新型コロナワクチンの接種と供給は今?。

「ワクチンが足りず、接種予約が進まない」

 「山口市では、9月以降のワクチン供給予定がたたず、予約受付ができない」という情報が寄せられました。

 確かに、山口市のHPを見ると「国からの9月以降のワクチン供給量の見通しが立たないことから、個別接種について、8月中は、これまで通り予約受付を行いますが、9月以降の新規(1回目)の予約受付を一時停止することといたしました」(8/3付)と記されています。

 萩市は、「7月になって国からのワクチン供給量が大幅に減少し、8月、9月についても同様の状況が続く」とし、個別接種については、「8月16日以降に1回目の接種が行われる日程分について、新規の予約申込みがあった場合、その医療機関へのワクチン分配量に応じ、接種日程(2回目を含む。)を調整。医療機関によっては、接種を少しお待ちいただく場合があります」と注意喚起。

 周南市も、「県全体で9月上旬の入荷は10箱(1箱が1,170回接種分)の配分しかなく、今後どれだけのワクチンが周南市へ配分されるか不透明となりました。こうした中にありましても、…予約受付の見送り等を回避するよう努めてまいりたい」(8/11)と窮状を吐露しています。

 そして村岡嗣政知事も20日の記者会見で、国から供給される新型コロナウイルスのワクチン量が30日以降に9割減ることを明らかにし、「大きな問題」と苦言を呈し、配分量に急ブレーキをかけないよう求めました。

山口県はワクチン接種率はトップ。しかし、2回接種にはワクチン足りない

 内閣府が8月15日時点でまとめた中国5県のワクチン接種状況(医療従事者等も含む)と、ワクチン(ファイザーとモデルナ)の供給量をもとに、ワクチン接種回数(2回接種分)の人口比を試算すると、山口県は60%とトップです。ワクチンの累積供給量に対する使用率も94%とトップです。接種は順調に進んでいることを表しています(㊦表)。

 考慮が必要なのは、ワクチンは2回接種が鉄則である点です。山口県で、8月15日時点で1回目の接種を終え、2回目の接種を待っている全員に接種するのに183,502回分のワクチンが必要です。これを合わせた必要量は1,822,416回分となり、15日現在の累積供給量を超えることになります。

9月以降、山口県へのワクチン供給量は急減

 ところが8月5日、厚生労働省健康局健康課予防接種室から県に送付された「ファイザー社ワクチン第13・第14・第15クールの配分等について」の事務連絡文書で示された第13(PF13、9月12日まで)~15クール(PF15、10月3日まで)の山口県への供給量は、いずれも「10箱」(11,700回分) でした。第12クール(PF12)の「88箱」(102,960回分)と比べると9割減です。

 山口県の第15クール(10月3日まで)までのワクチン累積供給量は1,880,015回分にとどまり、前述した2回目接種に必要なワクチン量を考慮すれば、新規の予約をとれる状況ではありません。

 上表の「2回接種必要量と供給量の充足率」を見れば、厚労省の狙いは、供給スピードの都道府県間の均衡を図ることです。しかし、山口県内のワクチン接種にブレークがかかることは避けられません。

アストラゼネカ、モデルナ社の供給もわずか

 政府は8月3日、8月末からアストラゼネカ社の供給を始めると発表しました。「9月末までに200万回分確保した」と説明しますが、人口比で考えれば山口県の配分量は最大20,000回分。1回目の各都道府県への配分量は、上限1,000回分とされています。

 山口県は、アストラゼネ社ワクチンの接種センターを、8月16日、防府市の県立総合医療センターに設置し、予約を始めましたが、実際の供給は緊急事態宣言自治体等が優先されるので、多くは期待できません。

 また政府は8月19日、モデルナ社の供給を再開すると発表し、大規模接種会場と職域接種における接種の体制構築を要請していますが、肝心の供給量や供給スケジュールは明白ではありません。

感染爆発招いた菅政権の「三つの柱」

 菅首相は、8月17日の会見でも「医療体制、感染防止、ワクチン接種の三つの柱を確実に進める」と呪文のように唱えています。

 しかし、実態は、医療体制は崩壊、感染は爆発、ワクチン接種も先細りです。

 この状況は、科学的な知見を無視し、国民への説明責任は放棄、そして、「自己責任」論の持ち込み、という「三つの柱」を進めてきた菅政権が招いた“人災”に他なりません。

(2021年8月21日)

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