2023年9月議会・一般質問

新型コロナ感染症対策について

コロナ対策の検証について

◎河合喜代議員

質問の第1は、新型コロナ感染症対策についてです。
2020年初頭から日本国内での感染が広がり始めた新型コロナウィルス感染症は、2類相当の3年余りの間に、山口県内でも8回の感染拡大の波が起こり、延べ317,028人が感染し、757人の尊い命が失われました。
今年5月8日から5類に変更されましたが、9月11日から17日の間の学校等における臨時休業報告では、学校で休校1校、学年閉鎖6校、学級閉鎖21校。社会福祉施設等でも8施設で計90人の集団発生が報告されるなど、日々、第9波の不安の中にあります。同時にインフルエンザの流行の兆しもあり、この冬の感染拡大が懸念されます。
新型コロナは、全世界で、人間の心身と生活、社会全体に大きな犠牲と被害をもたらしました。
私たちは亡くなられた人たちのためにも、今回の経験を次に生かさなければなりません。山口県においても、今回の経験をあらゆる角度から検証し、すべての分野で生かしていくことが次の感染症から県民の命と生活を守ることにつながると考えます。
とりわけ、この感染症から県民の命を守るために最前線でたたかわれた、医療・保健所・救急・保育・介護・障害・教育などの分野での苦労と努力は大変なものがあったと思います。こうした分野の現場の声を聞き、集め、次に生かすことが絶対に必要です。
まず県は、これまでの新型コロナ感染の拡大と感染防止策、療養体制などをどのように評価・検証し、これからの県政運営にどう生かしていくのか、お尋ねします。

●村岡嗣政知事

私からは、新型コロナ感染症対策に関して、これまでの評価・検証とこれからの県政運営についてのお尋ねにお答えします。
私は、新型コロナの感染が、本県で初めて確認されてからこれまで、県民の命と健康を守ることを最優先に、関係機関との緊密な連携の下、実効性のある感染症対策に取り組んできたところです。
具体的には、県民の皆様に安心・安全に暮らしていただけるよう、感染の状況に応じた対処方針をお示しするとともに、1日約3万件の検査や約8千人の患者に対応できる外来診療の体制に加え、688床の入院病床を確保するなど、しっかりと対応してまいりました。
幾度にわたる感染拡大に適切に対応できたことは、県民の皆様のご協力の下、県下一丸となって取り組んできた成果であり、私は、こうした成果を踏まえ、今後起こり得る新たな感染症に、確実に備えることが重要と考えています。
このため、新型コロナ対策に携わった、医療をはじめとした分野ごとに、これまでの経験を振り返るとともに、関係団体で構成する県感染症対策連携協議会において、感染症予防計画の改定などに取り組み、次の新たな感染症に対応できる体制づくりを進めているところです。
私は、引き続き、関係機関と緊密に連携し、新たな感染症への対策に万全を期してまいります。

◎河合喜代議員《再質問》

検証を感染症対策連携協議会などでやられているということも言われましたけれども、今回、本当に未曾有の大変な事態だったわけですね。
あれだけの残業時間を、本当に死に物狂いで、保健所の皆さんが頑張ってこられました。また、保育園も本当に大変でした。
私は、医療、保健所、救急、保育、介護、障害教育の各分野の末端で働いている人たちの声が大事だと思うんです。これをしっかりと汲み取る今回の検証の仕方をしなければならないと思います。
この感染症対策連携協議会でも、委員から、看護師の応援派遣など、今般のコロナ対応に取り組んだ団体等を議論に加えてはどうかという意見も出されています。もっと幅広く、検証に現場の声が反映されることがどうしても必要だと思います。
全員がその会議に出るということは大変困難です。そう|いう点では、各現場の職員の皆さんへのアンケートの実施も検討すべきではないでしょうか。見解をお尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

河合議員の再質問にお答えします。
まず、新型コロナ感染症対策につきまして、これまでの評価。検証という部分で、現場の方々へのアンケートを実施して、生の声を聞くべきではないかというお尋ねでございました。
これまで、医療をはじめとした各分野での、感染対策に現場で関わる方々から、協議会ですね、県感染症対策連携協議会のほか、保健所ごとの圏域会議などの場を通じ、直接、貴重なご意見等を伺っているところでございまして、現場の方々へのアンケートについては、実施する考えはございません。

保健所の体制について

◎河合喜代議員

2つは、保健所の体制です。
新型コロナ感染症禍における保健師の業務内容は、相談対応、検査・受診調整、積極的疫学調査、陽性者の入院療養調整、濃厚接触者の特定・健康観察、陽性者の所属集団の感染拡大防止対策、クラスター対策等と多岐にわたっています。
新型コロナの第7波、8波の期間は、とくに、保健所職員の業務は過酷を極めました。資料1のように、まん延防止等重点措置が発令された22年1月には、時間外勤務が過労死ラインを超える100時間以上は、健康福祉センター全体では88人、うち保健所は79人、200時間以上は同じく38人で、保健所は37人、最も多い職員は312時間を超えました。本庁各課や市町から応援にかけつけた職員は16446人に達しています。
こうした状況を踏まえ、県が山口環境保健所防府支所を保健所に格上げするなど、保健所全体で、職員は49人、内保健師は22人増員したことは評価しますが、それでは不十分です。
来年度に向け、保健所体制の拡充、とくに職員、保健師の増員にどう取り組まれるのか、お尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

新型コロナ感染症対策についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、保健所の体制についてです。
新型コロナの感染拡大に伴い、保健所では業務が増大し、大きな負担が生じたことから、県では、これまで、保健師の増員や庁内外からの職員の応援派遣等により、体制の強化を図ってきました。
県としては、今後とも、新興感染症への対応など、保健所に求められる役割をしっかりと果たすことができるよう、引き続き、適切な業務執行体制を確保してまいります。

◎河合喜代議員《再質問》

今回現場で命がけで尽力された人達が一番望んでいるのは、体制の強化・拡充ではないか。来年度の保健所職員総数、何人の見込みか、もう1度お尋ねする。今年が220人、それよりも増えると期待している。保健所の支所を減らす前の時には、保健所の職員は全体で280人いて、公衆衛生を守ってこられた。感染症に重要な検査技師も、この間相当に減っている。感染症対策連携協議会でも、環境保健センターにおける検査について、より迅速化できないか等の意見も出されている。せめて、かつての保健所支所を復活させる規模まで拡充することが、県民の身近で対応できる保健所の仕事として重要であるし、そうすれば職員の負担も軽くなる。削減前の体制に戻して、職員を抜本的に増員するよう、改めて県の見解をお尋ねする。

●國吉宏和健康福祉部長

これまで行ってきた保健所の定数の見直しは、地域保健法の施行に伴う県と市町村の役割分担の見直しや、市町村合併の進展等を踏まえて行ってきたものです。
来年度の増員数は現時点でお示しすることはできませんが、保健所の業務が増大した際には、これまでも、職員の増員や応援体制の確保等により、必要な体制強化を図っているところであり、今後とも現場の状況やニーズ等を踏まえて、適切に対応してまいります。

医療体制について

◎河合喜代議員

3つは、医療体制です。
パンデミックで一番怖かったのは医療の崩壊です。感染しても医療につながれない状況がいかに怖いかが全国で起こりました。幸い山口県では医療につながれず亡くなられた方はいなかったと聞いています。医療、保健所、救急などの現場のみなさんの尽力があったからこそ思います。
医療現場にも相当な負荷がかかり、宿泊療養施設や自宅での療養を余儀なくされる患者も少なくありません。
5類移行後も、医療のひっぱくが不安視され、国、県は、注意喚起基準を決めました。それ自体は私たちも求め、必要なことです。
しかし、新型コロナで病床ひっ迫の怖さを経験したにもかかわらず、一方で「地域医療構想」による病床削減の取り組みは粛々と進められています。この7年間に新型コロナ感染症の重症・中等症患者を受け入れる高度急性期・急性期の病床は9968床から1250床も減りました。これから2025年までにさらに2887床減らす計画となっています。言語道断ではないでしょうか。しかも国は医療機関への支援を縮小・廃止しようとしています。
感染の再拡大に備え、地域医療構想はキツパリと中止し、県として十分な医療体制を整備し、医師看護師等の確保に全力を挙げるべきです。また、国に対し医療機関への支援を継続するよう求めるべきです。見解をおたずねします

●國吉宏和健康福祉部長

次に、医療体制についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、医療体制の整備についてです。
国においては、コロナの感染拡大により、病床の機能分化・連携等の重要性が改めて認識されたことから、新興感染症等の感染拡大時には、医療計画に基づき対応することとし、地域医療構想については、基本的な枠組みを維持しながら、着実に取組を進める必要があるとされています。
県としては、こうした国の方針の下、対応することとしていますが、地域医療構想は、病床の削減を目的とするものではなく、地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化・連携等を図るものであることから、引き続き、構想の実現に向けて取り組むこととしています。
次に、国への支援の要請についてですが、県では、全国知事会等を通じて、入院病床の適切な確保・運用や、院内感染対策に必要な設備整備への支援を国に要望し、今般、感染状況に応じた、病床確保料や設備整備への支援が継続されることとなったところです。

◎河合喜代議員《再質問》

国は、地域医療構想は削減ありきではないと言いながら、2025年までに高度急性期。急性期病床だけでも、さらに2,887床減らす目標になっています。そして、基本的な枠組みは維持しながらと、国が言っていることについて非常に懸念しています。
下関医療圏地域医療構想調整会議「第2次中間報告」に対して、医師、歯科医師等で構成される団体から次のような意見が出されています。「過度な病床削減は、パンデミックヘの対応が困難になります。安易な病床削減は地域の医療崩壊に直結することから、これらの点も考慮した再編計画が重要です。病床稼働率が平時で80%を超えると、緊急時の病床確保が難しくなることも考慮する必要がある」と意見されており、県全体の病床のあり方に通じる観点だと思います。
 今回の新型コロナを経験し、今後も新たな変異株やパンデミックが起こったときに、急性期病床がこんなにも減らされたら、命は守れません。
現在、医療機関から報告があがっているものも含めて見直すこと。また、病床稼働率が平時で80%を超えない体制を維持できるよう国に求めること。以上の見解を求めます。
そして、地域医療構想はあくまでも県が決めるものであるから、私は平時で80%を超えない体制を維持する病床の計画を、県が主体性を持って決めるべきだと考えます。

●國吉宏和健康福祉部長

医療体制についての再質問にお答えします。
現行の構想の病床削減について、県が主体的に見直しを図るべきではないかというお尋ねでしたが、繰り返しになりますが、地域医療構想は、病床の削減を目的とするものではなく、今後の人口減少。高齢化に伴う医療ニーズの変化や労働力人口の減少を見据え、地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化・連携等を図るものです。
構想の推進に向けては、医療機関相互の協議と自主的な取組を基本に、医療圏ごとの地域医療構想調整会議での議論を踏まえて取り組んでいるところであり、 見直しを行うことは考えていません。

検査体制の再構築と検査・治療費の無料化について

◎河合喜代議員

10月から様々な支援が打ち切られ、患者負担が増えます。感染症のいろはは、感染者を早期に発見し早期に隔離、治療することです。注意喚起をしてもあくまで県民に気をつけてもらうことしかできず、感染爆発が起こらない保障はありません。起これば病院と保健所は大変なことになります。物価高騰の中、経済困窮が広がっています。検査も治療も早期に無料で受けられることが感染拡大を防ぐために何より有効です。検査体制の再構築と無料化を国に求めると同時に県としても実施すべきです。見解を求めます。
また、クラスターが増加しています。障害者、高齢者、保育施設などでの定期検査を行うべきです。見解をお尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

次に、検査体制の再構築と検査・治療費の無料化についてです。
国は、5類変更にあたり、抗原定性検査キットが普及したことや、他の疾病との公平性を踏まえ、検査体制や治療費等に対する公費支援を、5月7日で終了しました。
なお、高額なコロナ治療薬については、10月以降も公費支援を継続するよう、全国知事会等を通じて、国に要望してきたところ、国は、年齢や所得に応じた一定の自己負担を求めつつ、公費支援の継続を決定しました。
こうした、検査体制や治療費等の公費支援に関する国の対応は、適切な判断と考えていることから、改めて国への要望や県独自での支援は考えていません。
次に、障害者施設等における定期検査についてですが、重症化リスクが高い入所者を守るために必要であることから、今後も、障害者施設や高齢者施設の従事者に対する定期検査を、継続してまいります。
なお、その他の施設については、他の疾病との公平性を踏まえ、 現時点では、 定期検査は必要と考えていません。

◎河合喜代議員《再質問》

それから患者負担についてです。
10月からさらに物価が上がると報道されています。経済的困難から、受診控えが起きることが心配されます。
軽減をしたとはいえ、まだ自己負担がやっぱり出てくるわけです。
この、受診控えは、重症化や感染拡大につながります。
検査・治療費の負担を軽くして、受診しやすい環境を続けることが、やっぱり大事だと思うんです。
この点、改めて国に求めるべきだと思います。
適切な対応と考えていると仰いましたけれども、ここは、もう一度国に求めるよう、求めたいと思います。

●國吉宏和健康福祉部長

検査体制の再構築と検査・治療費の無料化について、改めて、国に求めるべきではないか、というお尋ねでございました。
国は、5類変更にあたり、入院勧告や外出自粛要請などがなくなることから、他の疾病と同様に、原貝リ、治療費等の自己負担を求めることとしました。
この対応は、適切な判断と考えておりますことから、改めて国へ要望することや県独自の支援は考えていません。

学校給食の無償化について

◎河合喜代議員

質問の第2は、学校給食の無償化についてです。
実質賃金の低下が続く「失われた30年間」で、子育て世代は厳しい経済状況の中に置かれ、大学の学費高騰も含め、教育費の負担軽減は強い要求です。
その上、消費税の引き上げや新型コロナによる経済不安定化、円安による物価高です。小中学校の9年間の教材費や学校給食費は月々1万円前後、うち給食費は半分の月4500円から5000円です。年間では子ども1人で約12万円以上、2人で24万円、理想とされている3人を育てるには、これだけで年間30数万円もかかります。
小中学校の9年間だけでも、これだけの負担です。教育費負担の重さが少子化の大きな要因の一つであることは明らかです。社会として、膨大な教育費を負担させ、子育てを自己責任にしてきた構造全体を改めていくべき時にきています。とくに教育の一環でもある給食費の負担軽減はその中で大きな位置を占めています。
こうした点から、県内自治体では19市町中、8市町が給食費の無償化を行っています。
6月議会で私の質問に、「設置者が実情に応じて判断することが基本」と突き放されました。「設置者の実情」についてどのように把握されていますか。また、千葉県などは第3子以降の給食費無償化への支援を始めました。県としても検討すべき時期ですが、伺います。

●木村香織副教育長

学校給食の無償化についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、設置者の実情について、どのように把握されているかとのお尋ねですが、国の調査等により把握しており、無償化を行っている市町においては、子育て支援や定住促進などを目的に実施されているところです。
次に、県として、給食費無償化への支援を検討すべき時期だがどうかとのお尋ねですが、小・中学校の給食費の無償化については、あくまでも、設置者が、それぞれの実情に応じて判断するのが基本であると考えていますので、現時点、検討することは考えていません。

◎河合喜代議員《再質問》

学校給食費の無償化の問題です。ゼロ回答でしたね。学校給食費の経済的負担が少子化の一因になっているという認識はありますか。伺います。

●木村香織副教育長

学校給食の無償化について、学校給食の経済的負担が少子化の一因になっているという認識はあるのかとのお尋ねでありました。
少子化対策、これは大変重要と考えていますけれども、子育て支援を目的に独自で無償化に、無償化を行っている市町もありまして、あくまでも、繰り返しになりますけども、小・中学校の給食費の無償化については、設置者が実情に応じて判断するのが基本であると考えています。

◎河合喜代議員《再々質問》

再々質問いたします。たくさん聞きたいことがありますけれども、子ども医療費の助成制度と学校給食費について再々質問いたします。知事は、今議会の代表質問で少子化対策について問われ、安心して生み育ててもらえるよう市町と連携して取り組むと答弁をされております。少子化対策は、県の今最重要課題ではないのですか。市町も同じなんです。だから、学校給食費の無償化や子ども医療費の助成を単独でも一生懸命取り組んでいるわけです。経済的な負担の重さが少子化の大きな要因になっているとの認識を持っていらっしやるのか改めて聞きます。そして、どうして市町と一緒に子育てを応援しよう、県も加勢しようとならないのでしょうか。
私は本当に残念です。どうすれば、この子ども医療費の無料化や学校給食の無償化に市町と一緒に応援するということになるのか、その点をお聞きします。

●木村香織副教育長

学校給食の無償化についてでありますけども、繰り返しになりますけども、小・中学校の給食費の無償化については、設置者が実情に応じて判断するのが基本であると考えておりまして、現時点、検討することは考えておりません。

子どもの医療費助成制度の拡充について

◎河合喜代議員

質問の第3は、子どもの医療費助成制度の拡充についてです。
乳幼児医療費助成制度が始まって、50年。2004年には対象を小学校就学前まで拡充し、当時は日本1の水準を誇りましたが、以来、据え置かれたまま。同年度の乳幼児医療費助成制度の予算は14億1800万円、予算総額に占める割合は0.19%、今年度の予算は約6億円、0.08%と激減しているのです。
6月議会での質問に対し、「将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本」と何度も同じ答弁を繰り返されました。改めてお聞きします。現行水準とは何を基準に現行水準といわれているのですか。
予算に占める現行水準というのであれば、予算に占める割合に応じて予算を確保することが現行水準を維持するということではありませんか。お尋ねします。
今議会の代表質問に対する答弁でも、知事は「県としてきめ細かい施策にとりくむ」「安心して生み育ててもらえるよう市町と連携してとりくむ」旨、答弁されました。この子ども医療費助成こそ市町が連携してとりくみたいきめ細かい施策ではありませんか。お尋ねします。
また、国は、全国の自治体が対象年齢の拡大に取り組んでいることを踏まえ、同制度に対する国民健康保険へのペナルティを廃止する方向性を確認しました。この理由と背景をどう考えているか、お尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

次に、子ども医療費助成制度の拡充についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、本県の乳幼児医療費助成制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的としており、現行水準とは、対象者や一部負担金等の現在の制度の基準であり、予算に占める割合ではありません。
次に、各市町における子どもの医療費助成の取組については、それぞれの自治体が、財政状況や住民ニーズなどを勘案して独自に判断されているものと受け止めています。
また、国民健康保険の子どもの医療費助成に係る国庫負担の減額調整措置については、地方自治体の財政負担の軽減を図る観点から、国が廃止を検討しており、県としては、これまで全国知事会等を通じて要望してきた結果と考えています。

◎河合喜代議員《再質問》

そして子ども医療費助成です。現行水準とは、対象者と一部負担金であり、予算の割合ではないとおっしゃいました。本県の乳幼児医療費助成制度は、当初、子育て家庭に対する経済的支援として、一定の所得制限のもと、医療費の自己負担分について、市町と共同して助成する事業として、県・市・町で協議会を設置され、県と市町で拡充してきたという歴史があります。しかし、平成21年、2009年、県が財政難を理由に一部自己負担を導入し、それ以降この協議会は開かれていません。市町と手を鑿いで、ともに子ども医療費助成制度の拡充に取り組んできた、その手を県が放してから、14年経ちました。この間、市町は単独でこの医療費助成制度を小学校、中学校、高校卒業までと拡大させてきています。県が市町と共同して取り組んでいた頃にたちかえって、市町と連携して山口県の子供たちの命と健康を守り、子育てを支援すれば、市町との信頼が今以上に強まり、県政運営にも必ずプラスになると考えます。見解を問います。予算に占める割合を2004年度当時の、予算に占める割合でいけば、現在の2倍以上の予算となります。
いいですか、維持するためには、この現行水準を守っていくとおつしやったわけです。予算はもう、比率からいえば半分になっているわけです。十分維持できるわけですから、やはり予算の比率でいくべきです。この予算を2倍にすれば、就学前までから小学校卒業前までに拡大することが可能です。せめてそこまで市町と共同すべきではありませんか。お尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

子ども医療費の助成制度の拡充についてのお尋ねでございます。
各市町の取組については、それぞれの自治体が、財政状況や住民ニーズなどを勘案して、独自に判断されているものと受け止めていますが、県市長会においては、国における全国一律の子ども医療費助成制度の創設を要望されていることも踏まえ、 全国知事会等を通じて、県としては、その旨、国に要望しているところです。

◎河合喜代議員《再々質問》

知事は、本議会の代表質問で、少子化対策について問われ、安心して生み育ててもらえるよう市町と連携して取り組むと答弁をされております。少子化対策は、県の、今、最重要課題ではないのですか。市町も同じなんです。だから、学校給食費の無償化や、子ども医療費の助成を単独でも一生懸命取り組んでいるわけです。経済的な負担の重さが少子化の大きな要因になっているとの認識をもっていらっしやるのか、改めて聞きます。そして、どうして市町と一緒に子育てを応援しよう、県も加勢しようと、ならないのでしょうか、私は本当に残念です。どうすれば、この子ども医療費の無料化や学校給食費の無償化に、市・町と一緒に応援するということになるのか、その点をお聞きします。

●國吉宏和健康福祉部長

河合議員の再々質問にお答えします。
本県の制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて助成しているものでありまして、将来にわたって持続可能な制度とするため、現行水準を維持することが基本であると考えています。

ジェンダー平等の推進について

国の処遇改善事業について

◎河合喜代議員

質問の第4は、ジェンダー平等の推進についてです。
性的マイノリティの人たちの尊重と権利の向上は当たり前の課題として、今回は女性の比率が高い介護職の賃金引き上げなどの処遇改善をとりあげます。
新型コロナによるパンデミックの中も、医療・保健所と同様、高齢者の命と生活を守るために尽力され、高齢者の日常生活を献身的に支えてこられたのが介護現場で働くみなさんです。
特に新型コロナに感染しながら、在宅療養や介護施設で療養を余儀なくされた患者さんのケアも自らが感染しないよう様々な業務に従事し、身体的・精神的に大変な状況だったと想像します。家族からの感染で入所者さんへの感染を心配して何日も自宅に帰れなかったという介護職員もおられました。あらためて介護の仕事の重要性が認識されたにもかかわらず、社会問題となっている処遇改善は遅々として進んでいません。
1つは、国の処遇改善事業についてです。
国は世論に押され、この間、介護職員の処遇改善に不十分ながらも重い腰を上げました。昨年2月からの「介護職員処遇改善支援補助金」として月9000円の引上げを決めました。
これによって県内の介護労働者の賃金は月平均でいくら上がりましたか、お尋ねします。
東京都福祉保健局が、厚労省の介護給付費等実態統計をもとにまとめた介護職員処遇改善加算の取得状況によると、全国平均は92.9%、山口県は88.2%、中四国9県中最低です。
平均賃金月額も月給の場合は24万3403円と中国5県で3位ですが、時間給は1104円と最低です。
この現状をどうとらえていますか、全ての介護職員の処遇改善を進めていくため、今度、どう取り組まれるのか、あわせて伺います。

●國吉宏和健康福祉部長

国の処遇改善事業についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、「介護職員処遇改善支援補助金」による県内の賃金改善額については、国の調査によると、介護職員の基本給等について、全国で9, 210円の賃金改善となっていますが、無作為抽出調査であり、都道府県別の内訳は公表されていないことから、県内の賃金改善額については把握していません。
次に、介護職員の処遇の現状及び今後の取組についてです。
県内の加算取得率の現状等を踏まえ、介護職員の処遇改善を図る必要があることから、施設管理者向けの研修、社会保険労務士などの専門的な相談員の派遣等を通じて、介護職員処遇改善加算制度の周知や助言に、引き続き努めていくこととしています。

◎河合喜代議員《再質問》

介護職員の処遇改善です。
介護職の地位向上は、先日も、県は賞を作って、介護労働者の皆さんを本当に地位向上に、とやられています。それはやはり必要なことですけども、それだけでは地位は上がりません。やはり賃金、仕事に見合う抜本的な処遇改善が不可欠なのです。山口県はそれをちやんと評価しているということを賃金で示す必要があると思うのです。山口県は、この間、今年からですか、中小企業事業所への賃上げ支援制度を創設、県独自で取り組まれるということをされました。私たち、本当に歓迎していますし評価しています。この取組をケア労働者に、まずはこの介護労働者に特化して制度として作ることはできませんか。お尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

介護職員の処遇改善を含めた介護保険制度については、国の責任において十分な議論のもと制度設計されるべきものであり、県独自の支援は考えていません。

男女共同参画センターについて

◎河合喜代議員

2つは、男女共同参画センターについてです。
「男女共同参画社会基本法」が制定されて久しいですが、この法律の目的は何ですか。改めてお尋ねします。
また、男女共同参画社会づくりを推進する拠点として、全国都道府県に設置されている「男女共同参画センター」の役割を県はどう位置付けておられますか、お尋ねします。
国の男女共同参画局のホームページには、都道府県と政令市の男女共同参画センターが紹介されていますが、何故か、山口県と宮城県だけ、掲載されていません。山口県の男女共同参画センターは、現在どういう位置づけになっているのでしょうか。お尋ねします。
先月、大阪府と吹田市の男女共同参画センターを視察する機会がありました。
吹田市の人口は44万人余ですが、センターに入ると、まず情報ライブラリーが設けられ、ビデオ、CD、紙芝居、行政資料などなど約3万点の資料が閲覧できます。大阪府のセンターも同様で、蔵書4万4千冊、行政資料1万1千冊が揃い、映画上映もしていました。
子どもから高齢者まで、男女問わず多様な「性」や障がいについても学べるライブラリーとなっており、府民・市民の困ったことや悩み、疑問に答えたり、何より様々な分野の人権問題を学ぶことのできる情報が揃えてあります。
男女共同参画社会を推進していくためには、まず、県民が知ることが重要です。そのためには、情報の収集と発信が必要です。こうした他県の情報ライブラリーを参考に「カリエンテ山口」の情報ライブラリーを再整備することが当面、必要ではないでしょうか。見解を問います。

●藤田昭弘環境生活部長

男女共同参画センターについての数点のお尋ねにお答えします。
まず、「男女共同参画社会基本法」の目的については、男女が、互いにその人権を尊重しつつ責任を分かち合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を実現することです。
次に、「男女共同参画センター」の役割と本県の位置付けについてです。
当該センターは、男女共同参画のための総合的な施設として、相談や交流・人材育成など地域の様々な課題に対応する役割を担うものですが、本県では、センターの設置は行っておらず、山口県婦人教育文化会館「カリエンテ山口」をその役割を果たす拠点として位置付けています。
次に、「カリエンテ山口」の情報ライブラリーの再整備についてです。
県では、本年1月の山口県女性団体連絡協議会からの要望を踏まえ、現在、会館の機能充実に向けて、所有者である一般財団法人山口県婦人教育文化会館から御意見をお聞きしているところであり、今後、どのような取組や支援ができるか検討することとしています。
なお、男女共同参画に関する情報の収集と発信については、引き続き、山口きらめき財団などと連携しながら取り組んでまいります。

◎河合喜代議員《再質問》

男女共同参画センターの情報ライブラリーです。これは、私、視察した先の支所の方が、「ここは公共図書館とは違う役割を担っています。男女共同参画、男女平等、すべての人の人権の推進のために、情報の力で県民をサポートする目的を持っています。」と語られたのが、大変印象深く残っています。これが今無いんです、山口県にね。ですから、今から、きらめき財団の皆さんや女性団体の皆さんとも協議をしていく、検討していくとおつしやいましたけれども、ぜひ、この情報ライブラリー、これの設置と拡充、心から期待をいたします。ぜひ、検討課題の中に入れてください。検討課題の中に入れていただけるかどうか、その点をお聞きします。

●藤田昭弘環境生活部長

男女共同参画センターに関連しまして、その役割を果たしているカリエンテ山口の情報ライブラリーの再整備を検討課題としてほしいということでございました。
現在、カリエンテ山口の機能充実に向けて、所有者である一般財団法人婦人教育文化会館から御意見をお聞きしているところでありまして、今後、どのような取組や支援ができるか検討することとしております。

使用済み核燃料「中間貯蔵施設」について

◎河合喜代議員

質問の第5は、使用済み核燃料「中間貯蔵施設」についてです。
地方自治体の地域振興とは何かという観点から伺います。
「上関町のまちづくりは上関町が決める」ことは当然です。しかし、自治体運営をする上で、全国各地の自治体の成功や失敗から教訓を学び、それをこれからの施策に生かすことが必要だと考えます。夕張市の破綻は、その原因と経過、住民生活に与えた影響などで、注目され、わが事として教訓にした自治体は多かったと思います。
今回、使用済み核燃料「中間貯蔵施設」の立地可能性調査を受け入れた上関町の町長は、「町の人口は年間百人減少し、高齢化率も中国5県で一番高い状態だ。このままでは住民支援策も近い将来できなくなる。持続可能なふるさと上関町を次世代につなげることが私の使命だ」と述べています。
だから、調査を受けいれて交付金をもらいたい、さらに、「貯蔵施設」が立地すれば受けとれる巨額の交付金も魅力的に見えるのでしょうが、本当に、そんなことでよいのでしょうか。
1つは、特別な交付金がなければ、「住民支援策も近い将来できなくなる」ということがありえるのか、です。
日本の地方自治制度には、人口規模に応じて、必要な住民サービスを実施するための財源を保障する地方交付税制度があります。度を越した放漫運営やムダ使いをしない限り、どこに住んでいてもナショナルミニマムは保障されると考えますが、伺います。

●永富直樹総合企画部長

使用済み核燃料「中間貯蔵施設」に関して、地方交付税制度等についての2点のお尋ねにお答えします。
まず、地方交付税制度についてです。
地方交付税は、自治体毎に人口や世帯数等に応じて算定される標準的な財政需要に対し、これに必要な財源に係る自治体間の財源の不均衡を調整し、どの地域に住む国民にも一定の行政サービスを提供できるよう、各自治体の財源を保証するための制度ですが、算定に用いる人口等の数値が減少した場合には、経費支出の実態にかかわらず〈保証される財源は、機械的に減額されることとなります。

◎河合喜代議員

2つは、特別な交付金によるハコモノ建設は地域振興につながるのか、です。
上関町には、原発建設に向けた事前調査の実施を要請した1984年から2021年までの37年間に電源立地地域対策交付金、広報・調査等交付金、原子力発電施設等立地地域特別交付金等合計76億円の「特別な交付金」が入りました。
それに加え、中国電力からの36億円の寄付金までもらい、合わせて112億円もの「特別な収入」がありました。
もちろん、高校卒業までの子ども医療費無償化、小中学校の給食費無償化など住民負担の軽減にも力を入れていますが、多くは大型事業に投じられてきました。公共事業費が年間予算の4割を占めていたこともあります。
しかし、人口は1982年の6478人から2022年は2163人と、3分の1に激減しました。交付金や寄付金など「特別の収入」でハコ物を作っても地域の振興にはつながらなかった。
一方、1982年当時、ほぼ同じ人口規模の阿武町の人口は2946人と半減にとどまっています。「特別な収入」はありませんでしたが、スイカやキウイ、梨など農産物の振興に力を注いできたことで移住者も増え、社会的な人口減少に歯止めをかけています。「定住、移住者を増やすという町の方針にそぐわない」と国が進めようとしたイージスアショア設置にも断固、反対を貫きました。
上関町はご存知のとおり、NHK朝ドラ「鳩子の海」の舞台となった場所です。「浪漫あふれる海峡の町」「花咲く海の町」が町のうたい文句です。近世には海上交通の要衝で、北前船や朝鮮通信使の寄港地で、丘の上には戦国時代、村上水軍の海賊城だった上関城跡があり、史跡もいたるところにあります。何より美しい海は最大の町の魅力です。中間貯蔵施設ができれば原発交付金で作った温泉も道の駅も今よりもにぎわいが減ることは想像にかたくありません。
今の地方自治法のもと、地方交付税制度がある中で上関町長が「まちが存続できなくなる」と発言されましたが、そのようなことがありえるのでしょうか。見解をお尋ねします。

●永富直樹総合企画部長

次に、上関町長の発言についてです。
上関町長は、今後も人口減少・高齢化が進み、税収の減少や社会保障経費の増加など、町を取り巻く環境が一層厳しくなるとの見通しの下、お尋ねにあった発言をされたものと考えますが、町政を預かる責任ある立場からのこうした発言に対し、県は、見解を述べる立場にありません。

◎河合喜代議員《再質問》

中間貯蔵施設についてです。長崎県対馬市の比田勝尚喜市長が27日、高レベル放射性廃棄物の最終処分場について、国の選定プロセスの文献調査を受け入れないと表明したことは、私たちに自治体の首長の在り様を学ぶ場となりました。
対馬市長は市議会で文献調査を受け入れない理由について、①受け入れの是非について市民の分断が起こっており市民の合意形成が十分でない、②風評被害が少なからず発生すると考えられる、③地震等での放射能の流出にも現段階では排除できない、と述べられています。また、その後の記者会見の席で、受け入れなかったら20億円の交付金が入ってこないことを問われたのに対して、風評被害が起きれば水産関係では一割でも16億円近く、観光産業でも18億円くらいの被害が出る。20億円の交付金ではなかなか代えられない、と述べられました。
そして最後に、今後、対馬市が財政的に困れば、ふるさと納税で応援したい、対馬市の子どもたちが胸を張って対馬の子どもですと言えるようになります、という励ましのメールもあったことを明らかにされました。そして、その言葉に感謝していると語られました。
今、山口県知事に、上関町の中間貯蔵施設の立地可能性調査や施設の受け入れの判断を求められているわけではありませんけれども、住民の命と暮らしに責任を負う同じ首長の立場として、対馬市長の今回の判断と言葉をどう受け止めておられますか。首長である知事の見解を問うて、2回目の質問といたします。

●永富直樹総合企画部長

中間貯蔵施設についての再質問にお答えします。
対馬市長の意向表明に関するお尋ねについてです。高レベル放射性廃棄物の処分地選定プロセスに係る文献調査に関する対馬市長の意向表明については、報道等で承知していますが、こうした、自治体の長としての意向に関する事柄について、県として見解を述べる立場にはないと考えています。

(2023年9月29日)

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