⬛2020年2月議会報告:反対討論:木佐木大助議員_1

安倍政権の「地方創生」は「地域破壊」に

 議案第1号、2020年度一般会計当初予算案についてです。

 村岡知事は新年度予算案の基本方針の一つに、「3つの維新」への更なる挑戦をあげ、「第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも即して予算編成にあたったと述べられました。

 「総合戦略」は、安倍政権が5年前、人口減少の歯止め、東京圏の人口集中の是正、地域の住みよい環境の確保―などを目的に掲げ、国が基本方向となる「総合戦略」を閣議決定し、すべての自治体に策定を求めたものです。

 人口減少による地域衰退や「東京一極集中」のゆがみを打開することは、多くの国民が切実に求めているものですが、安倍政権の「地方創生」は、その願いにこたえるものにはなりませんでした。

 「総合戦略」は、「アベノミクス」がめざす「世界で一番企業が活躍しやすい国」を実現するため、地方をつくりかえ、大企業の「稼ぐ力」のために雇用や医療、農業など国民の生活と権利を守ってきた規制の緩和や撤廃を全国におしつけるのが狙いだったからです。

 これらが破たんずみの政策であることは明白です。大企業・財界のもうけを最優先にした歴代自民党政権による地域・国土政策は、地方を衰退させ、東京圏など都市部に異常に人口を集中させてしまいました。首都圏への転入超過は、この5年間に3万2千人以上増え、約15万人に達しています。

 低賃金・不安定・長時間労働をもたらした雇用破壊や、農業・中小企業いじめの政策は、若者の未来への希望を奪い、少子化を加速させています。

「福祉の増進」こそ、「地方創生」のカギ

 これらになんの反省もなく、「地方創生」の新たな看板で、地域破壊を引き起こす政策を推し進めることは、逆行です。「アベノミクス」は都市にも地方にも「効果」をもたらしません。それだけに、いま県政に求められているのは、「アベノミクス」をはじめとする安倍政権の悪政から暮らしと地域を守り、安定した雇用と社会保障を実現することであり、それこそが、人口減少にたいする最大の歯止めです。

 しかし、新年度予算案には、こうした施策が十分ではありません。

 1つは、本会議でも指摘しましたが、子育て世帯を応援するための子ども医療費助成制度の拡充は16年連続して、見送られ、2004年度と比較して予算額は半分に激減しました。拡充を進める都道府県と比較すると、「応援」どころか、「妨害」です。一刻も早く政治決断されるよう要望します。

 2つは、新型コロナウイルスの感染拡大に不可欠の県環境保健センターの機能拡充です。新年度は4470万円計上されていますが、うち調査研究費は126万円、試験検査費は106万円、設備整備費は75万円、いずれも、これで大丈夫なのか、という額です。今年度予算で新たな検査機器や検査試薬の追加購入などは措置されていますが、今後、研究員の増員や検査機器の整備など抜本的な拡充を求めるものです。

 3つは、ソサエティ5.0の活用についてです。予算案には様々な施策が盛り込まれています。本会議でも触れましたが、「自治体戦略2040構想」を議論している総務省の研究会の報告書には、「AIやロボティクスによって処理することができる事務作業は全てAI・ロボティクスに任せ、半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体」をめざす方向性が示されています。

新たな技術が、人員削減や賃金引き下げなど職員の労働条件切り下げに利用されることがあってはなりません。

 4つは、企業立地サポート事業のあり方です。新年度は約15億5千万円計上され、約20社に企業立地促進補助金が交付される予定です。

 これまでも武田薬品工業に21億円、ブリヂストンに10億円など、世界に名だたる大企業が企業立地促進補助金を受け取っています。民間企業が立地場所を決める要件は、製品需要の有無、最終消費地との距離、人材確保の容易さ、などであり、特に大企業は補助金の有無で立地場所を決めるわけではありません。

 同補助金の交付対象から大企業は除外し、中小企業への支援を厚くすることが、地域経済の振興につながるものと考えます。

(2020年3月12日)

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