来年度予算編成に関する要望書を知事に提出し、交渉

村岡知事に来年度予算編成に対する要望を手渡し、要望

 日本共産党山口県議団と同県委員会は1月18日、「2021年度山口県の施策並びに予算編成に関する申し入れ」を村岡嗣政知事に手渡し、県として最大限の具体化を図るよう要望しました。吉田貞好県委員長、河合喜代県副委員長と木佐木大助、藤本一規両県議、吉田達彦県議団事務局長が参加しました。(「申し入れ書」全文は別項で紹介)

PCR検査の戦略的な転換を

 要望の第1に、PCR検査の抜本的な拡充へ戦略的な転換を図るよう求めました。

 新型コロナの特徴は、無症状の感染者を通じて感染が広がっていくこと。発熱などの症状が出ている人と濃厚接触者を主な検査対象としてきた従来のやり方では、無症状者を見逃し、沈静化と再燃の波が繰り返されることは避けられない。感染拡大を防ぎ、コントロールするためには、無症状の感染者を把握・保護することも含めた積極的検査を行うという戦略的転換が必要だと強調しました。

知事-「濃厚接触者の範囲を国より広げて検査し、個別に封じ込めてきた」

 村岡知事は、県内の感染状況について、「県内では、あちこちで広がっているというよりは、年末年始もあり、身内の中で広がっているケースが多い。検査をしっかりやろうと。感染が判ったら、その人に連なる人を調査し、検査をするということで、そのため、国の濃厚接触者より広く検査をしていて、感染経路を漏れなく抑えるということをやっている。それによって個別に封じ込めるという対応をしている。

 これが、それでも追い切れなくなって、経路不明の感染者が広がり、いわばまん延状態になってしまうと市中感染の状態ですから、大都市と同じような経済活動にブレーキをかけるとか、外出自粛とか、そういう対処をしていかなければいけない、という状態になるのでしょうが、今は、個別、個別に追っている。それで感染拡大を抑えて、全国の大きな波を乗り切っていきたいというふうに思っている」という認識を示しました。

知事-「市中感染にならないよう、しっかりと抑えていく」

 この間の県の対応について村岡知事は、「検査をしっかり行って、抑えていく。県民のみなさんには、感染対策をしっかり行ってもらい、自分自身が感染しないようにしてもらいたい。というのは、件数が多くなると、保健師の人数が限られている中で、調査が十分に出来なくなる可能性がある。例えばクラスターが発生したら、そこにパーと県内の、例えば岩国で発生したとき、一斉にPCR検査をしましたが、県内の保健師をパーと集中して、とにかくスピードが勝負なので、面的に調べるわけですよね。これが県内あちこちで起きてくると、対応が中々、不能になってくるので、なるべく、そうならないように、見つければ、直ちに広がらないようにしっかりと封じ込めるということを方向付けてきた。市中感染になってしまうとみなさん、外出自粛、休業要請、時短要請ということになっていくので、そうならないように、一個、一個、潰すという、今はそういう状態。クラスターが出れば、それをしっかり抑えていく」と説明しました。

感染拡大を踏まえ、医療体制の拡充を

 要望の第2に、県内でも感染者が急増し、病床使用率が「ステージ3」(25%超)になっていることを踏まえて、医療体制の拡充を求めました。

知事-「医療体制に余裕があるので、軽症者も病院に」

 村岡知事は、「他県と比べられると良くないところもあるんですが、他県はホテルなどを使って、軽症者はそっちに入れているところがある。山口県は(感染者が)100何十人いるんですけど、ほとんどは軽症、無症状です。本来ならホテルなどで対応しているところを、何かあるといけないということで、まだ余裕があるんで、病院に方に入れて、ホテルの利用は20人位。いま確保しているホテルは200人位入れるんですけど、容体が急変してもいけませんし。医療体制に余裕があるので、出来るだけケアがしっかり出来るようにしている。ですから、逼迫ということは、単純に病床の使用率だけで比べられない。ただ増えているのは確かなので、これは病床の追加の確保も含めて対応していきたい」と述べました。

「網羅的検査」、「社会的検査」への転換を

 要望の第3に、医療機関、介護施設、保育園などクラスターが発生すると多大な影響が出る施設などへの「社会的検査」をし、陽性者は隔離し、治療する戦略的な転換が必要であり、そのための財源は国に求めるよう要請しました。

知事-「心配ないところまでやろうとすると戦力が分散される」

 村岡知事は、「財源ということではなく、無症状の人も含め、やたらめったら検査をやっていくというのがいいのか。1つは県の職員も、今、起きていることに対して、実際に感染者が出ている、そこから広がるかも知れない、そうしたところを重点的にやりたい。その心配のないところまでやろうとすると、戦力が分散されてしまうところもある。期間もかかる、PCR検査の擬陽性ということありますし、100%ではないわけです。擬陽性でも出たら隔離しなければならないわけです。そういうこともあって、ここは賛否両論あります。やたらめったら検査というわけにはいかない。ある程度、必要なところはしっかりやる、というのが基本。そこは広く、しっかりとやっていく」という認識を示しました。

保健所の体制強化と保健師の増員を

 要望の第4に、保健所の体制強化と国も来年度から2カ年に900人増員するとしている保健士の大幅増を求めたのに対し、村岡知事は「具体的にどのようにやっていくかは、検討している」と前向きな対応を約束しました。

「自粛要請と補償はセットで」

 要望の第5に、新型コロナ感染防止のために営業自粛や時間短縮などを要請する場合は、「要請と補償はセット」を原則にすべきと求めたのに対し、村岡知事は「これまでも事業継続のための融資や需要喚起策に取り組んできた。感染が治まっている時期にはしっかりと需要を増やしていくことは重要ですから。事業を維持したり、雇用を守っていくことは新年度予算の中でも考えている」と答えました。

「少人数学級に踏み出せ」

 要望の第6に、小学校全学年の学級編成標準が現行40人から35人に引き下げられることを踏まえ、県内の公立小学校についても少人数学級に踏み出すよう求めたのに対し、村岡知事は「教育を充実させていくことは大事。どういったことをやるかは考えている」と応じました。

「感染急増地」岩国基地へ感染防止策の徹底を求めよ

 要望の第7に、「感染急増地」となっている米軍岩国基地に対し、感染防止策の徹底を求めるよう要請しました。岩国基地の感染者は累計166人(1月17日現、昨年12月中旬からの1カ月で115人)に達し、「感染急増地」となっています。

知事-「しっかりとした対策と情報提供を求めている」

 村岡知事は、「基地の方でしっかりとした対策をとって頂きたいということは、伝えてきている。基地外に出たら大変なので、情報提供については、その都度、その都度、頂いている、感染を抑え込むことと、しっかりとした情報提供をおこなってもらうことは、引き続き申し入れていきたい」と述べるにとどまりました。

(2021年1月18日)

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