
県内の米作農業の再生について
◎河合喜代議員
質問の第1は、県内の米作農業の再生についてです。
県内でもコメ価格の高騰が続いています。資料1の通り、総務省の物価統計によると、うるち米5㎏の価格は、山口市でも1年前の2462円が4946円と2倍になり、悲鳴が上がっています。
資料2の通り、県内のコメ生産量と基幹的農業従事者はこの20年で激減しています。
こうした事態を招いた要因は、1971年から2017年まで続けられた減反政策です。生産過剰による米価の下落を防ぐため、国が都道府県ごとに生産目標量を定め、農家に作付面積の削減(減反)や、水田を畑に変える転作を促すものでした。農水省は、18年以降も需要予測に基づく生産量目安を示し、転作を促す補助金を出すなど、事実上の減反政策が継続させられてきました。
その結果、23年7月から24年6月はコメ需要量705万トンに対し、生産量は661万トンと44万トンも不足したため、店頭からコメが消え、価格高騰を招いたと考えますが、県はどのような見解をお持ちですか。
2つに、民主党政権が創設した10アールあたり1万5000円の所得補償を18年に全廃し、年間約1500億円、県内で約30億円の所得を米農家から奪うなど米生産への支援を切り捨てたことが農家減少に拍車をかけたと考えますが、伺います。
現在のコメ危機を打開するには、第1に、政府が米の減産から増産に転換し、そのために農家・生産者への支援縮小から強化への転換を明確に打ち出すこと、第2に、トランプ関税の交渉材料として、とりざたされている米の輸入拡大は国内の生産基盤を一層弱体化させるものです。絶対にしてはならないと考えますが、見解を問います。
●岡本章生農林水産部長
県内の米作農業の再生についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、米の価格高騰に対する県の見解についてです。
議員お示しのとおり、令和5年産米は661万トンで、令和5年6月末時点の民間在庫量は、197万トンであることから、その時点での供給可能量は、858万トンとなります。
また、価格高騰の原因についてですが、今後、国において流通実態の把握に向けた民間在庫量調査を行い、7 月下旬には結果を取りまとめるとされており、こうした結果を踏まえ、検証が進められるものと認識しております。
次に、所得補償の全廃による農家の減少についてです。
まず、所得補償制度を廃止した理由として、制度を所管する国は、農業者の高齢化により進みつつある農地の流動化のペースを遅らせていること、意欲ある農家が販路を切り拓いて、経営を発展させる途を閉ざしていることなどを挙げています。
また、農家数が減少した理由は、生産者の高齢化や後継者不足等の要因によるものと考えています。
このため、県としては、生産性と持続性を両立した強い農業の実現に向け、意欲ある担い手の育成に努めているところです。
次に、コメ危機の打開についてです。
まず、国の政策転換については、国は、新たな基本計画において、今後5年間で農業の構造転換を集中的に推し進めるとされています。
また、米については、関係閣僚会議を設置し、持続的な生産による米の安定供給に向けて、今年度中に基本方針を策定するとされています。
なお、本県においては、県内の高い実需者ニーズに対応するため、昨年度から、生産拡大の取組を推進した結果、令和7年産米については、約3百ヘクタールの作付拡大が見込まれているところであり、今後、JAと連携して徹底的な技術対策を行うことで、さらなる増産を図ります。
次に、米の輸入拡大については、今後、国において検討がなされるものと認識しております。
◎河合喜代議員《再質問》
需要と供給の問題は、大事なところです。結局、未だにまだ高いというのは、絶対的に足りていないということだ、と思っていますし、報道もされています。
でも県は、3百ヘクタール拡大をしていくと、増産をしているんだ、していくんだっていうことで、これは大変良いことだと私も賛成です。
だけども、厳しい現実があると思います。
2015年から2020年までのわずか5年で、耕作面積は2万9千ヘクタールから2万5千ヘクタールと約14%、4千ヘクタールも減りました。同時に、基幹的農業従事者は、23,3 31人から16,613人と約3割の6,718人も減っています。
原因は、米作って米食えねえ、という現実です。
農業従事者が安心して米作りを営むには、国の責任で所得補償・価格保障制度を作ることが求められます。
そして、県も新規農業就業者制度を拡充して、目標人数も大幅に増やすことが、どうしても必要だと考えますが、お尋ねします。
また、カロリーベースで32%という全国平均より6ポイントも低い、わが県の食料自給率を上げる目標と、期限を明確にして、その目標達成のための具体的手立てをとることが必要と考えます。
そうしてこそ、山口県の農業に力が与えられると思います。
知事はどのようにお考えかお尋ねいたします。
●岡本章生農林水産部長
まず、最初に3百ヘクタールの増産はいいが、耕地面積は2015年から20 20年で4千ヘクタール大幅に減っている、また、農業従事者も3割が減っている、農業従事者が安心して米作りを行うには、国の責務で所得補償制度等を作ることが求められるが、県も担い手対策を拡充し、目標数も大幅に増やす必要があるのではないか、というご質問であったかと思います。
耕地面積の減少の主な要因につきましては、高齢化や後継者不足と考えております。
このため、県では農地の受け皿として、新規就農者の確保育成に合わせて、集落営農法人やその連合体組織等の確保育成に取り組んでおります。
生産性向上に向けた農地等の基盤整備や、基盤整備等によりまして、担い手への農地の集積集約を行うことにより、農地の維持確保を図っていくこととしております。
次に、県の食料自給率もカロリーベースで32%、6ポイントほど低いと、全国よりも低い。そのため、県の食料自給率を上げる目標と期限を明確に設定して、具体的な取り組みが必要じゃないか、というご質問だったと思います。
食料自給率につきましては、国全体でも38%となっております。
また、食料自給率は、我が国の食生活の変化や麦や大豆、家畜用飼料等の、輸入などですね、国の政策に起因するものが多く、目標の設定につきましては、食料安全保障の観点から国において設定されるべきものというふうに考えております。
県では、食料の安定供給に向け、米の作付け拡大とともに、水田を有効活用した麦や大豆、園芸作物の作付拡大に取り組んでいるところでございます。
物価高騰下での子育て家庭への支援について
1、学校給食費の無償化
◎河合喜代議員
質問の第2は、物価高騰下での子育て家庭への支援についてです。
長引く物価高が県民のくらしと地域経済を苦しめています。世論調査でも約7割の国民が消費税引き下げを望んでいるのに、一回きりの給付金を出してきた自公政権の対応は、「国民の弱みに付け込んだ選挙目当て」そのものです。わが党は、緊急に消費税を一律5%に引き下げ、インボイスを廃止することを提案しています。様々な減税の恩恵を受けている大企業と富裕層に普通に税を払ってもらえば、引き下げに必要な財源15兆円はつくれると提案しています。
国が消費税減税を頑なに拒否している今、地方自治体にはできる限りの物価高騰対策が求められています。
1つは、学校給食費の無償化です。
資料3の通り、県内では現在、9市町が小中とも、1市が中学校で無償化し、今年9月から下関市が小中とも無償化しようとしています。
先月下旬、学校給食費無償化を求める運動に携わっておられる山口、宇部、防府、周南4市の市民のみなさんが、県知事と教育長宛に学校給食費無償化を進めるための支援を求める話し合いの場が設けられました。
この場では、「『夏休み明けにはやせた子がいる』との先生の話も聞いた」、「リコーダーや習字道具、水着、教材などたくさん買うものがあり、それだけでも大変」、「街頭で学校給食費無償化を求める署名を集めていたら、子どもたちが寄ってきて、『おかあさんがいつもお金で困っている』と言って名前と住所をわかるところまで書いていく」などの声が次々にでました。
こうした子どもや子育て中の保護者の思いに寄り添い応えているのが無償化した市町です。未実施の自治体でも、「市単独では負担が重い」、「もう少し財政があれば」という首長がいるとも紹介されました。国も来年度以降、小学校での無償化を検討しています。であればなおさら、それまでの間、県が英断して進めるべきではありませんか。お尋ねします。
●根ケ山耕平副教育長
教育に関する数点のお尋ねにお答えします。
まず、物価高騰下での子育て家庭への支援に関する2点の御質問のうち、学校給食費の無償化についてです。
学校給食費の無償化については、設置者が、実情に応じて判断するのが基本と考えてお叺 現時点、お示しの対応は考えていません。
◎河合喜代議員《再質問》
物価高騰対策です。学校給食ですけれども、設置者が考えることと、もう何度も紹介しましたが、小学生で約月4500円、年間4万5000円、中学生で5000円、年間5万円です。子どもが2人いれば2倍、約10万円です。3人で、15万円年間かかります。それらが無償になれば子育て家庭にとってどれほどの負担軽減となることでしょうか。本当に今は物価高で、大変な子育て家庭が苦しんでいます。市町の努力を設置者が考えることと、突き放すのは簡単です。どうしてここまで努力するのか、市町が努力したのかを考えてみてください。市町は子どもをたくさん産んでほしい、子どもがたくさんいる、活気のあるまちにしたい。だから安心して、子どもを産みたくなる環境をと頑張っているのではないでしょうか。県知事にはそうした市町の、首長の思いは十分共感されていると思うんです。それなのになぜ、市町だけにやらせておくのでしょうか。ここのところがどうしても分からないのでもう一度お聞きします。
そして、石破首相は今年2月国会でも「2026年度以降できるだけ早期の制度化をめざしたい」と明言しました。学校給食無償化に向けたその後の動きを、県はどのように把握していますか。
●根ケ山耕平副教育長
なぜこれを市町のみにやらせておくのかというところのお尋ねであったかと思いますが、繰り返しになりますけれども、市町の学校給食費の無償化につきましては、あくまでも、それぞれの設置者が実情に応じて判断するのが基本であると考えており、現時点で、お示しの対応は考えておりません。
また、国の動きをどのように把握しているのかというお尋ねであったかと思いますが、国においては、本年の骨太の方針の中で、給食費の無償化について、「令和8年度予算の編成過程において成案を得て実現する」としており、今後も、国の動向を注視してまいりたいと考えています。
2、子ども医療費助成制度
◎河合喜代議員
2つは、子ども医療費助成制度です。
現在、資料3のとおり、県内では下関、萩、岩国、山陽小野田市を除く15市町は所得制限なしで高校卒業まで無料化し、12月から下関市でも実現します。この現状を知事は率直にどう評価しておられますか。
2004年以来、21年間、県制度は対象年齢、所得制限ともに小学校就学前に制限されてきました。県制度の拡充を繰り返し求めてきましたが、県は、「全国でそん色ない水準」とか、「福祉医療の水準を確保することが目的」などと拡充を拒んできました。
一方で県は、これまで様々な子育て世帯への支援策に取り組んできました。なぜ、医療費助成制度を低所得者向けの「福祉医療」に止めおき、「子育て支援」の観点に立とうとしないのですか。納得のいく説明をしてください。
●石丸泰隆健康福祉部長
物価高騰下での子育て家庭への支援についての御質問のうち、子ども医療費助成制度についての二点のお尋ねにまとめてお答えします。
各市町による独自の取組については、それぞれの自治体が、財政状況や住民ニーズなどを勘案して判断されているものと受け止めています。
また、本県の制度については、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて助成しているものであり、将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本であると考えています。
◎河合喜代議員《再質問》
子どもの医療費です。福祉医療は大事な制度ですけれども、市町はそれ以上の、安心して生み育てるために重要な制度であるとともに、少子化対策としても重要な子育て支援施策であると考えています。だから、県内市長会は、今年の5月にも、子ども医療費助成制度を全国一律で実施するように求め、それまでの間、県が拡充するよう、知事に要望されました。県が「福祉医療」にとどまる理由は何なのですか。そして、いつも「持続可能な制度として」と言われますが、それは財政的なことを言われているのですか。
市町こそ、その不安を抱いているのではありませんか。
県の制度は2 004年度にスタート《その時の全県の子どもの出生数は12, 000人、2022年度の出生数は7,762人と、18年で出生数は約3:分の1も減りました。当然、県の子ども医療費助成制度の予算も縮小してきました。これからも、しばらく、少子化は残念ながら続きます。
「将来にわたり持続可能」なのではありませんか。何を根拠に持続できないと考えておられるのかお尋ねします。
●石丸泰隆健康福祉部長
子ども医療費助成制度の数点の再質問に、まとめてお答えします。福祉医療にとどまる理由、市町こそ財政的な不安を抱えているのではないか、何を根拠に持続できないと考えているのかというご質問であったと思います。
県としては、拡充すると維持できないとの理由で、現行水準の維持を基本としているのではなく、本県の制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として基準を定めて助成しているものです。
また、各市町における独自の取組については、それぞれの自治体において、財政状況や住民ニーズなどを勘案して、判断されているものと受け止めています。
3、高校通学費補助制度
◎河合喜代議員
3つは、高校通学費補助制度です。
「子育てにはお金がかかる」―これが日本人のフツーの感覚になってしまいました。「隠れ教育費」とも言われる保護者の子育てへの負担は目に見えるもの見えないもの多々あります。教育の無償化は、国際人権規約に明記された基本的な人権であり、世界がめざすべき目標です。
この立場から今回、私は高校生の通学費支援についてとりあげます。
県は、県立高校統廃合に合わせて、高校がなくなった合併前の旧町村から高校に通う生徒に通学費用の一部助成を2023年度から始めました。制度の概要と予算額と実績をお尋ねします。
予算額と執行額に大きな乖離があるようですが、その理由を説明してください。
また、期間は、募集停止後5年間、募集停止となった前年度に中学生であった者が高校を卒業するまでとのことです。募集停止の前年度に小学生だった子どもは対象にならないということですか。その対象地域に小学生がいないということでしょうか。
いずれにしても、県の勝手な政策判断によって、新たな教育費負担を強いられる保護者を放置することは許されないと考えますが、伺います。
●根ケ山耕平副教育長
次に、高校通学費補助制度についてです。
まず、制度の概要等については、;県立高校の再編整備により、居住地域に県立高校がなくなることに伴い、予期せぬ進路変更により遠距離通学が必要となった生徒に対して、一定の期間、通学費の支援を行うもので、令和5年度の当初予算額は1,321万1千円、決算額は465万1千円です。
次に、予算額と執行額の乖離の理由については、当初予算編成時点で生徒の進路等が確定していないため、予算が不足することのないよう、対象学年の全生徒数に、補助上限額を乗じた額を計上していることによるものです。
次に、対象者については、進路指導等で準備をしていたにもかかわらず、予期せぬ進路変更等が生じるなど、直接的な影響を受ける可能性がある生徒を対象とするため、募集停止となった前年度に中学生であった生徒までとしています。
次に、新たな教育費負担については、こうした通学費支援等を行っていることから、ご指摘は当たりません。
◎河合喜代議員《再質問》
高校通学費ですけれども、指摘は当たらないと言うことでしたけれども、予算に対する執行がマックスに予定していたと。これは大変いいですよ。いいですけれども、結果的には大変執行率は少なくなっているわけですね。
だけれども、その5年間だけというのでは、子育て世帯は、高校のある街に転居しようとなり、旧町村の過疎化を加速させるのではないかと大変危倶します。
もともと地元に高校があれば交通費負担はゼロの可能性が高かった子どもたちです。全額補助すべきではありませんか。再度お尋ねいたします。
●根ケ山耕平副教育長
5年だけでは、旧町村の過疎化を加速させるのではないかというお尋ねであったかと思います。
現在実施している通学費支援は、県立高校の再編整備に伴い、高校がなくなった地域に居住する生徒に対して支援するものであり、他の地域に居住する生徒との公平性の観点から、県教委としては、一定の期限を設けて実施することが適当と考えております。
また、地元に高校があれば交通費ゼロの可能性があったのだから、全額補助すべきではないか、とのお尋ねですが、補助上限額につきましては、おおよそ最寄りの地域の高校に通学可能な額を基準として設定したものであり、県教委としましては、高校再編に係る遠距離通学費支援として妥当な水準と考えていることから、上限額を引き上げる考えはございません。
平和行政の課題について
1、国民保護法による沖縄県民の避難民受け入れ
◎河合喜代議員
質問の第3は、平和行政の課題についてです。
1つは、国民保護法による沖縄県民の避難民受け入れです。
自公政権が2022年末に「安保3文書」を策定してから2年半が経過しました。「安保3文書」は、15年成立の安保法制=戦争法で法的に可能にした集団的自衛権の行使を実践面で具体化するものであり、憲法違反の「敵基地攻撃」能力の保有と、5年間で43兆円程度の軍事費をつぎ込む大軍拡による“戦争への危険性”が、現実のものになっています。
今年3月には、自衛隊「統合作戦司令部」が発足しました。これは、「敵基地攻撃」態勢の構築にとって不可欠な、米軍と自衛隊の「シームレス(切れ目のない)な統合」のためであり、事実上、陸海空自衛隊を丸ごと米軍の指揮・統制下に組み込むものです。
これらを前提として、政府は相手国の報復攻撃を想定して、自衛隊基地の「強靭化」に加え、沖縄県先島諸島の住民全員の「避難計画」まですすめています。政府は「抑止力の強化」を主張していますが、こちらが恐怖を与えれば相手も恐怖で応えることになり、軍事対軍事の悪循環をエスカレートさせ、逆に戦争の危険を近づけるのではないでしょうか。沖縄の戦場化を想定した避難訓練など言語道断です。沖縄を軍事要塞化し、再び戦場にすることは許されません。
そもそも「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法)に基づく避難措置とは、どういう事態を想定しているのか。それについて県はどう考えているのか。沖縄の人たちを守るために必要と考えているのか。それとも国の指示だから唯々諾々と従っているのか。それぞれ、見解を伺います。
●村岡嗣政知事
河合議員の御質問のうち、私からは、平和行政の課題に関して、国民保護法による沖縄県民の避難民受け入れの数点のお尋ねにまとめてお答えします。沖縄県国民保護訓練に係る先島諸島からの避難住民受入れの取組については、国から、「特定の有事を想定したものではなく、訓練上の1つの想定」との説明を受けており、県としても、そのように認識しています。
また、いわゆる国民保護法においては、避難住民の救援は都道府県の役割とされており、現在、国と沖縄県等が連携して実施している国民保護訓練の一環として、受入れに係る計画作成の要請を受けて、適切に対応しているところです。
◎河合喜代議員《再質問》
平和行政の問題です。
避難計画について知事がお答えいただきました。避難住民は県の役割だということですけれども、政府は避難計画について特定の有事を想定したものではないと説明していますけれども、石破首相は自分の著書「保守政治家」という本で、中国による台湾への武力攻撃が起きた場合、アジア有数の戦略拠点である在日米軍基地はフル稼働となり、日本は中国から直接脅迫あるいは武力行使を受けることになる可鰭性が高まると石破首相が指摘しています。そんなことが起きれば沖縄・先島諸島のみならず、九州はもとより極東アジア最大規模となった岩国基地を持つ山口県も攻撃対象とならない保証はないと考えますが、どうでしょうかお尋ねします。
戦争は絶対に起こしてはなりません。日中両政府は2008年に互いに脅威にならないという原則を確認しています。
この間日中友好議員連盟の一員として、訪中した日本共産党の志位和夫議長は、中国政府高官と会談し、2008年の日中首脳合意を双方が遵守する立場を再確認いたしました。日本の貿易相手国トップは輸入でも輸出でも中国です。中国も同様です。台湾有事を念頭に置いた沖縄の人々の避難計画は、こうした日中の関係に疑念を抱かせることになりませんか、お尋ねします。
もう1点、知事は今月9日の定例記者会見で、10月11、14日の2日間、山口宇部空港と台湾桃園国際空港を結ぶ双方向チャーター便の運行が決まったことを受け、定期便就航に繋げていきたいと語られました。山口県が台湾と直行便を結んで観光でも友好を深めようと努力しているときに、台湾有事を念頭に、という事は台湾や沖縄の戦場化を前提として、先島諸島の住民の避難計画を国の指示に従って、粛々と実施するというのは、いかがなものかと思いますが、知事は矛盾を感じませんかお尋ねします。
●大川真一総務部長
沖縄県の避難住民の受入れに関する再質問にお答えいたします。
まず、書籍の事例をあげられまして、そうしたことが起きれば山口県も攻撃の対象にならない保証はないのではないかというお尋ねだったと思います。
いわゆる国民保護法では、避難先の指定は国が行うものとされていることから、国において適切に判断されるものと考えています。
次に日中友好の話をされた上で、こうした避難計画というのは日中の関係に疑念を抱かせることにならないかといったお尋ねだったかと思います。
本計画は、先ほど、知事から御答弁申し上げましたとおり特定の有事を想定したものではなく、訓練上の1つということで認識をしております。
ご指摘の日中の関係に疑念を抱かせることにはならないかということについては、県としてお答えする立場にはありません。
次に、山口と台湾が友好を深めようと努力している中で避難計画を国の指示に従って実施するというのは矛盾を感じないかというようなお尋ねだったかと思います。
繰り返しになりますけれども、本計画は、特定の有事を想定したものではなく、訓練上の1つの想定と認識をしており、また、国民保護法では避難住民の救援は都道府県の役割とざれていることから、 ご指摘には当たりません。
◎河合喜代議員《再々質問》
平和行政の課題です。本当に重要な問題です。
防衛は国の専管事項という考え方だと思いますが、一見常識的ですが、思考停止とも言えるのではありませんか。あの世界大戦へ日本と日本国民が突き進んだ教訓は、全国民が戦争に動員され逆らえない体制を作られたこと。今は自由にものが言えます。どんな問題があっても話し合いを続けること、これが平和を守る1番確かなことではないでしょうか。その平和外交に力を持たせるには、今回のような避難訓練は辞退することが懸命だと考えます。
●大川真一総務部長
沖縄県民の避難住民の受入れに係る再々質問にお答えします。
話し合いを続けることが、平和を守るのに一番ということ。そうした有事を想定した避難訓練は、辞退することが賢明ではないかというお尋ねでございます。
国民保護法において、避難住民の救援は都道府県の役割とされており、避難訓練を辞退することは考えていません。
2、自衛隊による職業・学習体験の拡大
◎河合喜代議員
2つは、自衛隊による職業・学習体験の拡大です。
昨今は県内の小学校などの防災訓練に、消防署だけでなく自衛隊が参加する例が増えています。地域行事などにも盛んに自衛隊が参加し、バズーカ砲や小銃を抱えてパレードしたり、先日は子どもたちに「ほふく前進」を体験させるところまで出てきて、地域で問題になっています。
こうした背景には、自衛官の採用達成率が過去最低の51%に落ち込み、中途退職者が過去30年で最多となるなか、自衛隊が自衛官募集業務の一環として、小中学校の「職業体験学習」「防災訓練」を利用する例が広がっていると思われます。
国民の間には災害時に救援にあたる自衛隊への感謝の気持ちや信頼、親しみももちろんあります。(私にもあります)。しかし、国際法上、自衛隊は軍隊であり、自衛官は戦闘員とされ本来の任務は戦闘です。
自衛隊法は「事に臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め」「上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない」という義務、服従義務を定めています。自衛隊の『服務ハンドブック(幹部隊員用・服務参考資料)』は「自衛隊はその規律の基礎を戦闘に置く」、「戦闘の規律から発して、すべて平時の規律が作られていることが、一般社会の規律とは異なっている」としています。しかも、安保法制の下、いまの自衛隊は「専守防衛」ではなく、海外の戦場で殺し殺される任務に当たる危険が高まっています。
一般の職業や企業と同列に扱うことはできません。こうした本質に触れずに、判断力の未熟な小中学生に学校教育の場で宣伝・募集行為をすべきではないと思いますが、県教委の見解をお尋ねします。
東北防衛局は5月13日付で、福島県教育委員会に対し、防衛省作成の冊子「まるわかり!日本の防衛はじめての防衛白書2024」の小学校での活用を促す通知を出し、同県教委は市町村教委教育長に対し、各小学校長への周知を依頼する通知を出しました。通知には、冊子は防衛省本省より各小学校へ直接送付される旨が記載されていたようです。
この冊子では、抑止力について、「自分の国を守るという力を持つだけではなく、いざというときはその力を使うという意思を相手にわからせることで、他の国に対し、攻め込むことを思いとどまらせる力のこと」と書いてあり、「ウクライナがロシアから攻められたのは、国を守るために十分な力を持っておらず、攻め込んでも大丈夫とロシアから思われたため」とも書かれています。
憲法の平和主義とは大きくかけ離れた特異な考え方であり、こんなものを子どもたちに与えるなどは断じて許されません。現在、山口県では福島県と同様なことは起こっていませんか。万一、中国四国防衛局から同様な依頼があった場合、どのように対応されますか。
●根ケ山耕平副教育長
次に、平和行政の課題についてのお尋ねのうち、自衛隊による職業・学習体験の拡大についてです。
各学校では、学習指導要領や文科省作成資料等に基づき、職場体験活動や防災訓練を適切に計画・実施しており、御指摘の宣伝。募集行為に当たるとは考えていません。
また、子供向けの防衛白書の配布については、県教委に対して、お示しのような依頼はありませんが、依頼があった場合は、適切に判断してまいります。
◎河合喜代議員《再質問》
山口県は、就職差別をなくすための取組を長年県民とともに努力され、その中で自衛隊の自衛官募集選考についても、ルールを作っている。
小中学生の健全な育成を念頭に、学校現場での自衛隊の職業体験は、災害救助に限定し、武器や戦闘機はもちろんのこと、戦闘に関するものは禁止にするなどのルールを作るべきではないか。
●根ケ山耕平副教育長
自衛隊による職業。学習体験の拡大について、学校現場での自衛隊の職業体験は、災害救助に限定し、戦闘に関するものは禁止する等のルールを作るべきではないかとのお尋ねですが、小・中学校における職場体験活動は、学習指導要領や文科省作成資料等に基づき、適切に計画。実施されていることから、改めてルールを作ることは考えていません。
◎河合喜代議員《再質問》
学校での宣伝についてはこれからも私は注視していきたいと思っていますけれども、防衛白書の問題です。
中四国防衛局に改めて確認をいたしました。依頼先はこの防衛白書を配ってほしいと依頼した先がですね、自衛隊との窓口になっている総務部防災危機管理課だったことがわかりました。
そこでお尋ねしますが、中四国防衛局が防災危機管理課に要請した日時はいつでしょうか。どのような依頼があり、どう対応されたのですか。それは今回が初めてですか。それとも毎回のように行われているのですか、お尋ねします。
●大川真一総務部長
自衛隊による職業学習体験の拡大についてで、中国四国防衛局から防災危機管理課に子供向けの防衛白書について話があった際の対応についてということでございます。
本年2月12日、中国四国防衛局の職員が来庁されまして、子供向けの防衛白書の紹介・提供がありました。
また、4月25日、電話にて白書の紹介がありましたが、いずれも配布の要請等はなく、特段の対応はしておりません。なお、白書の紹介は、今回が初めてです。
社会保障費4兆円削減について
1、病床11万床削減の影響
◎河合喜代議員
質問の第4は、自公維3党合意による社会保障費4兆円削減についてです。
今年2月、日本維新の会が、高校無償化と国民医療費の削減を条件に、政府の新年度予算案に賛成することで自民・公明両党と合意しました。維新の会は、3党の合意文書に国民医療費の削減額として最低年4兆円という数字を書き込ませたことを成果だと誇り、社会保障費削減のための協議体設置も盛り込ませました。
国民医療費の4兆円削減とは言い換えれば、国民の負担がそれだけ増えるということです。とんでもない提案です。医療崩壊が起こるのは間違いなく、それは国民の命に直結するものであり、断固反対を表明します。
ことは、県民の命と健康に大きな影響を及ぼす問題であり、知事の姿勢も問われています。
1つは、病床11万床削減の影響です。
3党合意では、2年で病床を11万床削減するとしています。現在でも医師が高齢化した山口県では、医師も看護師も不足しています。新型コロナ感染症の拡大した時期は、病床が足らず、自宅で亡くなる人も出したことを忘れることはできません。
2016年度からの「地域医療構想」のもとで、25年度までに県内の病床は何床削減されましたか。このうち経営難を理由とする病床は何床ありましたか。
11万床は山口県では約1000床にあたり、総合病院が3つ~4つなくなる規模です。今でも病院が遠い、病院に行けない県民が増える中、病院や病床が減ることは安心して住み続けられる地域ではなくなってしまいます。県として県民の命と健康を守れるのですか。
先日もNHKテレビで特集していましたが「医療崩壊」が全国で始まっています。加えて11万床もの削減はそれに拍車をかけることになることは火を見るより明らかと思いますが、違いますか。
これ以上の病床削減はすべきではありません。医師や看護師の賃金を上げ、人を増やしてゆとりある職場にして医療体制を充実することこそが求められているのではありませんか。
それぞれ、見解をお示しください。
●石丸泰隆健康福祉部長
次に、自公維3党合意による社会保障費4兆円削減についての御質問のうち、病床11万床削減の影響についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、今年度までの県内の病床削減数についてです。
2016年度以降、医療機関相互の協議と自主的な取組を基本に、3912床削減されており、このうち、昨年度の国の経済対策に上り、経営状況の急激な変化等に対応したものは、39床となっています。
次に、11万床の病床削減により、県民の命と健康が守れるのか、また、医療崩壊に拍車をかけるのではないかとのお尋ねについて、まとめてお答えします。
3党合意によると病床の削減については、感染症等に対応する病床は確実に確保しつつ、削減される病床の区分や稼働状況、代替する在宅,外来医療等の増加等を考慮した上で、精査を行うとされており、県としては、その動向の把握に努めてまいります。
次に、これ以上の病床削減はすべきではなく、医療体制を充実することについてです。
県では、医療提供体制の将来のあるべき姿を示す「地域医療構想」を策定し、医療機関や受療者の代表等で構成する地域医療構想調整会議における議論を通じて、限られた医療資源の中で、必要な医療が提供できるよう、効率的で質の高い医療提供体制の構築を進めているところです。
2、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直し
◎河合喜代議員
2つは、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについてです。
石破政権が6月13日に閣議決定した「骨太方針」に、3党合意に基づき、処方薬の中で市販薬に効能が似たOTC類似薬の保険給付見直しが盛り込まれました。3割負担が10割負担、3倍超になるという単純なものではありません。20~60倍もの負担を強いられる薬が含まれています。さらに、県内のすべての自治体が努力している子どもの医療費無料化制度の対象外となる薬剤も出てきます。子どもが使用するアトピー性皮膚炎や食物アレルギーに伴うかゆみやアレルギー性鼻炎のための主要な治療薬抗ヒスタミン剤皮膚保湿剤のヘパリン類似物質(私も今使っています)なども含まれます。
到底、容認できないものと考えますが、見解を伺います。
●石丸泰隆健康福祉部長
次に、OTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについてです。
県としては、医療保険制度における給付と負担の見直しについて検討を行う場合は、必要な医療への受診抑制に繋がることがないよう、これまでも、全国知事会を通じて、国に要望しているところです。
お示しの見直しについては、制度設計の責任を有する国において、こうした要望も踏まえ、適切に対応されるべきものと考えています。
農業試験場跡地利用計画の進め方について
◎河合喜代議員
質問の第5は、農業試験場跡地利用計画の進め方についてです。
今年3月から4月にかけて、県と市で進める基本計画の素案に対するパブリックコメント・意見募集を行った結果、31人から73件の意見が寄せられました。
パブコメで重要と思ったのは、進め方に対する8件の意見です。「県と市の職員だけで構成された検討協議会で検討し、市民には結果を報告するだけというやり方はおかしい」、「密室的に協議決定された素案は納得できません。民主的な議論を経て決定すべきです」「これまでの行政主導の進め方を一旦中止して、地域住民の声をきちんと聞く姿勢に転換されるべきです」等々です。
また、具体的な機能に関する意見は37件もあり、公園・アスレチック・バスケやサッカーなどのスポーツ施設・直売所・桜並木・映画館・防災公園などなどたくさんの提案がされています。
1つは、今回のパブコメで得られた県民の皆さんの声をどのように受け止めておられますか。また、何が課題と考えておられますか。
2つは、そもそもこの広大な土地の利活用は今後将来に渡り地域にとっても重要な場所になります。跡地は、公共の土地であり、住民の声が反映できる貴重な土地です。この跡地利用策に対する住民の参画方法を県はどのように考えておられるのですか。
3つは、現時点の想定として、2026年度は、この土地への導入機能等の要件を決め、2028年度以降には、事業者の公募を行う予定であるとされています。
これでは、跡地に何ができるかは、県民が知った時にはもう決まっているということになりませんか。パブコメに寄せられた具体的な提案や要望に対して県は「今後の導入機能を検討していく上で、参考にさせていただきます。」と回答しただけです。これで市民は納得するでしょうか。
4つは、パブコメに出された進め方への意見についての県の回答は、「市民の方々のご要望やご意見等については、山口市において、市のまちづくりの方向性との整合性なども踏まえ、総合的に検討を行い、市としての考え方を整理した上で、県との協議に臨んでいただく形としております。」としています。山口市が市民意見をどのように整理していると報告されているのですか。明らかにしてください。
5つに、パブコメには、農地として生かす提案も出されています。今年度・来年度で、地盤高を揃えて埋めてしまえば、農地としては使えなくなってしまいます。西側の大半は田であり、治水能力を有した場所です。地元の人たちの安心にもつながりますので、どんな土地利用にするのか、最終的に決まるまではそのまま農地として維持することが適当ではないでしょうか。
以上、5点について見解をお尋ねします。
●池田博之総合企画部長
農業試験場跡地利用計画の進め方についての5点のお尋ねにお答えします。
まず、パブリック・コメントの受け止めと課題についてです。
今回、多数の貴重な御意見をいただいたことは、農業試験場跡地の利活用について、多くの方に関心を持っていただけたものと考えています。
また、施設や利用方法などの具体的な機能や近隣の渋滞対策等の諸課題に関する御意見が多かったと認識しています。
次に、跡地利用策に対する住民の参画方法についてです。
山口市では、これまで、大内地域をはじめ、市内21地域における移動市長室などの場を通じて、市民の意見を把握し、それを検討に活かされてきたものと承知しており、引き続き、こうした形で対応していただけるものと考えています。
次に、パブリック・コメントの要望や提案の反映についてです。
跡地への導入機能や事業者の公募の方法等については、現時点未定ですが、今後、検討を進めていく中で、今回いただいた御意見を参考にするとともに、市民の理解が十分に得られるよう、市において、引き続き、丁寧に御説明されるものと考えています。
次に、山口市による市民意見の報告についてです。
市民の要望や意見等については、市において、総合的に検討を行い、県との協議に臨んでいただいており、個々の要望やその整理について、市から報告を受けることは考えていません。
次に、西側エリアの農地の維持についてです。
造成を行う場所や時期等については、現時点では未定であり、具体的な土地利用策が決定するまでは、現況のまま存置する予定です。
◎河合喜代議員《再質問》
農業試験場の問題です。市民の意見は結局山口市に任せてあるということなんですけれども、そんなことでいいんでしょうか。この6月市議会にも市民から、市民が参画する検討協議会の設置を求める請願が出されています。いろんな意見がまだまだ市民の中にあります。
そして、山口市はですね、最近湯田温泉に、こんこんパークというのを作りましたが:何回も市民の参加のワークショップをやっているんです。学識経験者とか大学生の意見を間いたりとか、いっぱいして作っています。
この農業試験場については、今回の1回きりのパブコメで市民の声を聞いたというやり方ではいけませんし、市長の移動市長室っていうのは、このことだけで議論、報告するわけではないということは前にも言ったと思いますけれども、やっぱりこのことでのワークショツプ、市民参画の検討をする、そういう場がいると思います。そのことを時間的にもしっかり山口市に保証することが必要だと思いますが、どうお考えでしょうか。
それから、最後の、農地として残すということでしたけれども、現況のまま存置する予定と、‘良かったんですが、これはいつまで存置の予定なのか、何年までかを明らかにしてください。
●池田博之総合企画部長
農業試験場跡地利用計画の進め方についての2点の再質問にお答えします。
まず、市民の声をしっかり聞く時間を山口市に保証してはどうかについてです。
山口市では、市民の意見等については、これまでも移動市長室など様々な機会を通じて把握されており、今後も引き続き、丁寧にご対応いただけるものと考えています。
次に、西側エリアの農地をいつまで残すかについてです。
造成を行う時期等については現時点未定であり、いつまで残すのかお答えすることはできません
(2025年6月26日)