「維新プラン」の事業費は減=病床削減支援は増額
―3年目を迎えた「やまぐち維新プラン」の角度から見た特徴は(右表参照)。
実質的な事業費は減少
藤本 産業、大交流、生活の3つの維新を合わせた事業費の合計は2418億円と前年比740億円(44%)増えていますが、年度末に返済される制度融資に係る預託金と新型コロナ対策に関連する主な事業費を除くと1115億円と前年比160億円(12%)減少しています(以下同)。
港湾、道路整備は増額
―「産業維新」では。
木佐木 総額は前年より28億円減り、「①産業力強化」も3億円減ですが、瀬戸内沿岸のコンビナート企業を中心とした基幹産業の競争力強化等のための港湾と幹線道路網の整備費は113億円と前年より4億円増えています。
石炭火力向け事業は凍結
―工業用水道事業では新たな動きがあります。
藤本 宇部興産などが宇部市西沖に計画している石炭火力発電所などへの工業用水供給のために県が進めていた「宇部・山陽小野田地区工業用水供給体制再構築事業」(総事業費26億円)の予算が計上されませんでした。地球温暖化対策の強化を求める世論に押された動きとして歓迎します。
テレワークで移住支援
―「大交流維新」では。
木佐木 総額は前年より2億円減るなかで、「⑧人の還流・移住・定住促進」が増えているのはテレワークやワーケーション(休暇先でのテレワーク)を活用した移住支援の新規事業のためです。
―「生活維新」では。
医療・介護充実が半減
藤本 総額は746億円で前年より130億円減っています。特に「⑮医療・介護充実」は65億円から26億円と6割減です。前年18箇所の特養ホームの整備は2箇所減り、4億円削減されました。このほか医師や介護士の確保対策など幅広く減額されています。一方、病床削減のための支援策は6億7千万円と、約2億円も増やしているのは問題です。
17年間も放置=子ども医療費助成の拡充を
―子ども医療費助成制度は新年度も据え置かれました。
藤本 左表のように、県内全ての自治体が対象年齢を拡大するなかで、県はこの17年間、放置しています。その結果、当初予算に占める割合は県が0・1%に対し、防府、下松、山口市は10倍にも達しています。「子育て日本一」の看板が泣いています。高卒まで拡充した鳥取県に続いて、新年度から島根県が小卒まで対象を広げました。県民運動の力で一刻も早く、実現させましょう。
県費投入で30人学級実現を
―40年ぶりに小学校の学級編成標準が35人に引き下げられました。県の対応は。
木佐木 山口県は11年、全国に先駆けて小中学校の35人以下学級化を実現しました。30人学級に進むには当面、県費で採用する必要があります。必要な経費は下表の通りです。
(続く)