■2020年11月議会一般質問■木佐木大助議員_2

米軍パイロットの覚せい剤使用は直ちに禁止に

 木佐木議員は、米軍がパイロットの疲労対策として、覚せい剤使用を認めている事実を突きつけ、防衛省に事実を確認し、直ちに禁止するよう求めました。

 2018年12月6日に高知県沖で発生した米海兵隊岩国飛行場所属のF/A-18D戦闘攻撃機とKC-130J空中給油機の空中接触・墜落事故については、昨年9月、米側の事故調査報告書が公表されましたが、その後、米側で再調査が行われ、今年8月に公表された再調査報告書では、米軍はパイロットの疲労対策として「覚醒剤の使用」も容認されている、という記述がありました。

 加えて、航空自衛隊の航空医学実験隊が監修した「長時間飛行の疲労評価と対策」と題する論文(2017年3月、発行)の中には、パイロットの疲労対策として「米軍では、(日本では覚醒剤取締法で所持禁止されている)デキストロアンフェタミン、モダフィニル(処方薬)の使用が許可されている。空自操縦者の使用は認められない。(治療対象疾患は飛行停止となる)」と記述されていることが明らかになりました(資料下・論文の部分)。

 木佐木議員は、「日本では重大な犯罪行為である覚醒剤の使用を米軍のパイロットは認められている。そして自衛隊もそれを知り、黙認している、ということだ。住民の安全を著しく脅かしかねない。防衛省に事実を確認し、日本に駐留している米軍パイロットの覚醒剤使用を禁止するよう求めるべきだ」と迫りました。

「覚せい剤使用は戦闘作戦中などに限られている」と事実を追認

 藤田総務部理事は、「米軍での覚醒剤の使用について国に確認したところ、 『再調査報告書にある通達では、運用環境における疲労管理のための覚醒剤の使用は、戦闘作戦中などに限られ、航空医官や司令官等の承認を得た場合のみ認められる』とのことであり、日常での使用を認めているものではないと理解している」と事実を追認した上で、「米軍は、再発防止策として、薬剤に関する指針等を更新するとしており、県としては、その対応状況等について、国を通じて米側に対して確認するとともに、米軍の活動に国内法を適用するよう、 引き続き、渉外知事会等を通じて働きかけていく」と答弁しました。

住民の安全を脅かす行為であり、直ちに禁止を求めよ

 木佐木議員は、「日本国内でも覚醒剤の使用は犯罪だ。芸能界で使用や所持が発覚したら大バッシングを受け、引退にまでつながる一大事。その覚醒剤の使用を、米軍のパイロットが疲労回復を目的として認められる、自衛隊もそれを知りながら黙認している。この事態は異常ではないか。覚醒剤を使用しているパイロットが県内上空はもとより広島県、全国の空を飛び回っている。これほど住民の安全を脅かす行為はない。直ちに覚醒剤の使用を禁止するよう、米軍に申し入れるべきだ」と再質問しました。

「国内法が適用されないことの背景にある地位協定の改定を求めていく」

 藤田総務部理事は、「米軍の覚醒剤の使用は、戦闘作戦中などに限られるなど限定的であるということは、先ほども答弁したところ。また、再調査報告書の中で、米軍岩国基地のパイロット等が覚醒剤を使用していたという記載はない。 したがって、直ちに覚醒剤の使用禁止を求める考えはない」と米軍、国の言い分を追認。

 その上で、「指摘された課題は、 日米地位協定において、米軍の活動に航空法などの国内法令が適用されていないなど、米側の裁量に委ねられている部分が多いという、そういうことが背景にあると思うので、県としては引き続き、地位協定の改定に向けて、課題を共にする関係都道府県と連携して日米両政府に粘り強く求めていく」と答弁しました。

(2020年12月3日)

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