下関北九州道路の事業化に向けた検討がスタート
国交省の社会資本整備審議会道路分科会は7月15日、第1回中国・九州地方合同小委員会を開き、新規事業化を目指す下関北九州道路の計画段階評価の審議がスタートし、徐々に全体像が見えてきました。
構造形式は橋梁案が妥当とされました。ルート帯は、図のように、いずれも旧彦島有料道路を起点部として、北九州都市高速道路を終点部とする三つの案が示され、それぞれの整備費用も示されました。
3つのルート案で整備費は2900~5200億円と試算
案1は、沿岸部迂回ルートで整備費は4200億円から5200億円、案2は、集落・市街地回避ルートで整備費は2900億円から3500億円、案3は、海峡渡河幅最小ルートで整備費用は3000億円から3600億円です。
アクセス道路にメドもなく事業化は無謀
木佐木議員は、7月28日、国交省中国地方整備局に行き、道路部道路計画課長らから審議内容のレクチャーを受けたことを踏まえて、
①3ルート案の起点になる旧彦島有料道路から中国自動車道につなぐアクセス道路は、山口県が検討する課題だということが分かったが、県は、それを承知で事業推進を図ろうとしているのか。
②旧彦島有料道路は、片側1車線の上、橋梁やトンネルもあり、高速交通網の一部として利用するには大規模な改修が必要。また、同道路と中国自動車道をつなぐ下関西道路の計画は全くめどが立たず、明らかにされていないが、その理由は何か。
③下関北バイパスの事業費は662億円、一キロ当たり97億円かかっている。下関北バイパスの事業費を基に下関西道路の事業費を推計すると幾らになるか。
④2900億円から5200億円とされた事業費はあくまで現時点での推計。本四架橋など巨大プロジェクトでは、当初計画段階の事業費の5倍、10倍に膨れ上がった例は幾つもある。下関北九州道路にはそうした心配はないのか。
の4点を質しました。
事業化に向けた見通し示せず
阿部雅昭土木建築部長は、①旧彦島有料道路から中国自動車道につなぐアクセス道路は、今後、下関北九州道路の計画の具体化に併せて、国、県、市が連携し、整備の必要性についての検討が進められるものと考えている、②旧彦島有料道路の改修や下関西道路をはじめとした下関都市圏の幹線道路網の整備についても、その中で検討されるものと考えている、③現時点でルート等が定まっていない下関西道路の事業費を推計することは困難、④このたびの計画段階評価における下関北九州道路の事業費は、概略設計に基づく数量と国内の類似事例の実績単価を用いて概算額が算出されたものであり、今後、計画が具体化する中で改めて事業費が算出されるものと考えている、などと述べるに留まりました。
(2020年9月24日)