2025年6月議会・一般質問

核兵器廃絶に向けた取り組みについて

◎木佐木大助議員

 質問の第1は、核兵器廃絶に向けた取り組みについてです。

 まもなく、被爆80年目の8月がやってきます。

 被爆の実相、核兵器の非人道性を語り続け、核兵器全面禁止を求める国際的なうねりをつくる原動力となった活動が評価され、昨年、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しました。

 一方、世界では、ロシアのウクライナ侵略に続き、イスラエルによるガザ侵攻、さらにイスラエルとイランの軍事衝突など戦火が絶えず、核兵器使用の現実の危機も高まっています。

 それだけに、核兵器の製造、貯蔵などの禁止を求める核兵器禁止条約の役割は増すばかりです。現在、署名国は国連加盟国の過半数に迫る94カ国、批准は73カ国に達しています。しかし、唯一の戦争被爆国である日本政府は、締約国会議へのオブザーバー参加も拒否し、条約に背を向け続けています。

 日本政府がしがみつく「核抑止」論は、核兵器の使用を前提とした議論です。万が一、破たんした場合、全世界にとって取り返しのつかない大災厄をもたらします。核兵器禁止は、県民の生命・財産を守るために必要不可欠な課題であり、「国の専管事項」であってはなりません。知事の見解を問います。

 政府に核兵器禁止条約への参加・署名・批准を求める意見書を採択する自治体は年々、広がり、今年4月7日現在、県市区町村1788自治体の4割にあたる717自治体議会で採択されています。ところが、県内の自治体で採択した議会がゼロなのは47都道府県で山口県のみです。この恥ずべき状況を変えるためにも、県のリーダーである知事が核兵器禁止条約に賛同の意思を明らかにすることが求められていますが、お尋ねします。

●村岡嗣政知事

 私からは、核兵器廃絶に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。

 国際的な緊張が増す中、私は、核兵器を廃絶し、世界の恒久平和を実現することは、唯一の被爆国である我が国はもとより、世界人類に共通する重要な課題であると認識しています。

 一方、そのための手法については、国の専管事項である安全保障と密接に関わっていることから、国民の命と平和な暮らしを守る観点で、国において、しっかり検討を進めていただきたいと考えています。

 こうしたことから、私としては、国の取組を尊重する立場に立って、国に対し核兵器禁止条約への批准等を求めることは考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

 再質問を行います。

 核禁条約について、毎回同じ村岡知事の答弁をいただいておりますが、更に踏み込んで伺いたいのは、アメリカのギャバード国家情報長官は10日、広島長崎での原爆被害をとりあげて、核兵器廃絶の必要性を訴える動画、旧ツイッターXに投稿しました。「核シェルターに避難が可能な政治エリートや戦争屋たちが核保有国間の恐怖と緊張を軽々しく煽っている」と述べ、「私たち国民が声を上げて、狂気に終止符を打つことを要求する必要がある」と強調しています。核超大国のアメリカ・トランプ政権の現役閣僚が核兵器反対を公に表明するのは極めて異例であります。

 この点では、村岡知事も自らの見解を更に踏み込んで示すべきではありませんか、お尋ねします。

 日本政府が核兵器禁止条約に背を向けるのは、日米軍事同盟、このもとで、核の傘に依存しているからであります。岩屋外相は会見で「国民の生命、わが国の独立と平和を守り抜くには核による拡大抑止が不可欠」、「オブザーバー参加は日本の平和と安全の確保に支障をきたす」とまで言い放ちました。果たして知事もこの同じ立場に立っているのか、伺います。

 この点では、同じ核の傘のもとであるドイツやオーストラリアはオブザーバー参加しています。核兵器の非人道性を認めながら、使用を前提にした核抑止力論に頼ることは許されないと思います。この点についての知事の見解を伺います。

 最後に、核兵器をめく、っては、21日トランプ政権がイランの核関連施設に3か所攻鑿しました。これに先立ち、イスラエルも19日、核関連施設を攻鑿しています。核関連施設を攻鑿することは国連憲章やI AEA憲章を乱暴に踏みにじる行為であり、断じて許されないものと考えますが、知事の見解を伺います。

●山本毅環境生活部長

 核兵器廃絶に向けた取組に関する数点の再質問にまとめてお答えをいたします。

 先ほど知事からご答弁申し上げましたが、核兵器廃絶は、世界人類に共通する重要な課題と認識をしておりますが、そのための手法は、イスラエルとイラン問題も含め、国の専管事項である安全保障と密接に関わっていることから、国民の命と平和な暮らしを守る観点で、国において、しっかり対応。検討を進めていただきたいと考えています。

 したがいまして、国の取組を尊重する立場に立って、国に対し、核兵器禁止条約の締約国会議へのオブザを求めることは考えていません。

6月補正予算案について

◎木佐木大助議員

質問の第2は、6月補正予算案についてです。

 知事は議案説明で、県内経済について「緩やかに回復しているものの、米国の通商政策による影響について、輸出企業も対策の検討を進めており、今後これが、海外輸出の減少や企業収益の低下などにつながり、経済を悪化させることがないか注視していく必要がある」との認識を示されましたが、提案された補正予算案の総額は11億5千万円にすぎません。LPガス料金軽減、中小企業電気料金高騰対策支援事業、そして高校無償化事業に充てられますが、ほとんどは国支出金で、県一般財源はわずか1300万円です。

 一例ですが、年間の財政規模が3600億円と、山口県の半分程度の鳥取県の6月補正予算は84億円と8倍の規模です。その内容は、米国関税・物価高対策に6億3000万円、安心・安全なふるさとづくりに76億円などです。

 県内の主力産業の一つである自動車産業を支える中小企業はトランプ関税の影響に、県民生活は物価高騰に戦々恐々とされている現状を考えると、あまりに無策と言わざるをえません。なぜ、潤沢にある各種基金なども活用した「真水」による思い切った施策が講じられなかったのか、お尋ねします。

●大川真一総務部長

6月補正予算案に関する御質問のうち、県民生活を守る諸課題についてのお尋ねにお答えします。

お示しの物価高騰については、国と地方が一体となって累次にわたる支援を行ってきたところであり、今年度当初予算においても、医療・福祉施設の光熱費や食材料費への支援など、一般財源を含め約44億円の予算措置を行ったところです。

また、米国関税措置については、特別相談窓口の設置や県中小企業制度融資による金融支援などにより、事業者の不安や懸念に対し、速やかに対応しているところです。

こうした中、国において「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」の一環として電気・ガス料金支援等に係る予備費使用が閣議決定されたことから、これに呼応し、この度の補正予算では、国支援の対象とならないLPガス料金等の負担軽減を図ることとしたものです。

県としては、当初予算の早期執行及びこの度の補正予算等により、物価高や米国関税措置の影響緩和を図るとともに、引き続き、物価や県内産業の状況、国の動向等を把握し、必要な対策を適時適切に講じてまいります。

◎木佐木大助議員

具体的な施策としてお尋ねしたいのは、「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業」です。同事業は政府の2024年度補正予算に計上されたもので、昨年度の介護報酬の引き下げによって、存亡の危機にさらされている訪問介護サービス事業者に対する支援策が盛り込まれています。

目的は、「人材不足が喫緊の課題である訪問介護サービスについて、その担い手を確保し、経営改善を図ることで、地域において必要な介護サービスを利用者が安心して受けられるよう、サービス提供体制を確保する」ためとされ、予算規模は90億円です。自ら介護報酬引き下げを強行しながら、こんな支援策を講じるのはマッチポンプのようなものですが、利用しない手はありません。

党県議団で調査したところ、少なくとも20近い都道府県が当初予算や6月補正予算で事業化を実施、あるいは計画しています。山口県は事業所に対するニーズ調査は行っているものの6月補正予算案での対応は見送られました。

訪問介護サービスを提供してきた事業所が苦境に立たされていることをご存じないのでしょうか。迅速な事業化を行うべきではないのか、それぞれ、お尋ねします。

●石丸泰隆健康福祉部長

訪問介護事業所への支援強化についての2点のお尋ねに、まとめてお答えします。

県としては、人材不足等により訪問介護事業所を取り巻く環境が厳しいとの認識の下、現在、地域の実情を踏まえた効果的な事業内容とするためのニーズ調査等を実施しているところであり、速やかに事業化を進めてまいります。

◎木佐木大助議員《再質問》

補正予算について、石丸部長から、本当に前向きな答弁が出ました。速やかに事業化する、この点で改めて伺いますが、9月議会で補正予算を組んでいくという方向なのかどうかを伺っておきます。

●石丸泰隆健康福祉部長

事業化の時期についてのお尋ねについて、お答えします。

現在、訪問介護事業所への事業実施ニーズ調査を行っているところであり、その状況を踏まえて、速やかに事業化を進めてまいります。

上関への原発施設計画と中国電力の経営姿勢について

1、生物多様性やまぐち戦略との関わり

◎木佐木大助議員

質問の第3は、上関への原発施設計画と中国電力の経営姿勢についてです。

1つは、生物多様性やまぐち戦略との関わりです。

2022年12月に開催されたCOP15において採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を受けた国の「生物多様性国家戦略2023-2030」の策定を踏まえ、山口県は昨年7月、「生物多様性やまぐち戦略」を改定しました。

この立場に立つならば、「生物多様性」の宝庫である上関周辺の森林、海岸などの大規模な破壊を伴う使用済み核燃料「中間貯蔵施設」や原子力発電所の建設などもってのほかではありませんか。伺います。

「生物多様性の保全」と原発関連施設建設のための森林伐採や造成、海岸埋め立ては両立しえません。山口県として「キッパリ中止するよう宣言する」ことが、県民への、そして全国・世界への責任です。見解を伺います。

●山本毅環境生活部長

上関への原発施設計画と中国電力の経営姿勢についての御質問のうち、中間貯蔵施設等の建設と生物多様性やまぐち戦略との関わりについてのお尋ねにお答えします。

生物多様性国家戦略は、国から個別の開発行為を規制するものではないとの見解が示されており、それを踏まえて改定した生物多様性やまぐち戦略も、同様に個別の開発行為を規制するものではありません。

◎木佐木大助議員《再質問》

生物多様性の宝、奇跡の海と言われる上関で開発が行われたら大変な事態になる。この認識を果たして持っているのか改めて伺います。

●山本毅環境生活部長

長島の海の開発についてのお尋ねだったかと思いますけれども、生物多様性やまく、ち戦略は、個別の開発行為を規制するものではないため、それぞれの開発行為については個別の関係法令に基づき判断が行われるものと考えています。

2、新たに確認された活断層との関わり

◎木佐木大助議員

2つは、新たに確認された活断層との関わりです。

国の研究機関、産業技術総合研究所が去年行った調査で、大分県の国東半島沖から山口県の周防大島にかけて60㎞ほどの範囲に複数の活断層が存在することが確認されました。

調査を実施した同研究所の主任研究員で大分県の有識者会議の会長をつとめる吉見氏は、「今分かっているのは活断層であること。 ほぼ直線状に配置している断層なので横ずれが主体」、「一連の活断層が動いた場合には、マグニチュード7以上の地震が発生する可能性がある」と警鐘を鳴らしています。

こんな最悪の地点に、「中間貯蔵施設」や原発を建設していいのか。根本から問われています。この新たに確認された活断層を県は、どう認識し、どう対処しようとされているのか。伺います。

3、上関周辺の自治体と住民との関わり

3つは、上関周辺の自治体と住民との関わりです。

「中間貯蔵施設」建設計画について、上関町周辺の光、柳井市、田布施、平生、周防大島町の首長は、自治体のイメージ低下や移住定住策への影響を懸念しています。中でも田布施町議会では、「中間貯蔵施設」の建設に反対する決議が採択され、柳井市や周防大島町で取り組まれた住民アンケートでは、圧倒的多数が反対の意思を示しています。

こうした中、上関町の西町長は今月10日、町議会で議員から今後、施設を受け入れるかどうかの判断が必要になったときに、周辺自治体の民意を考慮するのかどうか質問されたのに対し、「地方自治の基本にのっとり、上関町における議会制民主主義のルールで判断されるべきだ」と述べ、受け入れの是非については上関町で判断されるべきだとの考えを示しました。

「上関町に限らず周辺地域の理解が大前提」との立場を示されたことのある村岡知事は、 こうした現状をどう認識され、今後、どのように対処されるのか、伺います。

●椛谷和男産業労働部理事

上関への原発施設計画と中国電力の経営姿勢についての数点の御質問のうち、原発関連施設建設の中止宣言、新たに確認された活断層との関わり、上関周辺の自治体と住民との関わりについての3点のお尋ねにまとめてお答えします。

お示しの国東半島沖の活断層は、中国電力が2007年から2009年に行った調査で確認されており、産業技術総合研究所も昨年の調査で存在を確認したものであることや、使用済燃料中間貯蔵施設に関し県民の間で様々な意見があることなどについては、報道等により承知しています。

上関町における使用済燃料中間貯蔵施設については、現在はあくまでも、施設が立地可能なのかどうか、その調査が実施されているところであり、県としての見解や対応を申し上げる状況にはないものと考えています。

また、上関原発計画は、国のエネルギー政策に沿って、事業者である中国電力が進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。

◎木佐木大助議員《再質問》

中国電力は200 9年12月に上関原発に係る原子炉設置許可を申請しましたが、福島原発事故発生を受けて2013年7月に施行された新規制基準に適合するための補正は行わないまま、12年間放置したままにしています。これは今年5月8日、改めて司法の場でも確認されています。原発新設に向け、必要不可欠な新規制基準に適合した原子炉設置許可申請は12年間も放置する一方で、公有水面埋立免許については延長申請を繰り返し、県が粛々と認める、こういう対応には、一片の道理もありません。説明を求めます。

●仙谷克洋土木建築部長

木佐木議員の数点の再質問にお答えします。

まず、上関への原発施設計画に係る公有水面埋立免許の延長申請への許可についてです。

これまでの埋立免許の延長申請については、埋立免許権者として、指定期間内に工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があること、土地需要があることの2点について、公有水面埋立法に基づき、どこまでも法令の規定に従って厳正に審査したところ、正当な事由が認められたことから許可したものです。

◎木佐木大助議員《再質問》

世界有数の地震国、津波国日本で、東電福島第一原発事故から14年の現実。そして、能登半島地震などで見ても、明らかに原発の建設や核ゴミ、中間貯蔵施設の建設は無謀であります。にもかかわらず、自公政権、自民。公明政権は、エネルギー基本計画に原発の最大限活用、原発の新増設まで明記しました。

データセンターやAIで電力の大幅な需要増加が見込まれるからと言いますが、事業者に対する再エネ、省エネ導入促進義務付けや、排熱規制の強化こそ必要であり、人間社会と地球環境に深刻な危険をもたらす原発推進にすり替えることは許されません。

文字通り、原発の安全神話の復活ではないか、改めて県の見解を伺います。

中電には、きっぱり上関原発建設は中止と言うべきであります。

●椛谷和男産業労働部理事

上関への原発施設計画と中国電力の経営姿勢についての2点の再質問についてお答えします。

まず、エネルギー基本計画は、原発の安全神話の復活である、についてです。

エネルギー政策は国家運営の基本であり、再生エネルギーや原子力をどのように活用するかについては、国の責任において判断されるべきものであり、県として独自の見解を述べることは考えていません。

次に上関原発建設についてです。

先ほども申し上げましたが、上関原発は事業者である中国電力が国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。

◎木佐木大助議員《再々質問》

一つは原発問題で、新規制基準すらクリアできない原子力設置許可申請を、12年間も放置をしている、その中電に対して、どのように考えているのか。あくまでも事業者、事業者などと言って逃げるわけにはいかないと考えますが、この点を一つ伺います。

●椛谷和男産業労働部理事

上関への原発施設計画と中国電力の経営姿勢についての再々質問についてお答えいたします。

新規制基準を放置している中国電力について、上関原発は事業者の判断と言っている場合ではない、県の見解を伺うとのご質問であったかと思います。

繰り返しになりますが、上関原発は事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。

◎木佐木大助議員

4つに、住民間だけでなく、自治体間の対立を生じさせている元凶は、「安全神話」が崩れた原発や「中間貯蔵施設」の建設に固執する中国電力にあります。

加えて中国電力は、近年、独禁法違反や景品表示法違反の法令違反が明るみになり、業務改善命令を受けました。しかし、同社の株式9.4%を保有する大株主である山口県は、「株の保有と経営は分離して考える」と株主総会では「議決権行使書」を白紙提出し、事実上、同社の経営方針にもろ手をあげて賛成する対応を続けています。このような甘い対応が同社の不祥事の遠因となっているのではありませんか。お尋ねします。

今年の株主総会ばかりは、「株の保有と経営は分離して考える」などと呑気なことを言わず、直接出向き、「反対」もしくはせめて「棄権」すべきです。答弁を求めます。

●大川真一総務部長

次に、上関への原発施設計画と中国電力の経営姿勢に関する御質問のうち、株主総会の対応についての2点のお尋ねにお答えします。

まず、県の株主総会への対応が中国電力の不祥事の遠因となっているのではないかとのお尋ねです。

株主総会への対応方針については、県は、株主の立場として、これまで一貫して「株式の所有」と「会社の経営」とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢を堅持し、対応してきました。

このような基本姿勢の下、県は、株主として中立的な態度を明示するため、総会を欠席し、議決権行使書は白紙で提出しているところであり、ご指摘は当たらないと考えています。

次に、今年の株主総会は、直接出向いて「反対」もしくは「棄権」すべきではないのかとのお尋ねです。

県としましては、これまでの基本姿勢を踏まえ、株主として、中国電力の経営方針に関して意見を述べることは考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

中国電力株3, 400万株は、県民の共有財産であり、村岡知事や、ましてや大川部長の個人財産ではありません。中電株主総会は明後日であります。まだ間に合います。中電が業務改善命令を受けたのは昨年の7月、今回が初めての株主総会となります。

本会議中ですから、知事や部長が抜けるわけにはいきませんから、大和財政課長に全権を委任して、総会に乗り込んでもらい、中電の経営姿勢に問題あり、と言うべきことは言う、そして、反対、せめて中立というならば、棄権をするべきと思いますが、この点を伺います。

●大川真一総務部長

中国電力の株主総会の対応に関する再質問にお答えします。

中国電力株は県民の共有の財産、株主総会において、反対、せめて棄権をすべきではないかとのお尋ねでございます。

先ほどご答弁申し上げましたとおり、県としてはこれまで、株式の所有と会社の経営とを分離して考え、経営への関与・参画は行わないとの基本姿勢で対応してきたところであり、その方針を変えることは考えていません。

なお、棄権については、大株主である県の行動が中国電力の信用や経営に影響を及ぼす恐れがあることから、県民の貴重な財産である株式を保全する観点から適切ではないと考えています。

米軍岩国基地の機能強化について

◎木佐木大助議員

質問の第4は、米軍岩国基地の機能強化についてです。

米海兵隊岩国基地に4月末以降に、F35Bステルス戦闘機部隊(約10機)が追加配備された問題で私たち共産党県議団は16日、中国四国防衛局に出向いて、この間の国の対応をお聞きしました。

岩国基地にはこれまで、F35Bの2つの常駐部隊と1つのローテーション展開部隊(UDP)が配備されていましたが、岩国市の基地監視を通じて、4月末から5月初旬にかけ、新たなF35部隊の飛来が確認されました。

そのため同市と山口県は9日、防衛省に事実関係を照会しましたが、回答があったのは18日後の27日で、新たな部隊配備を認めた上で、「今回の展開は一時的で追加配備には当たらない」と説明しました。

今回の中四国防衛局とのやり取りで判明したのは、①今回の新たな部隊配備について米海兵隊から防衛省に対する事前通告はなかったこと、②山口県及び岩国市に対する事前通告なしで新たな部隊配備が行われた事例は過去になかったこと、の2点です。この事実を県はどう認識されていますか。お尋ねします。

私たちは、中四国防衛局に対し、「前代未聞の事態であり。住民生活への影響も憂慮される。直ちに米軍に抗議すべきだ」と求めましたが、防衛局は「一時的に機数が増えることは追加配備には当たらない」と開き直り、「一時的だとする根拠はあるのか」と質すと「米軍の運用に関わる事で、お答えは差し控える」と繰り返すだけでした。

情けないのは県と岩国市の対応です。16日、知事と岩国市長は「今回の部隊の展開は、新たな部隊の追加配備ではなく、一時的なものであり、航空機の数に大きな変更はないとのことから、騒音など、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではない」と口裏を合わせて、矛を収めました。事実上、国や自治体への無通告での新たな部隊配備を容認する重大な変質です。もはや対米従属を通り越し、対米隷属そのものではありませんか。見解を問います。

そもそも「追加配備ではなく、一時的なもの」とは、どのような意味ですか。今回のローテーション部隊の配備は6か月間とされています。その後は、新たなローテーション配備はされないことを確認されたのですか。お尋ねします。

加えて重大なことは、6か月間のローテーション配備といえども、配備時期も機数も、県や岩国市はおろか、防衛省にすら事前通告しないまま勝手に配備されたことです。こうした事が常態化すれば、県が言われる「機能強化か否か」の判断すらできないまま、米軍の横暴勝手を野放しにすることになりかねません。今後、どう対応されるのか、お尋ねします。

●田中康史総務部理事

まず、新たな部隊配備の事前通告に関する県の認識についてです。

今回の部隊展開に関する国と米側とのやり取りの詳細については承知していませんが、これまで、艦載機の移駐などの新たな部隊配備や、機種更新等が行われる場合には、国から関係自治体に対し、事前に情報提供が行われてきたものと認識しています。

次に、16日の県と岩国市の見解についてのお尋ねです。

今回の部隊展開については、その飛来等が確認されて以降、県民の安全で平穏な生活を確保する立場にある県として、展開目的や理由、滞在期間等について、岩国市と連携して、国に対し照会を行ってきました。

その後、国からの一連の回答等について、岩国市とともに評価した結果、「今回の部隊の展開は、新たな部隊の追加配備ではなく、一時的なものであり、岩国基地を拠点として運用される航空機の数に大きな変更はないとのことから、基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではないと考えられる」と判断したものです。

次に、「追加配備ではなく一時的なもの」の意味と、今後のローテーション展開についてのお尋ねです。

県としては、国の説明から、今回の展開は、岩国基地への恒常的な配備ではなく、一時的な運用であると理解しています。

また、国から、「岩国基地におけるローテーション部隊は、近年は1部隊が展開されており、このプログラム自体に変更はないと認識している」との説明を受けています。

次に、今後の県の対応についてです。

今回の部隊展開は、新たな部隊の移駐等の「基地機能の変更」に当たらないと考えていますが、事前の情報提供がないなど、国から地元自治体への情報提供に課題があったことから、先日の政府要望において、国に対し、遺憾の意を伝えるとともに、迅速かつ適切な情報提供について強く要請したところです。

県としては、引き続き、地元市町と連携して、基地周辺の騒音や運用などの実態把握に努め、住民の生活環境に影響が及ぶなど、問題がある場合には、国や米側に必要な対応を求めてまいります。

◎木佐木大助議員《再質問》

新たなF35B部隊の配備について、アメリカの軍事専門誌は次のように報じています。

「岩国基地はこの地域で最も、最新鋭かつ厳重に要塞化された米軍航空基地の1つだ。F3 5Bステルス戦闘機飛行隊の岩国基地への到着は、通常の展開をはるかに上回る意味を持っている。これにより海兵隊と同盟軍は、グレーゾーンにおける検討から本格的な戦闘に続くまで、様々な不測の事態に備えることができて、世界で最も戦略的に重要な地域の1つであるこの地域の平和と安定の維持に貢献することになる」。米軍にとってこれほど重要な部隊配備が、国にも県にも岩’国市にも無通告で行われた。このことは重大な主権侵害に当たる行為とは考えられないか、改めて伺います。

今回の無通告配備について、知事は、先ほども答弁ありましたが、16日、「防衛大臣に対し、迅速かつ適切な情報提供に直接強く要請して、中谷防衛大臣からは指摘を重く受け止め、迅速かつ適切に行えるよう、日米間緊密に連携していくとの回答をいただきました」ということですが、果たして、中谷防衛大臣は、この事の重大性を正確に認識していると、果たしていると、お考えでしょうか。こんなことが繰り返されれば、山口県が、機能強化の有無の判断基準、これが砂上の楼閣となるのではないでしょうか、改めて伺います。

●田中康史総務部理事

岩国基地問題に関する再質問にお答えいたします。

まず、米軍関係者の今回のF-35B部隊の配備の重要性について取り上げられまして、今回、そういった部隊配備が無通告で行われたことは、主権侵害に当たるのではないかというお尋ねだったかと思います。

今回の部隊展開は、あくまで一時的な運用と聞いておりまして、新たな部隊の移駐等の「基地機能の変更」には当たらないと考えております。

また、そういったことから御指摘は当たらないと考えておりますが、事前に国から情報提供がないなど、国から地元自治体への情報提供に課題があったことから、先日の政府要望において、国に対し、遺憾の意を伝えるとともに、迅速かつ適切な情報提供について強く要請したところです。

次に、16日の県のコメントにありました、政府要望に対する防衛大臣の発言を取り上げられまして、防衛大臣が重大性を正確に認識しているのか、これまでの基地機能強化の判断が砂上の楼閣ではないかといったお尋ねだったかと思います。

お示しのように、先日の政府要望の知事の要請に対し防衛大臣からは、指摘を重く受けとめるとの回答がございました。

地元自治体としての要請をしっかり受け止めていただいたものと考えております。

その後、県と岩国市からの再照会に対する6月13日の国の回答におきましても、防衛省としては地元の皆様に対し、迅速かつ適切な情報提供を行えるよう、より一層、日米間の緊密な連携に取り組むとの見解が示されておりまして、これまでの判断が砂上の楼閣であったという御指摘は当たらないというふうに考えております。

◎木佐木大助議員《再々質問》

基地問題でありますが、F35B部隊の酉己備・増強自体が、日本共産党県議団は文字どおり「基地機能の拡大強化」に他ならない、このように考えています。村岡知事は、防衛・安保は国の専管事項だとして、空母艦載機部隊も苦渋の決断で受け入れました。今回はそれに匹敵する、言語道断の「基地機能強化」に他なりません。日本は主権国家であります。植民地ではありません。その点を改めて村岡知事に質します。

●田中康史総務部理事

米軍岩国基地に関する再々質問にお答えいたします。

このたびのF-35B部隊の配備・増強が、基地機能の拡大強化に他ならないと、空母艦載機の移駐を受け入れた、それを上回る、それに匹敵する基地機能強化になりかねないがどうか、というお尋ねだったかと思います。

基地の軍事的な機能の強化ということでありましたらば、県は地方自治体として権限や知見を有しておらず、判断することはできませんが、県では、基地問題に対する基本姿勢において、新たな部隊の移駐等の基地機能の変更が行われる場合には、航空機騒音や安全性等の面で、基地周辺住民の生活環境が現状より悪化するかどうかを判断基準として、対処しているところです。

今回の部隊展開は一時的な運用であり、「基地機能の変更」に当たらないと考えておりますことから、県の基地問題に関する基本姿勢に照らして判断すべきものではありませんが、県としては、今後とも、この基本姿勢を堅持して基地問題に対応してまいります。

道路行政について

1、下関北九州道路について

◎木佐木大助議員

質問の第5は、道路行政についてです。

1つは、下関北九州道路についてです。

先月2日、知事は同道路の「環境影響評価準備書」に対する意見を表明されました。

「準備書」には、「今後、本事業に伴い当該道路への連絡道路の新設や既存道路の拡張等が計画され」た場合は、「それを前提とした調査、予測及び評価を行います」と記されています。この「連絡道路」は、私たちが「アクセス道路」と言っているものですか。また、連絡道路の新設や既存道路の拡張などが計画された場合は、改めて調査、予測及び評価を行う、という理解でよいのか、お尋ねします。

●仙谷克洋土木建築部長

下関北九州道路についての2点のお尋ねのうち、「『連絡道路』は、私たちが『アクセス道路』と言っているものか」についてです。

「連絡道路」とは、下関北九州道路に接続し、現在手続き中の環境影響評価に対して、計画交通量や、工事の実施による環境負荷など、環境影響に追加的な影響を生じさせ得る道路です。

次に、「連絡道路の新設や既存道路の拡張などが計画された場合は、改めて調査、予測及び評価を行うという理解で良いのか」についてです。

現在進めている、下関北九州道路の環境影響評価の手続きが完了するまでの間に、新たに、連絡道路の新設や既存道路の拡張等が計画され、それにより、本事業の実施に伴う環境影響に追加的な影響が生じるおそれがある場合は、これらを前提とした調査、予測及び評価を行うこととなります。

◎木佐木大助議員《再質問》

事業主体も整備手法も決まらず、小倉東断層についても、今後の重大課題になっている下関北九州道路は、一兆円規模に膨らみかねない、過大な大型開発事業です。今や、付度すべき相手もいなくなりました。一旦、白紙に戻し出直すべきだと考えます。そして、県道の維持管理費の抜本的増額こそ必要でありますが、答弁を求めます。

●仙谷克洋土木建築部長

下関北九州道路は、関門橋や関門トンネルと環状道路網を形成することにより、地域間の連携や日常的な交流を促進し、関門地域の自立的発展を支える重要な基盤です。

また、災害時等にも機能する信頼性の高い道路網を構築することから、実現すべき道路と考えており、白紙にすることは考えていません。

一方、維持管理費については、先ほどもご答弁申し上げましたように、必要な予算を確保し、緊急性や重要性の高い箇所から順次実施するとともに、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化、効率化等にも取り組んでおり、県道の維持管理予算の抜本的な増額は考えていません。

2、道路の維持管理について

◎木佐木大助議員

2つは道路の維持管理についてです。

今年2月議会でも指摘しましたが、建設資材の高騰には歯止めがかからず、建設資材物価指数は、2015年を100として、今年4月は145となっています。単純計算では、2015年度予算に18億円計上されていた道路の維持管理と同等のレベルを維持するには26億円必要なのに、今年度予算では21億円しか計上されていません。

2月議会で土木建築部長は「維持管理を適切に実施するために必要な予算を計上している」と答弁されましたが、実質5億円も減っていて、「適切な維持管理」ができるはずありません。現に路面が傷み、のり面は草ぼうぼうの県道が県内各所で見られます。道路を含め、土木施設維持管理経費は増額すべきと考えますが、見解を問います。

●仙谷克洋土木建築部長

道路の維持管理についてのお尋ねにお答えします。

道路利用者の安心・安全な通行を確保するためには、道路を良好な状態に保つことが必要であることから、路面の補修や草刈り等について、緊急性や重要性の高い箇所から、順次実施するとともに、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化等にも取り組んでいるところです。

県としては、道路を含めた公共土木施設の維持管理を適切に実施するために必要な予算を確保していることから、現時点では、土木施設維持管理経費の抜本的な増額は考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

県管理道路には、歩道がない、凸凹だらけ、白線が消えて危ないなど、改修を要望しても「予算がない」と長年放置されている箇所が多々ある。

その最たるものが、豊田湖の宮内庁所管の安徳天皇陵周辺である。周辺住民からは、一刻も早い道路整備の要望が出ており、しかも観光資源としても重要な、この地域が未だに放置されている。いつまで放置するのか、説明を求める。

●仙谷克洋土木建築部長

次に、道路行政のうち、まず、豊田湖周辺の道路整備についての質問です。

お尋ねの木屋川ダム嵩上げ事業に関連する豊田湖周辺の県道のうち、現道については、日々のパトロールや道路利用者からの情報提供等により、道路状況を把握した上で、速やかな補修を行うなど、良好な状態に保っています。

また、付け替え道路については、地元のご理解を頂きながら、ダム嵩上げ事業の進捗に応じて、計画的に実施できるよう取り組んでいます。

(2025年6月24日)

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