基地周辺の爆音の比較は「沖合移設後」とするのが当然
木佐木議員は、昨年3月末に空母艦載機の移駐が完了して以降、米軍岩国基地周辺で爆音被害が急増している問題を取り上げ、国や米軍に抜本的な被害軽減対策を求めるとともに、空母の横須賀母港化を返上し、艦載機部隊の米本土への移駐を求めるよう迫りました。
空母艦載機部隊の移駐が完了した2018年度の基地周辺の騒音回数は、前年度と比べ、防衛省の測定地点の約9割で増加し、うち岩国市や柳井市など測定地点の約6割で過去最高を記録しています。総騒音回数は、岩国市が前年比20%増、周防大島町は54%増、柳井市も21%増加しました。
ところが県は、今年4月、「2018年度の年間 W値(うるささ指数)は、 2006年当時の現況を全ての騒音測定地点で下回るとともに、9割の地点(28地点中26地点)で騒音予測コンターのW値以下であることから、当初の予測の範囲内であることを確認した 」との調査結果を発表しました。
木佐木議員は、爆音被害が急増している状況に対し、県が「国から示された騒音予測の範囲内」という認識に立っている姿勢をきびしく批判。「問題は、騒音比較の対象を『滑走路沖合移設前』(2006年)とした県の欺瞞が要因だ」と指摘し、①2010年5月に完了した沖合移設事業は周辺住民の安全確保と騒音軽減が目的だったはず。艦載機を受け入れるために実施されたのか、②艦載機受け入れのための事業でなかったのなら、生活環境への影響の有無は「沖合移設後」(2010年5月以降)と比較して評価するのが当然ではないか、と質しました。
「2006年」の論拠は示せず
藤田総務部理事は、「沖合施設事業は、基地周辺における安全性の確保と騒音の軽減を図るために実施したもの。一方、艦載機移駐は、沖合移設前の2006年に国から提示され、同年6月に、当時の状況と、沖合移設後に再編案(艦載機移駐)が実施される場合との比較により、生活環境への影響を検証し、これをもとに2017年3月、『2006年当時と比べ、住民の生活環境は全体として悪化するとはいえない』と移駐の判断(容認)に至った。こうした経緯により、2006年との比較により判断している」と述べるにとどまり、「なぜ2010年以降ではなく、2006年なのか」の論拠はまったく示すことはできませんでした。
移駐を容認して爆音被害を拡大させた責任を認め、抜本的な被害軽減対策を
木佐木議員はまた、今年5月は、空母艦載機が硫黄島でFCLPを実施した影響で滑走路南側の尾津町の騒音回数は1614回と、沖合移設後最多だった昨年5月より212回も増えたことを指摘。「艦載機の移駐を容認すれば、こういう事態が生まれることはわかりきっていた。艦載機移駐を容認した県や岩国市の判断が、いま、周辺住民の生活に大きな影響を及ぼす事態を招いているっことに責任を感じないのか」ときびしく迫り、「当面、着艦訓練に関連した訓練をすべて硫黄島で実施する『直結方式』の実現を求めるべきだ」と質しました。
「爆音増加」を認めず、実効性とぼしい対応に固執
藤田総務部理事は、「移駐後1年間の騒音は、予測コンターの年間W値以下に収まっている」と無責任な答弁を繰り返し、「直結方式」を国に求めることは拒み、「基地周辺での実施の緩和や訓練場所の分散」など、実効性がとぼしい対策を国に求める姿勢に固執しました。
(2019年6月20日)