米軍機の傍若無人の訓練に抗議し、中止求めよ
木佐木議員は、岩国基地への空母艦載機の移駐完了後、基地周辺だけでなく広島県などでも騒音被害が悪化していることを指摘し、政府や米軍に対し、住民の安全を脅かす訓練の中止を求めるべきだと質しました。
広島県11月19日、2020年度上半期の「米軍機の航空機騒音発生状況等の概要」を発表し、空母艦載機の移駐が2018年3月に完了した米軍岩国基地所属機による70デシベル以上の航空機の騒音回数が今年度上半期は、移駐前上半期と比べて広島県内で1・4倍に増加していることを明らかにし、「住民生活に多大な影響を及ぼしている」と結論づけました。
岩国市でも米軍機による騒音が11月に入って大幅に増えています。空母ロナルド・レーガンとともに周辺海域に展開していた艦載機が同基地に帰還した影響とみられます。
岩国市のまとめによると、11月9日から19日までの間、70デシベル以上の騒音は、基地南側の尾津町で1日平均39.3回を記録。10月の2.2倍です。北側の川口町は同27.5回で10月の2.3倍でした。住民からの苦情は同期間で202件と10月の1カ月間の190件を超えています。1日平均では3倍に上っています。
木佐木議員は、艦載機移駐後の爆音被害の増大について、「山口県が『基地周辺住民の生活環境に大きな影響を与えるものではない』(注)という認識を持ち続けていることが、米軍機の傍若無人の訓練に拍車をかけている」と批判し、「広島県と同様に『住民生活に多大な影響を及ぼしている』という認識に立って、国や米軍に対し、厳しく対峙すべきだ、と質しました。
(注)2017年6月議会での総務部理事の答弁 艦載機移駐については、国からの回答等を踏まえ、分析・検証した結果、「基地周辺住民の生活環境は、平成18年当時の沖合移設前と比べて、地域により差はあるものの、全体として悪化するとは言えない」ことから基地機能強化にはあたらないと整理しています。その判断基準は、地方自治体の役割を踏まえ、県民の安全で平穏な生活を確保する立場から、「基地周辺住民の生活環境が現状より悪化する状態が生じるかどうか」としており、「著しい負担増」をまねいているとのご指摘は当たらないと考えています。
移駐後の「住民生活への影響」は否定できず
藤田総務部理事は、「移駐後の騒音については、県と地元市町でその状況を検証し、 『地域や時期によって差はあるものの、移駐直前と比べると総じて騒音が増大しており、基地周辺住民の生活に大きな影響を及ぼしている』 と整理している。こうした認識のもと、2019年6月に、基地周辺での集中的な飛行訓練の緩和などの飛行運用に係る騒音軽減措置の実施や、住宅防音工事の対象拡大など騒音対策の拡充等について、特別要望を行い、その後も政府要望等、あらゆる機会を通じて、国に要望してきた。県としては、これまで要望してきた取組が国や米側において進められるよう、今後とも粘り強く働きかけていくとともに、地元市町と連携して、騒音や運用の状況把握に努め、問題があれば、国や米側に必要な対応を求めていく」と弁明しました。
詭弁を弄して機数増など「基地機能強化」を容認する手法はやめろ
木佐木議員は、「生活環境への影響の有無」を「基地機能強化」の物差しとしてきたため、所属機が増えても、騒音をまき散らす機種に変わっても、「生活環境への影響はない」と判断すれば、基地機能強化を粛々と受け入れてきたことを厳しく批判。「もう、こんな詭弁はやめて、所属機の増加や騒音の大きな機種への変更などは一切、容認しない、そして米軍基地の縮小を求めていく立場に立つべきだ」と迫りました。
「新たな部隊等の移駐」についても従来の判断基準で対応
藤田総務部理事は、艦載機移駐の判断にあたっては「騒音の影響は全体として、沖合移設後に再編案(艦載機移駐)が実行される場合には、全体として悪化しないという整理をしている」と指摘の事実を認め、「今後とも、新たな部隊等の移駐があった場合には、機数増があるか、ないかということではなく、航空機騒音や安全性等の面で、基地周辺住民の生活環境が現状より悪化することは認められないという基本姿勢に沿って対応する」と従来の見解に固執しました。
(2020年12月3日)