新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて、WHО(世界保健機関)は9日、「パンデミック(世界的な病気流行)の脅威はまさに現実となった」と警鐘を鳴らしました▼国内での感染確認数は506人(9日現・クルーズ船、チャーター機除く)にのぼり、県内では5日までに3人の感染者が報告されています▼厚労省は6日、患者数が最も多くなる厳しいシナリオを想定し、医療提供体制を整備するよう求める通知を都道府県に出しました。同シナリオによる流行ピーク時の県内での1日当たりの患者数は、外来4820人、入院2830人、重症90人と推計されます(9日付・日経新聞)▼こうした事態を回避するためにも、感染の疑いがある人はもれなく検査できる体制が必要ですが、県内の検査機関は県環境保健センターの1カ所のみ。急遽、検査機器を2台に増やしましたが、1日の最大検査件数は60件にすぎません▼検査機器購入費は2700万円、同センターの年間予算は約4400万円で、うち近年の設備整備費は70万円程度ですから、簡単には増やせません▼処理能力を超える事態となった場合の対応について県は、9日の県議会環境福祉委員会で、「検体を関東圏に7カ所程度ある検査機関に郵送して検査することになる」と答えました▼「国民の健康と安全を守ることを何よりも最優先に、必要な措置は躊躇なく実施する」―安倍首相が自ら述べた約束を反故にさせてはなりません。
(2020年3月11日記)