要望等について、市から報告を受けるべきものとは考えておりません。
次に、情報公開請求についてのお尋ねですが、県情報公開条例に照らし、公文書に、個人情報や、公にすることで法人等の利益を害するおそれがある情報、内部での審議・検討等に関する情報などが記録されている場合には、「不開示」としているところです。
なお、個別の事案については、お答えを差し控えさせていただきます。
3、基本計画素案に関わる疑問点について
◎河合喜代議員
3つに、資料2を参考にして、基本計画素案に関わる疑問点についてお尋ねします。
第1に、計画面積18.7㌶のうち、東側の「公的な利活用を促進するエリア」は9~9.5㌶とされています。大内小学校との境にある市道・小野氷上線の拡幅は市の負担で行うのですか。
第2に、東側エリアに計画されている大内地域交流センターの敷地は、市に無償貸与されるのですか。
第3に、西側の残りの9.2~9.7㌶は、「民間による利活用を促進するエリア」とされ、北半分は「多世代が集まり、交わることで、今までにない新たな価値を生み出す共生型のまちを共に創造」する「共生共創ゾーン」とされ、施設例として「コンセプト型集合住宅、子どもの遊び場、体験型施設、コワーキングスペースなど」があげられています。
南半分は、「多様な人々の活躍の場の創出や、周辺の機能や地域との連携等により、人とまちの活力を創造するゾーン」とされ、施設例として「飲食店、カフェ、小売店舗、物販店舗、地場産マルシェ、各種チャレンジ施設、産学連携施設」などがあげられています。しかし、施設例は明示されているだけで、実際に何ができるかは決まっていません。
このように、東京ドーム2つ分のエリアを対象に事業用地は、長期有償貸付を基本とし、事業者は公募により選定をすると説明されていますが、貸借期間も明確にされず、利益が得られない場合は、撤退する企業が生まれる可能性もあります。その歯止めはあるのですか。また、大都市でもない山口市に新たな集客施設ができれば、中心商店街とは共存できません。そのことをどう考えておられますか。
第4に、浸水対策についてです。
素案には、土地利用において留意すべき事項があげられ、最適な地盤高の検討や調整池等による雨水管理などが必要とされています。それだけ大きな財政負担が生じるということです。これら負担は県・市・民間の誰がもつのですか。
第5に、西側の自動車学校などとの境界の市道長野御堀2号線の拡幅整備は公共がするのですか。民間がするのですか。
第6に、市道長野御堀2号線と市道小野氷上線の拡幅をした先の仁保川沿いの道路から東西に走った先の御堀橋と氷上橋の合流する交差点の改良も計画に入れるべきですが、その費用の負担割合は決まっていますか。
第7に、スケジュールについてです。
この基本計画素案を年度内にはパブコメにかけて、5月には基本計画として確定します。基本計画素案には施設例は書かれていますが、「この内容全てを取り入れなければならないものではない」との説明でした。何が建つのかわからないままパブコメで反対意見が少なければ基本計画は確定し、変更できなくなります。こうした手法は、行政として主権者である市民への誠実な説明、情報公開、参画といえますか。以上、お尋ねします。
●永富直樹総合企画部長
次に、市道小野氷上線の拡幅は市の負担で行うのかとのお尋ねですが、当該市道の改良等は、市の事業として実施することになると考えています。
次に、大内地域交流センターの敷地の取扱いについては、今後、県と市で協議•検討していくこととしています。
次に、利益が得られない場合に企業が撤退する可能性に対する歯止めはあるのかとのお尋ねです。
民間による跡地の利活用については、当然その事業の持続可能性等についても、しっかりと検討を行い、募集要件等を整理することとしています。
次に、新たな集客施設ができれば中心商店街と共存できないことをどう考えるのかとのお尋ねです。
跡地に導入する機能や施設については、周辺とのバランスやすみ分けを考慮し、中心市街地など既存都市機能との新たな連動や相乗効果を生み出すものとすることを、このたびの基本計画に盛り込んでいます。
次に、調整池を含む基盤整備の費用負担についてのお尋ねですが、基盤整備の具体的な実施手法は今後検討することとしており、お答えする段階にありません。
次に、市道長野御堀2号線の拡幅整備についてのお尋ねですが、当該市道の改良は、市において実施することになると考えています。
次に、御堀橋と氷上橋につながる交差点の改良も計画に入れるべきだが費用の負担割合は決まっているかとのお尋ねです。お尋ねの交差点の改良は、跡地の利活用に直接関連するものではないため、基本計画に盛り込むことは考えていません。
最後に、進め方が市民への誠実な説明、情報公開、参画といえるのかとのお尋ねです。
基本計画は、跡地の利活用の基本的な方向性を定めるものとして策定するものですが、このたびの素案においては、土地利用方針や跡地に導入する機能についての考え方、今後の進め方•事業スケジュールなどについて、できるだけ具体的にイメージできるよう、その内容を取りまとめたところです。
この基本計画の素案については、今後、パブリックコメン卜を行い、いただいた意見の内容とこれに対する対応等も公表することとしており、また、市民への説明については、地元山口市において適切に対応されるものと考えており、進め方については適切な形になっているものと考えています。
◎河合喜代議員《再質問》
農業試験場の問題ですけれども、市民の要望は市で整理されるから、特に説明は受けていないみたいなんですけれども、そういうことでいいんでしょうか。私、非常に問題だと思います。市のこととしてしまっていいのか。
それから、東京ドーム2つ分の西側の開発については、持続可能性をやるから途中で撤退するようなことがないようにすると言われていますけれども、今言うのは簡単だなというふうに私は思いますよ。
それから、地盤高の検討•調整池、相当なお金がかかります。これは、誰が負担するかは今後検討すると言っておられますけれども、ここが民間企業を負担するとなったら、民間企業は来ませんよ。こんな負担をするのは、いわゆる基盤整備というのは基本的には公共がやるべきことではないんですか。ここのところは明確にしてください。民間にも負担させるのかどうか。
それから、スケジュールは、5月には基本計画を確定すると言っているんです。その後で変更などができるんですか。市民や県民は声を上げることができるんでしょうか、その点もお聞きします。
地元住民と中心商店街にとっては不安だらけの素案だと私は思います。誰が開発するのか。プロポーザル方式と言われます。広大な土地ですから、県外企業が来る可能性が高いのではありませんか。お聞きします。
それから、この企業が事業展開するための今の基盤整備の問題をお聞きします。
それと、県と市の行政職員だけで今、検討協議会を進めています。市民意見は、基本構想に沿わないからと排除していませんか。そして、市と県の行政職員だけでこんな大きなプロジェクトを進めていく、それで本当にいいのでしようか。
市民、県民からは、多分、年度内と言ったらこの3月ですよね、3月中にパブコメをして意見を聞くと言われていますけれども、東側ゾーンは少しは見えてきていても、西側ゾーンは全く何ができるかわかりません。そういうものでパブコメをして、それで良しとするのですか。
その後の市民の意見をどうやって、県民の意見をどうやって、この計画に取り入れていくのか、その点についての県の考えをお示しください。具体的なものもお示しください。
●永富直樹総合企画部長
農業試験場跡地利用策についての再質問にお答えします。
まず、市民の要望は市が聞くという整理でいいのかということですけども、これはこれまでも、先ほども答弁しましたけども、まちづくりに当たっては、地域の実情、住民のニーズをよく知る地元山口市においてしっかりと聞いていただいて、それを踏まえて協議に臨んでいただくという形にしておりますので、そうした進め方で適切であると考えております。
それから、地盤高の整備は公共がやるべきではないかということなんですけども、基盤整備については、これから、全体の開発も含めてですね、様々な手法があると考えておりますので、公共ではないかということではなく、未定でございます。
それから、基本計画は変更ができるのかと、市民は声が上げられるのかということでしたけど、基本計画についてはパブリックコメントもしっかり行わせていただきますし、山口市においてもまた地元説明などもされるものと考えていますので、そういう形で様々な御意見もいただいて進めてまいりたいと思います。
それから、県外企業が来る可能性があるかということですけれども、これはプロポーザルをするとか、その手法なども含めて未定でございます。
それから、県と市、行政だけで決めていいのかということですけど、先ほど御説明もしましたけど、パブリックコメン卜も行いますし、地元山口市においてですね、また地元説明なんかも行ってということでありますので、そういう意見も伺いながら進めてまいりますし、それから、協議会の検討状況については、県議会の方では総務企画委員会で御報告も説明もさせていただきますし、市議会においても同様に、市議会で適切に説明もされるという形でこれまでも進めてきましたし、これからもそういう形で進めてまいりたいと思います。
それから、西側が見えていないがそれでいいのかという、パブリックコメントをしていいのかということですけど、今回、できるだけ具体的にイメージできるような形で基本計画については取りまとめたつもりでありますので、それを踏まえて、基本計画は大きな方向性を示すというものでありますので、それについて御意見等を、パブリックコメントなどで御意見をいただきたいと考えております。
◎河合喜代議員《再々質問》
農業試験場の問題です。今の答弁でちょっと分かったような分からないようななんですけども、その大きな方向性を示すものだと、素案をね。であれば、今後変更できるのか。パブコメは何度でもやるのか。住民説明会を何度でもやるべきだと思います。だからこそ、このどうなっていくか分からない、分からない答弁ばかりでした。まだ決まっていないというものばかりでした。
でも、スケジュールではもう8年度には事業者を公募するというふうになっています。だからこそ、計画素案も計画も時間をかけて一度立ち止まって市民参画を本気でやるべきです。そうしてこそ、市民は郷土への愛着を培っていくと思います。この点で県知事の見解をお聞きして、私の最後の質問といたします。
●永富直樹総合企画部長
再々質問にお答えいたします。
基本計画の大きな方向性ということであるがこれから変更はできるのか、パブリックコメントを何度もやるのか、住民説明会などはどうするのかということでありますけども、まず、基本計画については、パブリックコメントを今回行わせていただいて、そこで大きな方向性について、御意見をいただいて、それを固めて具体的な検討を着実に進めてまいりたいと思います。
それ以降、パブリックコメントを行うことは考えておりませんけども、協議会での協議で、これからまた協議会で様々な検討を進めてまいりますけども、先ほど御答弁したように県議会の総務企画委員会でも御報告をさせていただきますし、市においても同様に市議会で適切に説明をさせていただくという形で進めてまいりたいと思います。
それから、計画は時間をかけてやるべきということでありましたけども、農業試験場跡地は、県民の貴重な財産であり、有効に利活用を図っていくということが大変重要であると考えておりまして、着実に前に進めていかなければいけないと思っております。
時間をかけてということでありましたけども、検討はしっかりと行ってまいりたいと思いますけども、例えばですね、山口県にとっても市にとっても、若者の定着、若者の魅力あるまちを作っていくということは喫緊の課題であります。そうしたことから着実に進めるとともに、そしてできるだけ速やかに形にしてまいるように取り組んでまいりたいと思います。
(2025年3月7日)