下関市立大学では、設置者である下関市長が主導して、同大学の定款や規程に反した教員人事などが行われ、さらに教員の人事権を現場の教員、研究者から取り上げ、学長や理事会に集中させるために定款そのものが変更されようとするなど異常な事態が続いています。
こうした事態を改善するため、10月18日、同大学の飯塚靖経済学部長と関野秀明副学部長らが、同大学の認可団体である山口県の村岡嗣政知事に対し、地方独立行政法人法にもとづく対応措置を講じるよう要請しました。
この要請には日本共産党の木佐木大助県議、社民党・市民連合の中嶋光雄県議、片山房一下関市議らも同席しました。
学校教育法違反の新たな学科創設とそれに伴う教員採用に「是正措置」行使を
関野氏らは、下関市の9月市議会の論戦を通じて、前田晋太郎市長と今井弘文総務部長は、今回の専攻科新設に伴う教員採用人事について、公募、面接、業績縦覧、教授会審査を行わないまま、通常5ヶ月はかかる内定手続きを22日間で執行したことを認めたことを指摘し、「この一連の経緯が、学校教育法に違反していることは明白であり、それを許した理事長や学長などの行為は、地方独立行政法人法の『役員の忠実義務』に違反していることは明らかだ」と訴えました。
また、文科省も、同大学に対し、教授会における資格審査と投票による採用選抜をうながす「助言」を行っていることをあげ、同大学の認可団体である県として、下関市長に対し、専攻科設置作業の中断と学内での再検討を求める「是正措置の求め」を行使するよう要請しました。
「下関市で判断されるべき」と繰り返すだけ
応対した総合企画部市町課の担当者は、「まずは下関市で判断されるべきこと」との見解を繰り返し述べたため、関野氏らは、「下関市は9月議会の一般質問への答弁で、『違反しているとは考えていない』などと答弁しており、すでに『判断』している。県として、どう対応するのかが問われている」と迫りましたが、担当者は、「下関市で判断されるべき」と繰り返すだけでした。
内容、手続きに瑕疵ある定款変更の許可は留保せよ
下関市の9月市議会で議決された同大学の定款変更について関野氏らは、①学長や経済学部長など経営理事に知らせず、経営審議会、教育研究審議会で一度も審議されていない、②文科省に定款変更の手続きについて尋ねたところ「最低でも経営審議会の同意が必要」との見解が示されている、③同大学内の教育研究審議会の審議事項から「教育研究に関する事項」、「教員の人事に関する事項」を削除されており、人事の透明性・公平性を損なう恐れがある、ことなどを指摘。
「地方独立行政法人の設立、定款の変更、解散及び合併の許可の基準」(2016年11月24日総務省・文科省告示第3号)では、「定款の変更」について、「教育研究の特性に配慮したものになっていること」、「教育研究審議機関の適正な運営を確保するために必要な事項を定めていること」などを定款変更の「必須条件」にあげていることを明らかにし、県に対し、「定款の変更」の認可を留保するよう求めました。
市町課の担当者は、定款変更の認可申請書を10月7日に受理したことを明らかにし、「地方独立行政法人法に基づいて適切に審査する」と述べるに留まりました。
(2019年10月18日)