2023年12月議会一般質問

◎木佐木大助議員

日本共産党の木佐木大助です。質問に入る前に、一言申し上げます。
自民党派閥の政治資金パーティー券収入を巡り、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が巨額の裏金づくりをしていた疑惑が浮上しました。発端は昨年11月の「しんぶん赤旗」のスクープでした。
所属議員が販売ノルマを超えて集めた分の収入を政治資金収支報告書に記載せず、議員側に還流させるキックバックが組織的に行われていたとされます。裏金総額は2022年までの5年間で1億円以上とみられます。他派閥でも同じ手法の裏金づくりがあったと報じられており、自民党全体にかかわる重大問題です。しかし、岸田文雄首相は徹底解明に後ろ向きです。
岸田首相は、全容を解明して国民の前に明らかにすべきです。同時にパーティー券の購入を含めて企業・団体献金の禁止が急務だと指摘し、通告に従い一般質問を行います。

パレスチナ問題について

◎木佐木大助議員

質問の第1は、知事の政治姿勢についてです。
今年10月7日のイスラム抵抗運動(ハマス)のイスラエルに対する攻撃を直接的な契機として、イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザ地区に対する無差別爆撃と地上侵攻で多くの民間人の命が奪われ続けられていることに多くの県民が憂慮を深めています。
こうした中、10月26、27日の2日間、国連総会の緊急特別会合が開かれ、「即時、持続的な人道的休戦」を求め、イスラエルとハマスの双方をはじめ全ての当事者に対し、国際人道法の遵守と、ガザ地区への必要不可欠な物資とサービスの「継続的、十分かつ妨害のない」提供を要求する特別決議が採択されました。また、捕虜となっている全ての民間人の「即時かつ無条件の解放」を求めるとともに、国際法にのっとった安全、福祉、人道的な処遇を要求しています。
県民の憂慮に応え、知事としても、同決議の早急かつ完全な履行を求める意思を表明すべきと考えますが、見解を尋ねます。

●村岡嗣政知事

私からは、イスラエル・パレスチナ情勢についてのお尋ねにお答えします。
国においては、この度の事態について、ハマス等によるテロ攻撃を断固として非難した上で、人質の即時解放と一般市民の安全確保、全ての当事者が国際法を踏まえて行動すること、そして、事態の早期沈静化を一貫して求め、外交努力を続けられています。
こうした方針の下、お示しの決議について、国は、今回の事態悪化の直接の原因である、ハマス等によるテロ攻撃や人質拘束への非難がないなど、全体として内容面でバランスを欠いているとされ、総合的に判断し、棄権されたものと承知しています。
私は、人道状況の改善と事態の早期沈静化が図られることを強く願っていますが、同決議への対応については、国の専管事項である外交政策に関することであり、これに対する意思を表明することは考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

ガザでのジェノサイドが再び起こっている。これを絶対に回避しなければならない思いは知事と同じである。しかし、残念なことに、日本政府はこれまでも、イスラエルの行為を国際法違反と批判せず、人道的休戦を求める国連総会決議に「棄権する」という情けない態度をとってきた。
米国や日本政府は、ロシアのウクライナ侵略を批判する一方でイスラエルの蛮行を批判していない。紛争解決の基準は、どんな国であれ「国連憲章。国際法に反する暴挙は許さない」ということ日本は、中東の植民地支配や戦後の中東戦争にも一切加担しておらず、しかも憲法9条・平和憲法を持った国であ
る。アメリカの世界戦略などに振り回されず、積極的に平和な世界をつくるイニシアチブを発揮することが必要と考えるが、知事の見解を伺う。

●永富直樹総合企画部長

再質問にお答えをいたします。
まず、イスラエル・パレスチナの事態についての再質問でございますけれども、国においては、全ての当事者が国際法を踏まえて行動すること等を一貫して求めて、外交努力を続けられております。
県としても、事態の早期沈静化が図られることが重要と考えておりますけれども、その実現に向けた国の対応につきましては、国の専管事項である外交政策に関することでありますので、お答えする立場にはございません。

「失われた30年」からの脱却について

◎木佐木大助議員

質問の第2は、「失われた30年」からの脱却についてです。
今、物価高騰に暮らしの悲鳴があがっています。自民党政治のもとで30年という長期にわたって経済の停滞と衰退――いわば「失われた30年」で、暮らしの困難が続いているところに、物価高騰が襲いかかっているからです。
日本は世界でも特異な「賃金が上がらない国」となっています。資料1のように、1991年から2022年にかけての実質賃金は、欧米諸国は大きく伸びていますが、日本はピーク時の96年から見ると年収で60万円も減少しています。山口県も傾向としては同様です。
資料2のように、消費税は5%から10%へと14兆円もの大増税が行われる一方、国民年金保険料は2倍、一人当たりの国保料・税は1.5倍、介護保険料も2倍にもなりながら、年金は10年前に比して実質7.3%も減り、医療の窓口負担は増え、介護制度も悪くなる一方でした。
世界有数の高い学費にくわえ無償とされる義務教育でも給食費など重い教育費の負担が暮らしにのしかかっています。高学費と貧しい奨学金制度によって、若者が背負わされている借金は総額10兆円にもおよび、30年間で7倍にもなりました。
「賃金が上がらない国」にしてしまった最大の原因は、財界の要求に応じてすすめられた雇用破壊の政治です。目先の利益拡大の経営にはしる財界の要求に応えて、労働法制の規制緩和が繰り返され、低賃金で不安定な非正規雇用で働く人を労働者の4割にまで広げ、正社員には長時間労働が押しつけられました。
その一方で、大企業の内部留保はこの10年間でも180兆円近くふえ510兆円にも膨れ上がりました。大企業が利益を増やしても、内部留保に滞留し、賃上げや下請け単価の上昇などで経済全体に還流しない構造がつくられてしまっていることが、日本経済のまともな成長の大きな障害となり、企業自身にとっても発展の障害になっています。
これまで再三、アベノミクスなど自公政権による経済政策を礼賛されてきた県は、こうした経済指標や県民生活の実態をどう認識されていますか。お尋ねします。

●永富直樹総合企画部長

経済指標や県民生活の実態の認識についてのお尋ねにお答えします。
我が国では、リーマンショックをはじめ様々な経済危機に見舞われたことなどから、賃金や民間投資などが伸び悩むデフレが続き、この間、急速に進む少子高齢化への対応も求められてきました。
こうした中で進められたアベノミクスにより、企業投資や雇用が拡大し、本県においても、最低賃金や有効求人倍率などの経済指標に大幅な改善がみられたところです
その後、ロシアによるウクライナ侵略を契機に急激な物価高騰が起こり、これに賃金等の上昇が追いついていないことなどから、県民生活に大きな影響が生じています。
しかしながら、現在、政府の働きかけなどにより、全国的な賃上げなど、デフレ脱却に向けた動きが広がっており、加えて今後、物価高への対応や中小企業等の持続的賃上げと所得向上を実現するための総合経済対策が実施されることから、本県においても、そういった取組の成果が現れてくるものと考えています。

◎木佐木大助議員《再質問》

「失われた30年」この問題では、12月1日財務省が発表した2023年7~9月期の法人企業統計によると資本
金10億円以上の大企業の内部留保は、528兆円と過去最大を更新しています。前年同期に比べて22兆3千億円4.4%の増加であります。第二次安倍政権が発足した12年7~9月期からの伸び率をみると、内部留保は1.64倍と急拡大、一方で労働者一人当たりの賃金は1.12倍にとどまり、23年7~9月期までの消費者物価指数は15.1%の上昇でありますから、賃金の上昇率を上回り、実質的に賃金は減少しています。これでは格差と貧困がますます広がり、日本の経済は立ち直れません。
改めて提案します。国に対してせめて、528兆円の内部留保にわずか2%の税金を負担してもらう、この10兆5千億円を賃上げに回すようなそういう風なことを、施策を取るように国に求めるべきではないでしょうか。改めてお尋ねします。

●永富直樹総合企画部長

次に賃上げに関する再質問についてでありますけども、賃上げが物価上昇に追いついていない状況の改善に向けましては、これまでも全国知事会等を通じて賃上げに取り組む中小企業を後押しするための支援などを国に求めております。
こうした事を踏まえ、国においては総合経済対策によって中小企業等の持続的な賃上げの実現に向けた支援等に取り組むとされております。
加えまして、国では来年の春闘に向けて、経済界に対して今年を上回る水準の賃上げを働きかけるとされていると承知もしておりますので、県としてお示しのあったような内容について国に求めていくことは考えておりません。

政治の責任による賃上げと待遇改善を

◎木佐木大助議員

日本共産党は10月、30年に及ぶ経済停滞・暮らしの困難を打開するための「経済再生プラン」を発表しました。このうち県政でも実現可能な施策について提案します。
1つは、政治の責任で賃上げと待遇改善をすすめることです。
県は6月補正予算で「賃上げ環境整備応援事業」をスタートさせました。時給アップと職場環境整備を要件に1社につき最大100万円を支給する事業です。実績と評価をお示しください。さらなるスケールアップが必要と考えますが、伺います。
国は非正規労働者の正規化、処遇改善に取り組む事業者を支援する「キャリアアップ助成金」事業を行っています。県内での実績を伺うとともに、東京都などが実施している同事業への加算措置なども検討すべきと考えますがお伺いします。

●小関浩幸産業労働部長

政治の責任での賃上げと待遇改善についての数点のお尋ねにお答えします。
まず、賃上げ環境整備応援事業についてです。
この事業は、賃金引上げを通じた人材確保の取組等が急務となっている中小企業者等に対し、賃上げと併せて仕事へのやりがいや会社への貢献意欲を高める取組を推進することで、魅力ある職場環境づくりを支援するものです。
これまでに、約230件の交付決定を行ったところであり、この事業による支援がなければ取組が困難であった比較的小規模の事業者からも多くの申請があり、県内企業における賃上げの促進や、柔軟な働き方の導入につながったものと考えています。
また、この事業については、9月補正予算において、大幅な拡充を行ったところであり、さらなる拡充については、現時点では考えていません。
次に、キャリアアップ助成金についてです。
キャリアアップ助成金の本県における実績については、公表されていません。
また、加算措置については、国の今回の総合経済対策において、正社員化コースの一人当たりの助成金が中小企業で57万円から80万円に増額されるなど、助成内容の拡充がなされたところであり、県のさらなる加算措置については、考えていません。

◎木佐木大助議員

福祉・介護職員などケア労働者の賃金底上げも必要です。鳥取県は11月補正予算案に介護、障害、看護等の施設職員の処遇を月6千円引上げるための助成制度を盛り込んでいます。財源は国の補助金等であり、山口県でも可能なはずです。お尋ねします。

●國吉宏和健康福祉部長

国の処遇改善事業については、令和6年2月から5月までの賃金引上げ分を対象としており、現時点において具体的な事業内容が示されていないことから、11月補正予算には計上しておりません。

◎木佐木大助議員

県や県教育委員会が雇用する会計年度任用職員の処遇改善も急務です。今議会に報酬の引上げと勤勉手当を支給する条例改正案を提案されたことは評価しますが、県人事委員会勧告に基づく常勤職員の給与改定と同様に遡及改定を実施すべきです。伺います。

●平屋隆之副知事

本県の会計年度任用職員については、従前から、年度当初の任用時に示した給与等の勤務条件を、任用期間である当該年度末まで適用しているところです。
このため、人事委員会勧告に基づき常勤職員の給与を改定した場合でも、年度当初に示した給与を年度末まで適用してていることから、4月に遡及して給与改定を行うことは考えておりません。

●木村香織副教育長

教育委員会の会計年度任用職員の処遇改善についてのお尋ねにお答えします。
県教育委員会におきましても、知事部局と同様、年度当初に示した給与を年度末まで適用しており、4月に遡及して給与改定を行うことは考えておりません。

社会保障の充実、教育費負担軽減について

◎木佐木大助議員

2つは、社会保障の充実、教育費負担軽減です。
コロナ禍と物価高騰という二重苦で生活が脅かされている中、住民要望に応えた施策に取り組む自治体が広がっており、こうした施策に取り組む市町村に対し、必要な費用の半額程度を補助する制度を創設する都道府県も増えています。市町村を包括する広域的な行政を担うとされる都道府県こそ出来ることだと考えます。
県内でも子ども医療費助成制度の拡充、学校給食の無償化に踏み切る市町が増えています。こうした市町を対象に、必要な経費の半額を県が補助する制度を実施することは、「市町と共に歩む」としてきた県の理念にも合致するものと考えます。見解を伺います。

●國吉宏和健康福祉部長

子ども医療費助成制度の拡充についてお答えします。
本県の乳幼児医療費助成制度は、国の医療保険制度を補完し、一定の福祉医療の水準を確保することを目的として、基準を定めて市町に助成を行っているところです。
各市町による独自の取組については、それぞれの自治体において、財政状況や住民ニーズなどを勘案して判断されているものと受け止めています。

●木村香織副教育長

学校給食の無償化についてです。
市町の学校給食費の無償化については、設置者が実情に応じて判断するのが基本と考えておりまして、お示しの県が補助する制度の実施は、現時点で検討することは考えておりません。

オスプレイ墜落事故について

◎木佐木大助議員

質問の第3は、米軍岩国基地問題についてです。
 1つは、米空軍横田基地所属の特殊作戦機CV22オスプレイが11月29日午後、鹿児島県屋久島沖で墜落した事故についてです。
 墜落したオスプレイは、その90分前、米軍岩国基地を飛び立った機体と思われます。一歩間違えば、県内に墜落する恐れもありました。県も同様の認識をお持ちでしょうか、お尋ねします。

●近藤和彦総務部理事

CV-22オスプレイの墜落事故に関する県の認識についてです。
当該事故については、国において米側に対し事実関係の確認中であり、事故原因も究明されていない中で、県内への墜落の恐れに関する認識についてお答えすることは困難です。

◎木佐木大助議員

政府は墜落事故発生から17時間以上経過した30日午前8時頃、米軍に対し「我が国に配備されたオスプレイの飛行について、捜索救助活動の機体を除き、飛行にかかる安全が確認されてから、飛行を行う」よう要請しましたが、その後も飛行し続けています。
県は、政府の対応、並びに米軍の対応をどう評価されていますか。お尋ねします。

●近藤和彦総務部理事

次に、11月30日の政府の墜落事故に係る対応と、その後の米側の対応についてです。
政府の対応については、航空機の機体の安全性について専門的な知見を有する国の責任において、オスプレイの飛行に係る要請を行うなど、適切に対応されたと考えています。
一方、米側は、国の要請を受け止め、事実関係の確認や迅速な情報提供など国と緊密に連携し、対応されようとしていると考えています。

◎木佐木大助議員《再質問》

日本政府は米軍に対して飛行停止を明確に要請していないことが明らかになりました。だからこそ米軍は、日本政府から公式の飛行停止要請を受けていないと居直り、欠陥機オスプレイは、事故当日から現在も岩国を含めた全国で飛び回っています。米軍の運用に係ることは一切モノが言えない、これが日米同盟の実態であります。こんな状態で、県民の安全・安心は果たして守られるのか、改めて伺います。

●近藤和彦総務部理事

まず、日本政府が米軍の運用に係ることは一切モノが言えない状態で、県民の安全・安心は守れるのかというお尋ねがあったと思います。
政府の対応ですけれども、先ほども御答弁申し上げましたとおり、航空機の機体の安全性について、専門的な知見を有する国の責任において、オスプレイの飛行に係る要請を行うなど、適切に対応されていると考えています。
県としては、引き続き、国からの情報収集に努めるとともに、県民の安心・安全の確保に関し、問題があれば、基地を抱える都道府県で構成する渉外知事会や山口県基地関係県市町連絡協議会を通じ、国や米側に必要な対応を求めてまいります。

◎木佐木大助議員

米軍は沖縄普天間基地にМV22が24機、横田基地にCV22が6機、計30機のオスプレイを配備していますが、岩国基地は給油等の中継地とされてきました。事故発生のリスクが高いことを踏まえ、厳しい対応が必要ではありませんか。伺います。

●近藤和彦総務部理事

オスプレイの運用への対応についてです。
県では、地元2市2町とで構成する山口県基地関係県市町連絡協議会において、オスプレイの運用に関し、これまでも、日米合同委員会合意や岩国日米協議会における確認事項を遵守し、安全性が最大限確保されるよう米側に求めていくことを国に対し要望しているところです。
県としては、引き続き、航空機の安全対策の徹底について、国や米側に働きかけてまいります。

◎木佐木大助議員《再質問》

オスプレイの死亡事故は、この間、開発時に34人、実戦配備以降も23人の計57人、そして今回の事故で、60人を超えました。こんな危険な「空飛ぶ棺桶」と椰楡されるオスプレイを配備しているのは、世界でも米軍と日本の自衛隊だけであります。昨年6月、米本士カリフォルニア州で、海兵隊のMV-2 2オスプレイが墜落し、搭乗員5名全員が死亡した事故に関して、米軍は今年7月21日、調査報告書を初めて公表しました。それによると、「操縦者及び乗組員には暇疵はない。本事故を予知・防止するために、彼らにできることはなかった。そして、この壊滅的かつ予期せぬ機械の故障が発生したのだ。」と、こうして、事実上、構造的欠陥を認めました。にもかかわらず、防衛省は構造的欠陥ではないと言い張り続けています。こうした異常な、腰の引けた対米従属、寸度の態度は、事故原因の究明を遠ざけ、次の事故を呼び込みかねません。事故原因の徹底究明と、その結果の公表は不可欠でありますが、県の認識を伺います。

●近藤和彦総務部理事

次に、オスプレイの墜落事故に関して、事故原因の徹底究明とその結果の公表は不可欠であるが、県の認識を伺うとのお尋ねについてです。
県では、これまでも、県と地元2市2町で構成する山口県基地関係県市町連絡協議会において、米軍機の事故に関する徹底した原因究明と早期の公表などを求めているところです。
引き続き、航空機の安全対策の徹底について、国や米側に求めてまいります。

◎木佐木大助議員《再質問》

飛行停止の問題でありますが、岩国の住民団体が、岩国市に申し入れた際、岩国市の基地対策担当部長は、「オスプレイは他の機体より事故率が高いと認識している。だから、山口県と協議して、飛行停止を求めることも検討する」と答えていますが、山口県基地対はどのような態度とるか、改めて伺いたいと思います。

●近藤和彦総務部理事

次に、オスプレイの飛行停止に関して、岩国市との協議についてお尋ねがあったと思いますけれども、今回の墜落事故に関して、岩国市を含めた地元市町と、現在まだ協議中でございます。引き続き、協議を続けて、検討を進めてまいります。

◎木佐木大助議員《再質問》

今、岩国基地は、横田や嘉手納その他から、オスプレイや米軍の航空隊の中継基地として使われていますが、その機能強化の一環である「燃料タンクの5倍化」、この問題は一体どうなっているのか、改めて伺います。

●近藤和彦総務部理事

オスプレイの墜落事故に関して、燃料タンクのことについてのお尋ねです。
米側から、「実施内容の詳細について検討段階であり、共有できる新たな情報はありません。」との情報を得たことについて、国から情報提供を受けているところです。
県としては、引き続き、情報収集に努め、地元市町と連携しながら、適切に対応してまいります。

◎木佐木大助議員《再々質問》

再々質問を行います。オスプレイ問題。日米地位協定において主権が損なわれ、国民の命が脅かされているのにも、改めようとしてこなかった自民党政権。日米同盟、日米同盟と口にしながら、自国のことを自分達で決められない情けない姿が、またもあらわになったのが、今回の墜落事故であります。住民の安全安心、命を守るためには、欠陥機オスプレイの飛行停止と完全撤去が不可欠であります。改めて総務部理事に見解を求めす。

●近藤和彦総務部理事

オスプレイの飛行停止や全面撤去に関してのお尋ねだったと思います。
飛行停止ですけれども、オスプレイを含め、航空機の機体の安全性については、専門的な知見を有する国の責任において判断し、確保されるべきものであり、岩国基地への飛来も含めた、飛行停止についても、基本的には国や米側が安全管理の徹底を図る中で、自主的に判断されるべきものと考えています。
また、全面撤去について、オスプレイは岩国基地配備機ではありませんが、度々飛来してくることから、問題がある都度、これまでも国に対し、地元市町と連携して、機体の整備や安全運用の徹底など必要な要請をしているところです。オスプレイの安全性については、専門的知見を有する国の責任において確保されるべきと考えており、全面撤去を求める考えはありません。

米兵・軍属による犯罪、事故について

◎木佐木大助議員

2つは、米軍岩国基地の米兵・軍属による犯罪、事故の続発です。
米軍岩国基地所属の米兵、軍属による事故・犯罪が昨年来、急増し、基地周辺住民はもとより、県民に大きな不安を広げています。
本年だけでも、2月は酒気帯び運転による自損事故、4月は酒気を帯びた状態での乗用車の窃取事件、7月は酒気帯び運転での信号無視、11月は4日に酒気を帯びた状態での女性への暴行事件が発覚しました。加えて同月2日に車上狙い、18日には店舗に不法侵入し、店の男性にけがを負わせていたことが発覚し、岩国基地報道部は2件とも米軍人だと認めています。
 県と関係自治体は、事故・犯罪が発生するたび米軍岩国基地に対し、「基地関係者に対し、外出・飲酒規制の徹底など綱紀の保持と再発防止の徹底」を要請されてきましたが、現状をどう認識されていますか。お尋ねします。

●近藤和彦総務部理事

米兵・軍属による事故・犯罪の現状に対する認識についてです。
県としては、これまでも、国や岩国基地に対し、米軍関係者の綱紀の保持や再発防止の徹底を要請しているにもかかわらず、昨年末以降、飲酒を伴った事件・事故が続いていることは、基地周辺住民に大きな不安を与えるものであり、誠に遺憾です。

◎木佐木大助議員

在日米軍は、米兵の外出・基地外飲酒を制限する勤務時間外行動指針(リバティー制度)を設けていますが、全く歯止めにはなっていません。背景には、犯罪行為で検挙、起訴されても基地内に逃げ帰り、軽い処分で済まされているからではないでしょうか。
事故・犯罪で警察に検挙された米兵、軍属に対し、米軍としてどのような処罰を課したのかを明らかにさせ、米軍に対し、厳罰を処するよう求めるべきです。それぞれ、お尋ねします。

●近藤和彦総務部理事

警察に検挙された米兵、軍属に対し、米軍としてどのような処罰を課したのかを明らかにさせ、米軍に対し、厳罰を処するよう求めるべきとのお尋ねについてです。
合衆国の軍当局が行使する刑事及び懲戒の裁判権等の内容について、地方自治体である県として、見解を申し上げる立場にはありませんが、米軍関係者による犯罪はあってはならないものであり、今後とも、綱紀の保持や再発防止の徹底について、国や米側に求めてまいります。

原発ゼロへの転換について

◎木佐木大助議員

質問の第4は,原発ゼロへの転換についてです。
政府が原子力政策の根幹としている「核燃料サイクル」とは、原子力発電所の使用済核燃料の中から、再処理工場でウランやプルトニウムといった燃料として再利用可能な物質を取り出し、この取り出した物質を混ぜ合わせて「МОX燃料」と呼ばれる燃料に加工して、もう一度発電に利用する取り組みのことです。
もっとも大きなネックは、高レベル放射性廃棄物の最終処分場がないことです。北海道内の2つの自治体で文献調査が行われているだけです。このため国は、同廃棄物の地層処分が可能な地域を示した「科学的特性マップ」を作成し、2018年以来、当該地域で「全国説明会」を開催しています。資料3のように県内も中部から北部にかけ約半分は「適地」とされ、下関、周南、山口、岩国の4市で説明会が開かれています。県は参加されましたか。お尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

国の全国説明会への県の参加についてです。
お示しの対話型全国説明会には、県は参加していませんが、情報収集のため、傍聴をしています。

◎木佐木大助議員

国は高レベル放射性廃棄物を地表から300m以上深い岩盤に最終処分する計画ですが、同廃棄物の放射能が安全なレベルまで減衰するには10万年以上かかります。世界でも有数の地震国である日本に「適地」などありえません。少なくとも県内に高レベル放射性廃棄物の最終処分場の誘致を容認することはできないと考えますが、お尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

県内への最終処分場の誘致の容認についてです。
国の対話型全国説明会は、地層処分の理解を深めてもらうことを目的とし、説明会開催地域の住民や自治体に対して、調査や処分場の受入れの判断を求めるために実施するものではないとされており、また、仮定の御質問でもあることから、県として見解を述べることは考えていません。

◎木佐木大助議員

たとえ使用済み核燃料の再処理工場が竣工しても、高レベル放射性廃棄物の最終処分地が決まらない限り、核燃料サイクルは行き詰まり、「中間貯蔵」のはずが「最終貯蔵」施設となります。
9月議会でも指摘しましたが、上関原発を電源開発基本計画に組み入れることに対して出された「知事意見」は、使用済み核燃料を長期にわたって県内で貯蔵することは望ましくないというものでした。この考えに変わりないと考えますが、伺います。
合わせて、国がこの6分野21項目にわたる「知事意見」に反する対応をした際は、上関原発計画の推進等について、「県が有する権限、事務、協力等を留保することもあり得る」という立場に変わりないか、お尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

上関原発計画に係る知事意見における使用済燃料の貯蔵・管理及び県の権限等の留保に関する記述について、まとめてお答えします。
知事意見では、「使用済燃料の貯蔵。管理について、発電所内での新たな貯蔵施設にたよらないですむよう、また、発電所内での貯蔵管理が長期にわたらないよう、適切な対策を講じること」としています。
また、知事意見の冒頭において、「今後の対応状況等によっては、当該計画の推進等について、県が有する権限、事務、協力等を留保することもあり得ること」を申し添えるとしています。
これらの知事意見の内容について、変更はありません。

◎木佐木大助議員

いずれにしても、まさに「トイレのないマンション」と化している原発建設など到底、認められません。中国電力が建設に固執する上関原発計画についてはキッパリとノーの立場を表明すべきです。お尋ねします。

●鈴森和則産業労働部理事

上関原発計画は、事業者である中国電力が、国のエネルギー政策に沿って進めてきたものであり、上関原発の建設をどうするかは、事業者自らが判断すべきものと考えています。
したがって、県としては、お尋ねのような立場を表明することは考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

中間貯蔵所問題ですが、核燃料サイクルについて改めて伺います。
共産党県議団は10月中旬、青森県当局と六ケ所村、むつ市に視察に行ってきました。
ご承知のとおり高速増殖炉「もんじゆ」は、相次ぐ事故やトラブル続きで、2016年廃炉が決定した。弥縫案として国が持ち出したのが、プルトニウムとウランを混合させたMOX燃料を作り、既存の原発で使用するプルサーマルでありますが、この技術も全く未確立で、安全性も担保されない極めて危険極まりないものであります。にも関わらず、93年、六ケ所村の再処理工場建設に着工。99年の稼働開始を目指したものの、以後25回も延期をされ八方塞がりになり、今日に至っています。
核燃料サイクルは、完全に破綻していると考えますが、県の認識を伺います。

●鈴森和則産業労働部理事

原発ゼロへの転換についての再質問にお答えします。
まず、核燃料サイクルについては、第6次エネルギー基本計画において、「これまでの経緯等も十分に考盧し、関係自治体や国際社会の理解を得つつ、再処理やプルサーマルを推進する」こととされています。
いずれにしても、エネルギー政策は国家運営の基本であることから、核燃料サイクルをどうするかについては、国の責任において判断されるべきものであり、核燃料サイクルは破綻しているかどうかについて、県として見解を述べることは考えていません。

◎木佐木大助議員《再質問》

立地の問題については、むつ市の中間貯蔵施設なるものは、津軽海峡側に面した民家などほとんどない、広大な原野を切り開いた場所であります。
一方、立地が検討されている上関町は瀬戸内海のど真ん中。むつ市と同じ規模の貯蔵建屋や専用道路、港湾施設を整備するには、大規模な森林伐採と土地造成、さらに、港湾整備に伴う新たな海面埋め立てなど、大規模な自然破壊が避けられず、しかも直下に活断層が走っているという最悪の場所で、悪魔の選択とも言わざるを得ません。この点について改めて伺います。

●鈴森和則産業労働部理事

次に、上関町への中間貯蔵施設の立地についてのお尋ねですが、現在はあくまでも、中間貯蔵施設が立地可能なのかどうか、中国電力において、調査が開始された段階であり、県としての認識を申し上げる状況にはないものと考えております。

GIGAスクール・ICT教育について

◎木佐木大助議員

質問の第5は、GIGAスクール・ICT教育についてです。
今年10月、策定された「県教育振興基本計画」の「教育DXの推進」の冒頭に「Society5.0時代を生きる子どもたちは、タブレット端末をはじめとするICTを活用しながら主体的に学びに取り組み、これからの時代に必要な情報活用能力等の資質能力を一層高めることが求められています」とあります。実際、教育現場では「ICTを使え、使え」の大合唱ばかりと聞きます。
1つは、ICTの教育効果についてです。
IT先進国で知られるスウェーデンは2010年から「一人1台」のデジタル端末を取り入れ、14年には実現し、紙の教科書からデジタル教科書に完全移行しました。しかし、今年度8月の新学期から紙の書籍や手書き練習に重点を置き、ICTを活用する時間を減らしています。デジタルデバイスの幼児教育への導入を義務付けた決定を撤回し、6歳以下の子どもを対象にしたデジタル学習を廃止したそうです。子どもたちの学力低下を危惧しての政策変更です。
現に4年ごとに実施されているPISA(国際学力調査)でも「過度なICT使用と生徒の成績の間に負の関連がある」と指摘されています。
日本でも今年度行われた「全国学力・学習状況調査」結果から「学校の授業以外で1日当たりの勉強のためのICT機器の使用時間」と「平均正答率」の相関をみると、中学生の国語では、3時間以上は60.8、30分未満は73.3。数学でも3時間以上は42.9、30分未満は55.1とICT機器の使用時間が長くなるほど、学力が低下するという傾向が見られます。見解を伺います。

●木村香織副教育長

、ICT機器の使用時間が長くなるほど、学力が低下する傾向が見られるがどうか、とのお尋ねについてです。
全国学力・学習状況調査の結果は承知しておりますけれども、県教委では、引き続き、ICT機器の効果的な活用により、学力の向上に努めてまいります。

◎木佐木大助議員

ICTは科学技術の成果の一つであり、その活用を否定はしませんが、教育効果をしっかりと検証し、活用方法を検討、工夫することが必要と考えますが、見解を伺います。

●木村香織副教育長

ICTは、教育効果をしっかりと検証し、活用方法を検討、工夫することが必要ではないか、とのお尋ねについてです。
県教委では、各学校における成果や課題を検証し、効果的な活用を図っているところです。

◎木佐木大助議員

2つは、子どもの成長・発達を大切にするICTの活用を探求することです。
「紙と手書き」の効果については、「脳の成長には『手書き』の苦労が必要」、「漢字の手書き習得が文章作成能力と高度な言語能力の発達に影響を与える」、と、多くの研究者が指摘しています。とくに心身発達の真っただ中にある小中学生については「紙と手書き」の学習に重点を置くべきと考えますが、伺います。

●木村香織副教育長

小中学生については、「紙と手書き」の学習に重点を置くべきではないか、とのお尋ねについてです。
県教委では、これまでの教育実践とICTのベストミックスによる「個別最適な学び」と「協働的な学び」の一体的な充実に努めています。

◎木佐木大助議員

3つは、子どものたちの個人情報の漏洩を防ぐ必要性です。
ノーベル平和賞を受賞した国際的な人権擁護団体「ヒューマン・ライツ・ウオッチ」の調査によると、学習用オンラインアプリやウェブサービスを通じて、子どもたちの個人データが採取されている危険性が指摘されています。EUなどIT先進国には個人データを保護する規則が定められていますが、日本はほぼ野放しにされています。
ICT教育を進めていく上でも、個人データを企業の「儲けの種」や「監視の種」にさせないための法整備が不可欠です。見解を伺います。

●木村香織副教育長

個人情報については、個人情報保護法等に基づき取り扱われており、新たな法整備につきましては、国の責任において行われるものと考えています。

(2023年12月5日)

タイトルとURLをコピーしました