知事の政治姿勢について
関東大震災における朝鮮人虐殺に係る歴史認識について
◎木佐木大助議員
質問の第1は、知事の政治姿勢についてです。
関東大震災における朝鮮人虐殺に係る歴史認識について伺います。
今年は、関東大震災での朝鮮人大虐殺から100年という節目の年です。
しかるに、松野官房長官が「記録が見当たらない」などの発言を記者会見で繰り返していることは看過できません。
震災発生直後から朝鮮人の暴動などのデマが流布され、軍や警察、自警団による集団虐殺があったことを示す公的な記録は数多く存在しています。政府の中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会」が09年3月に公表した「関東大震災報告書」で「震災時には、官憲や被災者による虐殺行為が多数発生した」「対象となったのは、朝鮮人が最も多かったが、中国人、内地人も少なからず被害にあった」と明確に記しています。
また、日弁連人権擁護委員会の調査で、震災直後の1923年9月3日、内務省警保局長から各地方長官、朝鮮総督府警務局長、そして、なんと山口県知事に宛てて、「震災を利用し、朝鮮人は各地に放火し不逞の目的を遂行せんとし、現に東京市内において爆弾を所持し、放火するものあり。鮮人の行動に対して厳重なる取締を加えられたし」等という内容の打電が発せられたことが判明しています。
こうした歴史的な事実があるのに、それを「ない」と否定することは、歴史の歪曲に他なりません。
まず、国家的規模で行われたこの虐殺に対する知事の認識をお尋ねします。
そして、岸田政権がやるべきことは、罪のない人の命を奪った痛苦の過去を徹底して調査し、結果を公開し、その反省の上にたった謝罪と補償だと考えますが、見解を伺います。
●村岡嗣政知事
私からは、関東大震災における歴史認識についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。
お示しの事案については、政府が閣議決定した答弁書で、「調査した限りでは、政府内にそれらの事実関係を把握することのできる記録が見当たらないことから、お答えすることは困難である」とされており、これに対する認識や国の対応について、私から、お答えすることは困難です。
◎木佐木大助議員《再質問》
再質問を行います。朝鮮人大虐殺については、知事は、直近の閣議決定、公的な記録はない。この閣議決定を聞かれまして、そういう意味での認識をされました。それでは改めて知事に伺いますが、内閣府に事務局をおく政府の「中央防災会議」の「災害教訓の継承に関する専門調査会」200 9年3月にまとめた「1 923年関東大震災(第2編)」という文書に、関東大震災時に、朝鮮人虐殺という出来事が記載されていることは、これについてはご存じでしょうか。お尋ねします。
この問題は決して過去の問題ではありません。マイノリティに対する差別と迫害は今日も続いています。とりわけ在日コリアン、朝鮮学校の児童・生徒に対する加害は、この山口県でも補助金廃止に見るように、一層深刻な事態になっています。過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目となる。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。この言明は、あのナチスの蛮行と正面から向かい合って、今日も次の世代のドイツ国民にも引き継がれている、あのドイツのワイズ。ゼッカー元大統領の言葉でありますが、これを改めて県当局の皆さんに送りたいと思います。
◎永富総合企画部長
木佐木議員の再質問にお答えします。まず、関東大震災に関連して、政府の中央防災会議の専門調査会がまとめた文章の記載に関するお尋ねですが、調査会において取りまとめられた、関東大震災に関する報告書に、お尋ねのありました記述があることは承知をしておりますけれども、これについて、政府は、閣議決定した答弁書で、「有識者が執筆したものであり、その記述の逐一について政府としてお答えすることは困難である」としており、松野官房長官も、「政府の見解を示したものではない」と記者会見で述べられたものと承知をしております。
◎木佐木大助議員《再々質問》
再々質問を行います。知事に尋ねた「1923年関東大震災(第2編)」この文章の記述について、総合企画部長が変わって答弁されたけれども、これは、永富さんが知っているということ,ではなくて、知事が知っているということに成り替わって答弁されたと、いうふうに考えていいんですよね。これはちょっと確認をしておきます。永富さんが知っておるということではなくて、問題は、知事が知っておるかどうかですから、それについては伺っておきたいと思います。
●永富総合企画部長
再々質問にお答えします。まず、中央防災会議の関東大震災に関する記載について知事が知っているかということでありますけども、先ほどお答えしたとおり、記述にあること、それに加えて、政府として、これは有識者が執筆したもので、政府の見解を示したものではないということも含めて、県として共有し承知をしております。
使用済み核燃料「中間貯蔵施設」について
上関原発計画への「知事意見」との関係について
◎木佐木大助議員
質問の第2は,使用済み核燃料「中間貯蔵施設」についてです。
中国電力が上関町への設置に向けた立地可能性調査を実施している同施設について県は、「詳細な計画が示されていない。是非を判断できる状況にない」と繰り返され、まともな説明はありません。
そこで、これまでに確認された事実に基づいて、見解を問います。
1つは、2001年4月23日、当時の二井関成知事が、経済産業省資源エネルギー庁長官宛に出した「上関原子力発電所建設計画に係る知事意見」との関係です。
同意見の中には、「使用済燃料の貯蔵・管理について、発電所内での新たな貯蔵施設にたよらないで済むよう、また、発電所内での貯蔵管理が長期にわたらないよう、適切な対策を講じること」を求めています。
上関原発内の事とはいえ、使用済み核燃料について「貯蔵期間が長期に渡らないよう」に、という基本姿勢を示したものです。その原発建設予定と近接する場所に「中間貯蔵施設」を建設することは、この知事意見にも反することは明らかです。お尋ねします。
2つは、活断層の問題です。
青森県むつ市への「中間貯蔵施設」建設計画について、青森県が2005年5月27日、五所川原市で開催した「県民説明会」で、「大きな地震が起きても、施設に問題はないのか」という質問が出されたのに対し、東京電力は「活断層がないということは確認しております。その結果、現地にそういう施設を立地しても、技術的には問題ないであろうという結論は出しております」と答弁しています。
端的に言えば、「中間貯蔵施設」予定地には活断層はないから大丈夫、という言明です。逆に言えば、活断層があれば、大丈夫ではない、ということを意味しています。
中国電力が2009年12月18日、国に提出した原子炉設置許可申請に係る第一次審査を行なった原子力安全・保安院は、2010年7月30日、「耐震安全性の審査において、敷地及び敷地周辺の地質・地質構造並びに活断層評価に係るデータの一層の拡充等が必要と判断し、中国電力に対して、上関原子力発電所原子炉設置許可申請に係る敷地及び敷地周辺の追加地質調査等の対応を求めました」と発表しました。資料1に該当する活断層が2カ所に走っています。
中国電力が立地可能性調査に乗り出した「中間貯蔵施設」予定地に近接した上関原発の周辺に活断層があり、追加地質調査の実施が求められていたのです。
こうした経緯を考えれば、現在、中国電力などが立地を計画している場所が「適地」でないことは明らかではありませんか。お尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
使用済み核燃料「中間貯蔵施設」について、施設の建設は知事意見に反することは明らかである、また、立地を計画している場所が適地でないことは明らかではないか、との2点のお尋ねにまとめてお答えします。
現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、その調査の実施について、上関町が中国電力に了承し、調査が開始された段階であり、現時点、当該調査の結果や施設に関する具体的な計画もなく、 県として見解を申し上げる状況にはありません。
◎木佐木大助議員《再質問》
核ごみ、使用済核燃料の貯蔵について伺います。使用済燃料の貯蔵についても、再び見解表明を避けられました。
それでは改めて伺います。上関原発計画に対する知事意見で、「使用済燃料の貯蔵・管理について、発電所内での新たな貯蔵施設に頼らないですむよう、また、発電所内での貯蔵管理が長期にわたらないように適切な対策を講じること」を求めたその理由は何か。かつての二井知事のあれについてお尋ねします。
●鈴森和則産業労働部理事
使用済み核燃料「中間貯蔵施設」について、2点の再質問にお答えいたします。
まず、上関原発計画に係る知事意見における、使用済燃料の貯蔵管理に関する事項についてのお尋ねにお答えします。
平成10年6月、国の総合エネルギー調査会において、それまでの議論等を踏まえて中間報告が示されました。
報告では、原子力発電所内における使用済燃料の貯蔵状況等を総合的に勘案すると、発電所外において使用済燃料を中間的に貯蔵する施設も利用できるようにすることが必要とされました。
そして、原子炉等規制法の改正により、中間貯蔵施設に係る事業法制が整備され、平成12年6月に施行されたところです。
お示しの事項につきましては、こうした動きも受けて行われた他県等による国への要請等も参考にしたものであります。
◎木佐木大助議員《再質問》
活断層の有無についてですが、中間貯蔵施設立地予定地に近接する場所に、先ほど示したように活断層があることを指摘したことについても全く見解が示されませんでした。それでは端的にお尋ねします。上関原発建設予定地付近に、活断層がある可能性も否定をされたのか。この点も伺います。
●鈴森和則産業労働部理事
次に、上関原発建設予定地付近に活断層がある可能性に関するお尋ねについてです。
中国電力は、上関原発敷地内にある断層について、後期更新世以降の活動はないとして、原発の耐震設計上考盧すべき活断層には該当しないものと評価しているとしていることは承知しています。
いずれにしましても、現在は、あくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、調査が開始された段階であり、県としての見解を申し上げる状況にはないものと考えています。
県立学校、福祉施設等の業務委託について
◎木佐木大助議員
質問の第3は,県立学校、福祉施設等の業務委託についてです。
全国で給食業務などを展開していた(株)ホーユーが経営破綻した問題では、県立高校や福祉施設などにも影響がおよびました。
資料2のように、ホーユーは、県立高校8件、福祉施設2件の給食業務を請け負っています。まず、目に付くのは、低価格入札です。なかには予定価格の32%で落札した例もあります。
県は、県が契約するときに「業務委託低入札価格調査制度」を適用することとした場合には、調査基準価格を設定し、同価格を下回る場合は、調査することを義務づけています。資料2の10件のうち、調査した件数と、適正だったとする事由を明らかにしてください。お尋ねします。
給食業務に占める経費はほとんど人件費です。予定価格の3~7割で落札した場合、その影響は従業員の人件費にしわ寄せされるのではありませんか。「安ければいい」では公的な責任放棄と言わざるを得ません。それぞれお答え下さい。
●國吉宏和健康福祉部長
県立学校、福祉施設等の業務委託に関するお尋ねのうち、福祉施設に係る入札についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、業務委託低入札価格調査の実施件数についてですが、お示しの福祉施設2件については、いずれも調査を実施しています。
次に、適正だったとする事由と人件費への影響等についてですが、いずれも「山口県業務委託低入札価格調査制度実施要領」に基づき、人件費を含めた入札価格の内訳や業務の実施体制等を確認し、契約の内容に適合した履行が可能と判断したものです。
したがって、公的な責任の放棄との御指摘は当たりません。
●木村香織副教育長
県立学校、福祉施設等の業務委託に関するお尋ねのうち、県立高校に係る入札についての2点の御質問にお答えします。
まず、調査を実施した件数と、適正と判断した事由についてです。
調査した件数は3件で、いずれも「山口県業務委託低入札価格調査制度」に基づき、人件費を含めた入札価格の内訳や業務の実施体制等を確認し、契約の内容に適合した履行が可能と判断したものです。
次に、低入札価格が人件費へしわ寄せされるのではないかとのお尋ねについてです。
給食業務の委託については、「業務委託低入札価格調査制度」に基づく人件費を含めた入札価格の調査や、これまでの業務実績等から、いずれも契約の内容に適合した履行が可能と判断しており、公的な責任の放棄との御指摘は当たりません。
◎木佐木大助議員《再質問》
ホーユー問題であります。ホーユーが広島地裁から、破産手続きの開始決定を受けたことが25日分かりました。
破産管財人の弁護士によると、開始時の負債は約16億8千万円に上ります。ホーユーに委託していた資料2による業務はNEXTに引き継がれたと説明を聞きましたが、気になるのは、このNE XTの社長はホーユーの社長の長男が務めているという報道であります。
それが果たして事実なのか、またホーユーが抱えている負債の整理の中でNE XTの経営に影響が及ぶことがないのか、それぞれお尋ねします。
いずれにしても問題と思うのは、相場の7割あるいは3割でも、適正な価格であり問題はないという県の認識であります。「安ければいい」そういう認識そのものが地域経済の疲弊を招いているという自覚は無いのか。
また、自治体の本分でもある住民福祉の増進に寄与しているとお考えなのか、それぞれお尋ねします。
●國吉宏和健康福祉部長
福祉施設に係る入札に関する再質問にお答えいたします。
NEXT株式会社の社長は株式会社ホーユーの社長の長男が務めているという、そのような報道があることは、承知していますが、株式会社ホーユーとNEXT株式会社は別会社であり、NEXT株式会社の業務実施体制等を確認した上で、契約の内容に適合した履行が可能と判断したものでありまして、業務の執行への影響はないものと考えています。
次に、「安ければいい」という認識そのものが、地域経済の疲弊を招いているという自覚はないのか、また、「安ければいい」との対応が住民福祉の増進に寄与していると考えているのか、というお尋ねです。
先程も答弁させていただきましたとおり、「山口県業務委託低入札価格調査制度実施要領」に基づき、人件費を含めた入札価格の内訳や業務の実施体制等を確認し、契約の内容に適合した履行が可能と判断して落札者を決定したものであり、御指摘は当たらないと考えています。
●木村香織副教育長
県立高校の業務委託に係る入札に関する木佐木議員の数点の再質問にお答えします。
まず、NEXT株式会社社長は、株式会社ホーユーの社長の長男ということであるが事実なのか、とのお尋ねですが、そのような報道があることは承知しております。
次に、「安ければいい」という認識そのものが、地域経済の疲弊を招いているという自覚はないのか、また、「安ければいい」の対応が住民福祉の増進に寄与すると考えているのか、というお尋ねにまとめてお答えします。
先程も答弁しましたとおり、業務委託の入札に当たりましては、「山口県業務委託低入札価格調査制度実施要領」に基づく人件費を含めた入札価格の調査や、これまでの業務実績等から、いずれも契約の内容に適合した履行が可能と判断して落札者を決定したものであり、御指摘は当たらないものと考えております。
公契約条例の制定について
◎木佐木大助議員
(低価格入札等)こうした事態を招かないため、適正な競争で良質なサービスを実現し、労働条件の改善をはかることを目的とした「公契約条例」を取り入れる自治体も増えています。
県発注の業務委託が「ワーキングプア」を生み出す原因となることは決して許されません。山口県でも公契約条例の制定を検討すべきと考えます。お尋ねします。
●道免憲司会計管理局長
県立学校、福祉施設等の業務委託についてのお尋ねのうち、公契約条例の制定についてお答えします。
公契約条例については、多様な職種等に応じた賃金の基準額を自治体が独自に設定することや、同一企業内において、公契約に従事する者としない者との間に賃金格差が生じることなど、様々な課題が指摘されています。
また、国においては、公契約の法制化について検討する中で、賃金等の労働条件は関係法令に反しない限りにおいて、労使が自主的に決定するものであることから、賃金等の基準を新たに設ける公契約法の制定には、慎重かつ幅広い観点からの検討が必要としています。
こうしたことから、県としては、引き続き、労働関係法制を所管する国の法制化に係る動向等を注視していくこととしています。
◎木佐木大助議員《再質問》
最低限、公的な業務委託契約を通じて、働く人達が適正な報酬支払いが当たり前の世の中にするべきではありませんか。
国の動向を見守る、こればかりではなく、率先してこの山口県が公契約条例の制定を検討すべきですが、この点、改めてお尋ねします。
●道免憲司会計管理局長
県立学校等の業務委託に関する再質問にお答えします。
公契約条例について、国の動向を見守るのではなく、県が率先して制定を検討すべき、とのお尋ねですが、先ほども答弁いたしましたとおり、公契約条例については様々な課題が指摘をされており、また、労働関係法制を所管する国においては、公契約法の制定に慎重でありますことから、県としては、引き続き、国の法制化に係る動向等を注視してまいりたいと考えています。
米軍基地問題について
オスプレイの緊急着陸について
◎木佐木大助議員
質問の第4は,米軍岩国基地についてです。
最近、米軍機の運用について、看過できない事態が相次いでいます。
1つは、垂直離着陸機MV22オスプレイが相次いで緊急着陸していることです。
9月14日には、鹿児島県の奄美空港に2機、沖縄県の新石垣空港に2機。16日は大分県の大分空港に1機、そして21日は再び奄美空港に1機、と14日から8日間に計6機が緊急着陸する異常事態です。
いずれも米海兵隊普天間基地所属のオスプレイと見られており、岩国基地にも頻繁に飛来しています。国に対し、原因が明確になるまで同基地所属のオスプレイの飛行停止を求めるべきではありませんか。お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
米軍岩国基地についての3点のお尋ねにお答えします。まず、オスプレイの飛行停止についてです。
オスプレイを含め、航空機の機体の安全性については、専門的な知見を有する国の責任において判断し、確保されるべきものであり、飛行停止についても、基本的には国や米側が安全管理の徹底を図る中で、自主的に判断されるべきものと考えています。
したがって、県としては、今回の予防着陸の事例をもってオスプレイの飛行停止を求める考えはありません。
◎木佐木大助議員《再質問》
異常に増加する海兵隊オスプレイの緊急着陸、民間航空機だったら大問題であります。文字どおり欠陥機であることの証明ではないでしょうか。飛行訓練中止の要請は、最低限の責任ではないですか、改めてお尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
米軍岩国基地についての数点の再質問にお答えします。
まず、オスプレイの飛行訓練中止の要請についてです。
飛行訓練中止の要請は、最低限の責任ではないかというお尋ねでございました。
飛行訓練中止について、基本的には国や米側が安全管理の徹底を図る中で、自主的に判断されるべきものと考えており、オスプレイの飛行訓練の中止を求める考えはありませんけれども、航空機の安全対策の徹底については、引き続き、国や米側に働きかけてまいります。
オスプレイの飛行高度制限緩和について
◎木佐木大助議員
関連して、オスプレイの飛行高度制限が緩和された問題です。
防衛省は7月7日、米海兵隊が運用するMV22オスプレイの飛行訓練を巡り、沖縄県を除く住宅地等上空を避けた山岳地帯での飛行高度制限を約150mから約60mに緩和することで日米両政府が合意したと発表しました。7月10日から適用されています。
日本の航空法が、山岳地帯の最低安全高度を150mとしているのは、事故発生時の被害を少なくするためです。国内法を無視した引き下げは許されません。県としても国に対し、緩和措置の見直しを求めるなど毅然と対応すべきです。伺います。
●近藤和彦総務部理事
次に、オスプレイの飛行高度制限緩和についてです。
今回の飛行訓練に関する日米合同委員会合意は、国から災害発生時を含む緊急事態における捜索・救難活動に当たり、要救助者を上空から判別・早期発見したりするためなどに必要不可欠なものとの説明を受けたところです。
また、自衛隊ヘリ等が国士交通大臣の許可を得た上で安全対策をとりながら最低安全高度の約15 0m未満の飛行訓練を実施していることを踏まえ、自衛隊と同様の安全対策をとることを前提に在日米軍の訓練実施を認めるものとの説明もありました。
こうしたことから、県としては、MV2 2オスプレイの飛行高度制限緩和に関する日米両政府による合意内容の見直しを求める考えはありません。
◎木佐木大助議員《再質問》
飛行高度の緩和は、有事を想定した、より実践的な日米共同訓練のためではないでしょうか。岸田政権の「アメリカの目下の同盟者としての戦争国家づくり」に呼応するものだと考えています。主権国家の自治体として、「県民の安心・安全の確保」、これを果たしていく責任を改めて伺いたいと思います。
●近藤和彦総務部理事
次に、オスプレイの飛行高度制限の緩和についてです。
県民の安心・安全の確保としての責任を果たすべきであるが、伺うというお尋ねでございましたけれども、県では、どのような名称や形態であれ、住民に不安や危険を及ぼす訓練は実施されてはならないと考えております。
県としては、このような考え方で、訓練の実施を含む航空機の運用について、引き続き地元市町と連携して状況を把握し、問題があれば、国や米側に必要な対応を求めてまいります。
米海兵隊所属機の墜落事故について
◎木佐木大助議員
2つは、米海兵隊所属機の墜落事故が続発している問題です。
米海軍安全センターの発表では、8月24日に米カリフォルニア州でFA18Dが墜落し、乗組員1人が死亡。27日にはオーストラリア北部でMV22が墜落し、乗組員3人が死亡。さらに今月17日、F35Bが墜落、乗務員は脱出しましたが、機体が行方不明になり、その後、機体の破片がサウスカロライナ州内で発見されました。
事故多発を受け、米海兵隊は18日、所属する航空機を2日間、飛行停止にすると発表しました。墜落した航空機のうちFA18D、F35Bとも岩国基地に所属し、MV22も頻繁に往来しています。
国、米側に一連の事故原因や再発防止策などを明らかにするよう求めるべきではありませんか。お尋ねします。
●近藤和彦総務部理事
次に、米海兵隊所属機の墜落事故についてです。
御指摘のような国外で発生した事故であっても、国内に影響を及ぼす可能性がある場合については、基地を抱える都道府県で構成する渉外知事会において、関係する地方公共団体に必要な情報提供を行うよう、これまでも、国及び米側に対し、要望を行っているところです。
県としては、引き続き、国からの情報収集に努めるとともに、問題があれば、地元市町と連携して、国や米側に対し、必要な対応を求めてまいります。
◎木佐木大助議員《再質問》
続発する海兵隊所属機の墜落事故ですが、これは他人事ではありません。文字どおり岩国基地所属機の問題でもあります。
当然、事故原因や再発防止策について、山口県に対しても米側から、また、防衛省から、きちんと説明させることは当たり前ではありませんか、改めて伺います。
●近藤和彦総務部理事
次に、海兵隊所属機の墜落事故についてです。
先ほども御答弁申し上げましたように、渉外知事会を通じて、関係する地方公共団体に必要な情報提供を行うよう、国や米側に対し、要望を行っているところです。
県としては、引き続き、国からの情報収集に努め、問題があれば、地元市町と連携して、国や米側に対し、必要な対応を求めてまいります。
ロナルド・レーガン艦載機のFCLPについて
◎木佐木大助議員《再質問》
もう1点、米軍の運用に関わって、極めて憂慮する事態があります。夏休みなどといっておりましたが、あの空母ロナルド・レーガンが8月25日、横須賀港に入って、本日、現在もいまだに出て行っていません。寄港期間は30日を超えました。空母艦載機は、空母からの発着艦から所要の日数、つまり30日ですが、これがたった場合は、FCLP、また、CQを実施しなければならないとされています。
レーガンが横須賀港に入港したのは8月25日、本日は9月28日、30日を超えています。再び、着艦訓練が実施される恐れがありますが、国から何らかの説明はあったのかお尋ねいたします。
●近藤和彦総務部理事
次に、空母艦載機によるFCLP、CQの実施についてのお尋ねがありました。
国に照会したところ、「防衛省としては、現時点において、米側からの具体的な情報に接しておりません。いずれにしても、米側から提供可能な情報が得られれば、速やかに関係自治体の皆様にお知らせしてまいります。」との回答を得ているところです。
いずれにしても、県としては、引き続き、国からの情報収集に努め、問題があれば、地元市町と連携して、 国や米側に対し、 必要な対応を求めてまいります。
文化行政について
戦争遺跡の調査・保存について
◎木佐木大助議員
質問の第5は,文化行政についてです。
1つは、近代、なかでも戦争遺跡の調査・保存についてです。
今年は、アジア太平洋戦争が終結して78年。戦争体験者が減少する中、旧軍施設や戦災跡地など「物言わぬ証言者」とも呼ばれる「戦争遺跡」を通じた継承の必要性が高まっています。まず、県の認識を伺います。
今年8月、共同通信は47都道府県を対象にした「戦争遺跡」についての調査状況を報じました。それによると島根、鳥取、福岡、長崎、高知など10道県が実施しています。山口県は「未回答」です。
「戦争遺跡保存全国ネットワーク」の集計では、戦争遺跡のうち、国、県、市町村の指定文化財等とされているのは342件あり、中国5県では広島19件、岡山3件、島根2件、鳥取1件ありますが、山口県はゼロです。理由を伺います。
実は、文化庁も1996年、「軍事分野」も含む「近代遺跡調査」に取り掛かり、都道府県から約500件の報告を受け、うち約50件に関する詳細調査を行なっています。その中には、①陸軍下関要塞関係遺跡、②大津島回天特別攻撃基地、③角島軍関係遺跡、④海軍大浦水上飛行機基地の4か所が含まれています。
この経緯について、ご説明ください。
ご承知のように、山口県は日清・日露戦争、そしてアジア太平洋戦争の出撃・防衛拠点として、また戦争末期の空襲などによる戦災跡地も数多く残されています。
戦争の惨禍を二度と繰り返させないため、残された「戦争遺跡」の調査、文化財指定など次世代への継承に一刻も早く取り組むべきと考えます。お尋ねします。
●京牟礼英二観光スポーツ文化部長
文化行政に関する御質問のうち、まず、近代・戦争遺跡の調査・保存についての4点のお尋ねにお答えします。
初めに、戦争遺跡を通じた継承に対する県の認識についてですが、戦争体験者が減少する中、地域の記憶を留める文化財等を通じて、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に継承していくことは重要と考えています。
次に、「戦争遺跡保存全国ネットワーク」の集計において山口県の戦争遺跡がゼロである理由についてですが、同ネットワークが戦争遺跡に該当すると判断した文化財等が本県にはなかったためと考えています。
次に、文化庁の近代遺跡調査における軍事分野に関する経緯についてです。
この調査は、我が国の近代の歴史を理解する上で重要な遺跡について、適切な保護を図るために実施されたもので、本県は24件の施設等を報告し、国は、このうち13件を、その関連性からお示しの4か所にまとめ、詳細調査の対象としたものです。
次に、戦争遣跡の次世代への継承についてです。
本県では、平成10年に刊行した「山口県の近代化遺産」において、軍事分野を含めた調査結果を取りまとめており、また、いわゆる戦争遺跡については国から統一的な定義が示されていないことから、改めて調査を行う予定はありません。
また、文化財への指定については、他の文化財と同様、建造物や史跡としての歴史的、学術的価値等を踏まえて対応することとなります。
山口県史の利活用について
◎木佐木大助議員
2つは、山口県史の利活用についてです。
あしかけ31年、約35億円が投じられた「山口県史」(全40巻)の編さん・出版が昨年度、完了しました。
一般への販売は県庁1階の県刊行物センターが窓口となっています。しかし、残念なことに全40巻のうち、少なくとも6巻は完売して販売できないそうです。せっかく多額の公金と時間、労力をかけた史料です。県民にも広く活用してもらうための方策として、全巻をデジタル化して、インターネットで無料閲覧できるようにすることができないでしょうか。すでに青森県は「青森県史デジタルアーカイブシステム」を公開し、月4万件前後のアクセスがあると聞きます。
「デジタル先進県」を標ぼうする県として、前向きな検討が必要と考えます。伺います。
●京牟礼英二観光スポーツ文化部長
次に、山口県史の利活用についてのお尋ねにお答えします。
山口県史は、昨年度、全40巻の刊行を完了し、公立図書館や学校等の県民に身近な施設に配付して事業を終えたところです。
お尋ねの県史のデジタル化については、県民が図書館等で自由に閲覧できる環境が確保されていることや、インターネットの公開には数千人の著作権者等の許諾を要することから、実施する予定はありません。
◎木佐木大助議員《再質問》
「県史」についてですが、村岡知事は全国知事会の「デジタル社会推進本部長」を務めておられます。その足元でデジタル化をしていないとは、情けない話ではないですか。しかも山口県史は、学問的にも極めて評価の高い、全国に誇るべきものであります。著作権など様々な課題があることは承知していますが、「できない理由」ばかりあげるのではなく、「できる所から取り組んでいく」こういう姿勢が大事だと思いますが、お尋ねをいたします。
●京牟礼英二観光スポーツ文化部長
県史のデジタル化について、様々な課題があってもできるところから取り組むことが大事だとのお尋ねでした。
県史は、県民に身近な施設である県内の公立図書館や学校、他の都道府県立図書館等に配付し、自由に閲覧できる環境を確保していることから、デジタル化を行う予定はありません。
公立大学の運営について
下関市立大学の定款変更の弊害について
◎木佐木大助議員
質問の第6は、公立大学の運営についてです。
山口県が4年前、「法令に照らして問題なし」と認可した下関市立大学の定款変更による弊害と矛盾は深刻化するばかりです。
同大学の経済学部長だった飯塚靖氏が「定款変更したことにより、教授会や教育研究審議会から重要事項の審議権がはく奪された」と批判したことを理由に解任されたのは「無効だ」と訴えた裁判で、山口地裁下関支部は7月11日、「解雇は無効」と断じました。判決では、飯塚理事の大学運営批判は、公益性があり事実に基づく適切な社会的批判であったことを認定しています。
また判決では、下関市が2019年9月、「教育研究審議会から重要な規程の制定及び改廃に関する事項のうち教育研究に関する事項や、教員の採用等に関する事項等について審議する権限を失わせる内容の本件定款変更案を可決した」ことを事実として認定しました。
そして、この定款変更は「教員側から教育研究や教員の採用に関する権限をはく奪し、大学の自治を揺るがす行為であると受け止めたとしても、やむを得ない面があるといえる」と指摘しています。
「大学の自治を揺るがす行為」に等しい定款変更を認可した山口県の判断も裁かれたのと同様です。誤りを認め、地独法122条3項4項に基づいて、最低限の責任を果たすことは緊急の課題です。伺います。
●松岡正憲総務部長
公立大学の運営についての2点のお尋ねにまとめてお答えします。
定款変更については、設立団体である下関市から市議会の議決を経た上で認可申請があり、地方独立行政法人法の規定や、国に準じて定めた県の基準を満たしていると判断して認可したものであり、これに問題があったとは考えていません。
また、大学の業務運営に関しては、大学において自主的・主体的に判断し対応されるべきものであり、県としては、地方独立行政法人法の規定に照らし、指導・助言を行う権限は有していないことか ら 、 責任を果たすべきとのご指摘はあたらないと考えています。
◎木佐木大助議員《再質問》
市立大学問題ですが、山口地裁はこの画期的な判決を下すにあたって、地独法を徹底的に精査しています。
即ち、1つ、地独法2条1項地独の公共性、2、地独法69条大学自治への配盧を、そしてそれらによって3、地独法15条2役員の忠実義務も公益という観点では不可欠だと指摘した上で、飯塚理事の大学運営批判は、公益性があり事実に基づく適切な社会的批判であったことが確定されたわけです。
さらに、研究者の評価・採用は、研究者集団の自主的な相互評価のみに基づく。
この大事な点ですが、この原則は学校教育法第93条2項3項、さらには憲法23条大学の自治・学問の自由の根幹でもあります。
にもかかわらず、いっさい不問にしてきた山口県の無責任は、改めて労働委員会が先ほど認定をしました、中央労働委員会で確定するであろう、下関市立大学における不当労働行為にも繋がっています。
このような状況に対して、あの司法の場でも地独法について研究調査をしている、にもかかわらず山口県はそれを放置をしている。
このことについて、改めて伺います。
●松岡正憲総務部長
公立大学の運営に関しての県の対応についてのお尋ねでございますけども、先ほど答弁いたしましたけども、大学の業務運営に関しては、大学において自主的・主体的に判断し対応されるべきものであって、県としては、地方独立行政法人法の規定に照らして、指導・助言を行う権限は有しておりません。
加えて、お尋ねの中にありました訴訟については、現在係争中であって、判決も確定しておりませんので、県として、対応する考えはありません。
不当労働行為救済命令について
◎木佐木大助議員
次に、県労働委員会が昨年1月31日に下した不当労働行為救済命令についてです。
不当労働行為の命令は4点にわたり、市大理事長は2点について、中労委に対して再審査を申し立てましたが、残り2点(諸手当の誠実交渉義務違反、教員への不当な調査についての誠実交渉義務違反)については、再審査を申し立てていません。
よって、この「残り2点」は、不当労働行為・労働組合法違反が確定しています。
この内容と経過について、ご説明いただきたいと思います。
また、今どき不当労働行為を起こすような法人などは、ブラック企業の典型であり、人権感覚が欠落したガバナンスやコンプライアンスに問題を抱えていると考えますが、ご見解を伺います。
いずれにしても、すべては前田下関市長の暴走に対し、地独法122条3項・4項に基づく是正指導を怠った山口県当局の恐るべき不作為と無責任から始まりました。
この極めて重大な誤りを正し、直ちに権限を発動し事態の掌握と、高等教育機関の機能回復へむけた認可権者としての責任を果たすべきです。見解を伺います。
●原田和生労働委員会事務局長
公立大学の運営についての御質問のうち、不当労働行為救済命令についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、大学が再審査を申し立てていない救済命令の内容と経過についてです。
本事案については、県労働委員会が発した4点の救済命令のうち、2点の取消しを求めて、大学が中央労働委員会に再審査を申し立てていますが、理事会規程など諸規程の制定・改定に関して、また、住居手当等の改定や、外国研修担当教員に対する調査に関して、労働組合との誠実な団体交渉を命じた2点については、再審査を申し立てていません。
しかしながら、4点の命令は、それぞれ関連していることから、この命令の確定については、中央労働委員会が、再審査における大学の主張を踏まえて、今後発する命令において明らかになるものと考えており、現時点、県労働委員会の救済命令は確定していないものと認識しております。
次に、不当労働行為を起こすような法人などに対する見解についてですが、労働委員会は、不当労働行為の審査や労使紛争のあっせんなどを行う公正・中立な第三者機関であることから、見解を申し上げることは差し控えさせていただきます。
(2023年9月28日)