ムダ使いへの反省欠いた一般会計決算は認定できず
次に継続審査中の議案第14号から18号のうち、16号、18号に反対します。
まず、議案第16号、2018年度山口県歳入歳出決算についてです。
私は、決算特別委員会で、県が保有する塩漬け土地と水の問題を取り上げました。
まず、塩漬け土地問題です。
きらら浜は、国が干拓した286㌶の農用地でした。1979年に国は事業化を断念し、2001年のきらら博開催に向けて、県は、2001年に「自然観察公園」を含め、73㌶を購入。2009年には、37.1㌶を買い入れ、2011年には、141㌶を購入。これまで県がきらら浜に負担した県財政は、275億円となっています。
当初面積の約3分の1の93㌶が塩づけ土地として残されたままです。
次に、塩漬け水問題です。
小瀬川第二期工業用水道事業の計画給水量は、日量5600トンですが、当初は3万7600トンでした。3万2000トンの未利用水を2013年に企業会計から一般会計に移行しました。その際、155億円を一般会計で負担し、今年度までにダム分担金と企業債元利償還金の合計7億3300万円を一般会計から負担しています。
県債残高が増高し、県財政が硬直化している状況に合わせ、県が、膨大な塩漬け土地と水に巨額の県財政が支出され、未処理のまま残されていることに対して県民の理解は得られません。
その一方で、先ほども指摘をしたように、県は、財源不足見込額を約300憶円として、総人件費の縮減、事務事業の見直し、公の施設の見直しなどを進めています。
財政難を理由に県民サービスを削る一方で、塩漬け土地や水を放置している県財政運営を厳しく指摘をし、平成30年度決算に反対します。
温暖化防止に逆行の石炭火力発電所に加担するな
次に議案18号、平成30年度工業用水道事業会計の決算についてです。
決算特別委員会の審査で、私は、企業局から一般会計に移管したものの、塩漬けされたままとなっている弥栄ダムの日量3万2千トン未利用水についての活用策を質したところ、企業局長は「先行水源の利用方策については、県庁全体で組織されている『水資源対策協議会』の利用部会において、活用方策の検討が進められています。」と答えました。
小瀬川第二期工業用水道事業で未事業化となった3万2千トンの水に対するダム分担金の今年度分は4200万円の見込みです。問題が解消されるまで負担は続きます。
今日においても、この問題が未解決となっている原因を作った企業局の責任は、今日的にも重大だと言わなければなりません。
二つ目は、私が、6月県議会で指摘をした宇部・山陽小野田地区工業用水供給体制再構築事業についてです。
本事業は、西沖の山地区に、石炭火力発電所が建設されることを前提としたものです。想定事業費は約26憶円、2016年から調査、設計が行われ、今年度から工業用水施設の追加整備などが計画されています。
石炭火力発電所の計画の抜本的見直しが発表されたことを受け、当該工業用水道敷設計画の見直しを質した私の質問に対し、企業局長は「このたびの石炭火力発電所建設事業計画の見直し状況を踏まえ、必要な工業用水施設の整備等について、適切に対応してまいります。」と答えました。
国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)開催期間中に、環境NGOの国際ネットワークのCANインターナショナルは気候変動に最悪の貢献をした国に「化石賞」を与えていますが、これまでに日本は2回、受賞しています。
受賞理由は、国連環境計画(UNEP)が報告書で日本に二酸化炭素排出量が多い石炭火力発電所の新規建設をやめ、既存の発電所を廃止するよう促しているのに対し、梶山弘志経済産業相は「石炭火発を選択肢として残す」と述べ、同会議で演説した小泉進次郎環境大臣が、脱石炭などの意思を示さなかったことが挙げられています。
COP25の開会セッションで議長に選出されたシュミット・チリ環境相は、「私たちは気候変動という最も困難な課題に直面している。今は、スローガンではなく行動をとる時だ」と指摘し、パリ協定に基づく各国の目標設定を見直す2020年にむけ、より野心的な数値を掲げることを参加国に求めました。
地方公営企業法の3条には、地方公営企業は「その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない」と定めています。
世界が、気候変動という最も困難な課題に直面している今、石炭火力発電所の新設などもってのほかです。未だに石炭火力発電所の新設を前提とした工業用水道の拡張計画を中止しない企業局の姿勢を厳しく指摘したいと思います。
以上の理由から、本議案に反対します。
(2019年12月13日)