原因は未熟パイロットの操縦ミスー米軍岩国の高知沖墜落事故

昨年9月の事故報告書に掲載されたコクピット内で読書するパイロット


 米軍海兵隊は7月2日、2018年12月に米海兵隊岩国航空基地所属のFA18ホーネット戦闘攻撃機とKC130空中給油機が高知県沖で接触・墜落し6人が死亡した事故で、新たな調査報告書をネット上で公開しました。

事故機が給油機を見失い、接触し墜落

 同報告書では、従来の調査には多くの不正確さがあったとし、事故原因は「給油を終えた別の機体が照明を明るくしたことで、事故機の操縦士が給油機を見失い、KC130と接触したため」と結論づけています。

最初の事故報告書では「職業倫理にもとる」実態が明らかに

 海兵隊が昨年9月に公表した事故報告書では、岩国基地の航空機部隊では、機内での自撮りや読書など規律違反が横行していた実態が判明。また、部隊内に「薬物乱用、アルコールの過剰摂取、不倫、指示違反といった職業倫理にもとる実例」があるとも指摘していました。

 その後、海兵隊は2016年に沖縄県沖で起きた類似の接触事故と併せて、再検証し、新たな調査報告書が作成・公開されました。

未熟な操縦士が岩国に集中―訓練成績は平均以下

 今回の報告書では、海兵隊岩国基地について、米本土に比べ、「困難な飛行環境」にあるにもかかわらず、訓練中の成績が平均以下の新人操縦士が不釣り合いに多く配属されているなどと指摘。

 具体的には、▼2016~19年に岩国に配属された新人らの訓練中の成績は平均以下▼岩国が困難な飛行環境にあるのにもかかわらず、成績の悪い新人が不釣り合いに多く配属されていた。意図的なものではない▼岩国基地のFA18部隊はかつて高い練度を保っていたが、2008年の第242中隊配備以降は恒常的な練度不足に陥った、などの事例をあげています。

 こうした実態が、一連の事故の背景にあることは間違いありません。

事故報告書の提供求め、問題解消まで訓練中止を

 米軍機の事故調査報告書について日米合同委員会では1996年12月2日、 「合衆国政府は、 日本国政府に対して、米軍航空機の事故調査報告書の公表可能な写しを提供することに同意する」ことを確認しています。

 日米両政府に対し、新たな事故調査報告書をただちに提供するよう求めるとともに、同報告書が指摘した人員配置を含めた組織的な問題が改善されるまで、訓練中止を求めるなど、厳しい対応が求められます。

(2020年7月19日)

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