2025年2月議会・一般質問

知事の政治姿勢について

1、公正・公平な選挙制度について

◎木佐木大助議員

 質問の第1は、知事の政治姿勢についてです。

 1つは、公正・公平な選挙制度についてです。

 昨年来、地方選挙で候補者の街頭演説への妨害、候補者が自身への投票を呼びかけずに他の候補者を応援する「2馬力」の選挙戦、ポスターの公営掲示枠の「販売」など「民主主義」と「地方自治」の根源となる選挙の「土俵」が汚される事態が相次いでいます。

 そうした中で、先月17日、村岡嗣政知事を含む、全国19府県の知事が「民主主義と地方自治を守るための緊急アピール」を発表しました。アピールの内容はわが党も概ね賛同できるものですが、村岡知事はどのような思いで賛同され、公正な選挙の「土俵」が汚される事態を生じさせないため、今後、どのように対処されるのか、お尋ねします。

●村岡嗣政知事

 私からは、公正・公平な選挙 制度についてのお尋ねにお答えします。

 昨今、いわゆる「2馬力選挙」と呼ばれる事案のほか、候補者や演説を行う者への暴力行為や不適切なネット利用など、 民主主義や地方自治の根幹をなす選挙制度において、公職選 挙法の趣旨を損なうような事態が相次いで発生しています。

 私は、このような事態が横行することによって、限られた選挙運動期間に十分な政策論争を公正・公平に行い、有権者 の判断を仰ぐことが阻害され、民主主義と地方自治を脅かしかねないとの懸念を持ったことから、速やかにその是正が図られるよう、このたびの緊急アピールに賛同したものです。

 現在、国会では、選挙運動用ポスターに品位保持規定等を設ける公職選挙法の改正が審議されています。

 その附則において、最近における選挙をめぐる状況に対応 するための施策の在り方について、引き続き検討が加えられ、その結果に基づく必要な措置が講ぜられるとされており、アピールの趣旨に沿った対応が、国において適切に進められるものと考えています。

◎木佐木大助議員《再質問》

 知事の政治姿勢、「2馬力」選挙の問題ですが、民主主義の根幹を揺るがす大問題について、改めて19知事がアピールを出す、そして国に抜本的な対策を求めて、国でも 審議が始まったということは、極めて重要だと思います。今後、兵庫県の問題を含め、全国知事会でのテーマにする必要があるというふうに考えますが、改めて知事に伺います。

●永富直樹総合企画部長

 まず、選挙制度について、全国知事会でテーマにする必要 があるのではないかというお尋ねですけれども、選挙制度を 全国知事会のテーマとするかについては、国会での審議など の状況も踏まえて、全国知事会において判断されるものと考えます。

2、歴史認識について

◎木佐木大助議員

 2つは、歴史認識についてお尋ねします。

 今年は戦後80年の区切りの年です。

 この間、歴代首相は、戦後50年の村山談話、同60年の小泉談話、そして同70年のアベ談話など節目、節目で歴史認識に関わる重要なメッセージを国際社会に発信してきました。

 50年の村山談話は、日本が「国策を誤り」、「植民地支配と侵略」を行った、という歴史認識を明確にし、日韓・日中・日朝間の政府合意文書にも取り入れられ、国際的合意文書となっています。これを継承、発展させることは日本政府の国際的責任となっています。

 だからこそ小泉談話もそれを継承しています。

 しかし、日本の侵略戦争を美化する勢力は猛反発しました。その中心にいたのが、「戦後レジームからの脱却」をかかげ、「村山さんの個人的な歴史観に日本がいつまでも縛られることはない」という安倍さんであります。

 70年アベ談話は、国際関係も考慮し、さすがに村山談話の全否定はできず、「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫び」などの文言はちりばめていますが、日本が「国策を誤り」「植民地支配と侵略」を行ったという歴史認識はまったく語られず、村山談話の立場を事実上、投げ捨てるものでした。

 いまウクライナ侵略やガザでのジェノサイドなど軍事緊張と分断が広がっています。

 一方で、ASEANが軍事的対決でなく、包摂的な平和構想を提唱するなど平和の潮流も発展しています。

 このとき日本が戦後80年にあたり、先の侵略戦争と植民地支配に真摯に向き合い、その教訓をふまえ、「ブロック対立や軍事対応を広げる」のではなく「包摂と対話による平和な世界」へ貢献する意思を発信することは、あの侵略と植民地支配を行いアジア太平洋地域で2000万人もの惨禍を行った日本の国際社会と歴史への責任だと考えますが、知事の認識を伺います。

●佐藤茂宗総務部長

 歴史認識などの外交問題は、どこまでも国の専管事項であり、県として見解を申し述べる立場にありませんが、国においては、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継がれ、様々な機会を捉えて、世界の平和と繁栄に向けた発 信に努められていくものと承知しています。

◎木佐木大助議員《再質問》

 歴史問題について、知事は答弁を回避されました。

 この点では、石破首相が、まだ8 0年談話を出していない今だからこそ、国に気兼ねなく、知事自らの思いを語れるのではないですか。改めてお尋ねします。

●佐藤茂宗総務部長

 次に、歴史認識に関して、石破総理がまだ8 0年談話を出 していないので、語れるのではないかというお尋ねでありましたけれども、先ほどもご答弁しましたが、歴史認識などの外交問題については、どこまでも国の専管事項であり、県として見解を申し述べる立場にはございません。

地域医療体制の確保について

1、地域医療構想について

◎木佐木大助議員

 質問の第2は、地域医療体制の確保についてです。

 1つは、地域医療構想についてです。

 日本は人口あたりの医師数が世界でも低水準で、もともと医療提供体制が脆弱でしたが、自公政権は「地域医療構想」の名で、2025年を目途にした公立・公的病院の統廃合、病床削減を進め、自治体に病床削減を迫ってきました。その結果、コロナ危機で病床逼迫をまねいたことは、記憶に新しいところです。

 資料1のように、県内でも新型コロナなどパンデミックの際の受入れ先となる高度急性期、急性期病床は、2015年比で、1797床削減されました。「必要とされる病床数」と比較すると、さらに2340床の削減が求められます。こんな無謀な「目標」は見直されるべきです。見解を求めます。

 こうした病床削減のテコとされてきたのが病床機能再編支援事業です。病床削減に対する補助金です。1床あたり最大200万円程度支給されます。資料2の通り、2020年度から今年度までに16億4000万円使われ、881床削減されました。看過できないのは稼働率が高い病床ほど補助単価が高いことです。必要度の高い病床の削減を優遇するのは本末転倒ではありませんか。お尋ねします。

 加えて問題なのは、この度の2月補正予算案に「医療需要等の変化を踏まえた医療機関に対する支援」として、「病床数の適正化を進める医療機関」を対象にした給付制度が盛り込まれたことです。1床当たりの給付額は410万円と2倍に跳ね上がり、約180床分にあたる7億3000万円が計上されています。お金をちらつかせて、病床削減を推奨することは、「病床削減ありきではない」と言明してきた県の姿勢にも反するものではありませんか。お尋ねします。

 自公政権は昨年3月、2040年以降を見据えた「新たな地域医療構想」の概要を公表し、新年度中にもガイドラインをまとめようとしていますが、ただでさえひっ迫している医療供給体制を脆弱なものにすることは許されません。今こそ医療の強化に本腰を入れるべきと考えますが、見解を問います。

●國吉宏和健康福祉部長

 まず、必要病床数の見直しについてです。

 必要病床数は、国が示した基礎データを基に、医療法に定める計算方法で算出したものであることから、これを見直すことはできません。

 次に、病床機能再編支援事業についてです。

 国の病床機能再編に係る支援制度は、地域の実情に応じた 機能分化・連携を進め、持続可能な医療提供体制を構築する ために自主的に行われる病床減少を対象とするものであり、補助単価については、国において、適切に設定されているものと認識しています。

 次に、2月補正予算案の給付制度についてです。

 令和6年度の国補正予算において、経済対策として、医療 機関の経営状況の急激な変化等に対応するため、緊急的に措置されたものであり、病床削減を目的とするものではありません。

 次に、「新たな地域医療構想」についてです。

 新たな地域医療構想は、85歳以上の高齢者の増加や人口減少がさらに進む2040年を見据え、良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制を確保し、地域の医療提供体制全 体の課題解決を図るものとされています。

◎木佐木大助議員《再質問》

 ①地域医療構想について、県は「病床削減ありきではない」 と言い続けられて来たが、この10年間に新型コロナなどの緊急時受け入れ先となる高度急性期、急性期病床が1800床も削減され、新型コロナのピーク時には深刻な病床 不足を招いたことは事実である。この点、どのように考えているのか伺う。

 ②(構想の)最終年となる新年度も、さらに削減するために 9億円以上の税金が投入される予定だが、こんなことでいいのか。新たな地域医療構想の検討も始まっているが、地域医療を守るためにも、こうしたやり方は抜本的に見直す必要があると考えるが、いかがか。

●國吉宏和健康福祉部長

 地域医療構想に関する再質問にお答えします。この10年間に高度急性期、急性期病床が削減され、新型コロナのピーク時には深刻な病床不足を招いたことは事実だが、これをどのように考えるかというお尋ねだったと思います。

 新型コロナ感染症のまん延時には、感染された患者に対し ては、速やかに適切な医療が提供できるよう、医師の判断の下、症状に応じた適切な治療・療養を行うこととしておりまして、入院が必要と医師が判断した場合には、医療機関へ入院していただくなど、適切な対応ができたものと認識してお ります。

 2点目でございます。新たな地域医療構想の検討も始まっているが、病床削減のためのこうしたやり方は抜本的に見直すべきではないかというお尋ねだったと思います。

 病床機能再編に係ります支援制度は、地域の実情に応じた機能分化・連携を進め、持続可能な医療提供体制を構築するために自主的に行われる病床減少を対象とするものでありま して、引き続き、適切に取り組んでいくこととしています。

2、医師確保対策について

◎木佐木大助議員

 2つは、医師確保対策についてです。

 今年1月、岩国市が、市立錦中央病院の53床の急性期病床を4月以降、19床の回復期病床に転換し、錦中央医院(診療所)とする計画を明らかにし、地元住民から休日・夜間の救急医療体制を不安視する声があがっています。常勤医の確保が困難になったことが原因と説明されています。

 同病院の急性期病床は、地域医療構想でも「必要な病床」とされているものです。医師確保の責任の一端を担うべき県として、地元住民の不安を解消するためにも早急に対処することが必要と考えますが、伺います。

●國吉宏和健康福祉部長

次に、医師確保対策についてのお尋ねにお答えします。

 錦中央病院の有床診療所化は、地元岩国市が設置した検討会において方針が決定された後、地元の医療関係者や受療者、住民の代表等で構成する調整会議で合意されたものです。 

 県では、岩国市からの要望等を踏まえ、自治医科大学で養成した医師を派遣しているところです。

基地問題について

1、米軍と自衛隊との共同訓練について

◎木佐木大助議員

 質問の第3は、基地問題についてです。

 物価高騰が続き、国民が苦境に追い込まれる中で、社会保障、教育など暮らしの予算は物価高騰に追いつかず実質マイナスの一方、軍事費だけが前年比9・5%増と異常に突出しています。まさに「軍事栄えて民滅ぶ」の究極の悪政がまかり通っています。

 わが党の田村智子委員長は、予算案の抜本的組み替え提案の中で「軍事費が3年前から1・6倍という増え方は、1931年9月の満州事変勃発後の32年度予算の軍事費が3年前から1・4倍になったのも上回っており、戦時下に匹敵する異常な膨張となっている」と警鐘乱打し、山口大学名誉教授の纐纈厚氏は、「『抜本的に防衛力を強化』とは、これまでにない大軍拡にさらに拍車をかけ、従来とは異なる次元で突き進み、アメリカの軍事戦略のみに唯々諾々として追従する姿勢を示している。日本は文字通り『新たな戦前』を迎えることになる」と指摘しています。この危機の現れは、県内でも顕著です。

 1つは、米軍と自衛隊との共同訓練についてです。

 昨年10月23日から11月1日の間、自衛隊と米軍による日米共同統合演習「キーン・ソード」が実施されました。台湾有事での中国と米国の武力衝突を想定しているとみられ、最前線の南西諸島をはじめ、米軍のアジア最大の出撃・中継・補給拠点である日本が戦場になることを前提とした軍事演習です。

 米軍岩国基地の戦闘機F35Bなどのほか、航空自衛隊三沢基地(青森県)からF35A・6機などが飛来し、四国沖で、統合防空ミサイル防衛と統合対艦攻撃訓練に参加しました。陸上自衛隊第17普通科連隊などの約600人と車両200台が岩国基地に入り、米軍と警備訓練も行われました。

 2月19日から3月7日には、陸上自衛隊と米海兵隊による大規模な共同軍事訓練「アイアン・フィスト25(鉄の拳)」が九州・沖縄の広範囲で実施中です。民間地を使用した海や空からの上陸訓練や陸上戦闘訓練、米軍岩国基地所属の海兵隊F35ステルス戦闘機の飛行や爆撃訓練など南西地域の戦場化を想定した実戦さながらの訓練です。

 この2つの共同軍事演習に共通するのは、南西地域の戦場化を想定した実戦さながらの訓練であり、まさに対中国を念頭にした米軍の介入戦争を想定した共同訓練と軌を一にする危険なものであり、日本の防衛とはまったく関係ないことです。

 指摘した2つの日米共同訓練について、県は防衛省からどのような説明を受けているのかお尋ねします。

 そして、こうした演習に、米軍岩国基地所属の部隊や県内の自衛隊が参加することは、米軍の不法な介入戦争に加担し、県民の生命・財産を危険にさらす恐れもあります。県としても防衛省に対して、厳重に抗議し、二度と行わないことを求めるべきではありませんか。お尋ねします。

●田中康史総務理事

 米軍と自衛隊との共同 訓練についての2点のお尋ねにお答えします。

 まず、日米共同訓練に関する国からの説明についてです。

 お示しの「キーン・ソード」については、国から、昨年10月23日から11月1日までの間、日本周辺海空域、自衛 隊施設、米軍岩国基地等において、訓練を実施するとの説明がありました。

 訓練内容としては、岩国基地において、陸上自衛隊による 基地等警備訓練や滑走路復旧訓練、海上自衛隊艦艇への補給 訓練、四国沖等において、統合防空ミサイル防衛訓練及び統合対艦攻撃訓練等が実施されるとのことでした。

 「アイアン・フィスト2 5」については、国から特段の説 明は受けていませんが、訓練は、長崎県、熊本県、鹿児島県 及び沖縄県において実施されており、岩国基地及びその周辺においては実施されていないものと認識しています。

 次に、県は国に対して、これらの訓練に抗議し、二度と行わないことを求めるべきとのお尋ねです。

 お示しの日米共同訓練は、国の専管事項である外交・防衛政策の一環として行われるものであり、県は、地方自治体として、その是非を論ずる立場になく、県として、抗議や訓練の中止を求める考えはありません。

◎木佐木大助議員《再質問》

 米軍・自衛隊基地問題では、明日まで行われるアイアン・ フィストは、2005年から米国で行い、23年度以降は3年連続で、九州・沖縄で実施されるようになりました。今回 は全体で日米あわせて約4000人が参加し、前年度よりも 倍増。過去最大規模になっています。南シナ海や東シナ海で、 中国に対処するため、アメリカ海兵隊が南西諸島に長射程ミ サイルやF35B戦闘機などの拠点をつくることが目的とされています。住民の避難や安全確保は二の次で、沖縄県民の安全は考慮されていません。住民の犠牲を前提にした訓練 強化は許されないと考えますが、見解を伺います。

 昨年の「キーン・ソード」に参加していた陸上自衛隊のオスプレイは、沖縄・与那国で事故を起こし、修理費や輸送費 で8億円近い損害が生じています。自衛隊は、離陸時に出力 を上昇させる作業で生じた人的なミスが事故原因だとする 調査結果を公表していますが、詳細な事故報告書は、未だに 公開されていません。岩国基地に配備されたオスプレイでも 起こりうることではないでしょうか。少なくとも詳細な事故 報告書が公表され、防止策が明らかになるまでは、あの欠陥機オスプレイの飛行を停止するよう国と米軍に要請すべきでありますが、伺います。

●田中康史総務理事

 基地問題に関する再質問にお答えいたします。

 日米共同訓練について、アイアン・フィストが大規模であったことをあげられまして、訓練強化は許されないと考えるが見解を伺うとの再質問だったと思います。

 先ほども、御答弁しましたけれども、日米共同訓練は、国の専管事項である外交.防衛政策の一環として行われるもの であり、県は、地方自治体として、その是非を論ずる立場にございません。

 次に、昨年のキーン・ソードに参加していた陸上自衛隊の オスプレイが事故を起こしたことをあげられまして、詳細な事故報告書が公表されるまで、オスプレイの飛行を停止するよう国や米軍に要請すべきではないかとのお尋ねであったと思います。

 昨年10月に発生した陸上自衛隊オスプレイの事故については、国から「人的要因に起因する事故であり、その原因に対する再発防止策を講じる。また、国として、オスプレイの安全性について、これまでも累次の機会に確認しており、問題はないと考えている」旨の説明を受けているところです。

 県としては、オスプレイを含む航空機の安全性については、専門的な知見を有する国の責任において確保されるべきもの と考えており、飛行停止を求める考えはありません。

2、PFOS等の実態調査について

◎木佐木大助議員

 2つは、PFOS等の実態調査についてです。

 昨年、米軍岩国基地に隣接する遊水地から採水した海水から国の暫定指針値の3倍を超えるPFOS及びPFОAが検出されたことを市民団体が明らかにしました。排出源が岩国基地である疑いは濃厚です。

 PFOS及びPFОAを含む有機フッ素化合物は、世界的にも人体に及ぼす健康被害が問題となり、政府も従来の努力義務にとどまる「暫定目標値」から法的な義務を伴う水道法上の「水質基準」の対象にする方針を明らかにしています。

 山口県が新年度予算案に「水環境中のPFOS等存在状況調査」事業に391万円を計上したことは評価しますが、調査を踏まえて、排出源を特定することが必要です。報道機関のアンケート調査では22道府県が排出源特定の調査に前向きであるのに対し、山口県は「未定」、「検討していない」との回答だったと報じられています。

 「状況調査」においては、県内に点在するフッ素化合物の製造工場付近はもちろん、過去にPFOS等を貯蔵、使用された可能性がある米軍岩国基地や自衛隊基地に隣接する水路・遊水地等を調査対象にするとともに、排出源の特定を基本姿勢とし、全県的な調査を行うべきと考えますが、伺います。

●近藤和彦環境生活部長

 PFOS等の実態調査についてのお尋ねにお答えします。

 来年度の調査は、県下全域を対象として、泡消火剤を保有・ 使用する空港や消防施設、防衛施設など、PFOS等の排出源となりうる施設周辺の河川や海域の環境基準点、地域の代表的な井戸において実施することとしています。

 また、当該調査は、県下全域のPFOS等の存在状況を把握することを目的としており、排出源の特定を行うものではありません。

◎木佐木大助議員《再質問》

 PFOS等の有機フッ素化合物は泡消火剤に含まれ、国内でも米軍基地周辺で多数検出されています。また、県内 には、少なくない製造工場もありました。県民の命と健康 を守ることを最優先に考えれば、調査地点は、既存の観測点に限定せず、土壌に残留している疑いのある地点も含め、調査をして、汚染源そのものを特定する、このことが必要だと考えますが、伺います。

●近藤和彦環境生活部長

 PFOS等に関する、再質問にお答えします。

 県が実施する調査地点等についてのお尋ねがあったと受け止めております。

 PFOS及びPFOAは、これまで様々な用途に使用されておりまして、公共用水域等の存在状況を把握するため、 国の選定要領に沿って、来年度の調査は、先ほどもご答弁を申し上げましたけれども、県下全域の環境基準点等で実施するもので、米軍岩国基地に隣接する遊水地等での調査は考えていません。

 また、国が示している「PFOS及びPFOAに関する手引き」では、排出源の特定のための調查は、実施の目安が 示されており、現時点、本県で該当している状況にはないと考えていますが、来年度の調査で該当する環境基準点等が出てきましたら、対応を検討することになります。

道路行政について

1、下関北九州道路について

◎木佐木大助議員

 質問の第4は、道路行政についてです。

 1つは、下関北九州道路についてです。

 下関北九州道路事業は現在、都市計画の手続きと併せて環境アセスの手続きが行われている段階です。都市計画決定告示までに要する期間は、概ね2年が想定されていますが、着工に向けては、事業主体が未定なうえ、近年の物価高騰の影響が事業費の高騰をまねくことは避けられません。

 昨年8月、国土交通省は「道路事業の事業費増について」という調査結果を公開しました。昨年4月時点で事業中の直轄改築事業の事業費増を調査したものです。資料3の通り、高規格道路225事業、一般203事業を対象にした調査で、増加率の平均値は30.4%増ですが、高規格道路のうち22事業の増加率は100%、つまり2倍以上と想定されています。

 下関北九州道路の現行ルート案の想定事業費は最大3500億円とされていますが、これは6年も前の試算です。今回の国交省の調査結果を踏まえると下関北九州道路の事業費が2倍を超える可能性は否定できないと考えますが、お尋ねします。

 昨年6月議会では、事業費がどれだけ膨張しても「必要な事業」として推し進める考えを示されましたが、2倍以上になる可能性が現実味を帯びている現時点でも同じお考えですか。見解を問います。

●大江真弘土木建築部長

 下関北九州道路についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。

 下関北九州道路は、関門橋や関門トンネルと環状道路網を形成することにより、地域間の連携や日常的な交流を促進し、 関門地域の自立的発展を支える重要な基盤であり、災害時等にも機能する信頼性の高い道路網を構築する観点から、その整備が必要であると認識しています。

 当該道路の事業費は、今後の新規事業化に向けた手続きの段階で、改めて検討されることとなります。

 また、事業の実施については、必要性や整備効果などを総合的に勘案して判断されるものと考えています。

◎木佐木大助議員《再質問》

 道路行政、下北道路の問題です。

 国交省が5年も前に示した想定事業費は、最大3500億円、国交省の予測でも最大2倍化、7000億円になるだけでなく、高速道路へのアクセス道路が、県が事業主体と なる高規格道路となれば、県の負担額も倍化する可能性もあります。総額1兆円超えも想定されるのではありませんか、この点を伺います。

 私たちは、従前から下関北九州道路が、関門間の代替道と はなりえないと考えています。関門橋からそう離れていない 場所に、同じ橋を架けても、強風や豪雨、降雪などの際、同様に通行止めになる可能性が高い。元々、自民党の国交副大臣が「安倍さん、麻生さんに忖度して」と、自慢げに言い放つたいわくつきの道路ではないですか。不要とは言いませんが、不急の道路であります。一旦立ち止まって、事業化は見送るべきではないでしょうか、伺います。

●大江真弘土木建築部長

 下関北九州道路に関する2点の再質問にお答えいたします。

 まず、想定事業費についてです。当該道路の事業費は、今 後の新規事業化に向けた手続きの段階で検討されることとなり、現時点、お答えできる状況にはありません。

 次に、代替路にはなりえず、不要というわけではないが、不急の道路であり、事業化は見送るべきとのお尋ねについて です。老朽化が進む関門橋や関門トンネルは、補修工事や事故等により頻繁に通行規制が行われており、下関北九州道路 の整備により、下関市と北九州市をつなぐ道路が、2つから3つになることで、代替機能が強化され、道路ネットワークの信頼性の向上が図られることから、早期の整備が必要と考えています。

2、県管理道路の維持管理について

◎木佐木大助議員

 2つは、県管理道路の維持管理についてです。

 不急の下関北九州道路はいくらかかっても推し進める一方で、道路の維持管理については、物価高騰の中でもほとんど事業費は据え置かれたままです。全国的に道路陥没などが相次ぐなか、維持補修の緊急性は高まっています。道路の維持管理についても「必要な事業」として、予算を抜本的に増額すべきではありませんか。お尋ねします。

●大江真弘土木建築部長

 次に、県管理道路の維持管理についてお答えします。

 道路利用者の安心・安全な通行を確保するためには、道路 を良好な状態に保つことが必要であることから、路面の補修等について、緊急性や重要性の高い箇所から、順次実施する とともに、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化等にも取り組んでいるところです。

 県としては、こうした道路の維持管理を適切に実施するために必要な予算を計上していることから、お尋ねの予算の抜本的な増額は考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

 県は、下北道路も道路の維持管理も大事と言い続けていますが、実態はどうでしょうか。

 国交省が公表している建設工事費デフレーターでは、道路改良の経費は、2015年比で、昨年末は1.2から1.3 倍となっています。

 道路施設の維持管理費経費を見ると、2016年度は18億円、建設物価の高騰を考えれば23億円ないと16年と同等の事業ができません。

 しかし、新年度予算案には21億円しか計上していない。 実質的には切り下げではありませんか、お尋ねします。 道路の陥没などが相続く中、道路を含めた土木施設の維持 管理経費こそ抜本的に増額することが必要と考えます。見解を伺います。

●大江真弘土木建築部長

 道路に関する2点の質問にお答えさせていただきます。

 国交省が発表している建設工事費デフレーターを考慮すると、来年度予算は、実質的には切り下げではないかとの質問にお答えします。

 県では、道路の維持管理について、交通安全上支障がある など緊急性や重要性の高い箇所から、順次実施するとともに、 デジタル技術を活用するなど効率的に取り組んでおり、来年度予算において、所要の約21億円を計上し、引き続き、適切に維持管理を行うこととしています。

 次に、道路を含めた土木施設の維持管理経費を抜本的に増やすことについての御質問です。

 道路を含めた公共土木施設の維持管理を適切に実施する ために必要な予算を計上していることから、お尋ねの予算の抜本的な増額は考えていません。

公立大学の自治について

◎木佐木大助議員

 質問の第5は,公立大学の自治についてです。

 先日、「下関市立大学を守る会」の総会と講演が行われ、改めて明らかになったことは、大学自治の法的性格は、憲法23条で保障された学問の自由を制度的に保障するもので、これは広く知られていますが、この「大学の自治」は、教授会又は教育研究審議会が教員の人事権をもってこそ、ということです。この解釈に異論はないか。伺います。

 この教員人事権について、下関市立大学は、設置者・前田下関市長の「定款変更」以来、教授会が事実上排除され法人理事会が独占し強権支配するなど全国84公立大学法人の中で、唯一最低・最悪の事態に陥っていることが、改めて鮮明になりました。

 この結果、先の県労働委員会が裁定した「不当労働行為」問題や、昨年6月の「飯塚理事解任無効確認訴訟」の完全勝利、つづいて1月16日「別の教授の懲戒処分無効確認訴訟」の高裁勝利など、大学運営が全く機能せず「学問の府」どころか「大学の自治」への乱暴な蹂躙が行われています。

 こうした「行政上の瑕疵を正していく」のが地独法122条であります。

 今や事態は「学内問題」などと見て見ぬふりをしている時ではありません。全国84公立大学法人で唯一、「教授会が教員人事権を持っていない大学」です。これは認可権者・村岡知事の見識と名誉に関わる問題でもあります。

 直ちに地独法122条3項4項に基づいて、是正措置を取るべきであります。

 知事の見解を求めます。

●佐藤茂宗総務部長

 次に、公立大学の自治についての2点のお尋ねにお答えします。

 まず、大学の自治は、教授会等が教員の人事権をもってこそとのお尋ねですが、教授会等が持つ権限の範囲については、 各大学の裁量に委ねられているものと承知しています。

 また、これに関連して是正措置を取るべきとのお尋ねですが、教員の人事を含む大学の業務運営に関して、県は指導・助言を行う権限を有していないことから、 是正を求める考えはありません。

◎木佐木大助議員《再質問》

 相変わらず、見て見ぬふりの答弁が続いている。

 この根底には大学の自治とは何か、教授会や教育審議会 における教員人事権の重要性が欠落しているからである。

 1963年の東大ポポロ事件では、大学における学問の自由を保障するために、大学の自治が認められ、この自治は特に大学の教授その他の研究者の人事に関して認められ、大学の学長、教授、その他の研究者が大学の自主的判断に基づいて選任させると明確に審判が下っている。

 大学の自治を改善するために、認可権者の責任を果たすべきである。改めて、伺う。

●佐藤茂宗総務部長

 公立大学の自治に関して教員人事権の重要性の認識が欠落しているのではないか、是正を求めるべきではないかとの再質問にお答えします。

 先ほども答弁しましたが、教授会については学校教育法、教育研究審議会については地方独立行政法人法において設置の規 定がございますけども、その審議事項については、大学の裁量 に委ねられていると承知しておりますので、県は、大学の運営等について指導等を行う権限を有しておりませんから、是正を求める考えはございません。

◎木佐木大助議員《再々質問》

 山口県は全国で84ある公立大学法人の中で唯一下関市立大学だけが教授会が教員人事権を持っていない大学であると認識しているか伺う。

 認可権者として地独法第122条第3項4項をきちんと行使すべきではないか伺う。

●佐藤茂宗総務部長

 公立大学に関する再々質問にお答えします。

 まず、県は全国の大学の中で唯一下関市立大学の教授会が人事権を持っていないことを認識しているかとのお尋ねでしたけども、他大学の状況については承知しておりませんけども、教授会については、先ほどから申し上げているとおり、学校教育法の中で規定がございますけども、それについては、大学の裁量に委ねられていると、したがいまして、もう一つ質問にございました、地独法によって、是正を求めるべきとのお尋ねもありましたけども、大学の裁量に委ねられており、県は大学の運営に指導等を行う権限を有していないので、是正を求める考えはございません。

(2025年3月6日)

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