期間内に埋立工事を竣功できなかった理由に「合理性なし」
村岡知事は、中国電力が上関原発新設のために申請した埋立免許の延長の許可要件の1つに、「指定期間内に工事を竣功できなかったことに『合理的理由』があること」をあげていました。
この点について中国電力は、①既設原発の新規制基準で断層などに対する審査が厳しくなり、埋立予定地で海上ボーリング調査を実施する必要性が出た、②埋立てしまうと調査ができなくなるため、指定期間内に工事を竣功できなかった、と説明しています。
木佐木議員は、新規制基準に対応するための断層評価の手法に取り上げられた「鉱物脈法」は2013年6月、原子力規制委員会が公表した「審査ガイドライン」に明記されていたことを指摘し、「中国電力が『鉱物脈法』による陸上ボーリング調査を開始したのは2017年6月。ガイドラインの公表後、すぐに調査着手していたら海上ボーリング調査も終了していたはず。今になって、海上ボーリング調査が必要になったことを期限内に竣功できなかった理由にすることには一遍の合理性もない」と厳しく質しました。
そして、知事が、中国電力の公有水面埋立免許の延長を7月26日、許可したことは「原発回帰」を強める財界・大企業と、安倍自公政権の意を忖度した政治判断であることは明らかであり、行政の公平性・中立性を著しく欠いたものであり、許可を取り消し、不許可処分にすべきだ、と迫りました。
竣功できなかった「合理性」示せず
森若土木建築部長は、中国電力からは、①上関原発で「鉱物脈法」が適用できるかどうかを2016年8月上旬まで検討を行い、同月下旬に同手法によるボーリング調査の実施を決定、②陸上ボーリング調査を実施したところ、安全審査に万全を期す必要があると判断し、2019年5月下旬、海上ボーリング調査の実施を決定した、等の説明を受けていると述べ、「海上ボーリング調査の実施を決定するまでの経緯に関する主張に合理性があり、期間延長に正当な事由があると認められたため、延長を許可した」と強弁しました。
他電力の対応と比べ、中国電力はなぜ4年かかったのか、「確かな根拠」示せ
再質問に立った木佐木議員は、原発再稼働を急ぐ電力各社は、新規制基準に基づく申請を行うため、「鉱物脈法」を用いた断層評価を行い、九州電力は2014年9月、関西電力は15年2月、四国電力も15年7月には審査書を作成し、原子力規制委員会に提出していることを指摘。
電力各社が速やかな対応をしているのに比べ、「上関原発建設は悲願」と繰り返し言明している中国電力が、「鉱物脈法」を用いたボーリング調査の実施を決定するまで4年を費やし、今になって「海上ボーリング調査のため埋立ができなかった」と主張することに、どんな合理性があるのか、確かな根拠を明らかにせよ、と迫りました。
「合理性の確かな根拠」全く示せず
森若土木建築部長は、1回目の答弁を繰り返し述べ、「海上ボーリング調査の実施を決定するまでの経緯に関する中国電力の主張に合理性がある」と述べるだけで、「合理性の確かな根拠」は全く示すことができませんでした。
(2019年9月26日)