原発新設のための埋立免許延長に一遍の合理性なし
木佐木議員は、上関原発建設のための公有水面埋立の延長申請を、県が「『期限内に竣功できなかった理由』に合理性がある」と許可したことを厳しく批判し、9月議会に続き、改めて合理性の根拠を示すよう迫りましたが、納得ゆく説明はされませんでした。
木佐木議員は、合理性の根拠としてあげた2点について質し、「期限内に竣功できなかった理由」についての中国電力の主張に合理性があるとした根拠を明確に示せと迫りました。
①中国電力は、2013年7月の原発の新規制基準施行後、「上関原発の新規制基準への適合に向けた検討」を行ったと説明しているが、政府は現時点で「原発新設は想定していない」としており、原子力規制委員会も原発新設に係る新規制基準は存在しない。規準もないのに、どう検討したと説明しているのか。
②中国電力は、「他の原発の再稼働の審査において、新たな断層評価の手法である鉱物脈法が採用されたことから、上関原発についてお鉱物脈法が適用できるかどうか、2016年8月上旬まで検討を行った」と説明している。しかし、新規制基準が示されて鉱物脈法による断層検査を完了するまでの期間は、九州電力は1年3ヶ月、四国電力は1年9ヶ月に対し、中国電力は6年6ヶ月経過した現在に至っても断層検査を完了していない。中国電力はなぜ、断層検査の完了が著しく遅れているのかについて、質したのか。質したのなら、どう説明したのか。
③こうした疑念があるのに、「期限内に竣功できなかった理由」についての主張に合理性があるとした根拠は何か。
問われたことに答えず、“結論先にありき”
森若土木建築部長は、
①中国電力からは、「原子炉設置許可申請に係る国の審査を念頭に置いたデータ補強のため、陸上ボーリング調査に加え、海上ボーリング調査の実施を決定した、との説明がされている」。
■解説■原発新設の「新規制基準」も明らかでないのに、「国の審査を念頭に置いたデータ補強のため」に合理性はない
②断層検査の完了が遅れている理由については、「説明を求めていないが、中国電力からの申請及び補足説明において、期限内に竣工できなかった理由が説明されている」。
■解説■断層検査の遅れの原因も聞かずに、「期限内に竣工できなかった理由」に合理性があると判断できるはずはない
③県としては、「原発の安全審査に万全を期するためにボーリング調査を実施するとの中国電力の主張に合理性があり、期間延長に正当な事由があると認められたことから、延長を許可した」。
■解説■①、②に合理性がない以上、期間延長に正当な事由はない
と答弁しましたが、いずれも問われたことに正面から答えず、“結論先にありき”で、「合理性」などないことが改めて、明らかになりました。
(2019年12月5日)