新型コロナの影響に伴い手厚い「特例措置」を実施
各都道府県の社会福祉協議会が、低所得世帯を対象に生活費等の必要な資金の貸付を行っている生活福祉資金制度。新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中、今年3月25日以降、対象世帯を休業や失業等によって、生活資金に困っている世帯も対象とする「特例措置」が実施されています。
主に休業された方向けの「緊急小口資金」は、新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、対象となり、貸付上限額は20万円以内(従来は10万円以内)と拡充され、据置期間は1年以内(従来2カ月以内)、償還期限は2年以内(従来1年以内)、無利子・保証人不要です。
主に失業された方等向けの「総合支援資金」も、新型コロナウイルスの影響で収入の減少があれば、対象となり、貸付上限額は単身者は月15万円(2人以上は月20万円)以内で貸付期間は原則3カ月以内。据置期間は1年以内(従来は6カ月以内)、償還期限は10年以内、無利子・保証人不要です。
今回の特例措置では、償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯については、償還を免除できることにされています。
県内でも、この「特例措置」が開始されて以降、6月5日までの間、緊急小口資金貸付は1903件、利用されています。昨年度の実績は43件程度ですから、44倍以上に急増しています。
厚労省が全国の社会福祉協議会に運用改善を依頼
「特例措置」によって、相談、申込が急増する中、厚労省は4月14日、「生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付に係る迅速な貸付の実施について」(依頼)の事務連絡を全都道府県と全国社会福祉協議会会長宛に通知しました。
同文書では、申込者の増加や受付窓口の感染リスクを軽減するため、郵送による申込を行うことができる環境を整えることを要請。具体的には、①県社協や市町社協のホームページに申込書や、その記載例、必要添付書類等の説明を掲載し、貸付を必要とする方が、必ずしも相談を経ずとも、自身で様式をダウンロードし、貸付希望者が申込書の記入や添付書類をそろえ、市町社協に郵送する方法。
中国5県で対応していないのは山口県社協だけ
中国5県の社会福祉協議会のホームページを閲覧したところ、山口県を除く4県の社会福祉協議会は、厚労省の要請に応えて、ホープページのトップページで郵送申請を案内し、申込書、必要な添付文書をダウンロードできるようにしています。
一方、山口県社会福祉協議会のホームページのトップページに「緊急貸付に関するご案内」が掲載されたのは6月17日以降です(日本共産党県議団の指摘により)。
しかし、6月22日現在、郵送申請の案内もなく、申込書、必要な添付文書の説明もないままです。
市町社会福祉協議会で対応済みは萩市、岩国市だけ
県内19の市町社協のうち、ホームページがある17市町社協を調べたところ、萩市は申込書、必要な添付文書、岩国市は必要な添付文書のダウンロードができるようになっていました。
しかし、光市、長門市、周南市、和木町、平生町、阿武町のホームページには「緊急貸付に関するご案内」さえ、掲載されていません。
早急な改善が求められています。
(2020年6月22日)